さまざまなアプローチで原点に立ち返り、吼えた“オガタ流”歳末ステージ 「緒方恵美 OGATAー1.0 ～禊2024～」レポート
緒方恵美、恒例となる年末ライブが2024年12月29日（日）、東京・浅草花劇場で開催された。
この日は、今回のライブグッズとして登場した『オガタザウルス』の全身着ぐるみ姿で登場。場内からは「かわいい～！」という黄色い声が（笑）
「猫踏んじゃった」を器用に弾き、場内から大歓声が上がった。
オーディエンスからの「もう一曲！」という声に応え、「エリーゼのために」を弾き始める緒方。すると、ギターの目木とーる、ベースのTABOKUN、ドラムの青山英樹、そしてキーボード・バンドマスターの岩瀬聡志と緒方を強力にサポートするバンドメンバーたちが登場！ 着ぐるみを脱ぎ捨てた緒方は、そのまま「Smells Like Teen Spirits」、「悪魔のkiss」、「Beat the Wings!」とアッパーソングで攻め立てていった。
最初のMCでは「みんなが『ザウルス』の姿だと、だれも演奏できないから、私が代表で着ぐるみ姿になりました」とおどけ、場内を笑わせる緒方。
過去のインタビューでも語られている、「幼少期に『バイエル』（フェルディナンド・バイエルが初めてクラシックピアノを学ぶ人を対象に作った、ピアノ奏法入門書）を習い始めて……」というエピソードにかけて、最初に「エリーゼのために」を披露したことを明かした。ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」は、そんな演出にピッタリの曲名ということでチョイスしたそうだ。
また、今回のステージはマニピュレーターが不在。「バンドならではの本来の音を楽しんでもらいたい」という希望も込めてセットリストを考案したとのことだ。
続くブロックでは「最近、私のことを知ってくれたみなさんにも『こんな曲を発表してきたことがあるんだよ』というのを知り、追従していただきたいです」と語り、静かに、それでいて力強い言葉で「breath」、手拍子にあわせて「Eros」、そしてライブでは欠かせないナンバーの1曲「Be My LADY」では客席にマイクを向け、笑顔で歌唱した。
お次のMCではバンドメンバーの紹介。体調不良のため、全員そろって満足のいくリハーサルができなかったことに言及しつつ、楽しい雰囲気も崩さないメンバーたち。目木は得意のおやじギャグを披露するなど、和やかな空気が流れた。
今回のライブのテーマは「原点回帰」ということで、「バンドサウンドにこだわるステージにしたい」という緒方の希望をかなえるために一番負担がかかるのが、おそらく岩瀬だそう。しかし「35～45歳くらいのころは『振り向けばヤツがいる』と言われるくらい、働きましたからね！」と意に介さない様子だった（笑）
頼もしいメンバーに支えられながら、続いてのブロックは「いま歌いたいと思って出てきたアニソンカバー曲」。石川智晶の「不完全燃焼」をリズムをとりながら、そして中島 愛の「神様のいたずら」をしっとりと歌い上げ、場内は温かい拍手の音で包まれた。
続いてのMCでは、2曲を選んだ理由が緒方の口から語られた。「神様のいたずら」は「24年はあまりに多くの仲間が旅立ってしまったから」。そして「不完全燃焼」に関しては「『不完全燃焼なんだよこのセッションは最初から 僕に主導権なんてなくて』という歌詞がこのステージにピッタリだから」と説明し、ドヤ顔を見せていた（笑）
緒方の、アーティストとしての方向性が決まるきっかけを与えてくれた、大事な存在・井上俊次氏（当時所属していたレーベル・ランティスの社長）。井上社長にピアノでセッションしてもらった想い出の曲「砂の城」、そして若手俳優たちとともに作り上げた朗読劇『銀河旋律-The Stardust Melody-』（緒方が立ち上げたTeam BareboAt Lab.が主宰）のテーマにちなみ「タイム・リープ」、「永遠駆動タイム・マシーン」と「タイムトラベル」を題材にしたナンバーを続けた。
客席からの優しいクラップに乗せて「My Dream＝My Will.」を歌い上げると、ここで急きょ中座する緒方。急きょ岩瀬が「師走の想い出」をテーマに場をつなぐことに。見事なアドリブトークで会場から笑いをさらっていた。
ライブはいよいよラストスパート！ 緒方の人生に大きな影響を与えたアーティスト・THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」でコール＆レスポンスを楽しみ、「Byo-doでいきましょう」で一年間たまりにたまった鬱憤を晴らし、「survival of the fittest」でシャウト、最後は「僕を放て」で会場が1つになった。
迎えたアンコールでは、「みんなと一緒に今年の最後を締めたかったから、いろんなところに無理を言って、準備をさせてもらいました」と明かす緒方。「来てくれてどうもありがとう」と感謝の気持ちを伝えると、場内から大きな拍手が上がった。
「『周りの人たちのおかげで生きていられるんだ』という実感が、年々大きくなっています」としみじみ語る緒方。「せっかくアンコールをもらったので、最後まで走るぜ！」と宣言。毎年恒例となりつつある洋楽カバーライブ「M's BAR」でも披露されている、クイーンの人気曲2曲を披露した。
「We Will Rock You」では、バンドメンバーと緒方がいまの気持ちを歌詞に乗せて披露。年末感も手伝い、ポジティブなワードが満載の言葉たちに客席は大盛り上がり！ さらに「今日、みんなここにいてよかったね。全員“勝ち組”だ！」という意味を込めて「We Are the Champions」を披露し、サビは客席全員と気持ちを一つにして歌唱した。
ライブも残すところあと1曲。「年末ライブは神田明神で開催されることが恒例となっていますが、今日は（悪いことやいやなことは）浅草寺が持って行ってくれるでしょう！ いやなものは全部ここに置いて行ってください！」と言い放ち、「Try Out, Go On!」を投下。首からかけたマフラータオルを汗で濡らしながらアツいステージを締めたのだった。
＜レポーター／ダンディ佐伯・文責（編集）『れポたま！』編集部＞
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