「まつり」を終え、東金が目指す“これから”。 『とーがね!おまつり部』鈴木真也・和田 拓 両プロデューサー インタビュー(後半)

By, 2022年12月12日



2022年10月23日(日)、千葉・東金中央公園にてイベント「東金とーがね!おまつり部まつり」が開催された。大勢の観客で賑わい、まさに『とーがね!』の世界がリアルに東金市に降り立った。イベント終了後、番組プロデューサーにして東金商店街連合協同組合の鈴木真也さんに再びインタビュー。大成功となったイベントの舞台裏トーク、そして後半には本作もう1人のプロデューサーであり、音響監督・キャスティングを務める和田 拓さんも加わり、今後の『とーがね!』の動き、そして東金市の未来の在り方について語っていただいた。

―「東金とーがね!おまつり部まつり」開催、お疲れ様でした。まずはイベント開催前・後を振り返っての感想をお聞かせください。

鈴木真也プロデューサー(以下・鈴木):いやあ、本番前日と当日はテンパリまくってしまって。今になって、やっとあの時を冷静に振り返れます(苦笑)
「東金とーがね!おまつり部まつり」開催を決めた時点で、イベントまで時間も少なく、そして予算も充分ではないこともあり、協力者やスポンサーを集めるために、ひたすら動き回る毎日でした。
その中で、「よかったら一緒にやっていきましょう」と最初に声をかけてくれたのが、以前お話に出たタクシー会社を運営する小川さんという方でした。小川さんは『とーがね!』という作品、景勝ゆりか役の岡本麻衣さん、さらになぜか僕のファンにもなってくれて(笑)

商工会議所にも顔が利き、市内でも様々な活動実績を持っている小川さんも一緒になって動いてくれたことで、「あいつら頑張って町起こしをやっているな。今ここで止めるのはもったいない、一緒にやってあげようじゃないか」と、手を差し伸べてくれる人が徐々に集まってきてくれたんですね。新しく参加する方が増え、それが呼び水になってまた新たな人が参加してくれて……と、どんどん大きな繋がりの輪が広がっていきました。この「みなさんで肩並べて一緒に進んでいきましょう!」というムードが大きな団結を生んで、無事に開催までこぎつけられたのかな、と思います。

―いざ、本番当日。私も会場内におりましたが、大賑わいでしたね。

鈴木:『とーがね!』のDVD購入者限定イベントのお手伝いなど色々と動いていたため、ずっと会場内を見ていたわけではないのですが、常に人であふれかえっていて「スゲー!」と他人事のように思っていましたね。会場となった「東金中央公園」には、最終的に計5,000人弱の人が足を運んでくれたと聞き、想像以上の数字にメチャクチャ驚きました。

イベント当日はキッチンカーが13店舗出ていたのですが、全てのお店で完売したんですよ。ある出店者の方からは「今まで出たイベントの中で、今日が一番売れたよ」という声もいただきました。今回、どれだけ集客できるか見当がつかなかったので、出店するみなさんに「これだけの人が来ます」とハッキリした数が言えなくて。それでも「2,000人は呼びたい」という予測の数をお伝えしたら、みなさん張り切って冷蔵庫パンパンに食材を用意してくださって。参加企業の方たちの本気ぶりに感動したし、ちゃんと結果も出せたのがうれしかったです。

イベント会場の外を見ても、イベントの目玉の1つだったスタンプラリーにたくさんの人が参加されていて、目的地の1つの日吉神社では絵馬がほぼ売り切れ状態。しかもイベント用に用意してもらったオリジナルの御朱印に関しては、人が殺到して即売り切れてしまい、3時間待ちという活況ぶり。終了後に会う人全員から「大成功だね」と言ってもらえたのが、何よりですね。

―コロナ禍以降の閉鎖的な空気を破る陽の空気が、町中からひたすら流れていました。

鈴木:本当にそうでしたね。東金市では未だに「(外で)楽しんじゃいけないのでは?」という空気が強いんです。特に、子どもたちはまだ学校で黙食をしたり屋内でもマスク必須の生活を送り、しかも外に出ても楽しみがないと寂しい状況を送っている。子どものころって1分1秒すべてが貴重で大切なのに、数年にわたりものすごい我慢を強いられてきましたよね。でもこうしてみんなが集まれる場が再び戻ってきたことで、みんなで楽しみ、みんなでストレス発散できて、東金の町を楽しんでくれたのなら、何よりうれしいことだなと。

―トークイベント内で栃野みのり役の工藤晴香さんが、「このイベントにたくさんの人が集まり、みんなが笑っている姿を見て感動しました。また来年、同じように“まつり”でみんなが笑い合う姿を見たい」と話していたのは、象徴的だと思いました。

鈴木:僕もその言葉を聞いて、まさしくその通りだなと思いました。今まで「東金商店街連合協同組合」主催のイベントはたくさんやってきましたが、今回のように大規模なイベントを開き、しかもあれだけの人が集まったのは初めてで。さらに『とーがね!』のテーマ、「祭りで町を元気に」を形にしたイベントがこれだけの結果を出せたのは、大きな意味がありましたね。

―TЯicKYさんが偶然訪れたところから、東金市、そして鈴木さんの見える景色がガラリと変わりましたね。

鈴木:本当に。TЯicKYさんが東金に訪れていなかったら、一体どうなっていたのか……想像するだけで怖い(苦笑)
感謝しかありませんよ。

―鈴木さん個人として、何か印象的な出来事はありましたか?

鈴木:イベント終了後、Twitterで来場者の方々の感想・反応を見ながら余韻に浸っていたんです。そうしたら参加者から「鷲宮や大洗のような可能性が、東金市にも感じられた」という旨の声をいただいたんですよ。驚きました。

―『らき☆すた』の舞台である埼玉県久喜市鷲宮、『ガールズ&パンツァー』の舞台である茨城県大洗町のようだということですね。両町とも作品と密接な関係を築き、見事「アニメによる町起こし」を実現した最高のモデルです。

鈴木:そうなんですよ、それって最高の褒め言葉ですよね。加えて、「地元の人と交流して、人の温かさを感じた」という言葉も見かけたんですよ。それもまたメチャクチャうれしかったです。
和田プロデューサーと一緒に「アニメで町に人を呼び込む」と、『とーがね!』を作ってきましたが、正直周りの人たちはピンと来ていなくて、半ば奇異な目で見られていましたからね。「アニメで人を呼ぶ?」って(苦笑)

それが、『とーがね!』という作品を通じて、公園に5,000人近い人たちが集まった。「アニメで人は呼べるんだ!」とみんな肌で感じたはずです。
イベントも成功し、そうしたうれしい言葉をいただいた以上、もっとここで得た勢いを加速していかないといけないなと、改めてこの先のことを色々と考えました。ここで終わらせたら本当のアホですよ(笑)
知名度や立地なども含め、共感・賛同を得るには難しい地域かもしれない。けれど、それらを得たときのパワーはものすごく強いと思うんです。

和田 拓プロデューサー(以下・和田):今回のイベントは、町の人たちが手を取り合って成功できたことも大きいですが、一番の収穫は東金市に一度も足を運んだことがない人たちが『とーがね!』を通じて、この町に来たことです。
失礼な話ですがこのお話をいただくまで、私自身も東金市がどんな町で、どこにあるのか全く知らなかったんです。鈴木さんが話したように、この作品は「東金市を知ってもらう」というところから始まっていますから、その知るキッカケになっただけでこの作品を作ったのは正解なんですね。僕もイベントについてTwitterで反応を色々見ていたんです。みなさん東金市について熱くつぶやいていて「これはうれしいな」と。

鈴木:しかも滋賀や岡山などの遠方の方が来られていたんですよ。本当に驚きました。だって、茨城や東京といった隣接した県からもメチャクチャ遠い街ですから(笑)
うれしい話です。

和田:とはいえ、その良い反応も“今のところ”は、の話です。放送中には、北海道や福岡という遠方から“聖地巡礼”をしてくれる方がいらして。そうしたうれしい状況下にあっても、積極的に『とーがね!』を使って東金市を広めようと動いてくれたのは、日吉神社をはじめいくつかだけだったんです。今回のイベントのラリーもコースを組んだのは運営ですし、理解してくれる母数は限られているのが現状でして……。
ありがたいことに、僕たちは「次回作をやります!」と一言も言っていないのに、「アニメ第二期はいつですか?」、「劇場版をやりましょう!」と言ってくださるファンの方が本当に多くて。「動かないアニメの劇場版はツライぞ」と思いますけど(苦笑)

鈴木:主演声優のみなさんが「続編はいつ?」とイベントでも話してくれるぐらい、うれしい状況ですよね。

和田:そう。ただ、新たに作品を作ったとて、新作のたびにイベントを開催したとて、そこから鈴木さんのように町の魅力を届けるために動く人がほかに現れないのなら意味がありません。

――作品を作り、イベントを開催し、結果的に多くの人が集まりました。ただ、その先へ発展を続けなければ、一瞬の出来事で終ってしまうと。

和田:はい。だからこそ、もっと町全体で『とーがね!』を上手く使っていただければいいのになと、思っているんです。申し訳ありませんが東金市は立地的に、特別“篤い”地域ではありませんよね。だからこそ、ふとした時に「東金市に行こうか!」と候補地に挙がるような、そんな“何か”がないとそう思ってもらえない。

鈴木:「『とーがね!』、イベント、良かったね!」で終わらせたら絶対ダメなんですよね。風化させずに、より広げていかなければ、これまでやってきたことがすべてムダになっちゃう。

和田:まさに。その“何か”を作り出すため、動かすために『とーがね!』という作品があります。作品作りに関しても、東金市との絡め方に関しても、今までよりさらに1つ先に進めていきながら、東金市の未来のためのことを考えていかないと。
例えばアニメ制作・イベントの両方に参加してくれた城西国際大学さんと絡めて、色々とやってみるのは良いと思うんです。

鈴木:そうですよね。城西国際大学さんは今年で創設30周年ということもあり、より地域との連携を図っていこうと今まで以上に様々な展開をしているそうで。その流れの一環で、大学祭に呼んでいただいて「東金商店街連合協同組合」としてお店を出し、和田さんと篠原 夢さんを招き、『とーがね!』のトークイベントを実施したんです。実は「東金商店街連合協同組合」として、これまで生徒さんたちとコラボしたりはしつつも、ここまで大学側と深く絡んだのは今回が初なんです。こうした繋がりをどんどん広げていって、その先で連携をもっと深めていくことが大切ですよね。

和田:そうですね。城西国際大学さんは、放送中も手を貸していただいた(エキストラ声優や、モブのイラストなどを提供)のですが、もっと色々使ってくれたらいいなって。

鈴木:探っていたんでしょうね、「本当にこの人たちの指にとまっていいのかな?」って(笑)

和田:この作品に乗っかっても、悪いことはないんです。城西国際大学さんのように「『とーがね!』とコラボして、東金市を盛り上げるために面白いことをやってみよう」と思う人が、この先少しでも増えてくれたら、非常にありがたいですし、増やしていけるような展開を考えていかないと。

鈴木:本当にそうですね。もっと「『とーがね!』を軸にして、みんなで東金市をもりあげていこう!」というムードになれば最高ですね。『とーがね!』は、あのイベントで1つの形として結びましたが、ここからが東金市にとって本当のスタート。もっと大きなことをやれる土壌が生まれたら、その暁にはもっと開いた未来を見せたいです。
そのために、今年もまた延期になってしまった東金の祭りを復活させるのが、次なる一歩だと僕は思うんです。アニメの最終話のように「東金に祭りが帰ってきたね!」と、よろこんでもらえたときに、初めて「『とーがね!』という作品をやって良かった」と心の底から言えると思うんですよね。

<インタビュアー/田口俊輔・撮影協力/道の駅 みのりの里 東金>

●アニメ「とーがね!おまつり部」公式ツイッター
@togane_omatsuri

☆アニメ本編はこちらで全話配信中!

●アニメ「とーがね!おまつり部」公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCK-jbtrxChcAbFPasTamq4Q/videos