By, 2025年9月24日
「N-Roach」と「グミ山」によるミクスチャーボカロユニット・キツネリ。2021年に結成し、以降「聴いたことのあるようなないような感じ」を目指した楽曲の数々で、ボカロファンに衝撃を与えてきた。
このたび、待望のファーストフルアルバムが25年10月8日(水)にリリース! 既存の人気ナンバーやアレンジバージョンに加え、新曲もたっぷり収録。
さらに11月22日(土)には思い出のライブハウスでリリースイベントの開催を控えている。アルバムやパフォーマンスの場を控えた2人にお話をうかがってきた。
―まずは、キツネリ結成の経緯を教えていただけますか?
グミ山さん(以下、グミ山):元々大学が一緒で、そのころボカロがちょうど流行っていたので「一緒にやる?」と僕のほうから声をかけたのがきっかけです。
N-Roachさん(以下、N-Roach):本当に軽い気持ちで始めたので、まさか事務所に所属し、なおかつアルバムがリリースできるとは思いませんでした。
―アルバムリリースが決まったのは、事務所に所属したことも大きいと。
グミ山:そうですね。極端な話、曲の弾数と元手があれば、いつでも作ることができますから。
個人だとなかなか動くタイミングがなかった、というのが主な理由でした。
―(笑)
ところで、キツネリというユニット名はどのようにして決まったのでしょう?
グミ山:僕らに強い想いや信念があって結成したことが始まりではなかったので、名前を決めてくれるサイトを使って、耳心地のよさそうなものを採用しようと思いまして。
N-Roach:最初に出てきた言葉はすでに使われていたので、改めて試したところ「キツネリ」という言葉が出てきたんです。すぐ「これ、いいじゃん!」ってなりました(笑)
―「First Contact」というタイトルに関してはいかがでしょう?
グミ山:記念すべき最初のアルバムですし、「First」というワードは絶対入れたい、というのはありました。宇多田ヒカルさんの「First Love」や、松浦亜弥さんの「ファーストKISS」など、自分の好きなアーティストのファーストアルバムにも「First」というワードが入っているのも理由の一つです。
N-Roach:あとはジャケット写真のデザインを考える際、イメージしやすいワードのほうがいいだろうな、と。
グミ山:「First Contact」は「未知との遭遇」のような意味でも使われますし、ジャケットに描かれたキャラクターも“人外”っぽさを感じますし「これはジャケットにしやすいのでは?」と思いながら、このタイトルにしました。
―そんなジャケットのイラストはDEPPAさんが描かれています。
N-Roach:キツネリの「X」のアイコンを描いてくださった絵師さんなのですが、「今回もぜひ!」とお願いさせていただきました。
グミ山:各法人共通特典では店舗でジャケットとはイラスト違いのステッカーが付いてきますので、こちらもぜひご注目いただきたいです!
―普段楽曲制作されている上で、意識していることはありますか?
N-Roach:「ポップスを作ろう」という想いは、共通認識としてずっとあります。専門的な知識がなくても聴く人が楽しんでもらえるようには意識して作っていますね。
グミ山:あとは「いまこういうボカロが来ているから、そうじゃないことをやってみようかな。」みたいな、逆張り……ではないのですが、ほかの人があまりやらないことをしようという想いはあります。
N-Roach:グミ山は、体調やスケジュールによって波があるんですよね。せっかく素晴らしい曲が出来上がろうとしているのに、日が変わると「これ、違うな」といって没にすることも珍しくないんです(苦笑)
グミ山:曲が出来上がってから「どうやって作ったんだろう?」と思うこともあって。「偶然の産物」がたくさんあります。
―制作はどのような過程で行われているのでしょう?
グミ山:僕が「元」となるトラックを作ることが多いですね。仮のメロディが出来上がった段階でN-Roachに渡して歌詞を書いてもらったり、メロディを修正してもらったものを受け取って、それを手直ししてまたN-Roachに渡す……という流れで制作していきます。
最近はだいぶ早く作れるようになってきましたが、昔は1曲作るのに3~4か月かかったりしてました。
N-Roach:先ほどのグミ山の話にも通じますが、自分がすごいノッている状態でも、相手のバイオリズムの関係でなかなか進まなかったり……というのはよくあります。
グミ山:事務所に所属してからは、そういうことがあってはならないので「締め切りを作ってください」とお願いしているのですが、守るのが大変なんですよね……(苦笑)
―アルバム発売日やイベントの日取りは決定していますし、これから追い込みが大変だと思いますが、頑張ってください(笑)
ここからは収録曲についておうかがいします。「1KWYL(イチズケンコウワットエバーユーライク)」はタイトルの由来も気になります。
グミ山:アルバム用に書きおろした曲で「DJイベントやライブで盛り上がればいいな」、という想いを込めて作りました。
「セックス・ドラッグ・ロックンロール」というロックミュージックのテーマがあるのですが、その逆のような意味でタイトル付けをしました。
N-Roach:いつもグミ山から来る曲の“エネルギー”を感じて、それを参考に詞を書くようにしているのですが、この曲はいわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」要素も加えています。
キツネリはいつからか“冷笑”と戦うようなことを言い出すようになったのですが(笑)、「何も気にせず、思い思いに楽しんだ方がいいんじゃない?」というメッセージに変え、この曲で歌っています。
―「HYPERMARKET」はお2人にとって、とくに大事な曲だとか。
グミ山:はい。僕らの曲を聴いてもらえるきっかけになった曲なので、2トラック目に持ってきました。
N-Roach:「お偉い方たちが人々を掌握している……みたいな憶測が飛び交う世の中だけど、自分たちには関係ないじゃん」というメッセージを曲にしました。
「スーパーマーケット」ならぬ「ハイパーマーケット」という、願えば何でも買えるような架空のお店があるとして、そこで自分が本当に満足できる物(こと)を探しましょう」、ということを詞にしたためたのですが、グミ山がいい感じに整えてくれました。
―N-Roachさんは、いわゆる哲学系の本を読む機会も多いそうですね。
N-Roach:はい。ときたま「この歌詞は、こういう思想のもとに書かれたのでは?」という鋭いコメントをくださるファンの方もいて、ビックリします。
―「タイガーサイダー」は冒頭のエフェクトから楽しむことができます。
N-Roach:この曲もアルバム用に制作しました。ディープ・ハウスと呼ばれる音楽ジャンルがあるのですが、そのなかに「アップルサイダー」という曲がありまして。その曲をオマージュしてタイトルを付けました。
グミ山:タイトルを先に決めてから作り始めたのですが、本当は明るい路線にしようと思ったものの、バラード調の曲が出来上がりまして……。つくづく、狙ったものが作れないな、と(笑)
冒頭に「トラが吠えるような声」を入れているのですが、サイダーの音は使い古されているので敢えて入れなかった、というこだわりもあります。
―「MaDiVA(マディバ)」は切なさも感じる、メロディアスなナンバー。
グミ山:ドワンゴさん主催のボカロファンの祭典『The VOCALOID Collection』(通称『ボカコレ』)に参加させていただく際に作った曲です。
「HYPERMARKET」や「▷コンティニュー」などをみなさんに聴いてもらうきっかけになったイベントで、今回も「この曲で何かを伝えたい」というよりは「この曲でみんなと盛り上がりたい!」という想いを強く持って作りました。
N-Roach:ほかの収録曲に比べて歌詞も遊ばせていただいたのですが、最近は意外に突拍子がない歌詞の曲って少ないんですよね。
この曲はぜひ歌詞カードをご覧いただきたいのですが、「神保町」という文字は全パーツをバラバラにできるんですよね。そこに昔のネットミームも絡めて歌詞にしてみました。わかる人には思わずニヤリとしていただけると思います。
―「そゆ感じか」は、冒頭からインパクトが抜群です。
グミ山:ライブで楽しくノれる曲が作りたいと思い、制作しました。ダンスミュージック要素も取り入れつつ、2人が打ち合わせでよく使う「そゆ感じか~」をそのままタイトルにしました。
時間などの制約で諦めて「もう、そういう感じでOKかな……」みたいなときに使っています。
N-Roach:僕らの仕事に対するスタンスが詰まっているワードかもしれません。
―「▷コンティニュー」もお2人が世の中に知られるきっかけになった楽曲だとか。
N-Roach:少し前に「親ガチャ」という言葉が流行ったのですが、「親ガチャに勝った人生って果たして面白いのか?」と考えることがありまして。ゲームに置き換えると「最初から強い状態で始めて、面白いの?」ってなるんですよね。
その想いを詞にしたためたつもりなのですが、この曲を作った当初はまだ手探り感が満載で、グミ山にだいぶ添削してもらった記憶があります。
いま思うと、後の「HYPERMARKET」につながっていくような詞になっているな、と。
グミ山:表現が難しいですが……ちょっとドロッとしていますね。
―「変身 - 2025 rework」は21年に発表された「変身」を生まれ変わらせた1曲。
グミ山:アルバム収録曲のなかで一番古いのが「変身」です。僕ら2人とも好きな曲だったということもあり、作り直すことにしました。
N-Roach:当時はトラックをもらって、思うがままに詞を書いたつもりだったのですが……。これも「▷コンティニュー」と同じく、いろいろと至らないところが残っていますね(苦笑)
グミ山:ともあれ、昔から応援してくれているなかで「この曲が好き」と言ってくれる方が多いので、生まれ変わらせようということで。
N-Roach:「変身」がまさにそうですが、グミ山が作るトラックは、恋愛を感じる曲が多いです。
―「contact love」はBPMが遅めの、ゆったりしたナンバーになっています。
グミ山:アルバム収録曲を並べてみると、ゆっくりした曲があまりないので、こういうジャンルのナンバーも入れてみようと思いまして。「アッパーソングではないほうのアンセム」を目指して作りました。
「love」というワードを入れると、曲に“主人公感”が出る気がするんです。
N-Roach:最近グミ山が得意としている「少年時代の恋愛」をイメージした曲作りが反映されていますね。
―「大ニュース - album mix」もアルバム収録に向けてリミックスされたナンバーとなっています。
グミ山:初期に作った曲で、好きだと言ってくれる方も多いのですが、音があまりよくないということで、クオリティをアップしつつ、せっかくなので新たなアレンジも加えさせていただきました。
N-Roach:外国では「What’s new?(最近どう?)」というあいさつがあるのですが、「面白くない毎日を送っているように見えて、実は面白い」ということを伝えるため、少し説教めいた歌詞を書いています。
―ラストトラックの「HYPERMARKET - tofubeats remix」は音楽業界で幅広く活躍しているtofubeatsさんの大胆なリミックスで生まれ変わりました。
グミ山:「誰にリミックスをお願いしますか?」と聞かれたとき、真っ先に思い浮かんだのがtofubeatsさんでして。僕は元々クラブミュージックが好きで、tofubeatsさんの曲もよく聞いていたので、即答でしたね。
上がってきた曲も言うことなしで「これだ!」と感激しました。
N-Roach:グミ山がDTMを始めるきっかけになったようなアーティストですし、さすがだな、と。
グミ山:「HYPERMARKET」の原型を残しつつ、クラブで聴いていて楽しい楽曲になりましたね。
―10月12日(日)に東京・大手町三井ホールで開催される「VOCAROCK PARTY!」への参加が決まっています。どのようなステージにしたいですか?
グミ山:実は今回初めてフルバンドで楽曲を披露させていただきます。当日までにたくさん準備をする予定なのですが、当日はお客さんの気分で聴き入ってしまうかもしれません(笑)
参加メンバーも豪華ですし、普段あまり人前で演奏しない方もいるので、レアなステージをぜひ楽しみにしていただきたいですね。
N-Roach:楽しい祭りにできるようがんばります。
―11月22日(土)には東京・下北沢MOSAiCで「ネリぐる」の開催が決定しています。
本公演への意気込みもお願いします。
グミ山:下北沢MOSAiCは、僕らが初めて映像という形ではなく、リアルな姿でライブをやった会場なんです。
こちらは僕らとサポートギター・キーボード、ゲストボーカルという座組で行います。僕ら主催の公演なので、ある程度自由にやらせていただく予定です。
ゲストのなみぐる君も、いろいろと仕込みを考えていると思うので、ドキドキしながら待っていただきたいです。
N-Roach:ライブグッズも鋭意制作中なので、こちらも楽しみにしていただきたいですね。
<インタビュアー/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
【アルバム概要】
『First Contact』
2025年10月8日(水)発売
レーベル:クラウドナイン
価格:3,300円(税込)
【先着特典】
「First Contact」特別仕様ステッカー
※特典はなくなり次第終了となります。予めご了承ください。
【収録楽曲】
01. 1KWYL
02. HYPERMARKET
03. タイガーサイダー
04. MaDiVA
05. そゆ感じか
06. ▷コンティニュー
07. 変身 - 2025 rework
08. contact love
09. 大ニュース - album mix
10. HYPERMARKET - tofubeats remix
☆各種オンライン予約サイトはこちら
https://kitsuneri.studio.site/album_reserve
【ライブ概要】
■VOCAROCK PARTY!
2025年10月12日(日)
開場 16:00 / 開演 17:00
【会場】大手町三井ホール(東京)
https://otemachi-hall.jp/access.html
【出演】
伊根、小ノ寺 空 / Δ、キツネリ、てにをは、みきとP
☆チケット詳細はこちら
https://l-tike.com/vocarockparty/
■キツネリ&なみぐる 冬の特別コンサート『ネリぐる』
2025年11月22日(土)
開場 18:00 / 開演 18:30
【会場】下北沢MOSAiC(東京)
https://mu-seum.co.jp/
【出演】
キツネリ、なみぐる with ずんだバンド
☆チケット詳細はこちら
https://tiget.net/events/421477
【プレゼント】
キツネリさんの寄せ書きサイン色紙を1名にプレゼント!
ご希望の方は『れポたま!』公式「X」@repotama(https://twitter.com/repotama/)をフォローし、当該記事のポストをリポストしてください。当選者にはDMにてこちらからご連絡させていただきます。
応募締め切り:2025年10月17日(金)23:59まで
◆注意事項◆
◎ご応募いただいた方の中から、厳正な抽選の上、当選者を決定いたします。
◎当選者様にはXのDMにてこちらからご連絡させていただきます。落選の場合のご連絡は致しません。
◎当選の権利を第三者へ譲渡することはできません。
◎当選者様の住所不明、転居先不明、長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
◎応募受付の確認、当選・落選についてのご質問は受け付けていません。
◎賞品のお届け先は日本国内に限らせていただきます。
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