2013年3月22日(金)、東京・恵比寿ガーデンプレイスにてTVアニメ『アニメ・DD北斗の拳』制作記者発表会が行われ、原作者・原哲夫さんやキャスト陣たちなどが登壇した。
『アニメ・DD北斗の拳』は、あの『北斗の拳』のパロディアニメ。199X年世紀末、地球は戦争も自然破壊もなく平和に包まれていた。舞台はそんな平和ボケした日本。「世紀末の救世主」となって皆から羨望の眼差しをうけるはずだったケンシロウは完全にあてがはずれ、疼く指先ひとつが逆に災いをおこしてしまい仕事もみつからないでいた。
都会という砂漠の中で、人々を助けるどころか、その日暮らしが精一杯のケンシロウ。そんな中、彼を救ったのはなんとJK(女子高生)のリン。リンに連れられ、コンビニエンスストアに入ると、そこにはケンシロウと同じく平和な世の中に全く順応できていない兄のラオウとトキがいた……。街のコンビニを舞台に、世間知らずの北斗の兄弟たちが織り成す爆笑コメディとなっている。
『DD北斗の拳』は現在、『月刊コミックゼノン』(ノース・スターズ・ピクチャーズ刊)で連載中だが、TVアニメ版では原哲夫さんがアニメーション・スーパーバイザーとして参加。キャストにはケンシロウ役に立花慎之介さん、トキ役に関智一さん、ラオウ役に一条和矢さんなど人気声優を起用。監督はアニメ界を代表するギャグの名手、大地丙太郎さんが務める。
制作記者発表会では、最初に株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ 製作プロデューサー・宮直樹氏とテレビ東京番組担当・白石誠氏が挨拶した。
宮直樹氏は『北斗の拳』が30周年を迎え、当時子供だった読者は親世代となっていることを挙げ、今、ファンに何を届けたら良いのか考えた時にテレビでアニメーションをもう一度再開するのが良いのではないかと考え、1年前からこのプロジェクトをスタートさせたと発表。
白石誠氏は、監督を務めるのが大地丙太郎監督ということを知った時に原先生の本気を実感、「ものすごい作品になるだろうと確信しました」と力強く頷いた。
そしてトレーラー上映を挟んだ後、原作者の原哲夫さん、監督の大地丙太郎さん、キャストの立花慎之介さん(ケンシロウ役)、関智一さん(トキ役)、一条和矢さん(ラオウ役)のトークセッションへ。
デフォルメされたキャラクターたちを見て生みの親である原さんは、「原作の時もリアルな絵でコミカルな動きを描いたりしてたところもあったので、ギャグアニメになっても僕の中では全然違和感がないんです」と話し、「思った以上にはじけた作品になった」と『アニメ・DD北斗の拳』に大きな期待を寄せた。
製作をするにあたって気をつけた点として大地さんは、「あまりコアになり過ぎないように注意し、原作を知らない人でも新たに見てわかるような作品作りを心がけました」とコメント。また、「深夜アニメではあるが子供が見ても楽しめるようなものにして欲しい」という原さんからのオファーをベースに作り上げていったと話す。
ケンシロウを演じる立花さんは、「自分の声質的には中域くらいの役を演じていることが多いので、低い声のイメージのあるケンシロウを演じることは自分にとってチャレンジです」と熱意を見せ、「初代ケンシロウを取り入れつつ、立花慎之介のケンシロウを出していければ」と役作りの意気込みを述べた。
関さんは「トキは病弱であることを武器に上手に世渡りをしており、立場が悪くなるとすぐに咳き込んで吐血する」という自身が演じるキャラクターを説明しながら、その咳や吐血のバリエーションをいかに増やすかというところを頑張っています」と笑顔で答えた。
ラオウ役の一条さんは、「ずっと原作のファンだったのでラオウのイメージをなるべくなら崩したくないけども、良い方向に崩せたらなといった気持ちで演じています」と熱く語った。
さらにトークはアフレコ現場の話題となり、とにかく面白い現場で初代ケンシロウ役の神谷明さんがスタジオで一番笑っていたり、その神谷さんから立花さんにケンシロウについての一子相伝の演技指導が行われたりといった話も飛び出した。
トークセッションが終わると、今度は主題歌を担当したヒャダインさんからのビデオレターが上映された。その中でヒャダインさんは今回の楽曲について、「可愛らしさを意識したピコピコ音を入れつつも、原作の熱いパッションを受け継ぐギターサウンドを入れ、歌詞はお間抜けな『DD北斗の拳』の世界観を表しました」と解説。
さらに「原曲のクリスタルキングさんの熱さに負けないようにキーを高めに設定したので、吉木りささんの高い歌声が聴きどころです」とも話した。
そのエールを受ける形で吉木さんが実際のステージに登場。吉木さんはケンシロウ風のワイルドな衣装姿でその主題歌「シフトと時給と、ついでに愛をとりもどせ!!」を報道陣の目の前で熱唱した。
吉木さんの歌声を聴いた原さんは「『北斗の拳』が生き返ったみたいです。これから30年歌いつづけて欲しい」と激励。
その言葉に吉木さんは「嬉しいです。実は先生に聴いていただいてると思うと緊張で震えが止まらなかったんです」と胸を撫でおろしていた。
それから吉木さんが「ケンシロウは自分にとって理想のヒーロー。こんな人は探してもみつからない」と嘆くと、原さんが「漫画ですから、探しちゃいけませんよ。(現実では)見た目が良くても中身が駄目だったりしますからどこか妥協しないと」とたしなめて会場から笑いを取った。
最後に吉木さんと原さんから『アニメ・DD北斗の拳』の放送を待っているファンに向けての挨拶が。
吉木さんは「まさに世紀末平和だった日本バージョンでのケンシロウたちの笑いに溢れた日常生活を描いております。すごく楽しいアニメになってますので是非ご覧ください。そして私が歌わせていただいております主題歌もポップな曲調になってますのでみなさんに楽しんで聴いていただければなと思います」、
原さんは「原作を描いた時は、核戦争が起きて人類が絶滅するといった設定で始まりましたが、30年経ってまだ平和でした。この平和な時代に合わせて楽しいギャグを盛り込んだ新しい北斗のアニメというのを確立出来たらなと思っています。その辺りは大地監督に面白く作っていただいているので楽しみにしていてください。よろしくお願いします」とそれぞれファンに呼びかけて、記者発表会を締めくくった。
<Text・Photo/ねりな>
●『アニメ・DD北斗の拳』オフィシャルサイト
http://www.ddhokuto.com/