2020年2月29日に公開された劇場版『SHIROBAKO』。本作の上映から「1周年(※うるう年のため)」を記念した舞台挨拶が2024年2月29日(木)、東京・新宿バルト9にて開催された。
本編上映のあとはトークショーが行なわれ、永谷敬之プロデューサーが司会のもと水島 努監督、宮森あおい役・木村珠莉、安原絵麻役・佳村はるか、坂木しずか役・千菅春香、藤堂美沙役・髙野麻美、今井みどり役・大和田仁美、宮井 楓役・佐倉綾音が登壇した。
新宿バルト9は、上映された4年前に舞台挨拶が行なわれる予定だった会場。木村さんは「今回、このような機会をいただいた新宿バルト9さんに感謝します」と笑顔でコメント。客席には4年前のチケットを持っているファンもちらほら。登壇者と同じくらい、この日を楽しみにしていたに違いない。
アフレコの思い出話では、まずは脚本家・舞茸しめじとみどりの「師弟関係」に関する話題からスタート。その密接な関係性に、大和田さんが「10年後、2人は結婚しているのでは?」とコメント。
この発言を受け、水島監督から「登場人物が結婚してしまうと(恋愛要素を過剰に入れてしまうと)、ファンから怒られてしまいそうなので、……」と苦笑いしながら事情を語っていた。
佳村さんからは、劇中であおいたちが子どもと歌った「なめろうマーチ」について「当日に急に音程が変わって焦りました」とのエピソードが。水島監督から「元歌はシューベルトの『軍隊行進曲』です。締切がキツキツで曲の発注が間に合わず、著作権フリーのクラシック曲を探していたら、ちょうど使用可能だったので」と裏話が公開された。
「キャストが多い作品なので、大人数でのアフレコが印象に残っています」という髙野さん。スタッフが総出でたくさんの種類のお弁当を用意してくれたそうだ。
また、劇場版から参加した佐倉さんに対し「推し(の人物)」を聞いたり、逆に教えたりしていたそう。
、大和田さんの“推し”であるフリーのアニメーター・遠藤亮介に対しては、キャスト陣(特に木村さん)から大ブーイングが!
遠藤はアニメ版で起こった、とある出来事がきっかけで、仕事をせずにゲームセンターに入り浸ってしまうダメ人間で、佐倉さんも「奥さんの麻佑美が、過剰なほど献身的なんですよね……」と2人の関係性に疑問を持っている様子だった(笑)
なお、佐倉さんの“推し”は「撮影監督の佐倉良樹」とのこと。
後半はキャスト陣が劇場版について、改めて振り返った。
木村さんは「あおいが勤務するムサニ(武蔵野アニメーション)で大きな事件があったのに、彼女が前向きさを失っていないことに安心しました」、
佳村さんは「絵麻は立場が上になったこともあり、おいちゃん(あおい)に仕事面でプレッシャーをかけたり、ムサニの看板アニメーター・小笠原綸子のあがりに上手く修正をのせられなかったり……。マイナス思考が治っていないところも逆に愛おしいです」、
千菅さんは「ずかちゃん(しずか)を演じているときは、まだ私も新人声優だったので『新人声優が新人声優を演じる』ことにジレンマを感じていました。アニメ版を経て、久々の『試される現場』で声優・縦尾まり役の横尾まりさんに相談もしました」、
髙野さんは「みーちゃん(美沙)は悩みながらも正しい方向に進んでいるのかと思っていましたが、『思い込みが激しい子なのかな?』と感じるシーンもあり、まだまだ未熟なんだな、と感じました」、
大和田さんは「りーちゃん(みどり)が業界に入ったのは5人のなかで最後でしたが、経験を積んで落ち着きを感じられるようになったのがよかったです」
とそれぞれコメント。
佐倉さんは「なんで私がキャスティングされたんだろう? と考えたのですが、宮井の裏表がある性格を知り『やり切ってくれる人を探しているんだろうな』という結論に至りました」とのこと。「『ストレス発散してやろう』という気持ちで臨みました(笑)」と語った。
また「彼女には長いセリフがあり、当時の私には荷が重かったのですが、みなさんのおかげで乗り切れました」とアフレコを振り返っていた。
続いては「質問コーナー」。
「カットされたシーンはありますか?」という質問に、水島監督から「遠藤は元々ゲームセンターではなく、パチンコ屋に入り浸っている設定だったんです」という裏話が飛び出し、「『SHIROBAKO』に出演したことで意識が変わったことは?」という質問に、キャスト陣からは「オープニング・エンディングのクレジットを見ると、みんな主人公に見えてくるようになった」や「アニメ作品はたくさんの人が協力して生み出されているのがわかった」といった声が。
ほかにも、ここでしか聞けないような当時のエピソードが語られ、詰めかけたファンは熱心に耳をかたむけていた。
フォトセッションには、あおいのイマジナリーフレンド(?)「ミムジー(ファッションドール)&ロロ(クマのぬいぐるみ)」からロロが登場。客席をバックに記念撮影が行なわれた。
来場者へ向けての挨拶では、キャスト陣が思い思いの言葉でファンに向けて感謝の言葉をつづった。木村さんは「みんなで舞台挨拶をすることは悲願でした。応援してくださるみなさんのおかげで実現しました。今後も『SHIROBAKO』を好きでいてください!」と、時折涙を見せながら語った。
そんななか、水島監督が「先日行なわれた、劇場版の『YouTube無料公開企画』が好評だったみたいですし『スピンオフ作品もいけるんじゃないか?』と手ごたえを感じました」とコメント。キャスト、客席からは新作を望むように大きな拍手が上がった。
最後は木村さんの音頭で、作中で5人による決めゼリフ「どんどんドーナツどーんと行こう!」で客席とのコール&レスポンスが行なわれ、「1年越し」の舞台挨拶は幕を閉じた。
<レポーター/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
☆ページ下部に写真一覧あり。
●「劇場版『SHIROBAKO』」公式サイト
http://shirobako-movie.com/
●『SHIROBAKO』シリーズ公式「X」
@shirobako_anime