豪華声優陣の発想力と構想力によるオリジナル作品が続々誕生! 「じゃれ本LIVE #1」(2nd STAGE)レポート

By, 2024年5月17日



短くて不思議な小説「ショートショート」をリレー形式で作り上げる『じゃれ本』。己の持つ発想力や想像力をふくらませ、老若男女、誰もが楽しむことができる一風変わったパーティーゲームだ。
『じゃれ本』を使ったイベントが2024年5月12日(日)、東京「池尻大橋 #chord_(ハッシュコード)」にて行なわれ、声優の坂巻 学、高塚智人、五十嵐裕美、桑原由気がオリジナルショート作品を作り上げていった。
ここでは「2nd STAGE」(第2部)の模様をお届けする。

 

イベントは『じゃれ本』を生み出したメンバーであるショートショート作家の田丸雅智氏とゲームデザイナーの大山徹氏が進行役を担当。
坂巻さんと高塚さんは昨年12月に同場所で行なわれたプレイベント「じゃれ本LIVE」にも出演しており、今回が2度目の参加。さらにこの日「1st STAGE」(第1部)でさらに経験を積んだことで「さらにいい作品が作れるかも!」と自信ありげな様子だった。

   

『じゃれ本』の簡単なルールを説明すると、最初に「タイトル決め」を行ない、その後タイトルに沿った物語を4人で協力して作り上げていく、というもの。
タイトルに関しては、この日集まったオーディエンスからもアイデアを募集。登壇者が最初に出した「パフェ」(坂巻さん)、「坂道」(五十嵐さん)、「ハムスター」(桑原さん)、「イフリート」(高塚さん)などのワードから連想した単語を募集し、2つの単語を組み合わせた結果、「おつまみハムスター」「屋上の坂道」「ギャルイフリート」「ライブハウスでパフェ」、以上4作を創作することになった。

4人の手元には各物語の『じゃれ本』が用意され、「2分」という制限時間内で各作品の文章を作成。時間が来ると次の本と交換……という流れで各物語を書き進めていき、2周した時点でストーリーを完結させる、という流れとなっている。

『じゃれ本』の醍醐味は「文章が読めるのは前の人のものまで」。
例えばA~Dの順番でリレーしていく場合、Bから文章を引き継いだCは、Aの文章を読むことができずないので、Aが書いた内容を想像しながら物語を紡いでいかなければならない、というルールだ。

なお、今回は2セット行なわれ、2巡目はタイトル決定後、ルーレットを使って「作品のジャンル」も決定。1巡目とは違った趣で行なわれた。
ちなみにタイトルとジャンルは「ビアガーデンの疾走感」(時代劇)、「青空日記」(ファンタジー)、「おせっかいデビュー」(スポ根)、「パリピシヴァ」(グルメ)だった。
どちらのセットも登壇者を代表し、坂巻さんの執筆する様子がスクリーンに映し出され、自由な発想に場内からは笑い声が上がっていた。

リレーする順番もキーになるようで、高塚さんは「坂巻さんの文章がなければ~……」と苦笑い(笑)
また文章がうまくつながらず、一見「駄作」に思えるような作品も、4人と田丸さん、大山さんの考察力によりだんだんと「良作」に思えてしまう(?)ことも。
また、初参加の五十嵐さんと桑原さんのゲームスキルも「1st STAGE」を経て確実に伸びている様子で、名作づくりに一役買っていた。

最後は1巡目、2巡目に生まれた「8作品」のなかから客席の拍手の大きさでMVPを決定!
結果、
「書いたことがなんでもかなう日記を手に入れた主人公が邪な心を持ってしまい、最終的に「世の中をきれいにしたい」と日記に書いた結果、自分が消えてしまう」……という「人間の本質」に訴えかける(?)ストーリーが完成した「青空日記」が多くの支持を集め、決選投票にもつれることなくMVPの栄光に輝いたのだった。

【イベント後 インタビュー】

―まず、今回のイベントはどのような経緯で行なわれることになったのでしょう?

田丸雅智さん(以下、田丸):『じゃれ本』は元々一般の方向けのワークショップをときどき開催していたのですが、ほかの人が作った物語を聞くだけでも楽しいことがわかりまして。
昨年12月にイベント第1弾として「じゃれ本LIVE」を開催したら、予想以上の面白いイベントになったんです。
『じゃれ本』をもっと世の中に広めていきたいという気持ちもあり、今回「第2弾」という形で行なわせていただくことになりました。

―登壇者のみなさんは、やってみていかがでしたか?

坂巻 学さん(以下、坂巻):僕と高塚君は前回も参加させていただいたのですが、どちらもすごく楽しかったことに加え、今回は「考察もはかどったな」、と。

高塚智人さん(以下、高塚):前回は腰が痛くなるくらい笑わせていただきましたが、今回は「考察するという楽しみ方があるんだ」という発見がありました。
一見つながっていないように見えても「途中でこの一文があったからこそ最終的につながるんだ」、みたいな奇跡もありましたし、『じゃれ本』の醍醐味を感じることができました。

五十嵐裕美さん(以下、五十嵐):私ごとですが、最近「文房具ブーム」がきていて、後輩に「リレー小説やらない?」と誘ったら、つれない返事をもらった、という出来事があったんです(苦笑)
そのことをマネージャーさんに話したら「こういうのがあるよ」と教えてもらい、イベント出演までさせていただくことになりました!
私は元々ミステリー小説が好きなので、今回坂巻さんが書かれたバイオレンスな展開は大好きでした(笑)

桑原由気さん(以下、桑原):時間制限のルールのおかげで、追い詰められたなかで生まれるアイデアがとても意外で、新たな発見がたくさんありました。
自分たちでやっていても楽しかったのですが、「ほかのひとの作った物語も見てみたい!」と思いましたね。

―田丸さんにお聞きします。『じゃれ本』の本質はどのようなところにあるのでしょう?

田丸:じっくりと文章を考えることはもちろん大事なのですが、桑原さんがおっしゃったように、時間制限を設けることによりアドレナリンが分泌され、思わぬアイデアが湧き出てくることがあるんです。執筆している本人はもちろん、物語を楽しむオーディエンスにとってもその瞬間に立ち会えることは醍醐味のひとつじゃないかと思います。

五十嵐:確かに、考える時間があったら「少しでもいい文章にしたい」とあれこれ考えてしまい、逆に発想が凝り固まってしまうかもしれませんね……。

田丸:「物語の内容は絶対に崩れてしまいますよ」という前提で遊ぶからこそ、普段生まれないような発想が出てくると思うんです。

坂巻:僕は普段のお芝居と似ているな、と思いました。人に見られる、聴かれるということを意識した演技って、やっぱりわかっちゃうんですよね。
極限状態で文章を書くことにより、素の自分が出てくるんじゃないかと!

高塚:僕は小さい頃に漫画を読んでいて「自分ならこういう展開にする」みたいなことを考えていて、実際に漫画にしたりもしてたんです。
『じゃれ本』で遊んでいると、あの頃を思い出すんですよね……(笑)

―『じゃれ本』で今後やってみたいことはありますか?

五十嵐:小説の作家さんだけでやってみたら、どんな文章が生まれるのか? 見てみたいです。

桑原:お笑い芸人さんも発想力がすごいですし、いろんな業種の人たちが混ざった座組で見てみたいですね。

高塚:そのときは僕らも参加させてもらいたいな、と!

坂巻:『じゃれ本』の普及を考えると、今回のように登壇者がデモンストレーションのような形で物語を作るパートと、参加者が実際に『じゃれ本』を体感できるパートと2本立てにすれば、魅力がより伝わっていいんじゃないかと思います!

田丸:みなさんの意見を参考にさせていただきながら、より楽しいものにしていきたいと思います。
気になった方はぜひ遊んでみてください。よろしくお願いします!

<レポーター・カメラマン/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
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