『京まふ』イベントの感想もたっぷりと!『伏 鉄砲娘の捕物帳』寿 美菜子、宮本佳那子が作品について大いに語る!

By, 2012年10月29日



2012年10月20日(土)より全国公開された桜庭一樹原作の文芸春秋創立90周年記念作品『伏 鉄砲娘の捕物帳』。
9月23日(日)には『京都国際マンガ・アニメフェア2012』(京まふ)内のステージイベントでWEBラジオ『寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ!』の公開録音も行われ、多くのファンが集まった。
イベントを終えたばかりの浜路役の寿 美菜子さん、冥土役の宮本佳那子さんに作品についてステージでは紹介できなかった部分まで語っていただいた。

―まずは『京まふ』のステージの感想をお願いします。

浜路(※はまじ)役・寿 美菜子さん(以下、寿):『伏』という作品で取材を受ける機会が多くなったり、WEBラジオも始まったりした矢先のイベントで、しかもラジオの第一回の公開録音ということでしたので、拙い所もあったと思いますが、集まってくださった皆さんも優しく見守ってくれて。
関西地方の皆さんに『伏』という作品を知っていただけたかと思います。

冥土(※めいど)役・宮本佳那子さん(以下、宮本):『伏』のファンの皆さんとお会いするのは今回のステージが初めてだったのですが、皆さんとても元気で、ミナコシ(WEBラジオ内での呼び名)と一緒にステージを盛り上げられて良かったです。

―寿さんはちょうど誕生日が近かった、ということでバースデーを祝ってもらうサプライズもありましたね。

寿:まさか祝っていただけるとは思っていませんでしたのでビックリしました。佳那子氏(WEBラジオ内での呼び名)とはまだあまり一緒の時間を過ごしていなかったのに、このチョイス(※宮本さんからは白い犬の形をした帽子をプレゼントされました)というのもありましたし(笑)、ステージにゲストとして登場した日高里菜ちゃん(※ドラマCD『伏銀華と氷刀の猟奇録』の主人公・しの役)からも、ハンカチをプレゼントしてもらったので嬉しかったです。

―お二人の、お互いの印象はそれぞれどんな感じでしょうか?

寿:初めて会った時、私よりも年下の役を演じていた、ということもあって「年下の方なのかな?」と思ったら実は年上だったという衝撃の事実があったのですが(笑)、その幼さは本人が持っている無邪気さだと感じました。

宮本:ありがとうございます! 私は美菜子氏に最初に会った時の格好を覚えているのですが……。

寿:私も覚えてるよ!

宮本:バレエのチュチュのようなスカートはいてたよね! ミナコシは、その時はまだ未成年だったのですが、すごくキレイな子だな、と思ったのを覚えています。
今回『伏』で共演できる、と知ったときは、また会える、一緒にお芝居できるって嬉しかったです!

―宮本さんはダジャレが得意ということですが、その点については?

寿:今日のステージでも飛ばしていてビックリしました(笑)。

宮本:言おうかどうしようか迷ったんですけど、「当たって砕けろ!」と思い切って言ったら本当に玉砕しちゃいました(笑)。

寿:ダジャレを返すのって難しいんですよね。私の近くにもダジャレ好きな子がいるのですが(笑)、玉砕しないようにどうフォローを入れていけばいいのか? それが今後の課題です(笑)。

宮本:スベリ芸だということが分かってきたので、華麗にスルーしてくれれば大丈夫(笑)!

寿:分かった、見届けるよ(笑)。

―(笑)。ではそろそろ本題の方に入らせていただきます。では、まずは『伏』でお二人が演じている役柄の紹介をお願いします。

寿:浜路は14歳なのですが、山のことしか知らず、子供のままのような印象を受けます。
自然と触れ合ったり、狩りをしたり、そんな子が江戸に出てくるとまた知らない世界が広がっていて、そこを見てどのように成長していくのか? 男の子のような内面が女の子になっていく部分が物語では描かれています。

宮本:冥土はこの物語の書き手になります。今は、江戸の町で瓦版を売る、という仕事をしているのですが、お祖父さんの滝沢馬琴にとても憧れている女の子です。浜路と出会って彼女の世界も広がっていくことになります。
見た目はすごく引っ込み思案でオタクっぽい女の子です。

―映画の台本を読まれた時の率直な感想はいかがですか?

寿:色々な意味で重量感のある作品だと思いました。一つひとつの描き方がとても繊細ですので、心にくるシーンがたくさんあるので「とても重量感があるな」、と思ったのと、浜路目線での描かれ方も多いので、責任の重さも感じました。

宮本:一人ひとりが色々なことを抱えていて、「他の人とは違う」というコンプレックスを持っている人が多いのですが、それでも江戸という町で一生懸命に生きていく、という人々の力強さを感じました。それぞれが何かを抱えて生きているのは今の私たちも同じ。読み終わった後は前向きな気持ちになれました。

―監督とは世界観については話し合われましたか?

寿:江戸の町が舞台、という設定ではあるのですが、映像美を考えた時、「色鮮やかではない」ということで色を足していった時に、「これが現代や近未来であったとしてもありえるのではないか」という世界観にしていくことにした、という話はお聞きしました。

宮本:監督さんとは食事の時間など色々なシーンでお話をさせていただいたのですが、気さくな方で本当に色々なことを教えてくださって。裏設定なども満載で、どのお話も興味深かったです。

寿:自分たちが演じた以外の登場人物にも隠された秘密がいっぱいあるので、それが伝わる、伝わらないに関わらず「これがある」というのが重さとして必要だったと思います。

―登場人物で気になったキャラクターはいますか?

寿:今回、二日間アフレコ収録があったのですが、通していたのが私と佳那子氏と(道節役の)小西克幸さんだけだったんですね。ですから、全員の演技を見ているのは私たち三人だけだったのですが、キャスト陣も本当に豪華で。まだ声が聴けていないので早く聴いてみたいです。
収録を聴いていて面白かったのは(野島裕史さん演じる)徳川家定ですね。

宮本:そうそう、「実際にこういう人いる!」って思いました(笑)。

寿:どのキャラクターも「存在している」という感じがありましたので「立体的な作品だな、と思いましたね。

宮本:私は(水樹奈々さん演じる)凍鶴ですね。思わずウルウルしちゃいました。それと道節も好きです。最初は感動的な再会を果たしたのに、浜路が、道節に対して秘密を持ってしまい、距離感が出てしまって……。

寿:家族ってそういうのあるよね。浜路がそこで男の子っぽい部分が女の子に変わっていって。でも「兄妹の絆は深いんだな」というのは全編通して分かりますし、「二人は似ているな」というのも分かります。

宮本:誰を中心にして見ても楽しめるような作品だと思います。

―本作の主題歌はCharaさんが歌われていますが。

寿:一足先にサンプルCDを聴かせていただいたのですが、作中に使われている劇伴からのCharaさんの曲、ということで、全編通して「こういう作品なんだな」という色をそこで作って下さっていたので、お芝居は入りやすかったです。
作中のBGMでも和太鼓などが入ってきそうなシーンにあえてフラメンコで使用されるような曲を使ってみたりと、そのバランスが絶妙だな、と思いました。

―このシーンに注目して欲しい、という部分はありますか?

宮本:瓦版を売っているシーンでしょうか?
浜路が冥土に文句を言いに行くシーンがあるのですが、二人が初めてちゃんと会話をする場面で、私、とても好きなんです。

寿:普段から「この人とは趣味もタイプも違う」という人と案外仲良くなったりするのですが、それに近いものがあるんじゃないかと思いますね。

宮本:似ているところがあるかも知れませんね。浜路は山から下りてきたばっかりで友達はいなかったし、冥土も引っ込み思案だから……。どこか通じ合う部分があったのかもしれません。

寿:私は(宮野真守さん演じる)信乃が女形を演じるシーンですね。化粧をしているところで鼻歌を歌っているのですが、それが浜路が歌っている鼻歌と同じで。そこでもテーマである「繋がる」というのが表現されているんじゃないかと思います。

宮本:信乃と浜路のラストシーンもとても印象的ですよね。

寿:そう、最初から観ているからこそ、グッとくるものがあるのかも。

―ラストは女の子同士の会話、というのも作品らしさが出ていますね。

寿:監督が女の子の主人公を描いたことがないので、少女漫画を読んで研究した、という話をしていて。
恋愛要素も入りますが、女の子同士の友情も入れていきたいと言われました。

―ちなみに、お二人は少女マンガは読まれますか?

宮本:あまり読む方ではありませんが、キュンキュンするストーリーは好きです!

寿:私も普段あまり読まないですが、少女漫画ならではの空気感が好きです。作中でもキュンとくるシーンがありますし、男性が観ても人生物語のようなシーンがあって一つの物語になっているのがすごいですね。

宮本:アクションシーンもありますし!

―では、最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

寿:公開も近づいてまいりまして、ストーリーも徐々に明らかになって来ているかと思います。
劇場でその目で見て『伏』を感じて欲しいと思います。よろしくお願いします!

宮本:みんなが大事に作ってきた映画「伏」がついに皆さんに見ていただけること、とてもワクワクしています! 魅力的なキャラクターたち、彼らが生活している生き生きとした江戸の町、それにぴったりの音楽などなど、どこに注目してもらっても楽しめる作品だと思います。
町中にひそんで人を観察するのが好きな冥土のように、みなさんも映画のすみずみまで楽しんで頂きたいです。よろしくお願いします!

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

【映画概要】
映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』
10月20日(土)よりテアトル新宿ほかで全国ロードショー

<ストーリー>
猟師と獲物の間には、見えない糸があるという。祖父の死をきっかけに山を下りた、猟銃使いの少女・浜路。観るもの聞くもの初めてづくしのその町で、彼女は奇妙な噂を耳にする。人と犬の血を引き、人に化けて暮らし、人の生珠(いきだま)を喰らう<伏>と呼ばれる者たちのこと。そして、彼らが起こす凶悪事件について。
居場所を探して彷徨う浜路は、やがて、犬の面をつけた白い髪の青年・信乃と出会う。架空の水都・江戸を舞台に繰り広げられる、まっすぐな少女の物語。

<スタッフ>
原作:桜庭一樹
監督:宮地昌幸
脚本:大河内一楼
ビジュアルイメージ:okama
人物設計:橋本誠一
音楽:大島ミチル
主題歌:Chara「蝶々結び」

<キャスト>
浜路(はまじ):寿 美菜子
信乃(しの):宮野真守
冥土(めいど):宮本佳那子
道節(どうせつ):小西克幸
船虫(ふなむし):坂本真綾
凍鶴(いてづる):水樹奈々
馬加(まくわり):神谷浩史
徳川家定(とくがわ いえさだ):野島裕史
滝沢馬琴(たきざわ ばきん):桂 歌丸
住職(じゅうしょく):竹中直人
世四郎(よしろう):劇団ひとり
ほか

●Webサイト
http://fuse-anime.com/
●映画『伏鉄砲娘の捕物帳』公式Twitterアカウント:@fuse_anime

(c)桜庭一樹・文藝春秋