劇団フルタ丸の2年ぶりの本公演は「広告」がテーマ 舞台『ねむる広告塔』キャストインタビュー

By, 2021年11月15日



フルタジュンが主宰の演劇集団「劇団フルタ丸」。これまで彼ならではの視点で数多くのユニークな作品を生み出し、観客をあっと言わせてきた。
劇団フルタ丸はこのたび、2021年11月19日(金)~21日(日)に東京・世田谷APOCシアターにて『ねむる広告塔』を上演する。
劇団本公演は2019年に上演された『朝のドラマ』以来ということで、期待が高まる本作。稽古場にお邪魔し、意気込みを聞いてきた。

―まずは、本作のコンセプトについてお聞かせください。

フルタジュンさん(以下、フルタ):まずは、今回公演が行なわれる「APOCシアター」についてご説明しなければなりません。行かれたことがある方はわかるかもしれませんが、建物自体が「ショートケーキ」のような形になっているんです。「この特殊な構造を使って面白い公演をしたい」と思い立ったのが企画の始まりでした。
僕は20代の頃、広告が絡む仕事をしていたことがあり、広告にはずっと興味があったんです。街中にある看板はもちろん、僕らがSNSで発信している情報も、すでに「広告」ですよね? 「表現者として無視できないジャンルになっている」というのを感じているのも、舞台化しようと思った大きな理由です。
一方で、世の中には個人情報を気にする風潮もあるんですよね。「広めたいもの」と「隠したいもの」という相反する関係が面白いと感じたのも大きかったです。

―稽古を重ねてきての感想をお願いします。

清水洋介さん(以下、清水):構想はフルタから聞かされていたのですが、僕は「広告」というものに無頓着だったこともあり、演じる人物のイメージがわいていなかったんです。
そして、いざ台本を読んでみたら「フルタは相変わらず『着眼点の鬼』だな」と思いました。
広告を出す側としてみたら「プライドをかけて社名を掲示する」ということなんだろうな、と思えるようになりまして。街を歩きながら広告を気にするようになりましたし、実際にどんな企業なのかを調べたりするようになりました。

真帆さん(以下、真帆):小出しに台本をもらうことは、これまであまりなかったのですが、今回は少しずつ台本をもらいながらの役作りが新鮮で、役を考える楽しみがありました。個人的に、いつも「フルタ丸は出演者にチャレンジさせているな」と思っているのですが、今回もご多分に漏れずチャレンジさせていただいております(笑)

山田伊久磨さん(以下、山田):フルタさんとは長いこと一緒にやっているのですが、フルタさんの作られる台本って、いつも「フルタ語」で書かれているんですよね。何を言っているのかわからないかもしれませんが(笑)
そのフルタ語を理解したうえで、お客さんに作品の魅力を伝えなければならないので、すごく大変です。いま現在も役と戦っています……。

二ノ宮ゆいさん(以下、二ノ宮):2年前『朝のドラマ』に出演させていただき、このたびフルタ丸さんに戻ってきました。
最初はブランクがあるのが不安だったのですが、いい意味で変わらない雰囲気のなかで稽古ができています。共演者のみなさんが頼もしいので、すごく恵まれた環境でやらせていただいています!

松尾英太郎さん(以下、松尾):最近は公演がなかなかできなかったので、こうして役と向き合って稽古ができるのはすごくうれしいですね。

篠原友紀さん(以下、篠原):役の設定を聞いたとき、どう演じようかすごく迷ったんです。でも、台本をいただいたら「ストーリーに乗っかっていけばいいんだ」というのがわかりました。

 

―公演タイトルにちなんで、みなさんが最近気になっている広告はありますか?

清水:インプラントの広告です。車で東京西部を走っていると、大きな医院長の顔が目の前に出てくるんですよね。見るたびに「歯は大切にしないと!」と気を引き締めています(笑)

真帆:電車に乗ったら、ネットドラマ広告がビッシリと貼られていたことがありまして。ドラマのシーンごとの解説がされたりしていて「観たい!」と思ってしまいました。広告の力ってすごいな、と感じましたね。

山田:駅に貼ってある大きなポスターです。人気のアイドルや歌手の写真がでかでかと掲載されていると、すごく惹かれるんですよね。
いまはセキュリティーも発達しているので聞かなくなりましたが、昔はよくポスターがはがされる……という事件がありました。もちろんやってはいけないことなのですが、そういうニュースを見て「この人、それほど人気なんだな」と改めて思うこともありました。

二ノ宮:駅前の大きな広告です。とくに、その駅が舞台になっているアニメやゲームなどの広告が出ていたら注目してしまいますね。もちろん自分が関わっている作品の広告を見たら、テンションが上がります!

松尾:『鼻うがい製品』の広告です。タレントさんが洗浄液を鼻からたらしているので、すごくインパクトがあるんですよね。みなさんも一度見たら忘れないと思います(笑)

篠原:厳密には広告ではないかもしれませんが、新幹線の車窓から見える企業名です。建物に「○○工業 ○○工場」みたいな感じで書かれているのを見ると、どんな商品を作っているのか気になります。

フルタ:施設の名称に、スポンサー企業の社名や商品ブランド名をつける「ネーミングライツ」です。大きなスタジアムやライブハウスなどが有名だと思いますが、最近は劇場にもネーミングライツの波が来ているんですよね。ちなみに、近ごろは僕自身が“広告塔”になるべく、フルタの「F」が書かれた帽子やトートバッグなどを集めています(笑)

  

―最後に、メッセージをお願いします。

清水:「フルタのコメディ、ここにあり!」を体現していきたいと思います。

真帆:劇場でお芝居ができることが本当に楽しみです。みなさんも、思う存分楽しんでいただきたいです!

山田:今回は3日間の公演ということで、この短い時間にすべてを込めます。

二ノ宮:「楽しく演じたい」という一心で稽古していきますので、ぜひ観に来てください!

松尾:新生フルタ丸の本公演、お楽しみに。

篠原:みなさんに「来てよかった」と思っていただけるよう、頑張ります!

フルタ:お客さんには「劇場で演劇を観る」という楽しみを取り戻すきっかけにしていただきたいですし、僕らも演劇をやる楽しみを取り戻しにいきたいと思います。登場人物たちそれぞれにドラマがありますので、最初から最後まで余すところなく楽しんでいただきたいです!
それと配信でも作品をご覧頂けるので、劇場観劇と合わせてお楽しみください。

<インタビュアー・カメラマン/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>

【公演概要】
『ねむる広告塔』
<日時>
2021年11月19日(金)~21日(日)

11月19日(金) 16:00/19:30
11月20日(土) 13:00/17:00
11月21日(日) 13:00/17:00

※受付開始は開演の35分前・開場は30分前
※開場時間より、整理番号順に会場内へご案内いたします。

【東京】APOCシアター(東京都世田谷区桜丘5-47-4)
小田急線 千歳船橋駅 徒歩3分

<チケット>
日時指定・税込/全席自由・整理番号付き/未就学児の入場不可

前売:3,800円
当日:4,000円
学割:2,000円(前売当日共通・要証明)

<劇場観劇チケット取扱い>
カンフェティ http://confetti-web.com/furutamaru

<配信チケット取扱い>
カンフェティ https://www.confetti-web.com/furutamaru_streaming

<お問い合わせ>
WEB http://furutamaru.com
電話 080-4898-2002(フルタ丸)
メール info@furutamaru.com

【STAFF】
舞台監督:森 貴裕(M.T.Lab)
照明:宮崎晶代
音響:水野 裕(空間企画)
音楽:平野智子
舞台美術:泉 真
制作協力:大森晴香
アートディレクター:福田泰隆
宣伝美術・Web:SOY
写真:木村健太郎
協力(順不同・敬称略):ホリプロインターナショナル/アレ/劇団スパイスガーデン/LEVELS/レディオ湘南
主催・企画・製作:劇団フルタ丸/合同会社エンピツ
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

●公演詳細
https://furutamaru.com/portfolio/%e3%81%ad%e3%82%80%e3%82%8b%e5%ba%83%e5%91%8a%e5%a1%94-2/
●公式ツイッター
@furutamaru2002