2020年12月26日に神田明神ホールで緒方恵美がコロナ禍以来初となる有観客フルバンドライブ「禊2020-疫病退散!-」を開催した。
神田明神ホールは約一年前、秋葉原・神田明神下生まれの緒方さんが地元凱旋公演を果たした聖地であり、さらに佐咲紗花、橋本みゆき、AiRIら「緒方会」のメンバーも加わり「疫病退散」の願いを込めた熱いステージが展開した。
700人収容できる会場に200人だけの観客を入れ、全員にフェイスシールドを配布するなど感染症対策を万全に実施した上で開催された今回のライブだったが、緒方さんは一年ぶりとなる大人数での有観客ライブに気合十分!
ハードな立ち上がりの「再生-rebuild-」に続いて、キレのあるロックビートな振り付けの「can’t go back my mission」と、生バンドをバックに会場に響き渡る緒方さんの生声の迫力に、会場に駆けつけたファンたちは大よろこびだった。
笑顔いっぱいで「久しぶりだね! 今日は皆さんに会えて本当にうれしいです」とファンに語りかけると、「ガッツリいってみましょうか」と語り、「僕を放て」でさらに観客の心を熱くさせていく。また「Moon Revenge」「Get Wild」といったカバー曲も披露。歌い終わった後に「これで退勤したいと思います、『Get Wild』退勤?(笑)」といった昨年話題になった小ネタを繰り出して観客を笑わせるなど、無観客とは全然違うライブならではの雰囲気をたっぷりと楽しんでいるようだった。
MCを挟んでしっとりと「タイム・リープ」を聞かせ、続けて「ハッピーの誕生」を観客のクラップにのせて歌ってくれた緒方さんだったが、「もっとハッピーになって帰ってもらうぜ」と言うや、「緒方会」の構成員である佐咲紗花、橋本みゆき、AiRIの歌姫3人をステージに呼び込んでいく。
青、紫、オレンジというそれぞれのイメージカラーでコーディネートされたスケバン風セーラー服姿で登場してポーズをとる3人に会場は大きな拍手に包まれた。
そんな3人が歌ったのは「CAT’S EYE」。「私たちにピッタリな美人三姉妹」の曲と言いながら息の合った振り付けでノリノリに歌う3人に観客は大盛り上がりとなっていた。
ここからは、学ラン姿となった緒方さんも加わって「コロナ野郎をぶっ飛ばせ!」を合い言葉に、全員で「疫病退散」を祈念するコーナーがスタート。
その方法とは、コロナで「イラッとしたこと」を緒方会の構成員がそれぞれ語っていき、それを緒方さんの気合いの入った掛け声でぶっ飛ばしていくというもの。佐咲さんは「昨年デビュー10周年ということで毎月開催のライブを予定していたものの、自粛状態になりグッズがお蔵入りになってしまった」、続いて橋本さんが「コロナでスポーツジムに行きづらくなってしまい、やめたところ太ってしまった。緒方会のスカートがきつい!」、最後にAiRIさんが「家に一人でいると暗いので、週に一回花を買うようになった。その結果、花屋のお爺さんとは会話出来た。来年はもっと人に会いたい!」とそれぞれ「イラッとした」怒りのエピソードを発表。そのたびに太鼓の音とともに緒方さんの音頭で応援団風に「疫病退散!」「押忍!」と叫び、コロナへと打撃を与えていく。
最後に緒方さんが「全ての皆さんの元々の生活を返せや!」と怒りの声をあげて力一杯「疫病退散!」「押忍!」と叫んで、コロナ殲滅に向けて気合いを入れまくっていた。
ここでさらに(緒方さんいわく)緒方会のテーマ曲「魂のルフラン」にコロナ撃退の願いを込めて4人で熱唱。歌い終わった後「これで溶けただろう、コロナ野郎は」と満足げな表情を浮かべる緒方さんに、客席からは大きな拍手がおくられていた。
ゲストとのコーナーが終わると、コロナ禍の最中での仕事の大変さについて緒方さんが振り返っていくことに。仕事の手順も感染対策などもあって煩雑になったり、気持ち的にもキツかったりするだけでなく、作品の打ち上げが中止になっているらしく「本当にしんどい」と苦々しげに一言。自身が出演したドラマ『MIU404』についても、「参加できたことはとても幸せだった」ものの、打ち上げがなかったことがとても残念だったと肩を落としていた。
今回のライブではこのドラマ出演に関連する楽曲を歌いたいということで、制作チームつながりから、なんと米津玄師の「Lemon」を緒方さんがカバー。甘く切なく、それでいて強い意志を感じる緒方さんならではといった「Lemon」に会場のファンは酔いしれていた。
ここからはライブも後半戦へ突入。緒方さんはクライマックスに向けて自身が主人公・花子くんを演じたアニメ『自縛少年花子くん』のOPテーマ「No.7」を歌って会場の熱気を一気に高めていく。
さらに「鏡の国のアリス」「断鎖-break-」と続けざまに歌い上げると、観客の熱狂もついに最高潮に。さらに客席からの手拍子でのアンコールをうけて再びステージに登場すると、バンドメンバーであるキーボード・岩瀬聡志の伴奏にあわせて「約束するよ」を万感の思いを込めて歌い上げていく。切なく祈るような緒方さんの歌声に観客は静かに聴き入っていたようだった。
そんな緒方さんだが、二十歳の頃に恩師に連れて行ってもらって魅了され、それから35年間通っていたBARがコロナ禍によって突然閉店したという自身の悲しい出来事を引き合いに出しつつ、そこかしこで大事な人や場所が失われ、さらには「仕事を離れて辞めていく仲間がいるのが本当に辛い」と悔しい胸の内を語っていく。
「ずっとある未来なんてないんだっていうことを改めて感じました」と時折声を震わせながらも「とにかく生きて、みんなと一回でも多く機会を作って、エネルギーにしていただいて頑張っていけるようにやっていきたいと思います。みんなと明日を見たいです。一緒に楽しい体験をしましょう。機会を作るから。だから遊びに来てくださいね」と客席に向けて語りかけ、会場は温かい拍手に包まれた。
ライブもいよいよラストスパート。「このライブは明日につながります。そのために今日は楽しく最後までガッツリやって盛り上がって帰っていただきたい」と語るや、緒方さんは観客と一緒にタオルを振ったり頭の上に投げ上げなら楽しく「freedom」を歌って会場を盛り上げていく。
さらに「この日のために詩を書いた」と胸を張った「byo-doでいきましょう ‘20」を、緒方会の3人とハイテンションに大合唱。興奮冷めやらぬなか、「さぁ、宴は終わりだぜ! だから最後にもう一曲飛べ!」と観客を煽りながら緒方さんが「Try Out, Go On!」をパワフルに歌い上げていく。「生きててくれてサンキュー!」と語りかけるように歌う緒方さんの希望に満ちた歌声に、ファンの心は感動に満たされたようだった。
最後にステージに一人残った緒方さんだったが、感極まったのかタオルを顔に当ててしばらく動けずに立ち尽くすことに。一際高まる拍手に包まれながら、名残惜しげな表情を見せた後、緒方さんはマイクを使わず生声で「来年また生きて会いましょう。ありがとう!」と感謝の言葉を会場のファンに投げかけ、約2時間半のライブは大盛況のうちに終演を迎えたのだった。
<Text・Photo/川畑 剛>
☆ページ下部に写真一覧あり。
<セットリスト>
M01 再生-rebuild
M02 Can’t go back my mission
MC(short)
M03 僕を放て
M04 Moon Revenge(1cho)
M05 Get Wild
MC(メンバー紹介)
M06 タイムリープ
M07 ハッピーの誕生
MC(緒方会)
M08 CAT’S EYE(橋本みゆき・AiRI・佐咲紗花) 応援交換(疫病退散)
M09 魂のルフラン(緒方会)
MC(short)
M10 Lemon MC
M11 No.7
M12 鏡の国のアリス
M13 断鎖-breakENCORE
<アンコール>
EN01 約束するよ
MC(BANDメンバー呼込)
EN03 byo-doでいきましょう ‘20(全員)
MC
EN04 Try Out, Go On!(全員)
●緒方恵美 公式サイト
https://emou.net/
●緒方恵美 公式ツイッター
@Megumi_Ogata