制作裏話も披露! 「『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標 サウンドトラック』発売記念 ジェイムス下地 トークショー&サイン会」

By, 2014年12月27日



BD・DVDが好評発売中の『ルパン』シリーズ最新作『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標』。本作で使用された楽曲を余すところなく収録した『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標 サウンドトラック』が2014年12月10日に発売! これを記念し、本作を手がけた作曲家のジェイムス下地氏のトークイベントが12月15日(月)、東京・タワーレコード新宿にて行われた。平日夜にも関わらず、多くのファンが詰め掛けた
こちらのイベントの模様をお届けしよう!

―今回、お話をいただいた経緯を教えて下さい。

ジェイムス下地さん(以下、下地):小池健監督からツイッターのDMで依頼をいただきました(笑)。

―小池監督とは、2010年に公開された『REDLINE』で初めて一緒にお仕事されたそうですね。

下地:最初はお客さんが中々入らなかったのですが、自ら宣伝した甲斐もあり? 少しずつ増えてきました。ですが、初動の動員数があって、早めに打ち切りが決まってしまって。上映終了前に、たまたま大きなスクリーンでやることになったのですが、その時に小池監督とお会いして「またやりたいね」、という話をしました。
その後、監督が『LUPIN the Third -峰不二子という女-』をやっていることを知り、今回何の因果か、一緒にやらせていただくことになりました。

―1965年生まれ、ということですが、『ルパン』の1stシリーズはご覧になってました?

下地:はい。リアルタイムで観ていました。

―2000年に公開された『PARTY7』や2010年の『REDLINE』のサントラを拝聴しましたが、それに比べ今回の音楽は、生楽器で演奏されていて、シンプルな曲が多いな、というのを感じました。あえてシンプルな楽器編成と、ジャズロックのようなサウンドにした理由は?

下地:最近の『ルパン』シリーズですが、劇画チックで「深夜っぽい」というと語弊がありますが、レトロを狙っているな、という印象がありました。音響監督の清水洋史さんを交えて話し合ったのですが、「2014年版の絵を目指します」という話が清水さんからありましたので、そこから楽器の編成を考えました。

―バランスのとり方を意識されたところはありますか?

下地:山下毅雄さんや大野雄二さんなどが手がけた、70年代の音楽とは違うものになってしまうのは仕方がないことだと思っています。ですが現在、デジタルの形で納品するのが普通のところを、今回はアナログテープに録って納品しました。デジタル音に携わる人には敬遠されてしまう形なのですが(笑)。

―1970年代の作風ということで、1stルパンの曲を携わった山下さんから始まって大野さん、菊地成孔さんと歴代担当されたのですが、どのような意識で曲を作られたのですか?

下地:特に大野さんや山下さんの作品は子供の頃にずっと見ていたので、作っているうちに「ここはこういう曲だよな」とインスピレーションがわいてくるんです。

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―映画音楽を作る時、ご自身の中で作る順番や決まり事はありますか?

下地:僕は、アニメ作品はとにかく画ができるまで何もやらないんです。今回もコンテを観させていただいたのですが、実際は4分の1ほどに減ってしまっているんですね。ですから、実際に絵が上がってきたものを見てから作るようにしています。
今回は、絵を作りたいので、作中に登場する歌姫・マルタが歌う曲とエンディング曲、2つのヴォーカル曲を先に作ってほしいとお願いされましたので作りましたが、それ以外は特に指示がなかったです。
清水さんとお仕事するのは今回で2回目でしたが、『REDLINE』の時と同じく「曲数も特に指示することはないです」と言われました(笑)。
OVAは原則として、ユーザーがリピート再生することが前提にあるじゃないですか。ですので、何度も観直す際に「どのくらいの曲がいいかな」、というバランスを考えつつ、作っていたものから間引いたりしました。今作は音楽が多い割には、メロディがあるものが少なく、背景音として成立しているものが多いかな、と思います。

―CM音楽や映画音楽に対して、アニメ映画の音楽を作ることに対する意識は何か別にありますか?

下地:どっちで持っていくかだと思います。言葉を出した方がいい場合は言葉の邪魔をしないようにしたいですし、どんな曲が映像に対して幸せなのかを考えながら作っています。音楽をあまり作りこんでしまい、前に出すぎると、嫌われてしまうこともあるんです。映像がそれで食われた、と思ってしまう人もいるんですね。

―最後に、一言お願いします。

下地:どうやら最近はスピーカーがついている再生機器を持っている人が少なくなってきているみたいですが、本物の音で楽しんでいただきたいので、本作をレコード盤でも出します。コロムビアさん、よろしく(笑)。

【CD概要】
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「『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』オリジナルサウンドトラック」
発売中(12月10日発売)

品番:COCX-38843
¥2,500+税

●作品紹介サイト
http://columbia.jp/prod-info/COCX-38843/