―最終回の収録を終えたご感想をお願い致します。
シャナ役・釘宮理恵さん(以下、釘宮):収録が無事に終わり、シャナが終了したという実感がまだない状態です。
最終回をTVで見た時に、あるいはイベントなどで見た時に終わったんだと感じるのではないかと思っています。
最終回のアフレコの最後に、監督をはじめスタッフのみなさんが挨拶に立った時にはドッとくるものがあり、これから仕上がりへ向けてエールを送りたい。そんな気持ちでいっぱいです。
坂井悠二役・日野 聡さん(以下、日野):足掛け7年、思い返すと感慨深いものがあります。『Ⅲ(ファイナル)』を収録している最中は、あまり作品を振り返って思いでに浸ることはなかったんですけれども、この最終回のアフレコがオールアップした瞬間、一気にいろいろな思い出が駆け巡ってきてジーンときました。
終わってしまうのは寂しいですけれど、素敵な作品にめぐり合わせていただいたという気持ちでいっぱいです。
アラストール役・江原正士さん(以下、江原):お疲れさまでした。最終回を見てまずはホッとしました。学園もので始まって一時はシャナと悠二はどうなるのかと心配をしていたのですけれども、このようなエンディングを迎えられて、思わず感動、本当に嬉しかったです!と同時に、7年間、現場はとても頑張ったと感じています。
当初、オープニングを見て、このクオリティーでアニメを描くのはたいへんだろうなと思っていましたが、それをここまで仕上げてくれたスタッフの皆さんに心から敬服いたします。
アラストールはシャナの胸元にぶら下がっていただけですが(笑)、個人的に顕在化したかったという強い想いもありましたが(笑)、でもその分客観視もでき、世界に冠たるアニメ文化の中心にいるスタッフのみなさんの気概を強く感じることができ、かつ作品に関われたことに感謝します。
またウーンと若い人と共演できたことも、元気とパワーをいただき充実したひとときを過ごすことができました。ありがとう!
ヴィルヘルミナ・カルメル役・伊藤 静さん(以下、伊藤):「7年かぁ」という想いもあり、「あっという間だったなぁ」という想いもあって心境は複雑なのですが、最後の最後に幸せなラストを迎えられたことは「シャナも悠二もよかったね」という気持ちにさせてくれます。
思い返せばあっという間の7年間だったかもしれませんが、ひとつの作品をつくってきて、その作品をやり終えた充実感は、胸をいっぱいにさせてくれます。
マージョリー・ドー役・生天目仁美さん(以下、生天目):7年かけて演じてきて、最後に登場できたことはとても嬉しいです。特に今日この場で取材を受けているキャストは全員1期の時からずっと出演しているメンバーなので、こうしてみんなでこの場にいられることがとても幸せなんです。
吉田一美役・川澄綾子さん(以下、川澄):3期が始まった時に、長く演じてきた『灼眼のシャナ』もこれで終わりなんだという思いがあり、一期二期までの想いも乗せて、24本演じてきました。
でも、いざ最終回をむかえると、かえって実感がないですね。何だかまだ続きそうな気がします。
最終回は、シャナ、悠二が繰り広げた世界に大迷惑な痴話(?)喧嘩で、2人が初めて感情をぶつけ合った荒々しさは見ていて万感の想いがありました。悲しい別れなどもあったのですが、最後は2人の素敵な笑顔で終われたことはとてもよかったと思っています。
―今期のアフレコを振り返って、ご自身の演じたキャラクターの好きなところ、演じていて楽しかったところ、難しかったところなどがありましたら教えてください。
釘宮:最初の頃からすると、心の中で考え事をすることが増えたなと感じています。自分の中に葛藤やもどかしさといった感情を抱えたままで戦争の大過の中に飛び込んでいく。
みんなをまとめなくてはならない立場になるので、心は乙女でも芯の強さはもっていなければならないところが、難しくもあり楽しいところだったんじゃないかなと感じています。
個でありながらも全体を見なくてはならない、そんなところにシャナの成長が求められた部分があるのではないかと、私の中だけかもしれませんが、感じていました。この戦争に突き進むしかない状況の中で、悠二のことを好きという気持ちを持ちつづけなくてはいけない。そんな想いで演じきりました。
日野:いろいろありましたけれども、悠二の想いがブレずにシャナに一筋だったことは、僕自身の中で悠二の好きなところですね。
演じていて楽しかったこと、と同時に難しかったところはやっぱり蛇悠二ですね、そこでの速水さんとの切り替えの部分。普段の悠二の感情と蛇寄りの悠二の感情、この差を出しながら表現するところにつきると思います。
江原:ご存知の用にずっとシャナにぶら下がっていただけで、どこにも飛んでいけない。手も足も出ない状態の中で、シャナと悠二の恋をやさしく見えるお父さんのようでもあり、またクールなほうに傾くのでもあり、どちらが本当なのかなと悩む中で、最後の最後に2人のいちゃつく様子をフッと笑うところはやっぱり2人を見守っていたんだと解りました。
いいお父さんというか、いいお兄ちゃんですね。2人の姿を見て幸せな気持ちになりました。終わりよければすべてよしです。
伊藤:1期ではフレイムヘイズ然としていたヴィルヘルミナですが、2期で悠二とシャナの関係に触れるにつれて少しだけやわらかくなり、3期になると、結構とウジウジするタイプなんだというところがうかがい知れるようになりました。
シャナと悠二が成長していく姿に触れ、彼女も乗り越えなくてはならないものがある中でなお、ウジウジしているヴィルがちょっとかわいいと思いましたし、それを乗り越え一歩踏み出せたところはやはりよかったと感じています。
難しい点を挙げると言うよりは自然に受け止められたことが自分の中では印象的で、これまでやってきたことの積み重ね、少しずつだけれども自分の中にヴィルの気持ちが根付いていたのかなという気がしています。
最終的に乗り込んでいった時にティアマトーがあんなことになっていたのは、ビックリしました(笑)。たった1年の中でヴィルが今まで生きてきたことがひっくり返るくらいの出来事が起こったわけですが、本当に必要な出来事だったんだなと思います。
生天目:年数を重ねていくとマルコとの関係もより昇華していったんじゃないかと実感しています。
詩を詠っているところがあるのですが、掛け合いもあうんの呼吸で進めることができ、3期ではそれが当たり前のようになっていたのが自分の中でとても不思議でした。そして楽しいと感じたし、嬉しかったです。
難しかったのは、最後の最後にものすごく戦っていたところです(笑)。演じながら、かなわないまでもそれでも戦う彼女の強さを表現することに難しさを感じました。
川澄:今期では吉田自身が大きな変化を見せたと思います。シリーズが進むにつれ、ただの女子高生だった吉田が、自分の出来ること、やるべきことを自覚し、強い意志を持った少女に変わっていくあたりは、やはり難しかったところです。
『灼眼のシャナ』は悠二とシャナの物語なのですが、その中での吉田一美の存在を考えさせられたし、それでもなお清々しい魅力が出てきたところに、吉田一美の成長を感じることができましたし、最後まで演じきってとても好きなキャラになっていきました。
私の中では愛すべき女の子になってくれたことが、嬉しくて、楽しくて、今後、絶対に幸せになってほしいと感じさせてくれました。いい人生を送ってほしい気持ちでいっぱいです。
―1期から3期まで、全シリーズ通して演じ終えた役への一言をお願い致します。
釘宮:「突き進んでよかったね。」
シャナは突き進むしかしないけれども、その分大変なことも多かったです。
でも、それだけの熱意を持って周りの人たちに接してきて、最後に幸せになれそうな感じになっているので、今彼女にはそんな言葉をかけたい思いでいます。
日野:悠二のとった行動が最良であったかどうかは分かりませんが、結果的にその想いがシャナに届いて、2人一緒になれたことは喜ばしいです。本当におめでとうございます。苦難はあったけどよかったです。
「これからはシャナをちゃんと幸せにするんだぞ」と親戚の叔父さん目線でメッセージを贈りたいと思います。
江原:新しいフレイムヘイズを求めてアラストール旅に出る。そして今度こそ「顕現してみせるぞ!」と想いを込めてひとこと言ってあげたいと思います。
伊藤:最後のほうのヴィルがユストゥスとしてやさしい顔をしているのが印象でした。
過去のしがらみの葛藤を乗り越えて幸せな気持ちでいるんだと思うと「よかったね!」と言いたいです。
生天目:これまでそばにいたのはマルコだけでしたが、1期から3期までを通して自分のそばにもう一人、佐藤啓作がいるようになりました。女になったなぁという思いがしています。「いい女になったね」と言いたいです。
川澄:悠二もそうなのですが、日常がある事件によって壊され、ただの女子高生としてはとても受け止めきれないような環境に置かれた吉田一美。その吉田が大人になった時にこの一年をどう振り返るだろう?と考えると心境は複雑です。
この大きな事件もこれからの長い一生からすれば、一夜の夢のように薄れていってしまうかもしれない。でも恋のこと世界のこと、一生をかけても得られないであろう濃い一年を送った彼女に「すごくたいへんだったけど、良い一年を過ごしたね」という言葉を贈りたいです。
―『灼眼のシャナⅢ-FINAL-』をご覧のファンの皆様へ、メッセージをお願い致します。
釘宮:長い間応援してくださり、ありがとうございました。『Ⅲ(ファイナル)』までついてきてくださった方はまさにファンの中のファン、作品を愛してやまない方たちだと思います。IとIIとやってきて少し間も空きましたが、IIIで再びシャナに出会えた事をとても嬉しく、感謝をしています。
また、この作品は海外の方たちにも応援していただいているとお聞きして、作品を通して世界に何か届けることができたことは幸せでしたし、アニメとしても原作とともに最後まで走れたことは、稀に見る幸せな作品ではないかと本当に感謝をしています。
日野:足掛け7年という長い年月、アニメ放映できたことはひとえに長い年月応援してくださったファンの方のおかげだと思っています。この『灼眼のシャナ』という作品を通して、悠二とともに成長させていただいたし、キャスト、スタッフの熱い想いもたくさん詰まっています。
『灼眼のシャナ』は、みなさんのおかげで素敵なファイナルを迎えることができました。長い間、応援をいただき本当にありがとうございました。
渡部高志監督:監督業の業と言いましょうか、演者さん、原作者は思いのたけを作品にぶつけることができるのに対して、達観した立場で物事を見なければならず、ある意味みなさんの取り組まれている姿を羨ましく見ていました。本当は自分も中に入って弾けてみたかったのですが、グッと我慢しつづけた7年間だったと振り返ります。
最後の最後は、はっちゃけることができたのですが・・・(笑)。多くの才能が集まり積み重ねていった結果、ファイナルを迎えられたことを実感としてヒシヒシと感じていますし、我々作り手の熱い想いをぶつけることもできました。
そんな『灼眼のシャナ』を長く慈しんでもらいたいと心から思います。
原作・監修 高橋弥七郎さん:今年は2012年。小説の第一巻が出た2002年から、はや十年が経とうとしています。これは、当時小学生だった方が大学生、社会人になっている程の年月です。これだけ長く書き続けてこられたこと、納得いく形でシリーズ完結まで書かせて貰えたこと、ともに稀有な事例であると思います。これら全て、作品を支えて頂いた読者の皆様、挿絵のいとうのいぢさん、担当編集三木一馬氏のお陰です。
アニメも2005年から始まって、おおよそ七年。二つのテレビシリーズに劇場版、OVAシリーズ等の歩みを続け、遂に最終シリーズにして原作の完結までをアニメ化した『Ⅲ(ファイナル)』の放送を迎えています。今期は特に、スタッフ諸氏のご厚意から幾らかの作業にも加えて頂き、また相応以上の成果を、素晴らしい映像と熱演の形で受け取る幸運にも恵まれました。原作者としての喜び、これに勝るものはありません。全ての方々に感謝いたします。どうもありがとうございました。
視聴者の皆様も、どうかこの『灼眼のシャナ Ⅲ(ファイナル)』、シャナと悠二の世界を賭けた痴話喧嘩の行く末を見届けて頂けますよう、宜しくお願い申し上げます。
●アニメ公式サイト
http://www.shakugan.com/
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