新たな挑戦も満載 ニューシングル『signs ~朔月一夜~』を発売した栗林みな実 インタビュー

By, 2012年8月24日



「トータル・イクリプス」のエンディングテーマとして流れているのが、栗林みな実さんの歌う、雄大かつ幻想ロマンな世界観広がるシンフォニック・ナンバー『signs ~朔月一夜~』。同楽曲が、ついにシングル発売になった。
C/Wには、クリスカとイーニァをイメージして作りあげた『True 4 Eyes』も収録。栗林みな実にとっても新しい表情となった『signs ~朔月一夜~』。同楽曲の魅力をじっくりと伺った。

                 

●いきなり重なり合ったコーラスからスタート。いくつもの声を重ねた(美しくも重厚な)ハーモニーは、この歌の聞きどころになっています。

―みな実さんは、アニメ「トータル・イクリプス」のエンディングテーマ『signs ~朔月一夜~』を担当しています。原作のほうは以前から知ってたそうですね。

栗林みな実さん(以下、みな実):現在発売中の小説は全部読んでたので内容はわかってましたし。アニメが始まる前にも、ある程度の資料はいただいてたので、作品の世界観はつかみやすかったんですけど。『signs ~朔月一夜~』の歌を表現していくことが本当に難しかったんです。

―雄大かつシンフォニックな世界観の上で優しく包み込むように歌が響いていくよう、とても心地好さを覚えながら聴いてました。まさか、唄う際にそこまで難しかったとは……。

みな実:これまでは勢いあふれるオープニング・ナンバーを唄うことが多かったからでしょうね。もちろん、バラードも歌ってきたんですけど。これまでのタイアップ歌って、じつは9割がオープニング・テーマ。エンディングを歌う機会がこれまで少なかったことや、今回新しく出会う方々とご一緒させていただいたこともあって、初めて経験することの多かった現場だった理由も大きかったんだと思います。
『signs ~朔月一夜~』は、とても繊細な楽曲なんですよ。これまでは割と地声で表現することが多かった中、『signs ~朔月一夜~』ではファルセットを多用しながら細かい表情を描いたり、イントロの部分でも、いきなり重なり合ったハーモニーから始まったり。とくに、いくつも声を重ねた(美しくも重厚な)コーラスはぜひ聴いて欲しいし、この歌の聞きどころにもなっています。
10年以上の経験があったうえで新しい環境へ飛び込むというのは、それまでの経験さえも試されていくような感覚がありました。

―『signs ~朔月一夜~』のイントロで流れる、あの重なりあった美しいハーモニーワークは、聴いていてとても気持ち良かったです。

みな実:わたしも重なりあったコーラスを聴いたときには感動しました。普段やってるコーラスの場合、馴染みのあるコード感が軸になっているから、答えを見据えたうえで歌声を重ねていくんですけど。『signs ~朔月一夜~』はあまり馴染みのないコード感だったことが、自分の中での挑戦というハードルになっていきました。でも納得のいく結果が生まれたように、新しい方々とお仕事をするというのは、こういうことなんだと言いますか、改めて勉強になる機会をいただけたなと思いました。

―慣れ親しんだ人たちの中ではない、新しい環境で制作を行ったことが、みな実さんにも嬉しい刺激になったんですね。

みな実:新しい環境や新しい人たちとの出会いは、すごく嬉しい刺激になりましたね。自分自身、新しい気持ちで向かっていけますし。「この人はこうだ」という先入観がないぶん、自分にも新しい色を塗っていただけた感じはありました。
ただ、10年以上の経験があったうえで新しい環境へ飛び込むというのは自分が試されてるっていうか、それまでの経験さえも試されていくような感覚がありました。これまで関わってきた人たちと作りあげてきた世界観に対しての責任感もあるなーとわたし自身が思えてたからこそ、どこか挑戦の意識もあったんでしょうね。

―人が変われば、表現してゆく上での過程にもいろんな違いや刺激が生まれるのは当たり前のことですもんね。

みな実:そうなんです。たとえば息継ぎ一つを取っても、普段ではぜんぜん意識してないところで息継ぎのタイミングや声の表情の切り換えのアドバイスをいただいたり。そういう細かい技術的な面でもいろんな刺激があって面白かったですね。

●『signs ~朔月一夜~』に触れたみんな、きっと物語のことを思い出しながら聴くんだろうなーというのは、わたしも感じています。

―『signs ~朔月一夜~』の歌詞は、ストレートというよりも、いろいろ想像を膨らませてゆく表現の多い内容になっています。

みな実:すごくオブラートに想いを綴った言葉が何層にも重なり合った歌詞だなと、わたしも唄いながら感じていました。しかも『signs ~朔月一夜~』って、メロディーだけを捉えたらとてもシンプルじゃないですか。だからこそ、細かい表情をどう付けていくかでも苦労したと言いますか。改めて、シンプルだからこそ奥深いということを感じさせられた歌になりました。
すでにライブでも『signs ~朔月一夜~』は歌ってるんですけど。きっと5年や10年という歳月を一緒に唄いながら、ようやく理想の唄い方になっていける。そんな楽曲に出会えた気持ちでもいますね。

―『signs ~朔月一夜~』は、「トータル・イクリプス」の本編の最後の物語と重なる形で流れ始めますよね。たとえその回が激動であっても、スリリングな展開だろうと。穏やかな表情で終わろうが。最後に『signs ~朔月一夜~』が流れることで、すべての想いを優しく包み込んでくれる。そんな気分にさせてくれる印象を、毎回物語を見終えるたびに感じています。

みな実:この歌に触れたみんな、きっとその回の物語のことを思い出しながら聴くんだろうなーというのは、わたしも感じています。だからこそ改めて、エンディングテーマを唄うことの責任感というのを『signs ~朔月一夜~』を通して感じることの出来た経験にもなりました。

●『signs ~朔月一夜~』のMVは、物語の展開が気になるショートフィルム的な映像になりました。
               
―C/Wには、『True 4 Eyes』を収録しました。こちらの楽曲のリミックスverが劇中歌として使用されていましたが、こちらの楽曲は、”トータル・イクリプス盤”のジャケットにも描かれた、「紅の姉妹」と呼ばれているクリスカとイーニァをイメージして書いたそうですね。

みな実:そうなんです。「この2人が戦術機に乗って戦うシーンで流したい歌を」という発注を受けて、この歌は書いたんですけど。以前から小説も読んでいたように、2人のキャラクターのことは頭に入ってたし、アニメ用の資料もいただいてたこともあって、すぐに頭の中に2人が動いてる映像が浮かびあがりました。この歌は、クリスカの視点で書いた歌になっています。」

―クリスカの心情がリアルに伝わってくる内容ですもんね。

みな実:クリスカの心情は、かなり入れ込んで書きましたね。しかも戦術機に乗り込むシーンということもあって、スピード感の出る言葉もいろいろと入れてみました。

―気になったのが、”アーティスト盤”に収録されている『signs ~朔月一夜~』のMVなんですよ。あの映像、まるでショートフィルムというか、映画の場面を巧みに切り取り凝縮したような映像になっていませんか? しかも、撮影したのが海外だし。

みな実:ロスで行われた「アニメエキスポ2012」への参加後、そのまま残ってMVも撮影してきました。先ほど言われたように、物語の展開が気になるショートフィルム的な映像になりました。
あのこだわりを持った映像を作れたことは、わたし自身いい刺激や経験にもなったことなんです。

―すでに、日本でも『signs ~朔月一夜~』はライブを通し歌っていますが。じつは、この歌を初披露したのが海外だったんですよね。

みな実:そうなんです。「アニメエキスポ2012」で「トータル・イクリプス」の第1~2話の先行上映会があり。その後に2曲歌わせていただきました。

―「帝都燃ゆ」の上映後に、壮大なバラード系ナンバーを歌うのはプレッシャーじゃなかったですか?

みな実:わたしも歌う前までは、あのエピソードを見終わった後なんで(気になる方は、9月28日に発売となるBlue-ray/DVDを観てください)どんな反響になるのか心配だったんですけど。みなさん、普通にワーッと盛り上がってくれました。

―これが日本だったら……。

みな実:日本のファンの方だったら、バラードということもあって、物語の余韻に浸りながら聞き入ってくれると思うんですけど。向こうの方は、間奏になったとたんに騒ぎだすんです。「今、この瞬間が自分の主張すべき場所だ」みたいに(笑)。そこが違いなんでしょうね(笑)。

―完成した最新シングル『signs ~朔月一夜~』、今のみな実さんにとって”どんな1枚”になりましたか?

みな実:けっこう時間をかけながら丁寧に丁寧に作った作品なので、それをみなさんに聴いていただける嬉しさがあるのと。
今回は”トータル・イクリプス盤””アーティスト盤””通常盤”と3 Styleで発売になるんですが、”トータル・イクリプス盤”は書き下ろしの(紅の姉妹の)イラスト・ジャケットになってますし、歌詞カードを広げると小っちゃいポスターになったりもするんですよ。
それぞれの盤面も、白や黒など盤によって異なるデザインのように、細かい部分まで丁寧に作っていただいてるようで、そこもみなさんに楽しんでいただける仕様になっていると思います。

―「トータル・イクリプス」のエンディング歌『signs ~朔月一夜~』を歌ったことが、みな実さんの中の新しい扉を開けた経験になりました。きっとこれからも、お馴染みの場での活動はもちろん、新しい扉を開ける場もいろいろ出てきそうな予感もするだけに、これから生まれゆく表情にも期待しています。

みな実:私もこれからどんな出会いが待ち受けてるのか、とても楽しみです。

<Text/長澤智典>

【CD概要】
TVアニメ『トータル・イクリプス』エンディングテーマ「signs ~朔月一夜~」
発売中

<収録楽曲>
1.『signs ~朔月一夜~』 2.『True 4 Eyes』
3.『signs ~朔月一夜~(Instrumental)』 4.『True 4 Eyes (Instrumental)』

【トータル・イクリプス盤(期間限定生産)】(CD+DVD)
品番:AVCD-49734/B
¥1,890(税込)

<特典>TVアニメ「トータル・イクリプス」ノンテロップエンディング映像
描き下ろしアニメイラスト三方背ケース、ミニポスター

【アーティスト盤】(CD+DVD) 
品番:AVCD-49735/B
¥1,890(税込)

<特典>signs ~朔月一夜~ ミュージックビデオ

【通常盤】(CD)
品番:AVCD-49736
¥1,260(税込)

●公式サイト
http://muv-luv-te-anime.com/

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