【プレゼントあり】黒沢ともよが前代未聞の1人芝居に挑む! 舞台『偽伝春琴抄』黒沢ともよ、元吉庸泰 インタビュー

By, 2022年5月22日



声優、女優、歌手として活躍中の黒沢ともよが1人芝居に挑戦! 文豪・谷崎潤一郎の名作『春琴抄』を軸に、1人芝居オリジナルミュージカル作品として表現の限界に挑む。
映像チーム「オーベロン」制作のもと、旧知の仲である元吉庸泰が脚本・演出を担当。また映画やアニメ、舞台、ミュージカルなどさまざまな作品を手がける桑原まこが楽曲を制作。さらに舞台劇中映像をはじめ、多くの映像を手がけるKENNY、舞踊振付家の塩野拓矢(梅棒)ら気鋭のメンバーが参加した意欲作だ。
今回は黒沢さんと元吉さんに本作の魅力をたっぷりと語っていただいた。

―お2人はどのような形で知り合ったのでしょうか?

元吉庸泰さん(以下、元吉):師匠である劇作家・演出家の鴻上尚史氏のワークショップに参加したのですが、そこに黒沢さんがいました。40代、50代の方もいるなか、当時14歳の黒沢さんはひときわ目立っていまして。しかもすごい演技をされるんですよね。ビックリしてしまいました。

黒沢ともよさん(以下、黒沢):いえいえそんな……(笑)
その後は、たまに劇場でお会いするくらいでしたね。

元吉:数年後、新宿の「紀伊國屋サザンシアター」で『アイワズライト』という舞台をやることになりまして。特殊な人物背景のヒロインが登場するのですが、その際「そうだ、黒沢さんにお願いしよう」と思い立ったんです。

黒沢:お声がけいただき、うれしかったです!

―黒沢さんは当時、どのような活動をされていました?

黒沢:学生でしたので声優の仕事をメインに活動していました。元吉さんに「舞台は7年ぶりなんです」とあいさつしたのを覚えていますので……。かなりブランクがありましたね。作品のライブで大きなステージに立つことはあれど、舞台には立てていませんでした。

元吉:『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』という、視覚以外のさまざまな感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントがあるのですが、その時黒沢さんにお願いした役もちょうど「目が見えない女の子」で参考になるかと思い、一緒に観に行ったのを覚えています。また、偶然かもしれませんが『偽伝春琴抄』に近い配役でしたね。

―ブランクがある状態で、黒沢さんはどのような返事を?

黒沢:「やるやる!」と即答しました(笑)
最初にもらった資料には「こんな立ち回りをする子ですよ」という、ざっくりとした情報しかなかったので「取りあえずやってみます!」とご返事しました。

―その後は順調に進んだのでしょうか?

黒沢:なかなかむずかしかったですね。いまでこそ、若手の声優が舞台や朗読劇に出演する機会は増えましたが、当時は声優の仕事と両立させるのが大変で……。加えて現役の大学生だったということもあり、稽古時間の確保が難題でした。

元吉:でも、当時の事務所のマネージャーさんが協力的で、稽古の時間を確保してくださったんですよね。とても感謝しています。周囲のご協力のおかげで、舞台も大成功でした。あれだけ拍手が鳴りやまなかった公演は後にも先にも覚えがないくらいでしたね。

黒沢:私としては、コテンパンに打ちのめされた気持ちになりました(笑)

元吉:いやいや、普通の役者さんにはなかなかできない、素晴らしい演技をしてくれていたよ?

黒沢:恥ずかしいです……(笑)

―今回の『偽伝春琴抄』の企画はどのように立ち上がったのでしょう?

黒沢:『アイワズライト』の次に元吉さんとご一緒した『世界の終わりに君を乞う。』というミュージカル作品がすごく好きで「いつか再演しましょう!」という話をしていたんです。

元吉:今回音楽を担当いただいた桑原まこさんも一緒の作品だったのですが、コロナ禍ということもあり、なかなか実現できず……。
ちょうどそのころオーベロンさんが映像を使った舞台の企画を進められていて。通常の舞台は「台本」と「演出家」の2本が主軸になっているのですが、出演者は少人数で「映像」を主軸に置いた作品を作りたい、という話を持ちかけていただきました。
「ミュージカル形式にすれば、音楽と映像をリンクしやすいのではないか」というアイデアがあったものの、台本に関してはどうしても「これだ」というものが浮かばなかったんです。そこで「いっそ1人芝居にしませんか?」と提案しました。
収入面での問題や出演者の負担やストレスなど、課題はあるものの、どうしてもやりたかったんです。その後オーベロンさんに承諾いただき、すぐに黒沢さんに「1人芝居が決まったんだけど、出てくれない?」と連絡しました。

黒沢:仕事の合間に「10分でいいから時間もらえる!?」という電話がかかってきて。「絶対いいものを作るから!」と言われたので「じゃあ、やる~」と答えました(笑)

―お2人の関係性がよくわかるエピソードですね(笑)
「1人芝居」に関して、抵抗はありませんでした?

黒沢:なかったですね。「元吉さんと(桑原)まこさんなら素敵に決まってる」という安心感がありました。それと、本公演までまだ半年あるし「それまでには完成できるだろうな」という自信も正直あったんです。
あのときの私は「半年後の私」をちょっと過信しすぎていましたね……(笑)

元吉:(笑)

―SNS等では稽古場の様子が動画アップされています。

黒沢:悪戦苦闘しているさまが、よくわかっていただけるのではないかと(苦笑)

元吉:自分で言うのもなんですが、口語から文語になったり「意地が悪い台本だな」と思いますし、まこさんもとんでもない楽曲をたくさん作ってきてしまったので……。

黒沢:8分の5拍子と8分の6拍子がまざっている曲もあるんです。加えて、踊りの振り付けもすごくて!

元吉:1回の稽古は大体4時間くらいなのですが、休憩時間に入るとその場に突っ伏してるよね。

黒沢:なかなかです……。

元吉:ちなみに、映像担当のKENNYさんですが、普通は映像作家って稽古場にはなかなか来ないんですが、今回は毎回参加し、稽古の脇で映像編集をされています。

黒沢:「ダメ出しから沸くインスピレーションが多い」とのことでして。稽古を観ていると、画が修正される過程がリアルタイムでわかるんですよね。これまでは「『なんでそうなったのか?』という理由を知ることができなかったので「すごくいい環境だ」とおっしゃってました。

元吉:また、楽曲に関してですが、まこさんに脚本を先にお送りして、いざ打ち合わせをしようと思った矢先に「1曲目、できました!」と連絡がきてビックリしました(笑)

黒沢:下手すると私よりもクリエイションチームの方が、作品の世界観と近いところで生きていらっしゃるような気もします。

元吉:確かに(笑)
振り付け担当の梅棒の塩野拓矢さんも、後半部分の通し稽古を観ているだけなのに「刺さった……」と、なぜか黒沢さん以上に疲れていたのが印象的でした(笑)

黒沢:普段はとても穏やかな方なのですが、芸事への情熱は本当にすごくて。そんなアツい面々と一緒に作り上げていけるこの現場はとても幸せです。

―話は変わりますが、『春琴抄』を題材にした理由は?

元吉:『春琴抄』の「谷崎の自己実現のための作品」という部分に惹かれました。簡単に説明しますと、彼は当時結婚していたんですけど、自分の好きな女性に捧げる自己実現の物語……という作品背景があるんです。黒沢さんからいろいろと相談を受けているうち、彼女からすごい上昇志向を感じましたし、欲望の強さに尊敬の念を抱きまして。谷崎と黒沢さんに共通する部分を見つけたのが大きな理由です。

黒沢:新しい現場で悩んでいること、たくさん相談したなあ……(笑)

元吉:そのほかにも、昔自分が役者として谷崎作品に出演した、というのもありますね。さまざまな理由がかさなり、『春琴抄』を選びました。

―黒沢さんは脚本を読んでどう感じました?

黒沢:『春琴抄』をテーマにすると聞いて、まず作品を読んだのですが、私にとっては馴染みのない文体で「資料館のような場所に行かないとお目にかかれないような書物だな」という印象を受けました。内容的にも「触れてはいけないもの」という印象で、すごくとっつきにくかったんです。その後、元吉さんからの脚本を読んだら、すごくポップでキュートだったのでビックリしました(笑)
元吉さんって、他作品でご一緒させていただいた時も『ドラゴンクエスト』に出てくる「はぐれメタル」というモンスターをいきなり登場させたりと、面白い表現の仕方を多用されるんですよね。今回も同じような手法できたかと思っていたら、段々と谷崎に飲み込まれていくんです。
私の場合、『春琴抄』は何度か読まないと理解できなかったのですが、脚本を読んでいると、物語の本質が何となくわかってくる気がして。そこはすごいと思いました。

元吉:ほめてもらえてうれしいです! 『春琴抄』を読んだことがない人にも問題なくご覧いただけますし、読んだ方にはさらに楽しんでいただけるのではないかと思います。
コロナ禍で「何かやりたいけど、いまはちょっと動きづらい」とか「自分が動いても、世の中結局何もかわらないじゃん」という風潮があると思うのですが「シンプルに考えてみたら、意外とうまくいくんじゃないか?」と気付かせてくれるような作品になっていると思います。

―プロジェクションマッピングも見どころの1つらしいですね。

元吉:滅多に観られない「超短焦点」レンズを使用したプロジェクターをはじめ、複数のプロジェクターを駆使して、素晴らしい映像をご覧に入れる予定です。

黒沢:「観客体験型」というわけではないのですが、観るほうも「作品の一部」になっているような感覚になれるのではないかと思います。

元吉:うまい例えだね!

黒沢:上映中、お客さんがどのような表情を浮かべるのか? すごく興味があります。

元吉:生演奏にあわせた演技や歌唱にもご注目いただきたいですね。

―会場となる「DDD青山クロスシアター」はどのような場所なのでしょう?

元吉:お客さんとの距離が近く、とても観やすいです。

黒沢:ピンとくるかわかりませんが、(アメリカの)ブロードウェイの端にあるシアターや、ウエストエンドにあるレンガ作りのシアターに雰囲気が似ていますね。

元吉:入口の地下への階段の段数がすごくて。降りて行くこと自体が「遊園地のアトラクション」みたいなものなんですよね。ワクワク感を得られるといいますか。

黒沢:壁も真っ黒ですし、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』のステージに近いかもしれないですね。

元吉:会場選びで一番にこだわったところは「上品であること」です。「DDD青山クロスシアター」は、公演したい時期に偶然空いていて。まこさんのスケジュールもピッタリ重なって、怖いくらいにうまくいきました。

―本公演のパンフレットは「事後制作」らしいですね。

元吉:今回の公演で僕が一番気になるのが「本番当日、黒沢さんがどういう気持ちで演じていたのか? スタッフがどう動いていたのか?」といったことなんです。観にきてくださった方にも、それをどうしても伝えたいと思い、このような形をとらせていただきました。

―ほかにも、本番中の音源をほぼそのままパッケージしたCDもご用意されるとか。

元吉:そうなんです。「みなさんに何度も楽しんでいただきたい」という想いはもちろんありますが、「映像作品としてしっかりとしたものを残したい」という意図もあるんです。KENNYさんいわく「公演中だけでなく稽古場の様子もシンクロさせた映像を(舞台演劇の本場である)ヨーロッパに持っていきたい」そうでして。
『偽伝春琴抄』という作品がどのようにシェアされていくのかわかりませんが、面白い試みだと思いますね。

黒沢:こういう状況ですので難しいかもしれませんが、フランスで7月に開催される『Japan Expo』に出展したりして、作品がワールドワイドに展開していったら面白いかも?

元吉:それは素晴らしい! 黒沢さん、行ってきなよ。自分はリモートで参加するので。

黒沢:なんでですか、元吉さんも来てくださいよ(笑)!

元吉:(笑)
ともあれ、1人芝居ということで地方を周るのも難しくないと思いますし、いまのご時世にも適した座組ではないかと思いますね。

―最後に、メッセージをお願いします。

元吉:稽古場に足を運ぶたび、「作品をどう表現していくのか?」、「お客さんにどう向き合っていくのか?」ということを考えるうえで、大きなヒントをもらっています。
「演劇」とも「観客体験型」とも違う、不思議な公演になっていると思います。60分という時間で何かしらのものを持って帰っていただけると思いますので、よろしくお願いします!

黒沢:スタッフさんから「演技も歌も振り付けもあって大変だよね」と言われるのですが、私はむしろ楽しいんです。「ちょっとおかしいのかな?」と思うこともあるのですが(笑)「1人芝居だけど1人じゃない」気持ちで稽古に励んでいます。
60分でさまざまな体験ができると思いますので、1人でも多くの方にご来場いただきたいです。会社勤めの方には来やすい時間帯ですし、学割もありますので、若い方にもぜひ来てほしいです!

<インタビュアー・カメラマン/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>

【公演概要】

舞台『偽伝春琴抄』
2022年5月23日(月)~29日(日)
【東京】DDD青山クロスシアター

【CAST】
黒沢ともよ

【STAFF】
脚本・演出:元吉庸泰
音楽:桑原まこ
映像:KENNY
振付:塩野拓矢(梅棒)
美術:小野まりの
照明:大波多秀起
音響:中島正人
衣裳:小泉美都
ヘアメイク:古橋香奈子
舞台監督:(株)バジェット
プロデューサー:横山 翼

合同会社MIMOZA
株式会社オーベロン

<チケット>
特典付きチケット:10,000円
※特典は非売品公演サウンドトラックとなります。

一般チケット:7,000円
U-22チケット:3,500円

【一般発売】
5月22日(日)23:00まで

※枚数限定
※当日受付窓口にて年齢のわかる身分証のご提示をお願い致します。

◆当日券
当日券は開演の30分前よりロビーにて販売しております。

☆公演詳細は公式サイトをチェック!
●公式サイト
https://gidenshunkinsho.com/

※新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応上、政府や自治体からの特別な要請などの状況により、急遽、公演情報などに変更が生じる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※公演中止の場合を除き、払い戻し、他公演へのお振替はいたしかねます。ご了承のうえ、お申込みください。
※ご来場の際はマスクの着用をお願いいたします。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※感染予防のため、出演者の入待ち・出待ちはお断り申し上げます。また、出演者に対してのお祝花や差し入れなどのプレゼントのお預かりはお断り申し上げます。

(C)O-beron inc.

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応募締め切り:2022年6月10日(金)23:59まで