女性アイドルをテーマにした新感覚ボードゲーム『アイドルアライブ』が現在好評発売中!
個性豊かな6人のアイドルをステージ上で輝かせ、相手よりも早く、たくさんのファンを獲得したほうが勝利となる。またキャラクターのボイスは、いまをときめく人気女性声優が担当。ゲームに厚みを持たせている。
今回はゲームの生みの親であるSUSABI GAMESのかく氏、くま氏、さらにボイスキャスティングなどを担当した沼澤龍一郎氏にゲームの誕生秘話や魅力、今後の展開をお聞きした。
―まずはかくさんの経歴を簡単に教えていただけますか?
かく:私はもともとアプリゲームのエンジニアとして企業で働いておりまして、その後はコンシューマーゲームの事業戦略の仕事に携わってきました。会社に籍を置きながらも「自分でオリジナルのゲームを作ってみたい」という想いがずっとありまして。当時の同僚と『ボードゲーム』を本格的に作るために独立を決意しました。
2021年に発表した『HacKClaD (ハッククラッド)』を多くの方に支持していただきまして、手ごたえをつかんだんです。これを機に「SUSABI GAMES」のゲームを出版する会社を立ち上げ、22年初頭から『アイドルアライブ』の構想を練ってきました。
―くまさんはどのような仕事をされているのでしょう?
くま:私は「サウンドクリエイター」という肩書で、ちょうど前職を辞めたタイミングでかくさんに声をかけられました。自分もゲーム制作が趣味だったので、利害が一致した形ですね(笑)
―沼澤さんも声や音に関するセクションに関わられているそうですね。
沼澤:私は普段はアプリゲームのボイスディレクションをしたり、役者としても活動しておりまして、本作では「ボイスディレクター」として携わらせていただいています。
『HacKClaD』のときはゲームルール説明動画等のボイスディレクターとして相談を受けまして。今回もご縁をいただいた形ですね。『アイドルアライブ』ではアイドルたちキャスト陣のボーカルディレクションも担当いたしました。
実は3人とも「音楽バンド活動」の経験があり、そのつながりもあって一緒にお仕事をしている、という感じです。
かく:そして、本日は同席していませんが、本作のグラフィックデザインを担当している者がおりまして、基本的に私とくまとグラフィックデザイン担当の3人がメインのチームです。沼澤さんには作品づくりのパートナーとして業務委託の形で制作に関わってもらっています。
―アイドルを題材にしたボードゲームを作ろうと思った経緯を教えてください。
かく:僕が元々アイドルゲームのコンテンツが好きだったということもありますが、プロデューサーとしての視点でボードゲーム業界を考えたとき「アイドルをテーマにしたゲームには、まだまだ開拓の余地がありそうだな」と思いまして。
―『アイドルマスター』などのコンテンツから着想を得た、ということですね。
かく:はい。その上で、アイドルプロデューサーが見ている景色とライブステージを、ボードゲームとして卓上に再現したいと考えました。アイドルの人数は、ゲームシステムとして十分な面白さが担保できることと、ゲーム1箱で2人まで遊べることの2点を考え、基本セットでは6人としました。
また、本作のジャンルは『ボードゲーム』で、いわゆる『TCG(トレーディングカードゲーム)』とは少し違った立ち位置だと考えています。
『TCG』は「ブースターパック」と呼ばれるような別売りのカードパックを買って「レアカード」や「スーパーレアカード」をデッキに入れて強化していく……という遊び方が主流だと思うのですが、本作では最初からすべてのカードが手に入るんです。
カード資産やゲーム知識の量に大きく差が付かないので、友だちにも勧めやすく手軽に始められます。
―『ボードゲーム』と『TCG』の大きな違いはどこにあると思いますか?
かく:1つは、先ほども触れた手軽に始められる「とっつきやすさ」だと思います。お互いが経験者ではない前提で遊ばれるので、プレイのミスなどに寛容で教え合う文化があるのも特徴的です。
もう1つは、カードだけでなくボードやコマ、チップなどを用いた豊かな表現です。その世界をワクワクする盤面で彩ることができるのは、ボードゲームの大きな魅力と感じています。
―ルールに関してはどのように作っていかれたのでしょう?
かく:アイドルをテーマにしているので、TCG的な「殴り合い」は避け、ファンを介した「インタラクション(ルールが生み出す駆け引き)」を中心としたゲームデザインになっています。
「アイドル」と「ファン」という2つの大きな要素をゲームに落とし込みつつ、「あくまでもシンプルなゲームに」、ということを念頭に置きながら作っていきました。結果として、とてもユニークなゲームになったと思います。
―シンプルさを追求しつつ、面白いゲームを作るのは大変なのでは?
かく:確かにそうですね。最初からいろいろな面白さを詰め込もうとすると複雑になり過ぎてしまうので、まずはシンプルで面白い部分をつくり、そこに必要なだけの深みを付け加えていきました。
くま:テストプレイを重ねていくことで、改善点が浮き彫りになってくるので、そこからさらにブラッシュアップしていくイメージですね。
―プレイされた人からの声をお聞かせください。
かく:「『TCG』と比べてわかりやすいので、初心者にもやさしい作りになっているね」という声を複数いただいて。狙い通りでした!
―では、沼澤さんにはキャスティングについてお聞かせいただけますか?
沼澤:まずは6人から、ということで、性格やキャラクターはそこまで被らないと思ったんです。「このキャラクターならこのキャストさんが合いそうかな」みたいな形で提案しつつ、かくさんにも演技を聞いてもらいつつ……という感じで進んでいきました。
なお、今回は「主題歌を全員で歌う」ということが決まっていたので、声の調和と歌の調和、どちらも考えながらキャスティングしていきました。
―キャスティングするうえで苦労したところはありますか?
沼澤:苦労、というよりも「うれしい悩み」はありました。「この子にこの人でも面白い、全体のバランスを考えると……」みたいな感じで、キャラクターの特性を考えながら配役を考えていきましたので……。
―そして、本日いらっしゃらない成海七海さんがイラスト周りを担当された、とのことですが。
かく:はい。成海さんには私のほうから各キャラクターごとの特徴をお伝えし、描いていただきました。最初からとても高いクオリティでデザインをいただきましたが、キャラクターの内面やキャラクター同士の関係性を深掘りし、試行錯誤しながら一緒につくり上げていきました。。
アイドル6人の関係性を大事にしたいと思いましたので、そこは妥協をしたくないな、と。
―アイドルの身体的な情報に関しても、気を遣われているとか。
かく:そうですね。例えば「スリーサイズ」は敢えて公表しないようにしています。ボードゲームカフェなどのオープンな場には色々な年代や価値観の人が参加されるのですが、そういった場にも持ち込んで遊んでもらいたい、という想いが根底にあります。
くま:アイドルコンテンツとしてはよく見かける情報ですが、敢えて公表する必要は無いと考えました。
かく:『アイドルアライブ』だけでなく、『ボードゲーム』自体をたくさんの人に触れてもらいたいんです。文化が根付くためには2世代、3世代と世代を超えて遊べるのが重要だと思っていて。『ポケットモンスター』はその最たる例ではないかと思いますね。
―キャラクターの設定についてもこだわりがあるとのことですが。
かく:「属性」に頼ったキャラクターではなく、1人の人物として内面やバックボーンをしっかり作り込むことにこだわりました。「ツインテールならツンデレキャラ」、「黒髪ロングならクール」のような”お約束”も魅力的です。
しかし、そういった属性の集合でキャラクターを表現するのではなく、「こういう理由でアイドルになった」とか「将来こういう壁に直面するだろう」とか、過去や未来に関しても掘り下げ、厚みのある設定をつくっています。
―改めて『アイドルアライブ』の魅力はどこにあると思いますか?
沼澤:僕は『ボードゲーム』は正直あまり詳しくないのですが、登場キャラクターに声があって、さらに発売前からゲーム自体の主題歌があって……というのは聞いたことがなかったんです。すごく新鮮でしたし、本作の大きな魅力でもあると思います。
かく:先ほども一部触れましたが、本作はたくさんのこだわりを詰め込んで作られています。
例えば、ゲームで使用するアイドルの「厚紙フィギュア」の裏面にはアイドルの後ろ姿が印刷されているのですが、このためだけに後ろ姿のイラストを描いていただきました。この後ろ姿は少し暗い色味に調整しているのですが、これは「プレイヤーがステージの舞台袖から見ている」という想定で「逆光」を表現しています。
インタビューの冒頭でお伝えした「アイドルプロデューサーが見ている景色」を再現できるよう、他にも様々なこだわりが入っています。
くま:制作メンバーは、普段からアイドルのライブに足を運んだり、演者としてライブステージに立ったりと、実体験で得たものが作品づくりに活かされています。そういった各要素の作り込みが生んでいる「没入感」が魅力と思います。
―細かいこだわりもファンにとってはうれしいですね。では、今後のビジョンを教えてください。
沼澤:自分は「業務委託」という形で関わらせていただいている立場なのですが、これからもボイスディレクションとしてキャラクターの魅力を増幅させていきたいです。
新曲はもちろん、YouTube等で「ボイスドラマ」を展開し、各アイドルを掘り下げても面白いんじゃないかな、と思っています。
個人的には「キャラクター設定」も読んでみたいです。どうやら表には出ていない“隠し設定”もあるらしいですし、あわよくば「ボツになった設定」も拝ませてもらえたら(笑)
くま:私は音楽周りの作業が多いので、音楽シーンにも進出してくれたらいいな、と思っています。
現在は主題歌「SPOTLIGHT!!」のみですが、今後はいわゆるキャラクターソングを発表したり、アイドルグループらしくアルバムも出していきたいですね。
かく:まだまだリリースしたばかりなので、ユーザーからの反応も踏まえてどんどん面白いゲームにしていきたいですね。
また、本作は単なる「面白いゲーム」に留まるつもりはありません。本プロジェクトの裏テーマは「ボードゲームの枠を超えて、ボードゲームの魅力を伝える」ことなんです。ボードゲームならではの体験を中心として、どんどん新しいチャレンジをしていきたいと思っています。ぜひ今後の展開にもご注目ください!
<インタビュアー/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
【ゲーム概要】
『アイドルアライブ』
好評発売中!
<ジャンル>
対戦カードゲーム(LCG)
<プレイ人数>
2人(多人数対戦ルールあり)
<プレイ時間>
15分~
<内容物>
・カード(63×88mm)……91枚
・カード(58×118mm)……6枚
・ダブルレイヤーボード……2枚
・厚紙フィギュア……6体
・厚紙チップ……16枚
・アクリルキューブ……4個
・プレイシート……1枚
・説明書……1枚
●『アイドルアライブ』公式サイト
https://www.idolalive.com/
●『アイドルアライブ』公式「X」
@idolalive
●『アイドルアライブ』公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@idolalive_official