「劇場版『次元大介の墓標』オリジナルサウンドトラック」ジェイムス下地氏 インタビュー

By, 2014年12月26日



2014年6月に期間限定で劇場上映された『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』。12年にテレビでOAされた『LUPIN the Third -峰不二子という女-』に続く、『ルパン三世』シリーズのスピンオフ作品第二弾となる本作の劇伴と劇中歌を担当されたのは作曲家・音楽プロデューサーとして活躍するジェイムス下地。小池健監督とは旧知の仲であり、今回の依頼も快諾したという彼にお話をうかがってきた。

―まずは、今回担当されることになった経緯を教えて下さい。

ジェイムス下地さん(以下、下地):とても単純で、小池健監督とは2010年に公開された『REDLINE』という作品でご一緒させていただいた縁があり、昨年夏くらいにツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)で「今、ルパンの新しいタイトルを作ってるんだけど、音楽作ってもらえない?」と声をかけていただいたのがきっかけでした。

―ジェイムスさんとアニメ音楽の出会いは?

下地:元々CM音楽をメインで作っていたのですが、2000年に公開になった『PARTY7』という実写映画の作品で全体の音楽を担当する機会があり、作品のオープニングがアニメになっていたので、それが出会いでしょうか? 尺の違いはあれど、やることは一緒ですから、それまでの作曲活動となんら変わらずに作業できました。

―下地さんご自身はアニメは昔からご覧になってました?

下地:好きでしたね。『ルパン』は第一シーズンから観ていましたし、『宇宙戦艦ヤマト』など、楽しく観ていました。東京に住んでいると夕方からずっとアニメが放送されていて。有名な話ですが、『ルパン』の第一シーズンは、本放送よりも再放送のほうが視聴率が高いということもありましたね。ちなみに特撮は小さい頃には卒業してしまいました(苦笑)。でも『レインボーマン』はドロドロしていたなあ。作られた方が戦争を引きずっていたことが大きいのかも知れませんが。

―『ルパン』という作品に対する率直な想いなどはございますか?

下地:小さい子供にとっては『ルパン』も『巨人の星』も特撮の『仮面ライダー』も変わらないじゃないですか。面白いものは面白いので印象にも残っていますし。あくまでもたくさんのアニメ作品の一つ、という位置づけでした。
そもそも、当時はテレビ自体が子供が観るものではなく、まだ大人の娯楽、というイメージがありましたし。昔は子供にはとてもじゃないけど見せられないような企画がたくさんあって、本当にやりたい放題やっていた感がありますから(笑)。今はクリーンすぎて逆に気持ちが悪いですね。

―現在のテレビ、アニメーション界に少なからず危惧される部分があると。

下地:そうですね。その時代は一方で、テレビは子供のものでもあったと思うんです。例えば「この時間は子供の番組」ということで、夜のゴールデンタイムはアニメばっかりやっていた時代もありました。今だってそうした時間にオンエアされているアニメは少なからずヒットしているんですよね。小さい頃に「お客さん」にしてしまえば、その後はずっとお客さんでいてくれるんですから。

―子供や若者のテレビ離れが叫ばれて久しいですが、現在ではネットでも公式にアニメを配信するようなサービスも増えてきています。

下地:あれはあれで否定するつもりはないですが、高画質で、素晴らしい環境で作品を観よう、と思う人とはニーズが別のところにあると思うんですね。本当にいい作品は、やはりそれ相応の環境で観ていただきたい、という気持ちはあります。

―ではCDの話を。今回制作されるにあたり、『次元大介の墓標』に関するどのような資料を参考にされたのでしょうか?

下地:各キャラクターの設定画と、絵コンテを拝見しました。自分はいつも実際に映像を観てから曲を作る、という流れなのですが、マルタの歌うヴォーカル曲「Forever And A Day」と、監督が「曲を聴いてから、それを参考にして画にしたい」という希望をお持ちでしたので、エンディング曲の「Revolver Fires」に関しては先に制作しました。後は映像を観ながら、ということでしたが、「ルパンはこういう動きをするな、次元はこうだな」というのが大体分かっているじゃないですか。ですから特に難しく考えることなく、作業に臨めました。

―本作は『LUPIN the Third -峰不二子という女-』の流れを汲んで劇画タッチで描かれていますが、そこは曲作りに意識されましたか?

下地:画、というよりはいわゆる『1stルパン』に魅せられたスタッフたちが制作しているんだな、というのを感じましたので、そこは多少意識しました。でも、これまで制作されてきた、割とコメディタッチの『ルパン』に関して、もし曲作りの依頼があったとしたら、それはそれで、その作品に合った曲を作ると思いますね。

―ところで最近は『ボーカロイド』のような、比較的気軽に曲を作れるようなソフトが開発されていますが、興味はおありですか?

下地:ソフトを制作されている方、そのソフトで曲を作られている方には、すごい執念というか、自分のやりたいことに向けての情熱がすごくあるな、と感じます。自分は仕事をいただいた時しか作曲はしないですし、普段プライベートで曲を聴く、ということもほとんどないです。

―では、プライベートではどんなことをされていますか?

下地:よく星の写真を撮りに行っています。富士山のふもとなどまで行って、セッティングに2時間かかったり、結構本格的にやらせてもらってます。時には12時間くらいかかることもありますが、趣味でやっていることなので。

―曲作りの上で、ご自身が大切にしているところを教えて下さい。

下地:先ほども申し上げましたが、やはり「その作品に合った曲を作る」ということです。当たり前ですが大事なことなので。この作品に限らず、いつも考えていることですね。

―では最後に、皆さんに向けてメッセージをお願いします。

下地:カッコイイので聴いてください!

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

【CD概要】
jigen_JK
「『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』オリジナルサウンドトラック」
発売中(12月10日発売)

品番:COCX-38843
¥2,500+税

●作品紹介サイト
http://columbia.jp/prod-info/COCX-38843/