現在YouTubeにて初のアニメーション映像『キミノヒカリ』が公開中であり、7月25日にはコミックス最新刊も発売される『加瀬さん。シリーズ』。今回は本シリーズを愛してやまないという声優・落合福嗣さんに直撃インタビューを敢行し、作品の魅力や好きなシーンなどを伺いました!
※原作の内容展開に言及している箇所がありますのでご注意ください。
――まずは『加瀬さん。シリーズ』を読んだきっかけを教えてください。
僕は『加瀬さん。シリーズ』を読む前から、原作の高嶋ひろみ先生の作品が好きだったんですよ。好きになったきっかけは『はれたら明日!』(新書館)だったんですけど、行きつけの本屋で見かけたときに、イラストとタイトルの語呂のよさに惹かれて衝動買いしたんです。そうしたら内容がすごく僕好みで面白かったので「ほかにも高嶋先生の漫画はないかな~」と探しまして。『放課後おわらいぶ』や『未満れんあい』(ともに双葉社)などいろいろと読んでいき、最後に『加瀬さん。シリーズ』と出会いました。ただ、僕が一番初めに読んだのは、2巻目の『おべんとうと加瀬さん。』だったんですよ(笑)。
――なぜそんなことに?(笑)
『加瀬さん。シリーズ』って表紙に「第1巻」とか書いてないじゃないですか。それで僕がちょうど本屋で漫画を見つけたときに『あさがおと加瀬さん。』だけ売り切れだったというのもあって、『おべんとうと加瀬さん。』が1巻目だと勘違いしてしまったんです(笑)。『おべんとうと加瀬さん。』だとすでに山田たちが付き合っていたり、いきなり新学期がスタートしたりしていたから、初めて読んだときは「珍しい物語の始まりだな」って思っちゃいました(笑)。
――では『あさがおと加瀬さん。』は最後に読まれたのでしょうか?
そうそう。『あさがおと加瀬さん。』は『ショートケーキと加瀬さん。』も読み終わったあと、続編を探していたときに見つけたんです。だから山田と加瀬さんがまだ出会っていなくて「あれ?」となって……ビックリしましたし、そこでようやく『あさがおと加瀬さん。』が1巻目だったことに気付き、改めて正式な順番で読み直しました(笑)。
『加瀬さん。シリーズ』は、疲れたときの癒しとして読むことが多いんですけど、本当にどの物語も読みやすくて、爽やかな要素ばかりなんです。もちろんキャラクターたちが悩んだりモヤモヤしたりするシーンはありますが、作品全体のイメージは明るくて。そのうえ、コミカルなタッチで描かれているところと大人びた表情が描かれているところのバランスがすごくいいんですよ。そういったところが作品の魅力なんじゃないかなと感じます。
――そんな『加瀬さん。シリーズ』に登場するキャラクターたちの印象をお聞かせください。
山田は感情表現がものすごく豊か。心配ごとがあったら「うぅ……」ってひとりで抱え込んでしまったり、嬉しいことがあったら表情がぱあって明るくなったりするから、まるで仔犬みたいだなって思います。あと個人的に、植物を育てている女の子って素敵だなと感じますね。僕もガーデニングが趣味なんですけど、ガーデニングって毎日ちょっとずつ手入れをしないといけないから大変なんですよ。それなのに山田って、そういう地道な作業をほぼひとりでやっているわけじゃないですか。そんなの屋上から見ていたら気になりますし、加瀬さんじゃなくても好きになっちゃいますって!(笑)
――加瀬さんに共感しますか?(笑)
はい、共感しちゃいます。加瀬さんが山田の白い肌を見てドキドキするシーン(『自転車と加瀬さん。』)や、修学旅行で山田に嫌われたと思って少しだけ距離を置いてしまうシーン(『砂浜と加瀬さん。』)などでは、バカだなぁと思いつつも、加瀬さんの気持ちがかなり分かりました。
――そんな加瀬さんの印象はいかがですか?
僕の周りで『加瀬さん。シリーズ』を読んでいる人はみんな「イケメン」って言いますが、僕はむっつり男子、あるいは小学校高学年くらいの思春期な少年だと思います(笑)。加瀬さんって、山田に対してガツンと前にいけないことがけっこうありますよね。「これは大丈夫かな?」「よし、いってみようかな?」って心の中で躊躇うことがあるんです。だからこそタイプやクラスが全然違う山田に初めて声をかけたときは、すごく頑張ったんだろうなってしみじみ思いました。そういう点で、加瀬さんのことはカッコいいというよりも可愛いなと感じることのほうが多いですね。
――先ほど山田は仔犬のようだとおっしゃっていましたが、加瀬さんは動物に例えると何ですか?
シェパードやゴールデンレトリバーのような大型犬かな。見た目はキリッとしていてカッコいいのに、性格は愛嬌があって可愛らしい。かといって、その愛嬌のよさを押し付けて来ないところが似ているなって感じます。
――では、山田の友達である三河っちの印象についてはいかがでしょうか?
三河っちは、要所要所で話を締めたり緩めたりしてくれるキャラクターなのかなと。彼女がいなかったら、山田と加瀬さんはここまでうまくいっていなかったような気がするんですよ。本当に山田のいい友達ですし、そんな三河っちだからこそ加瀬さんも安心して山田を預けられているのかなと思います。それと、テニス部だったのに体育のときに「ダルいな~」って悪態ついちゃうようなところも可愛らしいですよね。三河っちはちょっぴりSっ気があるし、「私についてこい!」みたいなイメージがあるから、僕はカルガモっぽいなって勝手に思っています(笑)。いつか三河っちのサイドストーリーも読んでみたいです。
――ここまでキャラクターの印象を伺ってきましたが、落合さんの一番好きなキャラクターは誰ですか?
まず王道なところでいくと、やっぱり加瀬さんですね。僕は加瀬さんのような性格のキャラクターって、正直、男子だったら嫌いなタイプなんですよ。イケメンがカッコいいことを言っていたら「それ、分かってて言ってるんでしょ!」って思っちゃうんです(笑)。でも加瀬さんの場合は“女の子同士の友情”というところから出発しているからこそ、加瀬さんがヤキモチを焼いたりキザなことを言ったりしても、あまりいやらしさを感じない。むしろ一生懸命さを感じられるから「いいなぁ」「見習わなきゃなぁ」って憧れを抱きます。
そしてマニアックなところでいえば、修学旅行先で加瀬さんにお土産の場所を教えてくれた沖縄代表の陸上部の子が好きかな。あの子も加瀬さんのように性格がカラッとしていそうでいいですよね。やっぱり加瀬さんの友達は爽やかなタイプの子が多いんだろうなって思いました。それにしても加瀬さんとその陸上部の子のシーンは、傍から見れば密会しているようにしか見えません(笑)。
――少ししか登場しませんでしたが、山田に強烈なインパクトを与えたと思います。
山田だけでなく落合にも強烈な印象を与えてくれました(笑)。彼女には再び登場してほしいです!
――ほかにも『加瀬さん。シリーズ』ではさまざまなエピソードがありますが、特に印象に残っているシーンはありますか?
『あさがおと加瀬さん。』に収録されている『自転車と加瀬さん。』ですかね。山田が「うしろに乗せてくれたっていいじゃん!」って加瀬さんに啖呵を切るところから、最後2人で自転車に乗って帰るところまでの一連の流れが特に好きです。山田が自転車に乗るときに加瀬さんのむっつりポイントがあったり、山田が加瀬さんの腰に手を回したときに2人のドギマギ感が見られたり(笑)。ただ2人乗りをするというだけなのにお互いの気持ちが明確に表れているシーンだなと感じましたし、片思いのときのくすぐったい微妙な距離感が大好きなので気に入っています。
あとは『おべんとうと加瀬さん。』の『いちごドロップと加瀬さん。』も好きかな。山田と加瀬さんが一緒に飛行機から景色を見るときに、山田が「雲の上にいくといつも晴れている」って言うシーンがあるんですけど、僕も以前飛行機に乗ったとき、同じようなことを思ったんですよ。なので、このシーンも強く印象に残っています。それと全体を通して、男性キャラの顔が「へのへのもへじ」で描かれているのもツボですね(笑)。もし次のアニメ化が決まった際には、僕、へのへのもへじ役でも何でもいいので、ぜひ出演したいです!(笑)
――7月25日に最新刊『エプロンと加瀬さん。』が発売される予定ですが、現在の心境はいかがですか?
待ってました……本当にずっと待ってました……!! これまで「あさがお」とか「おべんとう」とか、収録話数のなかでキーになる部分がタイトルに使われてきたので、今回「エプロン」がどう物語に関わってくるのかすごく楽しみです。通常版、特装版が発売されるということで、両方とも表紙が素敵だから、最初「これは2つ買わないとダメなんじゃないか」と思ったんですよ(笑)。でも特装版の方はBOX仕様でその中に通常版のコミックスも入っているとのことでしたから、僕は特装版の方を買います!
――そんな特装版にはアニメーションクリップ『キミノヒカリ』のフルHD版やライカリール(コンテ撮)が収録されたBlu-rayも付属します。現在YouTubeにてそのアニメーションクリップが公開されていますが、こちらを観た感想をお聞かせください。
僕はTwitterのタイムラインでアニメーションクリップの存在を知ったのですが、そのとき「えっ!? アニメ化!?」ってビックリしました。最初に僕が観たのは特報PVの方だったんですけど、全体的に映像がものすごくきれいで。特に映像の最後に出てくるあさがおの1カットがとにかく最高でした! 原作を読んでいる人からすると感動する作りになっていると思います。それから『キミノヒカリ』の方も視聴したんですけど、原作のイメージが崩れていなくて、本当に漫画から飛び出してきたような印象を受けましたね。セリフがないのにキャラクターたちの表情や全体的な構図の流れだけで喜怒哀楽を表現していたから「すごい映像だな」と感動しました。
今回のアニメーションクリップのイメージソングは奥華子さんの『君の笑顔(album ver.)』でしたが、その曲と映像がピッタリ合っているのもいいですよね。僕は朝、車で移動するときはだいたい奥華子さんの曲を聴くくらい大好きで、今日も奥華子さんの曲を聴きながら来たんですよ。だから『加瀬さん。シリーズ』と奥華子さんという好きなもの同士が合わさっているという面でもすごくいいなって思いましたし、個人的に嬉しかったです。必ず1日1回は映像を観ています(笑)。
――最後に『加瀬さん。シリーズ』を知らない人たちに向けて、作品の魅力を伝えていただけますでしょうか?
『加瀬さん。シリーズ』は肩肘を張らずに読める作品です。恋愛ものなのに一切ドロドロしていないから気持ちよく読めるし、気分をリフレッシュさせたいなと思ったときにピッタリなんですよ。そして、本当は1巻目の『あさがおと加瀬さん。』から読んだ方がいいんですけど、どの巻から読んでも楽しめます。僕が身をもって経験済みなので……(笑)。アニメーションクリップを観て気になった人はもちろん、コミックスから読みたいって人もぜひ読んでから映像も観ていただいて、どっぷりと『加瀬さん。シリーズ』の世界に浸っていただければと思います。
それから映像だけでなく、ぜひ、Wingsで隔月連載されている原作漫画の方もチェックしてください。よろしくお願いいたします!
取材・文:大村茉穂(スタジオ・ハードデラックス)
撮影:小俣元(スタジオ・ハードデラックス)
■プロフィール
落合福嗣[おちあい ふくし]
8月20日生まれ。声優・ナレーター。青二プロダクション所属。主な出演作は『ダイヤのA SECOND SEAZON』玉木浩司、『灰と幻想のグリムガル』モグゾー、『ちるらん』島田魁、『信長の忍びシリーズ』今川氏真、『ALL OUT!!』熱田猛雄など。
【書籍概要】
「エプロンと加瀬さん。」特装版
◆発売予定日
2017年7月25日(火)
◆価格
2,200円+税
◆特装版 同梱内容
◇コミックス(高嶋ひろみ「エプロンと加瀬さん。」)
◇Blu-rayディスク
【Blu-ray収録内容】
①アニメーションクリップ「キミノヒカリ」【1080p/フルHD版】
②アニメーションクリップ「キミノヒカリ」ライカリール
◇特製36Pアニメブックレット
【ブックレット収録内容】
①キャラクター設定
②本編美術ボード
③原画集
④スペシャル対談(高嶋ひろみ×佐藤卓哉×担当編集×プロデューサー) ほか
◇高嶋ひろみ先生描き下ろし小冊子「アントキノ加瀬サン。」
◇高嶋ひろみ先生描き下ろし特製BOX入り
◆販売店
アニメイト、アマゾン、きゃにめ、ゲーマーズ、コミックZin(通販は発売日からの販売となります)、
とらのあな、文教堂・アニメガ(一部店舗除く)、メロンブックス、楽天ブックス 予定
■キャッチコピー
「あなたの隣では、世界が咲いて見えました。」
■原作情報
高嶋ひろみ「あさがおと加瀬さん。」(新書館)
・「加瀬さん。」シリーズは以下の3冊が好評発売中。
「あさがおと加瀬さん。」「おべんとうと加瀬さん。」「ショートケーキと加瀬さん。」
・コミックス最新刊「エプロンと加瀬さん。」は通常版・特装版ともに2017年7月25日発売予定。
■あらすじ
「どうか加瀬さんが、私の事を好きでありますように―――…」
高校二年の山田は緑化委員の内気な女の子。隣のクラスの加瀬さんは陸上部のエースで美人な女の子。
山田が植えたあさがおをきっかけに、言葉を交わしたことがなかった二人の距離が少しずつ縮まっていく。
■スタッフリスト
原作:高嶋ひろみ「あさがおと加瀬さん。」(新書館)
監督・絵コンテ・演出:佐藤卓哉
キャラクターデザイン・作画監督 坂井久太
美術監督:平間由香
色彩設計:岩井田洋
撮影監督:口羽毅
編集:後藤正浩
イメージソング:奥華子「君の笑顔(album ver.)」(ポニーキャニオン)
アニメーション制作:ZEXCS
●アニメ公式HP
http://asagao-anime.com
●公式Twitter:「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式
@asagao_anime
【グッズ情報】
「あさがおと加瀬さん。スクエア缶バッジ」が現在アニメイト池袋本店3Fと通販サイト:きゃにめ
にて販売中。山田&加瀬さんのイラストを使用した、全11種ランダム仕様の缶バッジです。
【商品名】あさがおと加瀬さん。スクエア缶バッジ
【サイズ】53mm×78mm
【価 格】463円+税