人間の本質を考えさせられる一枚。ドラマCD「ふしぎ工房症候群 あの日の約束」キャストインタビュー

By saeki, 2012年5月20日


奥深いストーリーで聴く者を魅了するオリジナル朗読CD「ふしぎ工房症候群」シリーズ。多くのキャストが顔を揃え、厚みを増した物語が展開される。
今回は、本作の中心人物「私」を演じた竹達彩奈さんと「彼女」を演じたMAKOさん、そして彼女の父役のてらそままさきさん、私の兄を演じた吉田真弓さんに話を伺った。


―今回の収録の感想をお聞かせ下さい。

竹達彩奈さん(以下、竹達):「居場所をください」では一人語りで、家族との確執などの問題で主人公の女の子が傷ついたりしたのですが、今回のドラマCDでは「こんな経験もしていたんだな、ツライ思いをしてたんだな」というのが分かりました。
演じている私も自分の分身のように演じさせていただきましたので、純粋に続編としてやらせていただいたことも嬉しかったですし、「私」を演じることができて嬉しかったです。

―前作『居場所をください』では作品を作る上で原作者と綿密な打ち合わせをされたということですが、今回はどうでしたか?

竹達:今回は原作者の竹内(葵)さんお任せでした。出来上がったシナリオを読んだ時に、すごく胸が苦しくなりましたね。前回もシリアスな内容だったのですが、人が亡くなったり、ということがなかったので、そういう意味では今回、人が生きる、死ぬ、という瀬戸際が描かれていて、とても苦しさを感じました。

―では、共演者の皆さんにも演じた感想をお聞かせいただけますでしょうか?

吉田真弓さん(以下、吉田):看護師や同級生など、色々な役をやらせていただいたいのですが、メインでやらせていただいたのが「私」の兄でした。出番自体はあまり多くなかったと思うのですが、今の「私」や「彼女」ができ上がるキーパーソンになったと思います。
幼少時代のシーンは悲しさを感じるような場面ではなかったので「可愛い妹が二人いる」という感覚で楽しく演じました。

MAKOさん(以下、MAKO):このような重いテーマを抱えた作品はこれまであまり演じたことがなく、自分にできるかどうかドキドキしていたのですが、竹達さんとの掛け合いで「竹達さんがこうくるなら私はこうやろう」と「私」に合わせたりして演じていくうちに、作品の中の二人のように仲良くなれた気がします。
自分では「死」というものを考えたことがなかったですし、こんな小さなすれ違いでこんなにも人間は狂っていってしまうのか? と思いました。

てらそままさきさん(以下、てらそま):ドラマCDというと楽しくやったりする部分があるのですが、台本を読ませていただいた時に、「そうもいかないな」という部分がありましたので、父親としての立ち位置を演じていかないと、と思いました。「私」との間に何かニュアンスのようなものを感じていただけるように演じました。


―もし、皆さんの前にふしぎ工房が現れて願いを叶えてもらえるとしたら、どんなお願い事をしますか?

吉田:「死ぬ時に苦しまないようにしてください」とお願いします。

てらそま:僕もまさにそうですね。肉体には自信があったのですが、そこかしこが痛み始めてきましたので、是非そのようなことがない身体にしていただきたいな、と思います。それと「夫婦で仲良くできますように」というのも付け加えておいてください(笑)。

竹達:両親が小さい頃にどのような生活を送っていたのかを見に行きたいです。私が生まれた時にどんな表情をしていたんだろう、とか気になりますね。

MAKO:私の父はなくなっているのですが、なくなる直前まで、反抗期のような態度を取ってしまっていたんですね。ですから、もし戻れるなら死に際に手を握ってあげたりしたかったな、と思いました。


―本作のテーマにもなっていますが、女の子同士の友情とはどういうものだと思いますか?

てらそま:恐いですよね(笑)。男は単純なのでケンカしてもすぐ仲良くなるイメージがありますが、女性は絡み合ってしまうと大変なことになるような気がします。それを正すことができればいいのですが、難しいですからね。

MAKO:女子の友情は年齢によって違ってくると思うんです。物語の中の彼女たちは17歳くらいですよね? 

竹達:その頃、同級生とのやりとりは結構煩わしかったイメージはあったりしますね(苦笑)。

吉田:女子はいくつになってもそういう部分を導線に持ちながら生きていくんじゃないか、とは思います。大人になってからの女子の友情も恐いかも知れないですよ(笑)。

竹達:私の中では男性でもそういう部分があると思うんです。ですから、女子だけがどうこう、というのはちょっと違うかな。そういう人たちとどう接していけばいいのか? というのを考えていくのが「人生の課題」だと思っています。


―皆さんは今回の作品からどんなことが汲み取れましたか?

吉田:竹達さんが読んだ朗読CDを聞かせていただいたのですが、すごく大変な人生を背負っている女の子の役で、私自身は、実際にこれほどのツライ経験をしたことがないので全てが分かるかどうかは分かりませんが、二人の友情に関してのエピソードは、私にもやっぱりあったので。「子供の頃はこんなで、高校だとこんな感情も入ってきて」というのを思い出し、懐かしい気持ちになりました。

MAKO:本作に出てくる女の子たちは二人とも優等生じゃないですか。自分に対して厳しいからこうなってしまったのだと推察できますね。私の友人にも、親の期待に耐え切れずに悪い道に走ってしまったのですが、彼女のことは中高時代から知っていたので、最初は中々受け入れることができませんでした。
しかし彼女には、昔の自分を分かってくれるような人が必要だと思い、「彼女が変わったわけではなく、大人になっただけなんだな」と思うようにして、今では彼女を受け入れられるようになりました。

てらそま:男女共通して言えることですが、多感だったりして、どこに向かっているのかが分からない、いわゆる「青春時代」なのですが、友人関係がこじれると、「自分は何者なんだろう?」と考えたり、荒れてしまったりすることもあると思うんです。
学校の先生や友人など、周りの人間が包んであげられるような環境があるというのが大事で、大人になってもそれは同じで、年齢を重ねるごとに「一人で生きているわけではないな」というのを痛感しますね。
自分がそういう支えられる人間の一人になれればいいな、と思いますし、こういう仕事をしていればそういう勇気も与えられるかな、とも思っています。
自分たちが何をやっているのか、一人ひとりが表現していき、誰かがそれを聞いて勇気を持ってもらえればいいな、と思いますので、若い人にもそのような意志を持っていただけるといいですね。


―前作『居場所をください』で得たものを発揮できた部分はありますか?

竹達:朗読とドラマCDでは演じ方も違いますので、技術的なものとして前作を活かせたかどうかは分かりませんが、『居場所をください』での「私」の記憶があってこそのドラマCDでしたし、「私」の人生を垣間見た後でしたので、より深い人間らしさを演じていければいいな、と思いました。
人間らしい汚い部分や悩み、苦しさ、ちょっとした幸せだったり、そういうものを自分なりに一生懸命表現できれば、と思い『居場所をください』を思い出しながら演じました。


―この作品でどんなメッセージを伝えたいですか?

竹達:私自身演じさせていただいて、すごく勉強になったというか、私自身人に対して距離を置いてしまったり、人と話すのが苦手な部分があるので、そこまで人に踏み込めないというか。
今回演じて「人と人とのつながりっていいな」と、子供の頃に仲の良かった友達、幼なじみのことを思い出し「元気にしてるかな」と考えながら演じさせていただいたのですが、私も昔は「学校へ行きたくないな」とか声優を目指す上で不安定な道に対する不安を感じたり、私自身も色々な経験をして今がありますので、「私」の気持ちもすごくよく分かりました。ですので、ドラマCDを聴いて下さった方には「間違ってもいいんだよ」ということを伝えたいです。
色々な経験をして間違えたり失敗をしたりして落ち込んだりすることがあるかもしれませんが、それでも待っている人、そばにいてくれる人がいると思いますので、臆病にならずに前に進んでほしいと思いました。


―最後に、ファンにメッセージをお願いします。

MAKO:人間の思い込みや被害妄想はすごくて、言い合えば簡単に済むことなのにそれができなくて、こじれてしまうものがたくさんあると思いますので、何か気になることがあれば思い込まずに話し合おうという気持ちになっていただけたら嬉しいです。

竹達:このドラマCDを聴いて、皆さんも「自分にもこういうことあったな」というのがあると思うのですが、私も聴いていて懐かしさと切なさを感じました。「生きてるって素敵だな」と思いながら聴いてもらえたら嬉しいです。




<Text・Photo/ダンディ佐伯>



【CD概要】
ドラマCD「ふしぎ工房症候群 あの日の約束」
2012年6月27日(水)発売


品番:XNCG-10024
価格:¥2,940(税込)

発売元:Cosmic★Gate
販売元:avex marketing

●『ふしぎ工房症候群』作品紹介サイト
http://www.cosmicray.co.jp/fks/


(C)2012 COSMICRAY, lnc.,

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