ラストシーンに思わずウルッ!? 映画『ドラゴンエイジ‐ブラッドメイジの聖戦‐』カサンドラ役・栗山千明インタビュー

By, 2012年2月6日



海外で高評価を得るファンタジーRPG『ドラゴンエイジ』。そのゲーム内に登場するキャラクター、カサンドラの過去を描いたCG映画が完成。2012年2月11日(土・祝)公開の映画『ドラゴンエイジ‐ブラッドメイジの聖戦‐』でカサンドラを演じるのは、強さと弱さを含有する女性を次々と演じてきた栗山千明。今回はどのように演じきったのか?

――声優としては初の主演となりますが、今回のアフレコはいかがでしたか?

栗山千明さん(以下、栗山):アフレコは皆さんとはバラバラに、一人で録ったんです。しかも、順番は私が最初だったので、私以外のセリフは英語のままで。「セリフ終わりはどこ?」という状態でした(笑)。アフレコ前に、もらった映像を見ながら台本に秒数やブレスの位置を書き込んでいたんですけど、なかなか合わなくて。尺に合わせようとするとすっごく早口になったり、ゆっくり言ったのに尺が余ったり、技術的な部分で難しかったというのは正直ありました。なので、曽利監督に相談しながら、セリフを足したり削ったりしていきました。

――アクションの多い映画ですが、その面では?

栗山:アクションの掛け声部分は苦労するかと思っていたんですけど、体当たりしたら何とかできたので(笑)、良かったです。考えていたのは、とにかく「はぁっ!」とか「やぁっ!」とか「ふぅ」といった掛け声はたくさん入れておいて、いらないなら削ってもらおうということでした。だから、ずーっと叫んでいましたね。映像を見ながら、支障がない程度にこう小さく動きながら(笑)。「やぁぁぁっ!」って叫んでいました。

――カサンドラはどのように演じたいと考えていましたか?

栗山:一皮向けたカサンドラ、というところに持っていきたかったです。最初は「下手なことを言ったら噛みつかれるぞ」みたいに始まり、それからバイロンと親子のような関係を築く彼女を見せ、ガリアンに敵意をむき出しにするけど心を開く彼女がいて、気持ち良く戦い、最終的には……という流れが自分の中にありました。その変化を感じさせたい、とは思っていました。この作品ってアクションがメインかもしれないんですけど、キャラクターの一人一人にストーリーがあるので、台本を読んだ時からすごく声に変化を付けたいと思っていました。

――曽利監督からカサンドラについて、演じる上でのオーダーはありましたか?

栗山:監督からは「少し低めの声で」と言われていました。私も、強くてクールな女の子、といったら声は低いイメージではあったので、「ですよねー」という感じでしたね(笑)。さっきも少し話したんですけど、シーンごとの変化を出したくて、そこは監督とご相談しながら詰めていきました。例えば、バイロンとのシーンでは、少し女の子っぽく見えるかもしれないけど、「むしろ親子のような関係に見えるかな」と思って、少し声のトーンを高くしてみるとか。ガリアンに対して抱いていた不信感が徐々に消えていく、その変化を出そうとか、そういったところですね。

――普段とは違う声優を務める際、心がけていることはありますか?

栗山:ゲームやアニメが大好きで、憧れの声優さんもいる私なので、声優さんのしゃべり方というのも自分なりに認識しているんですが、私にお話が来たからには違うところを求められているんだろう、と。あまり意識はせず、私なりの演技ができれば、とは思っています。

――栗山さんが好きなセリフやシーンはどこですか? 「ここを聞いてほしい」というような。

栗山:そういえば、昨日、完成版を初めて見た時に思い出したんですけど、私、幼少時代(のカサンドラ)もやっていたんですよね。「おにいちゃんっ!」ってやつです(笑)。あれは言わないと私がやっていると分からないのかな、って思いました(笑)。それとは別に、個人的に好きなシーンとなると……。そうですね、昨日見た上で考えると……。

――完成版を見た後では変わったんですか?

栗山:はい。実は最後の最後、大司教からお褒めの言葉をいただき、皆に大歓声を浴びて……というところでうるっときたんですよ。自分が関わっているのに、こんなこと言うのは恥ずかしいんですけど(笑)。それまでは、「ガリアンに自分の過去を打ち明けるシーンが、初めてカサンドラが弱みを見せる場所なのでお気に入りです」って話していたんですけど、完成版を見たら最後でうるっときちゃったんですよね。ずっと追われる立場として戦ってきたカサンドラがやっと皆に認められる、というシーンだったので。

――では、完成版を見たばかりという栗山さんから、『ドラゴンエイジ‐ブラッドメイジの聖戦‐』のアピールをお願いします。

栗山:ストーリーを知っている私でもハラハラドキドキしたので、初見の方なら絶対にドキドキしながらあっという間に見終わってしまうと思います。闘争心を持って命がけで戦う人々の姿はかっこいいですし、見ていても燃えるものがあります。そういったハラハラドキドキを与えてくれる作品になっています。流血シーンも多いですが、グロテスクにならずに映像美がありますし、ストーリーもしっかりしているので、見終わった後にも意味を感じる作品になったと思います。カサンドラも、強い女性が入り口ではありますけど、一人の女性だったり、兄を思う妹だったり、世界を守ろうとする強さを持つ戦士だったり、色々な顔が見えてきます。だからこそ愛情を持てますし、見終わった後にも残るものがあると思います。

『ドラゴンエイジ‐ブラッドメイジの聖戦‐』は2012年2月11日(土・祝)、全国ロードショー。

<Text/清水耕司>
<ヘアメイク atsu.co/スタイリスト ume>

 

●『ドラゴンエイジ‐ブラッドメイジの聖戦‐』公式サイト 
http://www.dragonagemovie.jp/

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