arcane753.というサークル名で2010年冬より制作してきた歌物語「蝶シリーズ」の「ツナギ蝶ノ塚」、「羽ノ亡キ蝶」、「虚木ノ咎人」のボーカル全曲と、今作のために書き下ろされた新曲を含む全14曲の「蝶シリーズ」の集大成的なベストアルバムです。
なお、ゲストボーカリストに真理絵さん、PUPIさんを迎え、ジャケットは霜月さんのワークスアルバムでおなじみのイラストレーターTivさんが担当。
さらに発売記念のイベントも決定! 『蝶ノ在リ処』の制作秘話を聞けて、ひやまにょつきんに会えるチャンスをお見逃しなく!
更に2013年1月19日(土)~20日(日)、川崎・クラブチッタでのライブ「Haruka Shimotsuki Collaboration Live 2013~ひやまにょつきんまみれ2days~」も発表されたので要チェック!
●ひやまにょつきんインタビュー
――ひやまにょつきんとして活動を始めるきっかけ、経緯を教えてください。
日山尚さん(以下、日山):2001~2002年辺りから霜月さんの楽曲の作詞をやらせて頂く機会があったのですが、当時はMANYOさんのことをお名前と楽曲だけ知っているという状況でした。2005年、「月追いの都市」という自主制作アルバムの制作の際に、霜月さんの紹介でMANYOさんと初めてコラボをさせて頂いたんです。
私は当時から既にMANYOさんの音のファンでしたので、頂いた楽曲にとても感動した覚えがあります(笑)。それ以来、霜月さん企画の「SACRED DOORS」シリーズや共同企画の「グリオットの眠り姫」関連でも少しずつ絡んで頂くようになり、私の企画している「ラグクーア」シリーズの音楽周りでも作編曲家として参加して頂きました。
いつの頃からか共通のファンの方から「ひやまにょつきん」と呼ばれていることに気づき、軽いノリで一緒にCDを作ることになったのが始まりだったような、そうでないような……。とにかく、ゆるいスタートだったのは確かです。
霜月はるかさん(以下、霜月):日山さんとは説明してもらった通り、活動初期から創作活動を自然と一緒にやっていて、早10年以上になりますか。お互いの活動を手伝ったり一緒に企画をしたり、だいぶいろんな作品を作ってきました。MANYOさんとは2003~4年頃にお仕事でご一緒し、リスナーとしても以前から同人作品など聴いていてその音楽に惚れていたので、2005年制作の自主制作盤「月追いの都市」でお声掛けして、作編曲で参加してもらいました。
その後も商業・同人共に様々な楽曲を作る中で、音楽性の好みの近さや意思疎通のやりやすさを感じて自然と一緒にやる事も増えていきましたね。
そんなわけで二人との間に自然と積み重なってきた相互の信頼関係があって、1年半前になんとなく一緒に何か作ろうか、という話になり、「ツナギ蝶ノ塚」というCDを作りました。一応そこからってことになるのかな(笑)?
MANYOさん(以下、MANYO):どこをきっかけとするか…すでに二人からもいくつかのターニングポイントが出ていますが、遡るなら「月追いの都市」から、最近だと「ツナギ蝶ノ塚」ということになるんでしょうね。「ひやまにょつきん」という名前はファンの方につけていただいたんですが、それがいつ頃なのか本人たちも分かっていないんです。その成り立ちを知っている方にいつか聞いてみたい気もしますね。
制作的には霜月さん、日山さんに引っ張っていってもらうことが多く、その中で「それ面白いじゃん、作ろうよ!」みたいなノリが多いでしょうか。学園祭の催し物を計画しているときに近い感じがします。
――展開されてきた「蝶シリーズ」の世界観、内容についてご説明ください。
日山:二人とは異世界ファンタジーをテーマにした楽曲ばかりやってきたので、今回は日本(和)に寄った舞台の話にしようと決めまして、当時は表には出さなかったのですが、昔話のような世界観を考えました。
簡単に説明しますと……昔々、母より先に死んでしまった女の子がいました。天に昇らずに母の元へ戻ると、母にはもう別の家庭があって行くところがなくなってしまいました。そんな通称「ユズリハ」が主人公のお話です。「蝶ノ在リ処」のジャケットにいる着物の女の子ですね。
ユズリハは、天の神様に「繋ぎ蝶」という役目をもらい、千の「蝶」こと「未練のある魂」を集めることで己の願いを叶えてもらえることになりました。袖の中に集めた蝶を封じながら、今日もユズリハは死人の元を訪れるのです。
……と、ここまでが「ツナギ蝶ノ塚」を作るにあたって考えた物語です。
次に出したCD「羽ノ亡キ蝶」で時は現代に移り、ユズリハは綾という自分に似た孤独を背負った女の子に出逢います。霜月さんと真理絵さんのツインボーカルはユズリハと綾の歌ということで作りました。通称「ウツギ」というユズリハと同じ目的のライバルと絡んだりもします。
この三人がどう絡み、どう別れるのか、その後どうなったのか。そこから先はアルバムの中で想像してお楽しみ頂ければ幸いです。
――『蝶ノ在リ処』に収録されている楽曲の特徴を挙げてください。
MANYO:最初は和風という形から入ったこともあって、音色・曲調などから決めていった部分もあるのですが、二作目の「羽ノ亡キ蝶」でかっちりとバックグラウンドが固まり始めたので、そこに沿った形での制作にシフトしました。総集編ともなる「蝶ノ在リ処」ではある程度時系列に沿った並びになっているので、続けて聴いて頂けるとその変化を楽しめるかもしれません。
日山:私からは歌詞の話を…。先程もお話しました通り、霜月さん&MANYOさんと作ってきた歌はハイファンタジーの世界観をテーマにしたものばかりでしたので、歌詞にあまり既存の固有名詞を出さないようにしていたんです。具体的なことを書かずに雰囲気で表現するほうがしっくりくるので……。でも蝶シリーズに関しては、あえて「譲り葉」「桜」「空木」などといった植物の名前をもそのまま使うようにしました。イメージが限定される分、想像はしやすくなるのではないかな、という個人的な希望です(笑)。舞台を現代日本にしたのも、そんなこだわりの為だったりします。
霜月:霜月さん:和風な楽曲を作ろう!とか、ツインボーカルがやりたい!とか、割と音楽的に3人でやりたい事を自由に詰め込んでいるアルバムなのですが、作品を作っていく過程で日山さんから出てきた設定によって、一本大筋が通ったコンセプトアルバムに仕上がっていると思います。私は「ユズリハ」というキャラクター担当で歌う事が多かったので、全体的に儚さや少女っぽさを失わないようには意識して歌っていました。ゲストボーカルの真理絵さん、PUPIさんとのキャラ性の対比も楽しんで頂けるかと。
――収録曲の中でお気に入りの曲を教えてください。
MANYO:アルバムタイトルでもある「蝶ノ在リ処」ですね。楽曲自体が総まとめ的な役割と蝶シリーズの全体イメージを持たせていることもあり、蝶シリーズを知らない方には「まずはこれ聴いてみてよ」とオススメしたくなるような楽曲に仕立てました。ライブ映えしそうな曲調というのも意識しています。
日山:本当に全部なので選べないのですが、特に再生数が多かったのは「ツナギ蝶」、「夜明けの旅へ」、「冬空に舞う蝶」です。
MANYOさんのこういう曲にやたら弱くて。あと「譲り葉塚」「蜘蛛の居る沼」といった、キャラクターの設定を元にした曲にも思い入れが深くなる傾向が強いです。
霜月:私も全部なんで選びようがないんですが…誰かと一緒に歌うのが大好きなので「羽ノ亡キ蝶」、「空木ノ穹」、「虚木ノ咎人」あたりは自分的にテンションが上がります(笑)。
――このアルバムの聴きどころを教えてください。
霜月:一部、私も作曲はさせてもらっていますが、やはりMANYOさんのキャッチーかつエッジのきいたメロディとサウンドは個人的に大好きなので聴きどころとして推したいです。そして歌詞で綴られる登場キャラクター達の物語もやはり、読みこんで浸って頂きたいですね。ボーカリストとしてもいろんな雰囲気の曲をメインだったりハモリやコーラスだったりと頑張って歌っているので、歌のバリエーションも楽しんで下さい!
日山:霜月さんはユズリハおよび語り部、真理絵さんは綾、PUPIさんはウツギと、キャラクターごとにボーカリストを固定し、歌い方もキャラの性格や設定に寄せてもらっています。キャラクターソングに近い作り方をしている部分もありますので、Tivさんのイラストのキャラたちの存在を意識して聴いて頂いても楽しいかと思います。
MANYO:そうですね。コンセプトアルバムでもあるんですが、単純にエンターテインメントを追求した作品でもあるんですよ。リスナーの方が聴いた時にどう楽しんでもらえるか、そういったのをこちらも想像しながら作り上げていったので作って終わりではなく皆さんがどういった聴かれ方をするのかも含めてのエンタメ作品だと思っています。なので感想くださいね(笑)。それが来年へのライブへと繋がっているところもあるんですが…。
それと今回作曲の割合が多かったんですが「虚木ノ咎人」から作曲を霜月さんになるべくお願いするようにしました。結果的に三人らしさが増えたというか、楽曲の幅が増えてよかったと思います。
――ひやまにょつきんで今後やりたいことと、皆さんへのメッセージをお願いします。
日山:ひやまにょつきんの活動を見守って下さっている皆様ありがとうございます。新曲や新企画に関してはまだ白紙ですが、隙あらば新しいことに挑戦していきたいです。今後は自主制作以外の場所でも三人でお仕事できる機会を作っていけたらと思っておりますので、オファーをお待ちしています。
「蝶シリーズ」のCD企画は今回で一段落とはいえ、9月17日には関連トークイベント「一夜の蝶のゆめ」、9月30日にはアニメイトさんで発売記念イベント、来年1月にはコラボライブもあります。まだまだ盛り上げて参りますので、お付き合い頂けますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!
霜月:意外と3人で一緒のお仕事はまだ少ないので、今後機会を増やしていけたらいいなと思っています! レーベル&メーカー様、ぜひよろしくお願いします(笑)。
そして来年1月にある、クラブチッタでの「Haruka Shimotsuki Collaboration Live 2013~ひやまにょつきんまみれ2days~」に向けて、そこでお聴かせできる新曲もアレコレ作っていきたいですね。これからも応援よろしくお願いします!
MANYO:『蝶ノ在リ処』で一つやりきった感はあるんですが、本人たちも気づいていない可能性みたいなのを今後、模索していけたらなぁとは思っています。作り終わってから考えている辺りがマイペースでらしいな、とは思うんですが……。こんな三人で良ければ一緒にコラボしていただけるメーカーさんやレーベルさんと組んでみたいという思いもありますね。まだまだ発展途上ですが皆様、よろしくお願いします!
【CD概要】
『蝶ノ在リ処』
2012年8月22日(水) ショップ取扱開始
2,625円(税込)
発売:arcane753.
【イベント概要】
「蝶ノ在リ処」頒布記念ミニトークイベント『一夜の蝶のゆめ』
9月17日(月・祝)【東京】Blue-T
18時開演
<チケット料金>
3,000円(税込)
指定のメールフォームにて応募・抽選(締切:9月3日(月)23:59まで)
http://arcane753.com/event/mail/
「蝶ノ在リ処」発売記念霜月はるかミニライブ&ひやまにょつきん特典お渡し会
9月30日(日)18時開演
アニメイト横浜店
出演:霜月はるか、日山尚、MANYO
アニメイト渋谷店、秋葉原店、横浜店にて『蝶ノ在リ処』をご購入の方に参加券を先着配布
http://www.animate.co.jp/event/event_e20120930shimo/
●『蝶ノ在リ処』特設サイト
http://arcane753.com/arika/