Wakana、Keiko、Hikaruの三人の歌姫によるユニット・Kalafinaのニューシングル「to the beginning」が4月18日(水)に発売された。現在放送中のTVアニメ『Fate/Zero』第二期のOP主題歌としてもオンエア中だ。
「新たな始まり」というメッセージがタイトルからも伝わってくる今回の楽曲。三人に秘めた想いを語っていただいた。
—まずは表題曲の「to the beginning」についてお伺いします。どういうコンセプトでレコーディングに臨みましたか?
Wakanaさん(以下、Wakana):プロデューサーである梶浦(由記)さんが「この曲は『Fate/Zero』の為に作った曲」とおっしゃった通り、アニメにすごくリンクした一曲になっています。
レコーディングではそれぞれの役割が決まっていて、私の場合は情熱的、というよりは冷静な部分を出していったほうが曲にはまった、というのが感想です。それはレコーディングの時に初めて分かったもので、その後三人の声が重なったものを聴くと、三人のすごい部分がよく出ていて。梶浦さんが、今のKalafinaにできることを全て盛り込んでくれたんだ、ということも分かりました。
Keikoさん(以下、Keiko):私は普段から低音でハーモニーを作ることが多いのですが、今回はアルトに徹した1曲になったと思います。曲の出だしが私の声からスタートするので、バラードと同じような想いを込めて、梶浦さんとどこにポイントを置くかや発音にも気をつけました。
あと、いつもは仮レコーディングの時にイメージを膨らませたり、梶浦さんからアドバイスをもらいながらレコーディングに臨むことが多いのですが、今回サビでも追っかけメロだったり裏の別メロを歌うことが多かったのでWakanaとHikaruの歌を聴いてインスピレーションを受けながら、「役割分担がある中にもまとまりのあるハーモニーを作らなくちゃ」という意識があったので、自分の役割をこなしつつ、二人の声を聴いて私の新しい部分を作っていく、という作業も同時に行っていきました。
Hikaruさん(以下、Hikaru):私は、感情的な部分を前面に押し出すという形で歌いました。最初にWakanaさんが録って次に私、という流れで録ったのですが、最初にWakanaさんの歌を聴かせていただいた時に「冷静に歌っているな」と感じたので、梶浦さんに自分も同じ方向で歌ったほうがいいか相談しました。
梶浦さんは「感情的に、言葉は言葉そのもののままで歌ってください」と指示を頂いたので、「痛い」と思えるところは「痛い」、「おびえる」ところは「おびえる」感情を込めながら歌いました。それと今回、珍しく日本語にのっている造語を歌ったのですが、私は中々そういうパートがないので、自分でも新しい挑戦の曲だと思いましたし、いつも二人が歌うパートを自分がやるのは新鮮でした。
—初回限定盤には「to the beginning」のビデオクリップがついていますが、こちらの紹介をお願いします。
Wakana:この曲には「月の光」というワードがたくさん出てくるのですが、クリップの最後に水に映った月を掬い上げるシーンがあり、完成した映像を観ても本当にきれいな月で。これは余談なのですが、撮った日が、満月の翌日で、実際の月も満月にとても近いものだったので、スタッフさんともその話で盛り上がりました。
Keiko:作品のイメージが強くなってしまう、というのはレコーディングの時から私たちも感じていて、梶浦さんは「逆にビデオクリップはKalafinaらしさを出したい」とおっしゃっていました。ですから、冒頭部分はそれぞれ一人ひとりをカメラで捉える場面も多いのですが、今回は三人で歌うシーンでは声をしっかり出して撮ってもらいました。
歌詞の世界観を伝えたい時に、どうしても作品のイメージになってしまうことがあったので、あえてライブで歌っているようなイメージ、一人ひとりが自然に歌っている姿を撮ろう、と監督とも相談しながらやっていきました。ですから三人で歌い上げているシーンは、とてもお気に入りの場面です。
Hikaru:今回はまた新たな形で撮れたかな、と思っています。
全体的にダークな色合いが強いのですが、三人の質感が浮かび上がっている気がして。見ていると不思議な感じがするのですが、その中で三人がそれぞれ自分の役割を感じながら歌っていて、手やアクセサリーが映像で抜かれていたりする部分もあるのですが、そういうちょっとした動きで曲の世界観のイメージを膨らませられるのかな、と思っています。
同時発売の『アニメ盤』には、アニメとコラボレーションしたビデオクリップがつくので、そちらを観ていただくと、アニメとの強いリンク感が味わえるのではないかと思いますね。
—この曲をライブではこう表現しよう、という考えは何かありますか?
Wakana:2月4日の渋谷公会堂でのライブで初披露したときはドキドキしました。レコーディングでは冷静な気持ちで歌えたのですが、本番はアツい気持ちがあふれ出してきました。梶浦さんいわく「この曲のメロディは元々力強く、余計なものを加えなくていい、気持ちが出しやすい曲になっているんだよ」と言われました。生では生で聴く楽しさがあると思います。
Keiko:私も2月のライブではいっぱいいっぱいでした(苦笑)。この時はサプライズで披露したのですが、今後どの立ち位置に来るのかがすごい楽しみです。まだライブではどうなるのかが分かりませんが、皆さんがどう聴きたいのか? この曲にもその気持ちがこもって変化していくことを期待しています。
Hikaru:Kalafinaの曲は「ライブ化けするね」と言われるナンバーが多いです。ライブでは「このパートは○○が歌ってたんだ」といったことを発見しながら聴ける「目でも音を楽しむ」ような場所だと思います。ライブは毎回が生モノなので、芯は一緒ですが、ちょっとした変化も毎回楽しんでいただけるのではないでしょうか。
—歌詞で聴いてほしい部分は?
Wakana:「微笑みの近く のたうつ夢〜down to zero we go」の部分です。盛り上がりから静かになる部分まで、人生のように凝縮されていると思います。
Keiko:全体を通していいな、と思うのはWakanaが落ちサビで歌うところです。メロディ構成も含めてすべてが心地いいですね。
Hikaru:『Fate/Zero』は原作の小説も読んでいますが、その中とリンクするフレーズは、やっぱり「大切に歌わなくちゃ」、と思いますし、ビデオクリップでもクローズアップされていますが、「月」の情景が浮かびますし、「月」が現実と幻想の境にあるものだ、というイメージがありますので、そういう雰囲気を大切にしたいと思います。
—ではC/Wの「満天」についてお聞かせ下さい。
Wakana:こちらは作中BGMをモチーフにした曲です。「to the〜」が男性ならこちらは女性的な歌というように感じました。「to the〜」とは全く違っていて、盛り上がりを意識した曲で、似ているようで全然違う曲になりました。1曲を通して訴えかける部分は多いのですが、「to the〜」よりも表現が優しい、柔らかい感じがします。
Keiko: Kalafinaらしいと思った曲でした。自由に広がっていくイメージが浮かびます。ライブを積み重ねることで変化していく曲も多いのですが、この曲はまだ皆さんの前で披露していないので、私の中では目の前に大きい景色が広がっている状態です。
Hikaru:「to the〜」に比べて、こちらは丸い、優しい感じがしていて。リハで二人がぴったり重なる瞬間に景色が頭の中に広がってきたのを覚えています。メロディがフワッとしている分、芯の強い声できれいに歌いたいと思える曲です。
—今回ジャケットやビデオクリップで使用されている衣装のコンセプトは?
Wakana:5年間かけてそれぞれのイメージが出来上がって来たと感じました。「Hikaruは胸元の部分が開いていて、ネックレスがあって、腕を挙げるとノースリーブのような仕立てになっています。私はワンショルダーの形をした服です。毎回それぞれのよさを引き出してもらう衣装で、今回はコルセットがレザー製がポイントですね。コルセットはみんな違う形態だったりしますが、統一感は持たせています。
Keiko:今回の衣装は今までの全てが合わさったという感じですね。やってきたこと1つ1つが表現されているようで嬉しいです。衣装合わせは毎回三人ともワクワクしています。テンションが上がりますね(笑)。
—『リスアニ!TV』コーナーで、ライブハウスをはじめとした思い出の地を訪れています。
Wakana:第二回がちょうど六本木にある「morph-tokyo」に訪れた回だったのですが、三人で久々に訪れて懐かしさの反面、ステージに立つとシックリくる感じの方が強かったです。「今からでも歌いたい」という気持ちになりましたし、初心に戻れる機会をいただき、2012年初となる今回のシングルを出す上でとても有意義な時間をいただけたと思います。曲のタイトルには「始まりへ」という意味もありますし、毎回原点へ立ち返り、「多くの人に聴いてもらいたい」という気持ちを改めて起こしながら頑張っていこう、という気持ちになりました。
Keiko:私もWakanaと一緒で、懐かしいというよりも「あれからそんなに時間が経ったのかな?」という気持ちになりました。それくらい、自分たちとは遠くはなれた場所ではないんだ、ということでしょうか。今では多くのスタッフさんにサポートして頂いているのですが、当時は三人の声とパフォーマンスだけやっていたのを2月のライブハウスツアーをやっている時に思い出し、「シンプルだけど、こういうライブもいいなあ。これからも一緒にやっていきたいなあ」と思いました。
「morph-tokyo」は私たちにとってもお客さんにとってもアットホームな場所だったので、インストアイベントや、お客さんを身近に感じることのできるステージはこれからもやっていきたいと感じました。
Hikaru:WakanaとKeikoが二人で活動をしていた場所に行けたのがとても新鮮でしたし、メンバーの知らない部分を知ることができたのが面白かったです。
「morph-tokyo」に行った時は、月一でステージに立っている感覚が身体に染み込んでいて、「このままステージを始めたい」と思うくらい馴染みが強くて。皆さんが、Kalafinaのライブをどう楽しんでくれているのかがとてもよく見えた場所でしたので、訪れた時間は、これからの自分たちの糧になりそうです。
—7月16日にはこちらの曲を引っさげてNHKホールでライブが行われます。
Wakana:ライブまであと三ヶ月、ということなのですが、三ヶ月ってあっという間なんですよね。これまでツアーをたくさんやらせていただいた中で分かってきたことなのですが、その三ヶ月の中で色々と変わってくるんですね。おそらく当日は絶対今とは違うものを心の中に持っていると思います。
Kalafinaはいつも気づけばもうそこにライブがある、という幸せな状況です。この日が終わったらまた次のライブに向けて準備をしていくことになると思いますので、この日もまた新しいKalafinaをお見せ出来るようにしたいと思っています。
Keiko:今回のライブは、前回のツアーファイナルで告知させて頂いたのですが、その瞬間はすごく幸せだったのを覚えています。アニメ『Fate/Zero』で私たちのことを知る方もたくさんいると思いますし、イベントもたくさんやらせていただいて、常に発信もしています。
「毎回はじめましての気持ちでいたいね」と、NHKホールではその気持ちをちゃんと伝えられればいいなと思います。
Wakana:今回は1dayライブですので……どんなライブになるのでしょう?
Hikaru:「to the beginning」をリリースしてからの初ワンマンライブということで、ここでたくさんの人に「to the beginning」を聴いていただくことになると思います。「チームKalafina」が一つになって頑張りますので、楽しんでいただける一夜になればいいな、と思います。
個人的には、7月2日に誕生日を迎えてから初のライブになる予定ですので新たな気持ちで臨むことになると思います。歳を重ねるたびに成長したい、と思う気持ちがありますので、今回も何か一歩進めるような時間を過ごせたらいいと思いますし、お客さんは貴重な時間を割いてライブに来ていただくと思いますので、楽しんで帰っていただけるステージにしたいです。
—最後に、ファンの方へ一言お願いします。
Wakana:皆さんにお届けできることを心待ちにしておりました。たくさんのイベントが待っておりますし、フリーライブもありますので、そちらも是非足を運んで欲しいと思います。「to the beginning」がOP主題歌になっているアニメ『Fate/Zero』も是非観てください。よろしくお願いします!
Keiko:新曲を出すことでまた新たな一歩を踏み出せる切っ掛けになると思います。皆さんにも何かスタートするいい切っ掛けになってくださればいいなと思います。来たことのない方は是非足を運んでいただきたいと思います!
Hikaru:Kalafinaの記事を最後まで読んでいただいてありがとうございます。
今年でデビューして5年目なのですが、まだまだやることがたくさんあると思います。さらに私たちの存在を多くの方に知っていただけるよう、どんどん新しいことにも挑戦していきたいと思います!
<Text/ダンディ佐伯>
【CD概要】
to the beginning
2012年4月18日(水)発売
【初回生産限定盤A】
SECL-1088〜SECL-1089
税込¥1,500
【初回生産限定盤B】
SECL-1090〜SECL-1091
税込¥1,700
【期間生産限定盤(アニメ盤)】
SECL-1093〜SECL-1094
税込¥1,500
●Kalafina OFFICIAL WEBSITE
http://www.kalafina.jp/
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