By, 2024年1月18日
声優・今井麻美がVTuberデビュー! 新人VTuber・詩趣ミンゴス(ししゅみんごす)のお披露目配信が2023年10月27日(金)に行なわれた。
名前の由来は「趣味で始めたから(笑)」と明かす今井さんだが、彼女がVTuberとして活動することになったのには当然さまざまな“理由”があった。
今井さんに今回の経緯をたっぷり語っていただいた。
―そもそも、今井さんがVTuberに興味を持ったきっかけはなんですか?
今井麻美さん(以下、今井):もとをただすと「コロナ禍」がきっかけになったと思います。年末年始はイベントが軒並み中止になり、実家にも帰れないし、正直やることがなかったんです。
そんなとき、知り合いの(VTuberではなく)YouTuberさんに「一緒にゲームの実況配信をしてみない?」とお誘いいただきまして。
いま思うと、当時大活躍されていたYouTuberさんやVTuberさんがたくさん参加されていて、そこに“生身”の私がポツンといるような、ちょっと異常な状況でした(笑)
しかも、配信初心者の私は自分のチャンネルでは映像を映し出せず、「映像は●●さんのチャンネルでご覧ください」と誘導することしかできなくて……(苦笑)
見せられない個人情報が映りそうになったら段ボールや『フ●スク』のケースで隠したり、とにかくアナログの極致のような状態で配信したんです。
―参加者も衝撃を受けたでしょうね(笑)
今井:それはもう、そうだと思います(笑)
幸い、本コラボ企画は「真剣にゲーム対決をする」というよりは、「視聴者に楽しんでもらいつつ、共演者たちが新たなつながりを作る」という目的が強かったので、本当によかったです……。
その企画に参加されていたVTuberの柚原いづみちゃんが「ミンゴスさんのことも昔から好きだったんです」と言ってくださったのがすごくうれしくて。そのときの「ミンゴスさんが配信機材をそろえたら、また一緒に遊べますよね!」という一言が、私のその後を大きく変えました。
そのころ、ちょうど新しいパソコンの購入を検討していたので、後日いずみちゃんに「購入の際にアドバイスをもらえませんか?」とお願いしてみたら、とても親身になってくれて。そのとき紹介してくれた、VTuber仲間でパソコン周辺機器に詳しい兎鞠まりちゃんと3人で配信環境を整えていきました。
VTuberさんにとって、配信のための時間ってすごく大事じゃないですか。貴重な時間を削ってまで私のパソコン周りの整備に費やしてくださったのが本当にうれしかったです。
―かけがえのない仲間たちができましたね。
今井:まさにそのとおりです。でもそのときはまだ自分が「VTuberになりたい」という願望は生まれていなくて。
ある日、いづみちゃんとまりちゃんを『今井麻美のニコニコSSG』という私の番組にお呼びして、リスナーさんに「私たち、普段楽しく交流させてもらっているんですよ~」とトークをしていたら、2人から「ミンゴスもVTuberになっちゃえばいいじゃん!」と提案され、「やってみよう!」という気になりました。
もちろん、決して軽い気持ちで思ったわけではなく、今後2人を始めとしたVTuberさんとご一緒するとき、「迷惑をかけちゃいけない」とか「足を引っ張ってはいけない」という後ろめたい気持ちにどうしてもなってしまうという懸念もあったからでして。
―2人の本気度にも押されたそうですね。
今井:はい。後日ママ(絵師)になるなつめえりさん、パパ(モデラ―)になる人生つみこさんと、素晴らしい方々を紹介してくださったし、本当にありがたかったです。「お披露目会」ではRIOT MUSICのウエダダイシさんに配信をお任せしましたし、結果的にプロ中のプロの方々にデビューを支えていただくことになりました。
―アバターの姿を拝見しましたが、「裸足」に目が行きます。
今井:私は歌うときに裸足になることが多いので、それを詩趣ミンゴスにも反映させました。ほかにも企画会議でなつめさんに「こうしてください」といろいろリクエストさせていただいたのですが、「自分の好きなビジュアルってこうなんだな」と改めて知ることができました。
―そう言えば、VTuberには2次元の平面イラストをもとにした「2D」タイプと、3次元モデルをもとにした「3D」タイプがあり、「2D」を経て「3D」の姿になることが多いとか。
今井:そうみたいですね。でも今回は「ミンゴスは普段から歌うことも多いから、いきなり3Dデビューしてもいいんじゃない?」と勧められまして「じゃあそれでお願いします」ってなりました(笑)
―デビューまでの準備にはどれくらい時間がかかりましたか?
今井:「お披露目会」まで大体1年半くらいでしょうか? 私が「VTuberやります!」と宣言してからも結構経ってしまっていたので、もしかしたら忘れてしまっているファンの方もいたかもしれません(苦笑)
ここまで話してきたように、すごい方々のお力でデビューさせていただきましたので、そこからは「本当は大手VTuber事務所に所属しているのでは?」とか「どうやって個人勢VTuberさんとつながりを持てたんですか?」とか、いろいろと聞かれることが多いです(苦笑)
―いろいろ勘繰られても仕方がないようなデビューだったと(笑)
今井:知らず知らずのうちに、そうなってました(笑)
「個人勢」としてやっていくメリットはたくさんあるんです。企業に所属してしまうと、ファンのみなさんの詩趣ミンゴスに対するイメージが乖離してしまう気がして。私個人の判断ではできないようなことも増えてくると思いますし、自由度も下がってしまうと思うんです。
―VTuberとして活動することで、感じたことはありますか?
今井:人とのつながり、絆をこの歳になって痛感しました。いまではVTuberさんの出演するイベントに呼んでいただいたり、VTuber専門誌にインタビューをしていただけるようにもなりましたし。
―VTuberは、いまや日本……いや世界の一大コンテンツになっていますよね。
今井:私たち声優も「おしゃべりや歌や企画でファンの方を楽しませる」という大きなカテゴリでは一緒かもしれませんが、実際にVTuberの世界に触れてみると全然違うところも多々ありまして。
私はありがたいことに、声優のなかでは動画配信や生配信などに早めに携わることができたのですが、当時はまだ主流ではなかったこともあり「私、1人で何をやっているんだろう?」と感じることもありました(苦笑)
それでも「いつか絶対、この経験が生きるときがくる」と信じてやっていたら、いまでは声優のお仕事の1つとして当たり前になっているんですよね。いつの間にかトップランナーとして走っていたことに驚きを感じましたし、うれしさもありました。
―その経験が「詩趣ミンゴス」として活動することに重なると。
今井:はい。いま私が日々体験していることが、いずれかけがえのない経験として生きてくるんじゃないか? という予感はあります。「チャレンジしてよかった」と思える瞬間を感じられるんじゃないかと。
時代の最先端を行く人たちの感性や観点ってすごく刺激的で。そういう方たちから直接お話を聞くと、私も「行かざるを得ない」という気持ちになるんです。
「VTuber業界」の方々は、それぞれ夢や希望は違うと思うのですが、根底にあるのは「面白いことをしたい」という気持ちだと思うんです。その意志がモチベーションを高めたり、成長させる原動力になっているのを感じますね。
―10月のお披露目配信を振り返っていただけますか?
今井:ゲストの方を4人お呼びしたので(兎鞠まりさん、柚原いづみさん、人生つみこさん、なつめえりさん)、「できれば5人で掛け合いをしたいです」とお話ししたら、技術スタッフさんがすごく厳しい顔をされまして……。まりちゃんいわく「ボイスチェンジャーを使っていると、並んで表示することはできるけど、誰かの声が入らない、もしくは遅延で聴こえてしまう」らしいんです。
私が「何とかなりませんか?」とお願いしたら、スタッフさんにスイッチが入ったのか、すごい勢いで機材を動かし始めまして……。1時間くらい経ち、スタジオで試しに掛け合いをしてみたら、問題なくやり取りできたんですね。「プロフェッショナルとはこういうものだ」というのをまざまざと見せつけられ、感動しました!
―配信では、詩趣ミンゴス名義の新曲「just save me」が披露されました。
今井:実は、曲の制作は少し前から決まっていたのですが、その過程でちょっとしたトラブルがありまして……。編曲の作業がギリギリになってしまったんです。
多くの方に支えられているありがたみを感じていたので、「デビュー日には絶対に間に合わせないと」という使命感にかられまして。人脈をとにかく使いまくり、いろんな方に頭を下げてお願いした結果、引き受けてくださる方が見つかったんです。「人生、何をおいても人脈だな」と感じた瞬間でした……。
―「just save me」は作詞を担当されているそうですね。
今井:はい。タイトルも私が考案しました。「save」はゲーム用語でもある「セーブ(データを保存する)」というところからきています。詩趣ミンゴスは、いろんな偶然が重なって生まれたデジタルキャラクターという側面もあるので「私はデータだから、早くセーブしないと消えちゃうんだよ」と訴えかけるような気持ちを込めています。
―お披露目会のメインスタッフは昔からの知り合いだとか。
今井:先ほど少しお話したRIOT MUSICのウエダタイシさんは、以前音楽関連でお世話になっていた方なのですが、そこのグループ会社(株式会社Brave group)ではVTuberのモーションキャプチャースタジオを運営されていて。「お披露目配信のためにスタジオをお借りしたい」とお願いし、無事に使用許可をいただきました。
この前、彼の事務所に所属する2.5次元アーティスト・長瀬有花さんのライブが東京・恵比寿にある「LIQUIDROOM」で行なわれたので、配信を拝見させていただきました。
最初は2次元の姿で歌っているのですが、ライブの途中で生身の身体で曲を披露されたんです! しかも生バンドのメンバーも2Dの世界から飛び出してきたかと錯覚するパフォーマンスをされていて。言葉で説明するのが難しいのですが、どちらも長瀬さんに親和性があって、ち密な世界観を表現されているからこその演出だと思いました。
「こういう世界もアリなんだ!」と思いましたし、生身の私と詩趣ミンゴスの融合の可能性を大いに感じましたね。
―詩趣ミンゴスとして、どのように立ち居振る舞いすればいいのかの指針が定まったと。
今井:はい。でも、1つ誤算だったことがありまして……。
私、「もしかして、ステージでは楽ができるんじゃないか?」という考えを何となく持っていたんです。詩趣ミンゴスは歳を取らないですし、メイクの必要もないですから。でも実際やってみて、実は真逆だったことに気が付きました。
詩趣ミンゴスは、私がモーションキャプチャー用のセンサーを付けて動かすのですが、思い描いているとおりに彼女が動いてくれなくて……。手足を大きく動かしたり、わかりやすい位置に持ってきたり、髪の毛に干渉しないような動きをしないといけないことがわかってきたんです。
―そんなに大変なんですね。自分も素人考えで、「生身に比べたら意識すべきことが減るのでは?」と思っていました。
今井:実際は1曲歌い終えるのに、3曲分くらいの体力と精神力を消耗するんです。3~4曲歌っただけなのに、フルマラソンを完走したくらい疲れました……(苦笑)
ちなみにお披露目配信を観た、昔からのファンの方は、動きで私だとわかったみたいで。「バレるんだ~!」とビックリしました。「いつかダンサーさんに代わりに踊ってもらおう」と邪な考えを持っていたのですが……(笑)
VTuberはトーク力、歌唱力、PCの知識、そして動きの意識など、たくさんのスキルが必要だということを身をもって知りました。バーチャルの世界のほうがむしろ「人間力」が問われるような気がします。
―ちなみに今後の配信予定は?
今井:お披露目が終わってから週に数回は配信していこうと計画していたのですが、体調不良やら何やらでなかなか時間が取れず……。一度控えてしまうと、配信のタイミングを測りかねてしまうんですよね。
でも、そんななかで「コラボしましょう」と声をかけてくださるVTuberさんもたくさんいて。本当に感謝しきりです。
―アーティスト・詩趣ミンゴスとしての活動に関するビジョンはあるのでしょうか?
今井:そこはかなり不透明な部分がありまして……。私の所属している音楽レーベルはかなり寛容で「今井麻美」名義の曲を詩趣ミンゴスとして歌えるような環境なのですが、新曲となるとまた話が違ってくると思うんですね。
事務所も含め、もし何かお仕事につながるような話がきたときは、柔軟に対応していければと思っています。
―VTuberと言えば「突発的歌枠」など、突発的な配信も魅力の1つかと思いますが、そういったこともありそうですか?
今井:私が機材を使いこなせれば、理論上は可能です。技術が身に着けばぜひやりたいとは思っているのですが、そこまで到達するのにどのくらい時間がかかるか、ですよね……(苦笑)
あとは近隣のお家から苦情が来ないか、とか。クリアしないといけないことがたくさんあります。
―今井さんは山口県周南市(旧・徳山市)出身です。同じ山口県出身の記者としては、VR世界の「ネオ・トクヤマ」で詩趣ミンゴスが凱旋ライブ! みたいな展開を期待しているのですが……(笑)
今井:それ、いいですね(笑)!
この前、周南市を中心としたサブカルイベント「萌えサミット」に地元出身声優として出演させていただいたのですが、いま思うとすごいことだな、と思いまして。
私が周南市に住んでいたころはアニメ雑誌を買ってきて、キャラクターを切り抜いて下敷きにこっそり貼って……みたいなことをしていたのですが(笑)、次第にご近所さんや親せきに「麻美ちゃん、声優として頑張っているんだね」と言われたり、若い子から「声優のなり方」を聞かれたりするようになりまして。すごく誇らしい気持ちになったんです。
もし機会があれば、ぜひ「凱旋」したいですね。あわよくば詩趣ミンゴスとして「親善大使」や「観光大使」も狙っていきたいです(笑)
―来年2月18日(日)開催予定のバーチャル音楽フェス「Virtual歌伝2024」への出演が決まりました。
今井:徳井青空ちゃんのVTuber活動時の「徳井V青空」ちゃんや小岩井ことりちゃんなど、普段から仲よくしている声優仲間もたくさん出演されますし、まだ見ぬ出会いも楽しみです!
―最後に、メッセージをお願いします。
今井:詩趣ミンゴスを始めるまではVTuberは遠い世界のことのように感じていたのですが、これまで生きてきた世界と親和性が強いことがわかりました。そのうえ、自分がやりたいことを体現できるんですよね。
「なんでいま、このタイミングでVTuberになったの?」と聞かれることが多いのですが、その答えは「好きなことを形にできる楽しさがあるから」です。
若い子たちにはいつも「何をするにしても『何が好きか』ということが一番大事で、一番強いことなんだよ」と話しているのですが、この歳で自分が実体験することになるとは思いませんでした(笑)
いきなり派手なことはできないと思いますが、今後さまざまな企画や活動でみなさんを楽しませていければと思っておりますので、温かい目で見守ってもらえたらうれしいです。
「詩趣ミンゴスって、あのミンゴス?」と聞かれたら「そう、“あの”ミンゴスです!」と自信を持って答えさせていただきます(笑)
<インタビュアー/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
【ライブ概要】
声優とVtuberが、《アニソン》という名のタスキを駅伝形式でつないでいくバーチャル音楽フェス
「VIRTUAL歌伝2024~次元をつなぐアニソンのタスキ~」に詩趣ミンゴスが出演決定!
2024年2月18日(日)18時~
●ライブ公式サイト
https://utaden2024.com/
●ライブ公式「X」
@utaden2024
☆詩趣ミンゴスの配信、動画はYouTube「今井麻美のミンゴスちゃんねる」にて公開中!
https://www.youtube.com/channel/UC8eWMHlOOWI09UMT2zwmAzQ
●今井麻美 公式「X」
@asamingosu
【プレゼント】
詩趣ミンゴスさんのサイン色紙を1名にプレゼント!
ご希望の方は『れポたま!』公式X@repotama(https://twitter.com/repotama/)をフォローし、当該記事のポストをリポストしてください。当選者にはDMにてこちらからご連絡させていただきます。
応募締め切り:2024年3月1日(金)23:59まで