稀代の音楽クリエイターギルド、その全貌に迫る!「月蝕會議」エンドウ.、楠瀬タクヤ、Billy、キリン インタビュー

By, 2023年6月23日



2023年は月蝕會議が熱い!
人気の歌い手・Souをはじめ、「超人的シェアハウスストーリー 『カリスマ』」、『美少女戦士セーラームーン』、さらにミュージカルグループ「×純文学少女歌劇団」といったバラエティに富んだアーティスト・コンテンツに楽曲を提供! 全員が作詞・作曲・編曲家であり百戦錬磨のアーティストでもある、前代未聞のバンド形態の音楽クリエイターギルド・月蝕會議。今年3月からは「毎月連続配信企画」を敢行している。
第1弾として、アニメ『最強陰陽師の異世界転生記』第3話エンディングテーマとして起用されたSouの「月夜のタクト」をセルフカバー。そして第2弾「たゆたう花」、第3弾「Avec toi」、第4弾「アシメトリー」の3曲はゲーム『終遠のヴィルシュ -EpiC:lycoris-』の関連楽曲となっている。
6月15日(木)に結成6周年を迎え、24日(土)には記念の「生配信イベント『6周年記念 月蝕會議の作曲會議』」も予定されているなど、忙しい日々を送るメンバーのなかからエンドウ.さん、楠瀬タクヤさん、Billyさん、キリンさんを直撃! たっぷりと話をうかがってきた。

―現在、「毎月連続配信企画」が絶賛進行中です。

エンドウ.さん(以下、エンドウ.):ありがたいことに、昨年から今年にかけてたくさんの楽曲オファー、それもタイアップ案件をいただきまして。「これだけのご縁をいただいているのだから、できるだけ短いスパンで発表できたらいいな」と思いましたところ、結果的に「連続配信」という形になりました。

楠瀬タクヤさん(以下、タクヤ):コロナ禍で仕事がかなり制限されてしまったなか、月蝕會議のもとに依頼を多くいただき、年間プランを立てられたのは大変ありがたかったですね。

Billyさん(以下、Billy):エンタメ業界がいままでの遅れを取り戻すかのように動き出したなかで、月蝕會議にもたくさんのオファーが届いていることに感謝しています。
アニメやゲーム、映画、舞台音楽と、僕らの音楽を聴いてくださった方々に認めてもらえているようでうれしいです。

キリンさん(以下、キリン):私は月蝕會議のボーカルとしてたまたまここにいるだけで、それ以上でもそれ以下でもないのですが(笑)、みなさんの前に立つことがあれば、MCもこなしてみせます!

エンドウ.:MCが苦手なメンバーが多いので、そこは本当にお願いね(笑)

キリン:あ、質問に答えていませんでしたね(笑)
いままでは他のアーティストに提供した楽曲をセルフカバーする形が多かったのですが、今年に入ってからは「月蝕會議に担当していただきたい」というオファーが増えてきまして。
「私の歌も評価していただけているのかな?」と思うと、素直にうれしいですね。

―ここからは、1曲ずつ掘り下げていただけますか? まずは「連続配信企画」の第1弾「月夜のタクト」(セルフカバー)からお願いします。

エンドウ.:元々はSouさんに提供させていただいた楽曲なのですが、その人気にあやかった結果(笑)、話題になりました!

Billy:楽曲を作るうえで「バンドの匂いも出しつつ、Souさんの魅力をいかに引き出せるのか?」を模索しました。

タクヤ:セルフカバーの際はバンドアレンジをしたので、久々にバンドセッションができて楽しかったです!

キリン:オリジナルバージョンとはだいぶ違った雰囲気になりましたし、私も歌っていて楽しかったです。

エンドウ.:Souさんは元々、ネットに自分の歌を投稿したところからキャリアをスタートされたので、そういったアーティストのリスナーの方々に、僕らは「演奏者の意地」のようなものを見せられれば、と思いながら作業しました。

Billy:ギルドメンバーたちは同世代の人間が多く、みんなオルタナティブロックに影響を受けていて。音楽に関しては向いている方向性が近いところがあるんですよね。
ビジネスライクではない、バンドとしての音を作ったうえでSouさんに歌ってもらいたい、という意識はありました。

エンドウ.:アニメ『最強陰陽師の異世界転生記』のエンディングテーマとして起用していただけたことは本当にありがたかったです。
それと、キリンにまつわるレコーディングエピソードがあるのですが、レコーディングでパートごとにテイクを録ったあと「最後にもう一回、通しで歌ってみていいですか?」と言って歌ったテイクが一番の出来で。「いままであれだけ録っておいて、なんでここで最高のテイクがくるんだよ!」と思いましたね(笑)

キリン:私は機材をいじることができないので、メンバーに加工なしの歌唱データを送っているんです。

エンドウ.:そうなんだよね。近年、音楽界ではさまざまな表現方法がとられるようになってきましたが、僕らは結果的に原始的な部分を大事にしていることになっているのかもしれません。そういう環境に身を置いて打ち込めるのはありがたいですね。

―第2弾「たゆたう花」からは、ゲーム『終遠のヴィルシュ -EpiC:lycoris-』関連楽曲として制作されました。

エンドウ.:ポイントは、第3弾「Avec toi」、第4弾「アシメトリー」とあわせて、すべてが「バラード曲」であるところです。

タクヤ:1人の音楽作家のところに話がきたとしたら「えっ、どうやって書きわければいいの?」と戸惑うんじゃないかと(笑)

エンドウ.:本作は「絶望」や「死」といったものがテーマになっているということで、こういうジャンルにはあまりなじみがないんです。ですので、普段は使わないコードを使って作業しましたね。

タクヤ:テーマをもらったとき、どういうアイデアが呼び起こされるのかが大事だと思いました。

エンドウ.:そうだね。あとは作品に関する資料も制作のうえで大きな武器になりました。たくさんの設定資料やシナリオなどをいただきまして。そのほとんどに目を通して、作品の世界観を頭に入れながら臨みました。

キリン:レコーディングはいつもブースの雰囲気作りから入るのですが、今回はとにかく暗くして、曲のなかに入り込むイメージで歌いました。
テーマだけ見ると「負」の感情しか沸き起こってこないと思われるかもしれませんが、実際は「その先にある光」も歌っていますので!
それと、あまり大きい声では言えないのですが、レコーディング当日は少し体調が悪くて……。でも、その歌声が奇跡的に曲の雰囲気にマッチしたんです。

エンドウ.:過去に生み出されてきた名曲の数々のなかにも、「偶然音が入り込んでしまった」というエピソードがそのまま伝説になることもあるから。素晴らしい出来事としてずっと語っていいと思うよ。

―ちなみに、キリンさんは普段はどのような心持ちで歌われているのでしょう?

キリン:実は、極力情報を淹れないようにしています。アーティストさんが歌われている曲のカバーの場合は、失礼のないように下調べをしますが、オリジナルの曲に関しては「本番中に調整をすればいい」というスタンスでやっています。
「ミュージカル女優」のように、どの曲の主人公にもなれるような気持ちで歌ってはいるのですが、言葉でどこまで伝わるか……(苦笑)

―ほかにも、いつもされている「ルーティン」があるとか?

キリン:はい。レコーディング前、いただいた歌詞を手書きで写しています。こうすることにより詞を覚えやすくなる気がするので。基本、歌詞を見ずにやっているので、歌っているときに感情が乗りすぎると歌詞を間違えることが多々あります(笑)

タクヤ:言われてみれば、よくあるね(笑)
「Avec toi」は、レコーディングからキリンの「ミュージカル女優」らしさが生かされていて、ディレクションしていて楽しかったですね。

キリン:私の基本的なレコーディングスタンスが、タクヤさんに合っているのかもしれません。
ちなみに、個人的に、「アシメトリー」のレコーディングが一番大変でした。

Billy:「たゆたう花」と「Avec toi」、どちらもいいバラードだったので、ちょっと違う角度から曲を作りたいと思ったんです。「キリンの狂気じみたところを引き出せれば」というコンセプトで作ったのが「アシメトリー」です。「クリックに合わせすぎず、自分のグルーヴで歌ってみて」というディレクションをしたのを覚えてますね。

エンドウ.:各楽曲でイニシアチブ(主導権)をとるメンバーが違うので、キリンはその都度さまざまな角度からディレクションを受けるんですね。それにしっかり応えられるのはすごいと思います。

キリン:Billyさんはとことん突き詰めるタイプ、タクヤさんはフィーリング重視、そしてエンドウ.さんは……。

エンドウ.:「放任タイプ」でしょうか(笑)? キリンは、こちらでとやかく言わなくてもちゃんと歌いこなせるので。全幅の信頼を置いてます!
文脈から察することができるかもしれませんが、今回の3曲に関しては、「Avec toi」がタクヤ、「アシメトリー」はBilly、そして「たゆたう花」は僕がイニシアチブを取りました。

キリン:3曲ともバラードなので、そこで違いが出せたかもしれませんね。

タクヤ:月蝕會議のギルドとしての強みが出ましたね。

―6月24日(土)には生配信イベント「6周年記念 月蝕會議の作曲會議」が行なわれる予定です。

エンドウ.:今回のメインテーマとして、「オトメイト完全新作ゲームのエンディングテーマの制作」があります。オトメイトさんの許可を得て「月蝕會議がいつもどのようにして曲を作っているのか」をお見せできると思います。

Billy:曲調は……バラードだっけ?

エンドウ.:どうだったかな……。僕らは当然、事前に資料はいただくのですが、基本的にガッツリと準備をして臨む……というスタンスはとっていないんです。「当日集まれば、誰かが何とかしてくれるだろうな」って思いながら現場入りしてます(笑)

タクヤ:例えるなら「調味料だけ持ち寄って、誰も食材を持ってきていない」、みたいな(笑)

エンドウ.:というのは冗談ですが(笑)、気楽な気持ちで制作できるのが僕らの持ち味だと思うので!

―今後に向けての目標、野望をお願いします。

エンドウ.:「超人的シェアハウスストーリー 『カリスマ』」に出てくる天堂天彦の「VIVA LA LIBERATION」をセルフカバーしたいです。人気曲ですし、女性ボーカルだとどんな雰囲気になるのか? すごく興味があります。
バラード曲が続いているということもあり、そろそろ逆方向に振り切った曲をやりたい、というのもありますね。

タクヤ:6周年の話に戻りますが、手掛ける楽曲の振れ幅が広くなってきた手ごたえは感じています。

キリン:私の野望は「武道館公演」ですね。

エンドウ.:野望がデカいね(笑)!
ちなみに、東京都足立区には「東京武道館」がありますから。何かしらの「武道館」を目指したいと思います(笑)

 

インタビューのあと、更に制作中の新曲のレコーディングに立ち会わせていただいたのだが、メンバーが真剣に、ときに笑いが起こりながら制作を進めていく姿が印象的だった。
下半期も、月蝕會議から目が離せない!

<インタビュアー・カメラマン/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>

【生配信概要】
「6周年記念 月蝕會議の作曲會議」
日時:6月24日(土)開演21:00(予定)

出演:月蝕會議
メンバー:エンドウ./ Billy/鳥男/楠瀬タクヤ

【配信】月蝕會議 公式YouTubeチャンネル(予定)
https://youtube.com/live/3kY5Ztn0uJo
※アーカイブ期間:6月24日(土)~7月1日(土)23:59まで
※無料で視聴可能。

【配信シングル概要】


Digital Single「月夜のタクト」
2023年3月31日配信

URL:https://gesshoku.lnk.to/TSUKI


Digital Single「たゆたう花」(Nintendo Switchソフト「終遠のヴィルシュ -EpiC:lycoris-」OPテーマ)
4月28日配信

URL:https://gesshoku.lnk.to/TYT


Digital Single「Avec toi」
(Nintendo Switchソフト「終遠のヴィルシュ -EpiC:lycoris-」EDテーマ)
5月26日配信

URL:https://gesshoku.lnk.to/AVT


「アシメトリー」
配信日:6月23日(金)

●ダウンロード リンクツリー
https://gesshoku.lnk.to/ASHITW

■月蝕會議 プロフィール
全員が作詞・作曲・編曲家であり百戦錬磨のアーティストでもある、前代未聞のバンド形態の音楽ギルド。それぞれのスキルと個性達を、”co-write(コライト)”の化学反応によって高次元でまとめ上げる。
「ももいろクローバーZ」、「Hey! Say! JUMP」、「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」「カリスマ」等への楽曲提供や、2019年7月にはEVIL LINE RECORDSのレーベルフェス「EVIL A LIVE」への出演、同年10月に代官山UNITで行われた初のワンマンライブをソールドアウトさせる等、多方面で活躍。2023年6月15日には活動6周年を迎えた。

■月蝕會議 official website
https://gesshokukaigi.jp/
■月蝕會議 official YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCq52Zb2INZDw77Ew6DN_xwQ
■月蝕會議 official Twitter
@gesshokukaigi