「面白きことはよきことなり」。
作家・森見登美彦さんの原作をアニメ化し、4月からテレビ放送されている「有頂天家族2」。主人公・矢三郎ら四兄弟をふくむ下鴨家の面々を初めとして、天狗である如意ケ岳薬師坊・赤玉先生と神通力を得た人間・弁天などが登場、狸と天狗と人間の思惑が渦巻くモフモフ毛玉絵巻の第2弾となります。
今作では、かつて決別した赤玉先生の二代目が帰朝し、一層の不穏な空気が漂います。
7月28日(金)にリリースされるBlu-ray BOX 上巻には、特製ブックレットやキャスト出演のイベントチケット先着購入券の他に、ドラマCD「聖なる試供品」が付属。このドラマCDの収録後に、下鴨矢三郎役の櫻井孝宏さん、下鴨矢四郎役の中原麻衣さん、海星役の佐倉綾音さん、金閣役の西地修哉さん、銀閣役の畠山航輔さんにインタビュー! 本編やドラマCDの注目ポイント、さらには京都についても語っていただきました。『れポたま!』では、櫻井さんに、今アツい「将棋」についての質問も!
(下鴨 矢一郎役・諏訪部順一さん、南禅寺 玉瀾役・日笠陽子さんのコメントも近日公開予定です!)
櫻井:音声のみの長編のお話って「有頂天家族」では経験してなかったので、すごく新鮮で楽しかったですね。偽電気ブラン工場とか、自分の中に落とし込めている作中の場所を、頭の中で思い浮かべながら収録に臨みました。
中原:私は…ちょっとむずかしかったんです。アニメのあの独特の雰囲気と間を、音声だけでどういう風にお届けできるのかなっていうのが。でも、みなさんとお芝居を合わせたら、うん、うんってすんなりと……いや、それは嘘だな(笑)。
櫻井:わかるわかる(笑)。アニメのようにセリフの指示がなくて、僕らがテンポを作っていくから、間の取り方がむずかしい。
佐倉:海星は、アニメでも見えない姿に声を当てることが多かったから、そういう意味ではそこまで違和感を感じることがなかったかな。中原さんが仰る“間”については、ものすごく頷けるところがあって。森見作品の登場人物って、矢三郎の性格というのもありますけど、生のリアクションというより古典芸能っぽいというか、まるですべてのことに対して大方の予測がついているような台詞回しや間の取り方があるので、音声だけになったときに、それがすごく如実に現れるなと思いました。
西地:僕ら夷川家は、下鴨家にずっとちょっかいを出してるんですけど、ドラマCDでは矢三郎と金閣と銀閣が一緒にある失敗をして、3人でトボトボ歩くシーンがあって。僕たちけっこう付き合い長いんだな…って実感できたのが嬉しかったです。
畠山:金閣と銀閣の掛け合いで、だいたい金閣はこういう感じかなって想像していくんですけど、いざ現場に入ると西地さんのお芝居がすごく面白くて。ドラマCDでも、お兄ちゃんについていく感じが出ていて、兄弟だな!って実感しました。
西地:いい弟を持ちました、本当に(笑)。
全員:(笑)。
――Blu-ray BOX上巻のリリースを楽しみにしています! 本編で思い入れのあるシーンは?
櫻井:二代目と弁天の話がメインだから、どうしてもあの2人を見ちゃうんですけど…ちょっと怖いんですよ、2人とも何考えているのかわからないので(笑)。録り終えた今でもわからない。素敵なお話なんですけど、どこか怖くて、なんとなく緊張感が漂ってるんです。殺伐としながらも、どこかで繋がっている感じもあって。なんでしょうね、愛憎? まさしく矢三郎の気分でした。怖い怖い(笑)。
全員:(笑)。
中原:そんな2人とは対照的に、玉瀾と矢一郎兄さんがラブラブしている感じはあったかくて救いだなって。矢一郎兄さん、ちょっとむずかしいところあるから(笑)。いいな、幸せになってほしいなって。
佐倉:海星としては、第八話のラストが演じていても苦しかったなって。素直になれない矢三郎と海星がもどかしいというか、なんでこういう言い方しかできないんだろうなって。あのやりとりで、海星はどんどん涙声になっていく…っていう指示が台本のト書きにはあって、ずっと強気だった海星の弱いところが見えて、意外だったんですよね。二代目と弁天と対照的な、ちょっと青い恋の形みたいなのがあって、ベクトルは違うけどどちらも脆いなって思いながら見てました。
櫻井:いろんな形の恋愛があるよね。でも、“許嫁”ってどういう感じなんだろう。経験したことないな(笑)。本来はそんなに気にならないんじゃないですか? 恋情があるかどうかでも違うと思いますけど。
西地:僕は原作を読んだときから、天満屋と矢三郎の対決するシーンが忘れられませんね。森見先生の頭の中ってどうなってるんだろう、これを絵にするってどうするんだろうって。
畠山:将棋大会で狸たちが駒になるのも、かわいかったです。がんばって変身してますって感じがして。矢三郎はかわいいなと思ったんですけど、金閣銀閣の駒がいい意味ですごく気持ち悪くて。
全員:(笑)。
西地:矢三郎の駒の頭のところがなんで禿げてるんだろうと思ったら、将棋のとんがってる部分もちゃんと化けていたみたいで。あ、細かいなと(笑)。
――1期から約3年半。久しぶりに集まった2期のアフレコで、毎週楽しみにしていたことは?
櫻井:アフレコ現場の雰囲気がとても素敵なんです。個人的には、共演させていただいている先輩方とか、2期からの新しいキャストさんが「この作品、面白いね」って言ってくださるのが嬉しかったです。それと、日曜日の収録が多くて、毎回美味しいものがあるので、ちょっと餌付けされてました(笑)。
中原:3年半もあいたのに、当時の雰囲気のままでしたね。「あ〜、有頂天家族だ〜!」て、すごく嬉しかった。
佐倉:最初に「収録が決まった」って聞いたときは信じられなくて、「OVAですか?」って聞き返しちゃって(笑)。でも、喜びがじわじわと湧いてきて、すごくドキドキしながらスタジオの扉を開けたら、いつもの先輩方がスタジオを賑やかに彩ってくださっていて。私、1期はたしか大学に入ったばかりで…。
櫻井:え? あ、あやねる………。
佐倉:え!? それ、どういう感情ですか(笑)!? だから、若き日の自分と向き合わないといけないっていうプレッシャーが…。だから1期は見返しましたね。やっぱり面白いなってワクワクしました。
西地:僕は「有頂天家族」が初めてのアニメ出演だったんですよ。それがきっかけで他の現場にも出させていただいて。そのときに櫻井さんにお会いしたときは、めちゃくちゃ嬉しくて!
櫻井:会いましたね!
西地:もう走っていきましたから(笑)。だから、2期をやるって聞いたときは嬉しくて。ただ、第一話は僕が別日だったので、畠山くんがいなかったんですよ。声を発さなくてもいいからいてほしいって…。
櫻井:お守りみたいな!?
畠山:僕も西地さんとお会いできるのが楽しみで。第一話で別撮りした西地さんの声を聞いて「あ、金閣、これだよこれ!」って思ったら、銀閣のキャラクターも蘇ってきて。回を重ねながら金閣銀閣のコンビネーションを作っていくのが好きでした。
――西地さんと畠山さんは一緒にスタジオに入られることがあるそうですが、待ち合わせをしているんですか?
西地:僕、自販機の陰で畠山くんが来るのを待ってます…いえ、たまたまです(笑)。
畠山:けっこうありましたね。あ、西地さん、おはようございます、みたいな(笑)。
櫻井:そういうところまでシンクロするってすごい。
――海星は、2期の後半で姿を見せるシーンも増えていきます。姿が見えるときと見えないときの演技の違いは?
佐倉:やっぱり姿が見えないときは、第一声で矢三郎に気づいてもらえるように意識してます。気づいてくれた後は矢三郎がちゃんとお話してくれるので、自然と会話していますね。
櫻井:第一声、ビリビリ感じる(笑)。“あ、海星だ!”と、スッと耳に入ってくる。矢三郎が実に絶妙な距離感でやり取りするんです。まるで、その曖昧さを楽しんでいるような。でも、自分でもよくわかってないようにも見えます。矢印は海声のほうに向いているんですけどね。
佐倉:矢印…。矢三郎の場合は、何人かに向いてる(笑)。
櫻井:そんなことないよ。弁天さんは…ちょっと違うし(笑)。
佐倉:ゆがんだ矢印!?
――作品の舞台になった寺社仏閣を回る「京巡りスタンプラリー」が実施中です。みなさんは、京都に思い出はありますか?
櫻井:初めて行ったのは小学校の修学旅行です。「有頂天家族」の1期で行ったときは南座の舞台に上がらせていただいて。今年の頭に下鴨神社でヒット祈願をさせていただいたのも、素敵な京都の思い出です。
中原:私も南座に行ったことは、本当に素晴らしい経験でした。個人的にも京都によく行きます。パンが大好きで、京都って美味しいパン屋さんが山ほどあるんです。レンタカーを借りてパン屋さんを巡って。
佐倉:うんうん。いっぱいある!
中原:ね、おいしいの〜! どうしても我慢できなくなって、京都に行っちゃうんですけど。
櫻井:「ちょっとパンを買いに…」って、京都まで!?
中原:今いちばん行きたいのは清水寺。真っ暗闇を体験できる場所があるみたいで。
櫻井:あ~胎内めぐりかな? 僕も1回だけ行ったことある。もう何も見えない! 一本道なんだけど、ずっと壁を手探りしながら歩いて。一般的にはあんまり知られてないかも。
佐倉:私は、2〜3年前に別作品で「京まふ」に行ったとき、ほんの少しだけ町並みを見て、ふだんは本当に旅行とか下界に興味がないんだけど(笑)、京都だけはもう一度来る!って思い描いていて。ようやくお休みが取れたので、2期の収録が始まってから行ってきました。事前に森見先生に連絡して、オススメの場所を教えていただいて。非常に楽しい旅行の記憶になりました。
西地:僕は去年行きましたけど、鴨川沿いの川床でお酒を飲むのもいいですよ。
櫻井:いいっすね~~!!
西地:気持ち良くて、みんなちょっと飲みすぎちゃって。そのまま、おっさん4人で目の大きくなるプリプラを撮りました。京都の魔力にやられましたね(笑)。
櫻井:それ、酔っ払ってただけですよ(笑)。僕も南座のときに、あのあたりのバーに行きましたけど…ベロベロでした(笑)。
畠山:僕が京都に行ったのは小学生のときだったから、歴史とかまだわからなくて…。人力車とか八つ橋とか、楽しかった記憶がありますね。今なら、もうちょっと勉強してから行きたいです!
【※「れポたま!」質問】
●本編で将棋大会がありましたが、ご本人は将棋をやりますか。
櫻井:まったくやりませんね……幼馴染が将棋好きだったんですが、自分は回り将棋くらいです(笑)うまい子たちが打ってるのを見てました。
運動が盛んな学校で、普通に裸足で走り回ってましたね。学校以外でも裸足で、森や田んぼがいっぱいあったんで、そういうところで遊んでました。
よく話すネタなんですが、裸足で遊んでた時に親の知り合いに声をかけられて、「靴どうしたの?買ってもらえないの?」って聞いてくるんです。面倒くさいんで「うん」って適当に言返してたら、後日母親にめっちゃ怒られました(笑)。
●ケータイ電話の充電が得意な矢四郎ですが、こんな特技ほしいですか。
中原:スマホ忘れてきました今日(笑)
知らないことが多いとすぐに調べる検索派なんで、すごい使うほうですね。ただゲームとかしないんで充電持つんですよ。なので特技は必要ないんです。あ、必要な人のために持っているのはいいですね(笑)
●矢三郎は好みですか。他に好きなキャラはいますか?
佐倉:森見作品に出てくるようなキャラは得意ではないですね……(笑)まともそうに見えても何かギミックが隠されてるような(笑)
あ、矢一郎さんはかわいげがありますね。矢四郎くんも。
中原:あのままうまいこと育てばね、いいんだけど。
佐倉:そうですね。確かに……でも森見さんはきっとこのまま育てない気が(笑)。
西地:金閣のきの字も出てこないんですが。
全員:(笑)
10月15日(日)には、「大有頂天祭’17」が開催。櫻井孝宏さん、諏訪部順一さん、吉野裕行さん、中原麻衣さん、能登麻美子さん、間島淳司さんが出演し、原作者・森見登美彦さんに縁のある、しかし本編とは一味違う世界観でお送りするオリジナルストーリーによる朗読劇も行います。さらに、OP主題歌アーティストのmilktubさん、ED主題歌アーティストのfhánaさんによる生演奏も行なわれる予定です。
【BD‐BOX概要】
■Blu-ray BOX 上巻
2017年7月28日(金)
価格:税別1万8000円(本編2ディスク+ドラマCDのデジパック豪華仕様・第一話〜第六話収録)
【特典】
キャラクター原案・久米田康治先生描き下ろし上下巻収納BOX
・イベントチケット先着購入券(10月15日開催の大有頂天祭‘17)封入
・ドラマCD「聖なる試供品」
・第2期特製ブックレット(カラー48ページ)
映像特典:1/12京都下鴨神社イベント映像・作品PV
【イベント概要】
■「大有頂天祭’17」
日時 :10月15日(日)
【京都】片柳アリーナ
<出演>
櫻井孝宏(矢三郎役)・諏訪部順一(矢一郎役)・吉野裕行(矢二郎役)・中原麻衣(矢四郎役)・能登麻美子(弁天役)・間島淳司(二代目役) 他
●テレビアニメ「有頂天家族2」公式サイト
http://uchoten2-anime.com