アニメやゲームなどの楽曲を多数歌唱し、自身も声優として活躍中のRitaがワークスベストアルバムをリリース! タイトルの「mercy」には「恵み」という意味も含まれている。いつも応援してくれるファンはもちろん、アルバム制作のうえで助けられた多くの人たちにも捧ぐ一枚だ。
―今回のアルバムを作ることになった経緯は?
Ritaさん(以下、Rita):2年前にも同様のワークスベストをリリースさせていただいたので「そろそろ新しいアルバムを作りたい」と思ったのが大きなところです。
最近は権利の所在があいまいな楽曲が増えていることもあり「早めにまとめていきたい」と思う楽曲を優先的にセレクトしました。
ありがたいことに、楽曲と関係のない会社の社長さんや、別作品でお仕事をご一緒したシナリオライターさんなど、全然違うところから助けていただくことが多かったですね。本当はブックレットに全員のお名前を入れたいくらい、ご協力をいただきました。
―『mercy』というタイトルはどこからきているのでしょう?
Rita:「音楽を聴くと心が豊かになるよね」というところから、「神様の恵み」というような壮大な意味合いでつけたのですが、先ほどお話したとおり、制作のうえでたくさんの方の力を貸していただけたということで、それ自体が私にとっての「恵み」なんじゃないかという意味も後付けで加えたいです。
―ブックレットのテーマは?
Rita:ダークな感じから徐々に光が入ってくるようになり、最後は幸せな気持ちで終われるような、明るい曲調になるよう、グラデーションをつけた感じです。
セットリストも、最初は「影」から入り、だんだんと「光」を感じてもらえるような並び方にしました。赤と黒と白という、3色がパキっと映えるようなデザインにしていただきました。
―ジャケットも凝っていますね。
Rita:実はこれ、私なんです(笑)。イスはスタジオにあるものだったのですが、雰囲気がピッタリで。ポージングはいきなり最初に決まりました。カメラマンさんにはライティングもこだわっていただいたり。
―写真を見れば見るほど、撮影方法がすごく気になります。
Rita:私も詳しくは分からないのですが、特殊なカラーリングで、「カラーだけどモノクロっぽく映る」手法らしいです。特殊加工はしておらず、ライティングだけでこのような画が撮れるなんて、すごいですよね!
―ブックレットのコンセプトは?
Rita:ティームエンタテインメントさんと一緒にお仕事させていただくときは、アルバムのイメージについて事前にミーティングを開かせていただいているのですが、いつもだいたい同じ座組みで行なっていることもあり、ざっくばらんに色々なことを提案しやすいんです。私が持ってきた資料を元にコンテを描き表してしただいて、それをもとに撮影に臨んだ感じです。
―ブックレット内にも写真がありますね。
Rita:最後のページの写真ですが、スタジオ内でブロワーを使って風を起こしてもらったのですが、いい感じに風をなびかせるのが大変で……。一番苦労しました(苦笑)。ちなみに、周りの女性スタッフや歌い手さんからはすごく評判がいいので、うれしいです。
―ではそろそろ楽曲のお話を。「spiral of despair -resurrection-」はfripSideさんの楽曲にフューチャリングという形で参加されています。
Rita:アルバム収録のタイミングを逃してしまっていた楽曲で、ユーザーの皆さんからも「幻の曲」と言われていたナンバーです。あるとき、fripSideの八木沼悟志さんから「手伝ってくれない?」とお願いされ、参加させていただいたのですが、ちょうどこのCDのリリースと同じくらいのタイミングで先行発売されるコンピレーションアルバムに掲載されるという話も聞きましたので「よし、ここだ!」ということで入れさせていただきました。
―レコーディングのときのことは覚えてらっしゃいますか?
Rita:八木沼さんは「Ritaさんのいいところを出せればいいんじゃない?」と任せてくださっていたので、逆に「fripSide名前を汚すことはできない」というプレッシャーがかかりました(笑)。
曲自体は難しかったのですが、自由に歌わせていただけましたし、全体的にやりやすかったのを覚えています。
―続いて、ゲーム『彼女は高天に祈らない』からOPテーマ「quantum faith」です。
Rita:「quantum faith」は「KANOSORA」「World’s happy end」に比べると早めにレコーディングしたのですが、「quantum faith」に関しては歌詞も難しいですし、のどの調子もあまり良くなかったので、とても難しい環境のなかでレコーディングした記憶があります。
―「KANOSORA」はいかがでしょう?
Rita:最後にずっと「LaLaLa・・・」で歌う部分があるのですが、音がないぶん、どうやって「La」で表現しようか悩み、テイクも重ねた記憶があります。
―「World’s happy end」も「KANOSORA」と同時期に録られたそうですね。
Rita:『彼女は高天に祈らない』の曲って、歌詞がすごく難しいんです。ゲームの内容とリンクしているのですが、理解をしながら収録を進めていくのがかなり大変でした。この曲もしかりです。
―Ritaさんが作詞も担当している「厭穢欣浄」は、タイトルも歌詞も特徴的です。
Rita:主人公が「妖かし」で自分の仇敵を殲滅するのですが、ダークヒーロー的な側面もありつつ、かつ時代設定が大正末期ということもあったので、それを意識して文語調の詞にしました。
拍子がAメロ、Bメロ、サビと変わっているので、歌う上で混乱してくるような曲で。ライブで披露したことがあるのですが、お客さんのサイリウムを振るリズムが段々とずれていくのがすごく印象に残っています。自分でも「よく歌うことができたな」と思いました(笑)。
松本慎一郎さんの楽曲は、歌うのはすごく大変なのですが、組みあがってみたらすごくカッコいいんですよね。
―「Blue on Blue」もRitaさんが作詞されています。
Rita:この曲がOPに使用されている『サツコイ~悠久なる恋の歌~』はシナリオがすごく面白い作品で、「Blue on Blue」は「同士打ち」というような意味があるらしいのですが、爽やかなメロディラインに「闘い」のイメージをどのように載せるかが苦労しました。
レコーディングに関しては、歌詞ができあがっている時点で方向性が決まっているので、スッといけました。
―EDテーマの「悠久恋歌」の作詞もRitaさんが手がけられています。
Rita:曲名はゲームのタイトルから拝借しました。こちらも悠久のときを感じるバラードで、すごくお気に入りの楽曲です。
―「Hybris」はアルバム用に作られた新録曲です。
Rita:今回作曲・編曲を担当していただいたmyuさんはずっとお知り合いでしたが、なかなかご一緒するチャンスがなかったので、今回念願かなって楽曲を提供していただきました!
歌詞に関しては、ダークで救いのない世界観なのですが、実は「赤い靴」という童話をモチーフにしているんです。童話のなかで赤い靴は傲慢や怠惰の象徴として描かれているんですね。そこから色々とアルバムのイメージを膨らませてもらえると面白いかもしれません。
この曲はコーラスも造語になっていて、そこも注目していただきたいです。
―「運命がはじまる」と「透明な未来」はゲーム『ワンド オブ フォーチュン R2~時空に沈む黙示録~』のOP、EDテーマです。
Rita:「運命がはじまる」は、松本さんにしてはすごく素直な曲だな、と(笑)。詞もそうなのですが、ワンドの美しい世界観や、主人公からも感じる「色々な困難も乗り越えて行く力」のようなものを「運命がはじまる」と「透明な未来」どちらからも感じ取れます。私が元気を出したいときのテーマソングのような感じです。アルバムの曲順で言うと、このあたりから未来へ向けて光が差し込んでくるイメージになってきます。
―「刃に残るは君の面影」はアウトロの打ち込みが心地いいです。
Rita:曲のテーマが分かりやすく、スッと歌うことができました。でも、あまりにも違和感なく歌えてしまったため、ライブでも気持ち的に流すように披露してしまった感があるので、もう少し訴えるものを乗せられたら、と思いました。
歌詞もあわせて、聴けばどのようなゲームなのかが分かるような内容になっています。
―「君、繋ぐ空。」は人気ゲーム『ヨスガノソラ』のイメージソングです。
Rita:『ヨスガノソラ』ファンの方にも知る人ぞ知る楽曲になっているのかな、と思いまして。この曲は、権利関係の所在などを探し出すのに苦労しました。とあるプラネタリウムで開催したライブイベントで一度この曲を歌っているんです。あまりにもレアすぎる公演でしたので「いつか収録したい」と思っていました。
作詞担当のコツキミヤさんと作曲、編曲を担当された折倉俊則さんはこの曲でつながりが深くなったこともあり、とても思い出に残る楽曲です。いつかまたプラネタリウムで再演したいのですが、まずは場所探しからなので……(苦笑)。もし実現したら、この曲は必ず歌いたいですね。
―「エターナリペア」は疾走感をこれでもかと感じるナンバーです。
Rita:『俺サマのラグナRock』というゲームのEDテーマなのですが、声優としても参加させていただいていて、そのキャラクターのED曲なんです。ゲーム発売後、あまり早く収録してしまうと、クリアを目指している方に申し訳ないと思いまして間を置いての収録となりました。
聴いている分には耳馴染みがいいのですが、実際に歌ってみるとすごく難しかったですね。
―「ルージュの歓声」はヴォーカルの力強さを感じます。
Rita:折倉さんは「歌いたいように歌っていいよ」と任せてくださるタイプなので、なにも苦労しませんでした。私の声質を分かったうえで曲を書いてくださっているので、「頑張らないと歌えない」ということがあまりないです。松本さんの場合は逆に毎回変化球を投げてきて、歌う上では大変ですが、学ぶこともたくさんあります。それぞれの作家さんに色があるのはとても素晴らしいことですよね。
―Ritaさんは涼森ちさとさんと「し・ふぉ・ん」というユニットを組まれていて「C’est Parfait!/し・ふぉ・んBEST」も12月28日、『コミックマーケット97』で発売されます。
Rita:自分のなかではすごく楽しくやらせていただいていたユニットなのですが、3部作という形を取って3枚出したところで一旦終了したのです。そんなある日、とあるイベント会場でファンの方から「し・ふぉ・んのアルバム、再販しないんですか?」と聞かれたんです。「私の一存では決められないので、ごめんなさい」と返したところ、ある日ビジュアルアーツの馬場隆博社長から「再販するで!」と言われたんです。どうやらそのファンの方からコミケ会場で社長に直談判があったみたいで。そこからクリエイターのみなさんにも相談し、今回べストアルバムという形でリリースさせていただくことができました。
もちろん、同じようなケースで同じ行動をすれば必ずしも実現するわけではないのですが「熱意があれば何かが起こるかも?」というのが分かった出来事でした。
私も他のアーティストさんの「ワークスベストアルバム」をたくさん聴きたいんです。今回大変な思いをして楽曲を集めた経験もありましたが、こうして形にして残さないと、いい曲、名曲がどんどん忘れ去られてしまうと思うんですね。他のアーティストさんの楽曲も素晴らしい歌がたくさんありますし、皆さんがPCゲームソングのワークスベストを発表しやすいように、お互いに協力しあえる流れが業界内で今以上に生まれてくるといいな、と思っています。
<Text/ダンディ佐伯>
【CD概要】
『mercy』
2019年12月25日(水)発売
品番:KDSD-01037
¥3,000+税
<TRACK LIST>
01. spiral of despair -resurrection-(PCゲーム「痴漢専用車両2 ~報復の恥辱電車~」OP)
02. quantum faith(PCゲーム「彼女は高天に祈らない」OP)
03. 厭穢欣浄(PCゲーム「帝都飛天大作戦」OP)
04. Blue on Blue(PCゲーム「サツコイ~悠久なる恋の歌~」OP)
05. Hybris
06. 運命がはじまる(PlayStation®Vita用ソフト「ワンド オブ フォーチュン R2 ~時空に沈む黙示録~」OP)
07. 刃に残るは君の面影(PCゲーム「Vestige ―刃に残るは君の面影―」OP)
08. KANOSORA(PCゲーム「彼女は高天に祈らない」ED)
09. 君、繋ぐ空。(PCゲーム「ヨスガノソラ」イメージソング)
10. 悠久恋歌(PCゲーム「サツコイ~悠久なる恋の歌~」ED)
11. エターナリペア(PCゲーム「俺サマのラグナRock」ED)
12. ルージュの歓声(PCゲーム「ノブレスオブルージュ -Noblesse of Rouge-」ED)
13. 透明な未来(PlayStation®Vita用ソフト「ワンド オブ フォーチュン R2 ~時空に沈む黙示録~」ED)
14. World’s happy end(PCゲーム「彼女は高天に祈らない」ED)
●CD紹介ページ
http://www.team-e.co.jp/kdsd-01037/
【イベント概要】
☆観覧無料のミニライブ、CDジャケットサイン会を開催します!
1月11日(土)14:00~、16:00~
【東京】秋葉原 エンタバアキバ
https://www.wonder.co.jp/eakiba/
1月12日(日)13:00~、15:30~
【東京】ソフマップAKIBA①号店サブカル・モバイル館8F マップ劇場
https://www.sofmap.com/tenpo/contents/?id=shops&sid=akiba01
1月18日(土)12:30~、14:30~
東京・タワーレコード池袋店
https://tower.jp/store/kanto/Ikebukuro
1月25日(土)14:00~、16:00~
東京・タワーレコード町田
https://tower.jp/store/kanto/Machida
詳細は特設サイト、各店舗のHPをご覧ください。
●公式ツイッター
@Ritaco25
【プレゼント】
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