By, 2023年11月25日
声優事務所「マウスプロモーション」附属の養成所では2023年夏から見学体験会を開催中! 12月は小形 満講師による見学、体験会が開講。養成所生のアフレコ授業を見学して、見学したシーンをそのまま体験できる。
今回は小形さんと養成所卒業生の井上雄貴さんにインタビュー。
井上さんは1年生のときに小形さんの授業を受講しており、その後も朗読劇で共演はあるものの、お会いするのは久しぶりとのこと。
今回はお2人に対談形式でお話をうかがった。
―お2人が入所されたのはいつですか?
小形 満さん(以下、小形):2期生ですから、いまから36年前です。27歳で入所したので、少し遅めだったかもしれません。
井上雄貴さん(以下、井上):すごいですね! 僕は30期生で、8年前に入所したので、キャリアが全然違います……。
小形:あのころはレッスンが終わったら1年生と2年生、あわせて数十人レベルでごはんを食べたり飲んでたなあ……。
井上:時代を感じますね(笑)
―昔は入所する条件として、事前にどこかの学校等で演技力を身に着けておく必要があったそうですね。
井上:最近まではありました。僕のときもそうでしたし。
小形:いまは撤廃されたんです。まあ、まっさらな状態で入ってきたほうが、余計なクセがなくていいかもしれないし。
井上:そうかもしれないですね。
―では改めて、入所の経緯を教えてください。
小形:僕は東京の大学で「シェイクスピア研究会」に入っていて、卒業後もお芝居を続けていたのですが「芝居じゃ食べていけないな」と感じまして。「アルバイトをやって、そのうち帰郷しよう」と思っていたんです。深夜も営業している飲食店で働いていたのですが、俳優・タレントをされていた常連客から「夢を諦めちゃダメだ!」とアツく言われまして……。紹介してもらった「東京アナウンスアカデミー」に入学することになったんです。
井上:そうだったんですか!
小形:そこで、いまの大手声優事務所を背負ってらっしゃるような方に演技を見ていただき、「東京アナウンスアカデミー」に入学しました。
井上:僕は高校時代に声優を目指そうと決めて卒業後に「東京アナウンス学院」に通いました。学内で受けられるオーディションに合格し、「スタジオマウス」が音響制作している作品に出演する機会があったのですが、そこでマウスプロモーションに所属している声優さんの演技に圧倒されまして。「僕もみなさんのような演技ができるようになりたい!」と、養成所の門をたたきました。
―最初の現場のことは覚えていますか?
小形:一言だけだったのですが、緊張していて気がついたら終わっていました。
井上:僕もまったく同じです。
小形:昔はテレビやラジオのドラマは毎回「生放送」だったんです。先輩から聞いた話なのですが「最初の仕事では緊張してなかなか声がでなかったけど、そのままだと放送事故になるので、うめき声を出して何とか回避した」そうです。
―では、最初にオーディションに受かったときのことは覚えていらっしゃいますか?
小形:最初のオーディションのことは記憶のかなたに行ってしまいましたが(笑)、とある作品のオーディションで、一言発しただけで「合格」と言われたときのことはよく覚えています。
井上:僕は初めて大きな役をやらせていただいた作品のときは、ちょうどアルバイトに出かけようと思っていたときに事務所から「これからオーディションがあるんだけど、来られる?」と連絡がありまして。「チャンスはモノにしないと!」と思い、バイト先に謝って受けに行った結果、役をもらえたんです。
―アルバイトと言えば、小形さんは飲食店でのバイトはいつごろまでされていたのでしょうか?
小形:僕のなかで「バイトの収入と声優の仕事の収入が同じになったら、バイトを辞めよう」と決めていて。それが数年で達成できたので、いまでもこうして声優の仕事ができている、ということですね。
井上:素晴らしいです!
小形:飲食店で働いていると、食費も浮かせることができるので、いま思うと大きかったなあ、と。僕と飲みに行ったら、こんな話をたくさんしちゃうと思います(笑)
―井上さんは養成所時代、小形さんの授業も受けられていたそうですね。
井上:はい、たくさんのことを吸収させていただきました!
小形:井上君が入所したのと、僕が講師として授業を行なうようになったのが、実はちょうど同じタイミングだったんです。
井上:同じく、講師としても活躍されている小島幸子さんにも「私はまだ講師始めたてだから……」と言われた記憶があります。
―講師になってどう感じましたか?
小形:一番感じたのは「これは大変だな」ということです。芝居をするだけなら基本的に自分のことだけを考えればいいのですが、一度に何十人も教えるとなると、相当な負担ですから……。
井上:1年生は全部で約100人いますからね。それは大変ですよね……。
小形:コロナ禍になってからは一度に教える人数は減りましたが、そのぶん何回かにわけてレッスンしなければならないですからね……。一長一短です。
―井上さんが授業で印象に残っていることは?
井上:小形さんには主に「外画の吹き替え」のレッスンをしていただいていたのですが、専門学校時代は「吹き替え」に触れることがほとんどなくて。僕自身、吹き替え映画をたくさん観ていたわけではなかったので、すごく新鮮でした。作品のVTRと台本をいただいてからレッスンに臨めたので、より実践的な経験が積めました。
吹き替えの現場に出たときも、あのときの経験がすごく生きています。
―授業に臨むうえで、小形さんが生徒に希望することはありますか?
小形:「外画の吹き替え」に関しては、事前に台本を読みこんでおいてほしいです。映像だけを見ながら演じても、どうしても「やっている感」がでてしまい「このセリフはどういう意図なのか?」というところまで考えなくなってしまうので……。
「お芝居が薄いよ」とか言われてしまうことが多くなるので、台本と映像はたくさん読んでたくさん観て、とにかく情報をインプットすることが大事だと思います。
―小形さんは同じ人物やキャラクターを長く担当されていると思いますが、どのようなことに気を付けて演じられていますか?
小形:新しいセリフをいただくたびに「もっと面白く、もっと深く」という想いで臨んでいます。「ディレクターを笑かせてやろう」とか(笑)
置きにいったら終わりだと思っていますから。
―井上さんは、ほかに印象的だった授業はありますか?
井上:講師の先生の授業はもちろん印象的なものが多かったですが、「マネージャー授業」もとても記憶に残っています。技術的な部分ではなく、実際に仕事を始めてからのノウハウを教えていただくので、また違った刺激になりました。いま思うと「マネージャーさんにもアピールしなければ」とギラギラしていましたね(笑)
小形:そうなんだ(笑)
昔はことあるごとに講師やマネージャーと生徒が食事に行ったり飲みに行ったりしてましたからね。コロナ禍もあるけれど、最近はそういうことに対して億劫な子が増えた気がします。
井上:僕が思うに「だからこそチャンスなんじゃないか」と思います。苦手な人に無理強いはしませんが、頑張るだけの価値はあるんじゃないかと思いますね。
―「マウスプロモーション附属俳優養成所」に入所してよかった、と感じたことは?
井上:養成所生のときから、よくスタジオマウスが音響制作している作品に呼んでいただくことがあったんです。いきなり「外部のスタジオでアフレコしてこい」と言われたらテンパってしまう人が多いと思うのですが、普段授業で使っているスタジオで、しかもマウスプロモーションに所属している先輩声優がいることが多かったんです。
安心できる環境で場数を踏むことができたのは大きいメリットでした。
―小形さんは最近の生徒に対し、思うところはありますか?
小形:あまり言いたくないのですが、「声優を仕事にしよう」という気持ちが全体的に薄れてきているのかな……とは思いますね。
僕らのような、言葉を扱う職業では、日本語の発音・アクセントが数多く記載された『アクセント辞典』は必携なのですが、意外と持っていない生徒が多いんです。
井上:そうなんですね……。高価なものではありますが、決して手が出ない金額ではないですし「本気で声優を目指したい!」と思っているならば、いつも手元に置いておくべきだと思います。
小形:ずっと継続して仕事を続けていくためにも、こういうところの意識は大事にしていただきたいですね。
―では、今回の体験会の内容についてお聞かせください。
小形:海外のテレビドラマの吹き替えを予定しています。細かい内容はこれから詰めていきますが、まずは演じることを楽しんでいただきたいですね。今回から所属したての先輩にも交じってもらいアフレコ体験をしてもらう予定です。
―最後に、お2人から後輩たちに伝えたいことはありますか?
井上:「ほか(の人)と違うのを怖がらないこと」です。役者たるもの、人と違うことをやってナンボだと思っていますので。僕の場合、ギラギラしている同期がたくさんいたので、すごく恵まれていたな、と思います。
あ、「人と違うことをやる」のは、「空気を読まない」こととは違いますからね(笑)? 念のため……。
小形:僕もまったく同じことを考えてた(笑)
1回やってしまえばどうということはないと思うのですが、その一歩がなかなか踏み出せないんだろうな、と……。
井上:「お芝居に正解はない」ということは、養成所ではいろんな方に言われましたから。自分の思うとおりにやってみることも大事だと思います。
小形:そうだね。演じることを怖がらず、楽しんでいきましょう!
<インタビュアー・カメラマン/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
【見学体験会概要】
・小形 満講師によるアフレコ授業見学、体験会
2023年12月17日(日)第⑰回⽬11:10~14:20 第⑱回⽬15:40~18:50
12月23日(土)第⑲回⽬11:10~14:20 第⑳回⽬15:40~18:50
対象:15歳~27歳までの方
会場:⑰⑱⑲⑳スタジオトロン(〒166-0003東京都杉並区高円寺南3-46-10 6F)
費用:無料
【申し込み期間】
⑰⑱12月10日(日)締切
⑲⑳12月16日(土)締切
※定員以上の申し込みを頂いた場合は抽選させていただきます。
【注意事項】
・新型コロナウイルスの影響を考え、中⽌となる場合もございます。
・保護者の⽅のご参加・⾒学はお控えください。
・当⽇、体調不良または発熱の症状がある⽅のご参加はご遠慮願います。
・会場にて検温・⼿指消毒のご協⼒をお願いいたします。
■お申し込み方法
下記URLのお問い合わせフォームに「養成所体験会参加希望」と記載し①~⑥の必要事項を記載のうえお申し込みください。
https://mausu.net/school/contact.html
①お名前(フルネーム)
②性別/年齢
③現在籍(会社・養成所・専⾨学校)
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応募締め切り:2023年12月15日(金)23:59まで