ボーカリスト、声優として活躍し、様々なヒット曲を世に送り出してきたRita。このたび活動20周年を迎えた彼女が、オリジナルアルバムを2枚組でリリース!
「Disc1」には20年間で出会ってきたクリエイターたちによる珠玉の6曲を収録。Ritaさんのこれまでの歩みを感じられる1枚となっている。
さらに「Disc2」にはこれまで歌ってきたアルバムのみに収録されたオリジナル楽曲を中心に振り返るトラック、さらに「Disc1」に収められた6曲の制作秘話を「ライナーノーツ」形式で紹介するラジオ番組風トラックを収録。さらに現在では入手困難となっているオリジナル曲「Jumpin’ Hoppin’ Brand New Days」も収められた豪華なアルバムに仕上がっている。
大阪でアルバム発売記念ライブを控えたRitaさんに聴きどころをうかがった。
―『Merkmal』の発売元であるティームエンタテインメント(以下、ティーム)さんとは、これまでどのようなお付き合いをされてきたのでしょう?
Ritaさん(以下、Rita):2007年に初めてお仕事させていただき、かれこれ15年になります。そこからコンスタントに作品を発表させていただいてます。「WORKS BEST」と呼ばれる、タイアップ曲を集めたアルバムには、美少女ゲームの主題歌・挿入歌を中心にオリジナル曲も収録しています。アルバムのジャケット写真の撮影およびレイアウト制作など、なにかとお世話になっていまして、足を向けて寝られないですね。
―アルバム制作で思い出に残っていることは?
Rita:ティームさんで発表した1枚目の『multiple』というアルバムは、たくさんのアヒルが印象的なジャケットになっています。実は撮影の当日、インフルエンザにかかってしまい、現場に行けず……。当時のA&Rさんが苦肉の策として作ってくださったのが、あのジャケットでした。インパクト抜群なので、ぜひ一度ご覧ください(笑)
―「Disc2」の「ライナーノーツ」でも語られていますが、別の撮影時には雨にも祟られたそうですね。
Rita:ティームさんの会社ビル屋上で撮影した「mighty!」のジャケット撮影の時は直前まで雨で、スタッフさんと苦笑していました(笑)
ですが次第に雨がやみ、無事に撮影することができました。
別の撮影ではいまでも忘れられないくらい、きれいな夕焼けを拝むことができましたし、高級アンティークショップを貸切にして、ドキドキしながら撮影をしたこともありました。カメラマンさんと話をしながら、面白い写真をたくさん撮らせていただきました。
―ティームさんとの思い出はたくさんあるようで。
Rita:いつもそうなんですけど、私が「そろそろアルバム出したいんですが……」とお願いしたら、大体「いいよ」と即答してくださるんですよね(笑)
本当にありがたいことです。
―今回のアルバムコンセプトもRitaさんから提案されたのでしょうか?
Rita:はい。「●周年記念アルバム」というと、これまで発表してきた代表曲を集めた「ベストアルバム」を制作するアーティストさんが多いと思うのですが、私は「ほかの人とは違うことをしたい!」と考えまして。私、いわゆる「天邪鬼」なところがあるんです……(笑)
「20年間で得てきたものを使ってどんな表現ができるだろう?」ということ、そして「これまで私とご一緒してくださったクリエイターの方は、私にどんな曲を歌ってほしいんだろう?」という2つのことに興味がわいたんです。
―アルバムに収録された6つの新曲は、そのような経緯で作られることになったんですね。
Rita:はい。「学びの蓄積を歌にどう生かせるか」という挑戦も兼ねて「オール新曲のアルバム」を制作しようと思い立ちました。
―『Merkmal』というタイトルにはどのような想いが込められているのでしょう?
Rita:ビジネス用語で「中間目標」という意味があるらしいのですが、今回のコンセプトにピッタリだと思いまして。
20年は区切りの年数ではありますが「そろそろゆっくりしたい」ということはまったく考えてないんです。これからも精力的に活動していきたいという、大げさかもしれませんが「決意表明」のような想いも込めています。
―6曲とも別々のクリエイターさんにご依頼されたそうですね。
Rita:はい! みなさん個性豊かで、すごい実力をお持ちの方ばかりです。6人それぞれにファンの方がいらっしゃると思うので、「Ritaのアルバム」以外に「“あの”●●さんが作ったオリジナル曲が聴けるアルバム」という見方もできるんじゃないかと。
―6曲に6人それぞれの想いがたっぷり詰まっていると。
Rita:そうですね。6曲に目いっぱいの力を込めています。
―「Disc2」の3トラック目「オリジナルソングスクロスレビューPart.2-Merkmal-」でも60秒という短い時間ですが、各ナンバーの紹介をされています。
Rita:各曲について、短時間でどれくらい語れるかを試したい、という興味もありまして、挑戦してみました(笑)
なお、1トラック目の「オリジナルソングスクロスレビューPart.1-Past Songs-」ではいままでティームさんで発表してきた「WORKS BEST」に収録されたオリジナル曲について解説しています。先に出ましたA&Rの中村さんから「せっかくだからラジオ番組風にやってみよう」とご提案いただきまして。長時間おしゃべりすることは苦ではないですし、飾らずに曲に対する想いを伝えられたと思います。
ちなみに、トークの内容や構成は私自身が行なっていて、自分でソフトを使って編集もしました!
―「Disc2」には「Jumpin’ Hoppin’ Brand New Days」も収録されています。
Rita:デビュー15周年を記念して制作をお願いした楽曲なのですが、自主制作だったため作った数が少なかったんです。そこで今回、単独のCDという形態ではないのですが「ボーナストラックとして入れよう」と思いまして。
―ちょうど買い逃してしまったファンにとってはいい機会ですね。
Rita:アーティスト活動を続けていると「最近ファンになったのですが、昔の曲が手に入らないんです」と言われることが結構あるんです。ゲームの「店舗特典」として作られたCDに収録された曲なんて、私の手元にすらないことがありますから(苦笑)
ティームさんのご協力もあり、コンスタントに「WORKS BEST」という形でタイアップ曲を集めたCDを出せるのは本当に幸せなことです。
―20周年を記念したLINEスタンプも好評発売中です。
Rita:「使いやすい」と友人からも好評の大阪&遠州弁のスタンプです。しかも今年の「流行語大賞」でトップテンに選ばれた「知らんけど」も入っているので、ぜひ使ってみてください。ちなみに発表される前に制作していたので、流行に乗っかったわけではありません(笑)
―12月3日(土)には東京(※終了)、24日(土)には大阪でアルバム発売記念ライブ「Rita 20th Anniversary Live -Merkmal-」が開催されます。
Rita:これまで本当に多くの曲を歌わせていただいたので、コンセプトごとにステージをわけたいと思いまして……。各会場2公演、計4つのコンセプトで開催することにしたら、膨大な数の曲を歌うことになりました(笑)
幸い近所にリハーサルスタジオがあるので、先日もそこで数時間こもって1人で練習しました。終電を気にしなくていいのは素晴らしいことです(笑)
ぜひ本番を楽しみにしてください!
―最後に、メッセージをお願いします。
Rita:長年PCゲームの主題歌もたくさん歌わせていただいてきましたが、これからはタイアップソングだけでなく、オリジナル曲もたくさん発表していきたいという目標があります。
今回の収録曲はすべてオリジナルということで、その取っ掛かりはできたんじゃないかと思います。これから私が作品をどう発信していくか、またみなさんがそれをどう面白がってくれるのか。自分なりに考えながら活動していこうと思っています。
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【全曲紹介】
1.「Laugh it up, Roll with it!」
「巫女みこナース・愛のテーマ」という「電波ソング」で有名なLoser Kashiwagi(柏木 るざりん)さんにお願いしました。同じ大阪出身ということで、デビューしたばかりのころからお仕事をご一緒することが多かったんです。とてもユニークな方で、私が「いまこんなこと考えてるんだけど」と話すと、いつもすぐ動いてくださいます(笑)
今回のアルバムのお話も絶対に乗ってくれるだろうという確信があったのでお願いをしたら、「いいよ」と即答していただきました(笑)
「巫女みこナース・愛のテーマ」のような、いわゆる「電波ソング」のような曲にするのか、ロックな感じのものにするのか迷っていたみたいで。「『るざりんはこういう曲も作るんだ』と思ってもらえるような路線でいってみたら? と話したらラウドロック風のカッコいい曲が上がってきました。
また、今回は私のほうから歌詞を共作しようと提案しまして。メールで4小節分くらいの詞を「文通」形式で送り合っていったのですが、詞が送り返されるたびに「こういう路線できたか!」と驚きがあって、面白かったですね。
るざりんのほうは、最初はシニカルで思わず笑ってしまうような詞になることを想定していたそうなのですが、「文通」の結果、歌詞の内容も強くて前向きなものに仕上がりました。
2.jamais vu
曲のタイトルは「ジャメ・ヴュ」と読みまして、「dejavu(デジャヴ)」の逆の意味らしいです。「デジャヴ」は「初めて訪れた場所なのにどこかで見たことがある」という現象を表しますが、「jamais vu」は「知っているはずなのに覚えていない、思い出せない」という逆の精神作用を指します。この言葉を知ったときにすごく興味を持ったので、ずっと温めていました。
細井そうしさんは私の2つのCVデビュー作のうちの1作で主題歌を手掛けておられたかたです。台本を読みながら細井さんの主題歌を聴いてしょっちゅう泣いていました。それくらい素敵な曲で……。そのころは「すごい曲を作るすごい人」という、雲の上の存在だったのですが、細井さんも同じ関西出身ということで直接お会いすることが叶うようになって以来、本当に親切にしていただいています。
以前、私のライブをご覧いただいた際、今回「運命のその先へ」を手がけてくださった松本慎一郎さんが作った変拍子の曲に大変興味を持っていただいて。そのとき「自分もあんな曲を作りたい」とおっしゃっていたのを私が覚えていたので「ぜひ猛烈に変拍子な曲で!」とお願いしたら、すごい曲が上がってきました(笑)
この曲を聴いたとき、不穏な雰囲気や暗闇を感じたので、いまこそ「jamais vu」を使うときだと思い、この言葉をテーマに歌詞を書きました。
ちなみに細井さんには「jamais vu」の話は一切していませんでした。私があたためていたものと細井さんが作られた曲がこれだけマッチしていることへの驚きがすごかったですね。
3.運命のその先へ
松本さんとは本当に長いお付き合いで、すべてお任せできるなと思って、ただ「曲を作ってください!」とお願いしました。そしたら「みなさんは多分カッコいい感じの曲を作ってくるだろうから、僕はピアノを使ったバラードでいくね」と自ら曲の方向性を定めてくださいました。
この曲からは「苦しいこと、つらいことがあっても、そこを越えていったらいいことがあるかもしれない」というイメージを感じたので、それをもとに歌詞を書きました。
デビューしてから20年、いいこともあれば悪いこともありましたが、困難があったとしても私なりにこうして歩いてこれたじゃないか、と思いましたので。
先日、とあるWEBラジオ番組に出演させていただいた際、リスナーさんから「まるで『パンドラの箱』ですね」というメッセージをいただいたのが印象的で。
「ギリシア神話」の有名なお話である「パンドラの箱」は、「好奇心旺盛なパンドラが、ゼウスからもらった箱を開けるとなかから辛いもの、悲しいものがたくさん出てきてしまった。でも、箱の底には『希望』が残っていた」……というお話なのですが、あまりにも素敵な例えだったので、思わず「これからはそういう風に説明します!」と乗っかってしまいました(笑)
4.Recurring Dreams
「Disc2」に収録されている「Jumpin’ Hoppin’ Brand New Days」と同じ、けんせいさんプロデュースの曲です。けんせいさんは「チュアブルソフト」(ゲームブランド)のゲーム主題歌をはじめ、ご自身でバンドも組まれてオリジナル曲も作られてきた方でファンも多いんです。
「Recurring Dreams」は日本語に訳すと「循環する夢」という意味で「夢が終わってもまた一周して新しい夢ができる」という内容になっています。けんせいさんには作詞もお願いしたのですが、詞を読んでいると「順風満帆ではないかもしれないけれど、夢はかなえられる」みたいな内容の歌詞が上がってきて、驚きました。「みんな私のことを観察してるなぁ~」と(笑)
すごくうれしかったですね。
5.空振
折倉俊則さんとは以前『星ノ雨』というコンセプチュアルアルバムを一緒に作った仲なので、曲が上がってきたとき、私のことをよく知ってくださっているのがわかりました。私好みのゴリゴリのロックが上がってきて、うれしかったです。
また、折倉さんは哲学的な歌詞を書かれる方なので、詞もお願いしたら、こちらはこちらで「苦しみの中からもう一度自分の世界線を目指すよ」という、けんせいさんとは視点は違うけどどこか共通するようなテーマの内容が上がってきまして。もちろんそれぞれの内容はお伝えしていませんし示し合わせていないのです。
何度も言いますが「みんな、私のこと見てくださってるな」としみじみ思いました。ライブ映えする曲ですので、今度折倉さんのギターと一緒に、みなさんの前で披露したいですね。
6.Amal
塚越雄一朗さんとは「Key」(ゲームブランド)さんのライブイベントでご一緒したことをきっかけに、私が原案を担当したサウンドストーリーCD『ナジュムの星空』に曲を提供していただいたり、ストーリー仕立てのライブでオリジナル曲を提供していただいたりとお世話になっています。
実はこの曲、ブルガリアンボイスのような四重コーラスを造語で歌っているのですが、この造語、元ネタがありまして。先に出た『ナジュムの星空』に使われている楽曲でも使用されているものなんです。
本作は、私が「裏方」として制作に携わった初めての作品で、キャストやクリエイター、様々なところにブッキングをかけて折衝を重ね、約1年かけて完成させた、思い出の作品です。同作には、もはやその世界の人間は誰もしゃべっていない「失われた言語」という設定がありまして、その言葉を曲のなかに入れ込みました。
また、物語上とても苦しい思いをする少年が出てくるのですが、彼がしっかりと前を向いて進んでいく姿をずっと想像してきました。ですので、塚越さんの今回の曲は「その少年の未来への希望」をテーマにするという隠れ設定を頭に入れながら歌詞を書きました。私の心のなかでは10年かけて少年を幸せにしたかったのです(笑)
11月にロットアップ(生産終了)してしまったのですが、『ナジュムの星空』をお持ちの方はぜひあわせて聴いてみてください。
<インタビュアー/ダンディ佐伯・文責(編集)『れポたま!』編集部>
【アルバム概要】
「Merkmal」
2022年12月7日(水)発売
3,300円(税込)
【Disc1】
1.Laugh it up, Roll with it!
2.jamais vu
3.運命のその先へ
4.Recurring Dreams
5.空振
6.Amal
07.Laugh it up, Roll with it!(instrumental ver.)
08.Jamais vu(instrumental ver.)
09.運命のその先へ(instrumental ver.)
10.Recurring Dreams(instrumental ver.)
11.空振(instrumental ver.)
12.Amal(instrumental ver.)
【Disc2】
1.オリジナルソングスクロスレビューPart.1-Past Songs-
2.Jumpin’ Hoppin’ Brand New Days
3.オリジナルソングスクロスレビューPart.2-Merkmal-
【ライブ概要】
「Rita 20th Anniversary Live -Merkmal-」
【大阪公演】
日時:2022年12月24日(土)
【大阪】THE LIVE HOUSE soma(心斎橋)
開場時間/開演時間:(昼公演)13:00/13:30、(夜公演))16:30/17:00
チケット:イープラスにて発売中
チケット価格:全自由 5,500円(1ドリンク別)
様々なジャンルの楽曲に果敢に挑戦してきたRitaの20年の足跡をたどるべく、4ステージ全曲かぶりなしでお届けします! お好きなジャンルでのライブをお楽しみください。
12月24日(土)
昼公演 ≪Charme Traditionnel≫ 民族音楽調の楽曲を中心に。オリジナル曲も多めで。
夜公演 ≪Exiting X’mas!≫ オールジャンル選曲でX’masの夜を盛り上がりましょう!
■Rita 20th Anniversary Special Site
https://ritarita25.wixsite.com/rita20th
■「Merkmal」試聴クロスフェードムービー
https://youtu.be/eWFw5wvw-S4
■Rita 公式サイト
https://rita-official.info/
■Rita 公式ツイッター
https://twitter.com/Ritaco25