話題のご当地アニメに音楽で彩を添える 『とーがね!おまつり部』栃野みのり役・工藤晴香、主題歌「おどりゃんせ」を手がけた出口 遼 インタビュー

By, 2022年8月12日



千葉県東金市を舞台にした“ゆるアニメ”『とーがね!おまつり部』(以下、『とーがね!』)。「スタッフ&キャストに予算の殆どをつぎ込んだ」“動か(け)ないアニメ”として話題を呼んでいる本作。現在YouTubeで好評配信中だ。
故郷の東金市に戻ってきた女子高生・栃野みのり。彼女を中心に、衰退した東金駅西側の商店街を「おまつり」で再び盛り上げようと「おまつり部」の5人が奮闘する青春ストーリーとなっている。
今回は物語の主人公・栃野みのり役・工藤晴香さんと彼女が歌う主題歌「おどりゃんせ」を手がけた出口 遼さんに楽曲と作品について語っていただいた。

―お2人は今回、初めてお仕事されたそうですね。

工藤晴香さん(以下、工藤):事前に出口さんのSNSをチェックしたら共通の知り合いがいて、ご一緒できるのを楽しみにしていました!

出口 遼さん(以下、出口):レコーディングと第1話の収録が同日だったんですよね。レコーディングが先で。
レコーディングでは「練習をすごくしてきてくださったな」と感動したのを覚えています。
作った側から言うのもなんですが、「おどりゃんせ」は正直メチャクチャ難しい曲だと思います。なのにちゃんと歌いこなせていたのが本当にすごいな、と。

―出口さんはどのような経緯で楽曲制作することになったのでしょう?

出口:元々知り合いだった和田プロデューサーから「お祭りソングなんだけど、切なくも感じられるような曲をお願いします」とオーダーを受けまして。
また「街の発展が東西で分かれていて…」等、初期プロットから内容を聞いていて、歌詞に反映させて欲しいというオーダーも。

―工藤さんは最初に楽曲を聴いたとき、どう感じました?

工藤:「難しい曲がきたな」と思いましたが『とーがね!おまつり部』にマッチしたメロディラインだと思いました。
出口さんがおっしゃったとおり、アニメのプレスコより先にレコーディングが行なわれたので、みのりのキャラクター付けは「おどりゃんせ」で行なった感じですね。

―レコーディングとプレスコ、同日に行なうのは大変だったのでは?

工藤:いえ。レコーディング後、のどが温まった状態で収録に臨めたので、むしろよかったです! みのりも作中ずっとテンションが高いので、このやり方が正解だったんじゃないかと(笑)

―歌う上で大変だったところは?

工藤:譜割(音符に対しての歌詞の付け方)ですね。どこで息継ぎをすればいいのか悩みましたし「これは勢いでいったほうがいいな」という部分もあったりして。
あとは、お祭りをほうふつとさせるフレーズが多いので、自分がお祭りに参加しているような気持ちで歌うように心がけました。

―歌詞を書くうえで参考にされたところは?

出口:参考に……ということではないかもしれませんが、わらべ歌の成分を念頭に作成しました。
それと「乱世」や「なんせ」など、韻をたくさん踏んでいるんですよね。それが歌詞を覚えにくい原因になってしまったのでは? と反省しています……。

工藤:いえいえ、そんなことないですよ!

出口:実はディレクションしているときに、歌詞がごっちゃになることがあったんです。自分で書いたのに、ですよ(笑)?

工藤:そうだったんですね(笑)

―お2人が気になったフレーズは?

工藤:「明日のことは 寝て 起きて 明日考えりゃいい」です。私の性格にも通じるところがあるので(笑)

出口:実は歌詞のなかに東金の名所を散りばめてあるんです。ぜひ聴いて、調べてもらいたいですね。

―作詞にはどのくらい時間がかかりました?

出口:僕は普段、作詞と作曲をあわせて2時間以内に終わらせることにしているんです。
僕の場合、考えすぎてもいいことがないので、それ以上かかってしまった場合は1からやり直すようにしています。それこそ「明日のことは 寝て 起きて 明日考えりゃいい」精神ですね(笑)

―ところで、出口さんはレコーディング後のプレスコには立ち会われたのでしょうか?

出口:はい。見学させて頂きました。当日は、工藤さんたちの後の時間にやっさくん役の関 智一さんがいらっしゃると聞いて、ついつい職権濫用させていただき、その日の最後までスタジオにいました(笑)

―(笑)
ちなみに工藤さんは『とーがね!』の台本を読んでどう感じました?

工藤:「青春だな」、と。「私たち(高校生)だけでお祭りを復活させるのはとても大変だから」と、周りを巻き込んで実現させてしまうみのりは本当にすごい女の子だと思います。1つの目的に向かって突き進んでいくのは見ていて面白いですし、お祭りができなくなった理由もちゃんと語られているのでいいですよね。

―プレスコの思い出をお聞かせください。

工藤:鈴村展弘監督から「このセリフは歌うように演じてほしい」と言われたり、『仮面ライダー』の変身シーンのような叫び方を指示されたり……。ほかにも面白いディレクションを受けましたし「もっと指示してください!」と思いました(笑)

―印象的だったエピソードは?

工藤:最初に台本をいただいたとき「第1話と第2話、逆じゃない……?」と思いました。先に「お祭りを復活させるための作戦会議」のエピソードを持ってきて、そこにいたるまでの過程を第2話で描きたかったと聞いて「なるほど!」と。

出口:良い仕掛けですよね。僕も実はガヤで参加しているんです。第1話に登場するならず者のうちの1人を演じています。収録を見学していたらその場で言われたのでビックリしました。しかも、キャラクターの名前までつけていただいて……。貴重な体験をさせていただきました!

工藤:そう言えば現場で「出てくれない?」とオファーされているのを見ました。自由な現場ですね(笑)

―『とーがね!おまつり部』がきっかけで今年10月、地元のお祭り『日吉神社連合祭典』が久々に開催されることになりました。工藤さんのステージ参加も発表されていますね。

工藤:東金にはまだ行ったことがないので楽しみですし、8年ぶりの開催ですからね。地元も盛り上がっていると思うので、そのなかでイベントができるのはうれしいです。そして、作中に出てくる美味しい料理もたくさん食べたいです(笑)

―イベントでやってみたいことはありますか?

工藤:そうですね。浴衣を着るにはちょっと肌寒いかもしれませんし……(苦笑)
作品ファンだけでなく、地元の方々にも楽しんでいただけるようなイベントにしたいですね。

―ちなみに出口さんは出演される予定は?

出口:いやいや、僕はあくまで“裏方”ですから。もし行くとしたら、キャストさんたちが楽しくおしゃべりするのを客席で見てますよ。

―工藤さんの後ろでの演奏を期待するファンもいるのでは?

出口:ベースだけ演奏するんですか(笑)?

工藤:じゃあ私、マラカス持ちます(笑)

―最後に、メッセージをお願いします。

工藤:『とーがね!』は完結しましたが、彼女たちのスクールライフは続いていきます。みのりたちの活躍をもっと見たいので、アニメ第2期、劇場版として復活する日を楽しみに待ちたいです!
また、「おどりゃんせ」はカラオケで歌いたいですし、ファンの方もそれを願っているでしょうから、ぜひ実現してもらいたいですね。

出口:今回は主題歌と劇伴を担当、そして声優デビューまでさせていただいて光栄でした。
もし次があれば、全力で協力させていただきます!

【アニメ概要】

『とーがね!おまつり部』

■主題歌情報
OPテーマ『おどりゃんせ』
歌:栃野みのり(CV:工藤晴香)
作詞・作曲:出口 遼
編曲:出口 遼・飯田涼太

EDテーマ『東金タイムカプセル』
歌:TЯicKY
作詞・作曲:TЯicKY
編曲:マジョリカ・マジョルカ・マジカル☆ひもり(Jin-Machine)

■スタッフ
監督:鈴村展弘
シリーズ構成:塩味鷹虎
キャラクターデザイン:時庭 遊
プランニングマネージャー:中島弘道
音響監督・キャスティング:和田 拓
音楽:出口 遼・下田義浩
製作:とーがね!製作委員会

■キャスト
・栃野みのり:工藤晴香
・景勝ゆりか:岡本麻衣
・神代すばる:工藤ひなき
・菜花りあん:篠原 夢
・岡田いおな:葉月ひまり
・大神真也:半田健人
・やっさくん:関 智一

・岡田じんごろう:山崎 潤
・ナミカワ社長:永田裕志
・カミサマ:矢尾一樹

■アニメ公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCK-jbtrxChcAbFPasTamq4Q
■アニメ公式Twitter
https://twitter.com/togane_omatsuri