今年でアーティスト活動10周年を迎える鹿乃の待望のニューアルバムが3月4日(水)発売! 数々のアニメソング、ゲームソングを手がけてきた田中秀和(MONACA)が全面プロデュース、すべての楽曲の歌詞を鹿乃が担当し、ボーナストラックとしてテレビアニメ『アズールレーン』EDテーマ「光の道標」が収録された豪華な1枚になっている。
―デビューから10年を振り返ってもらえますか?
鹿乃さん(以下、鹿乃):良いことも悪いこともたくさんありましたが、やっぱり2015年のメジャーデビューが大きかったですね。それがなかったら10年も続いていなかったと思います。
―メジャーデビューが決まったときのことは覚えてらっしゃいます?
鹿乃:はい。元々アニメがとても好きだったので、1stシングル「Stella-rium」が『放課後のプレアデス』という作品のOPテーマに決まったときは、すごく葛藤がありました。でも、やってみなくちゃ始まらない! という気持ちで、当たって砕けろ精神で臨みました。
結果的にそこから10年経ちましたが、そこからはもう、走り続けるしかなかったと言いますか……そのままの勢いでここまできました。
―田中秀和さん全面プロデュースはどのような経緯で?
鹿乃:まず最初にお話させていただきたいことがあるのですが、実は私、一度歌手を辞めようと思ったことがあるんです。「Stella-rium」の作曲をしてくださったsamfreeさんが志半ばで旅立たれてしまったのですが、生前「(曲再生数を)500万再生くらい目指そうか」とおっしゃっていて、それを達成し、私のなかで大きな目標がなくなってしまったんです。
「趣味でも別に歌は歌うことができるし、いっそのこと仕事としての歌は辞めてしまおう」という考えが浮かび、事務所の社長やマネージャーさんにも相談しました。私のなかでは“歌手”は「誰かに向けて歌を歌える人」という定義があり、いまのままだと歌手ではないな、と思ったんです。私が誰かに向けて歌える曲を考えたとき、2ndアルバム『アルストロメリア』に収録された「Linaria Girl」が「これが私の曲なんだ」と一番感じられた楽曲だったんですね。
そこで、同曲の作曲を担当してくださった田中秀和さんに「自分の曲探しを手伝ってもらおう」とお願いしたところ、快諾していただきました。お忙しいなかで引き受けてくださり、とてもありがたかったです。
―企画自体はいつ頃から動き始めました?
鹿乃:昨夏だったと思います。実際にレコーディングが始まったのが、今回のアルバムには収録されていないのですが、昨年11月にリリースした「光の道標」のカップリングナンバー「CAFUNÉ」からでしたので。アルバムタイトルの「yuanfen」にしても、元々「日本語にできない言葉を歌にしたい」というコンセプトから来ています。
―その「yuanfen」はどのような意味でつけられたのでしょう?
鹿乃:中国語で「縁、ゆかり、運命の糸で繋がれた仲」という意味です。日本語では置き換えることができない言葉なんですよね。
アルバム制作の際にキーワードにした「縁」に合うような言葉を探していたら偶然たどり着いたのですが、私は中国でも積極的に活動させていただいているので、ある意味すごく運命的でした。
―田中さんから収録曲はどのように送られてきたのでしょう?
鹿乃:田中さんからは事前に「この順番で、それぞれにこういう想いを込めた曲を作ります」とテキストベースで教えていただいたので、ある程度どんな曲なのかを想像しながらお待ちしていたのですが、実際に来た曲は想像を超え過ぎていました(笑)。
―ここからは渾身の9曲についてお聞きしていきます。リードナンバーの「午前0時の無力な神様」はポジティブさとネガティブさが同居したような歌詞が印象的です。
鹿乃:「神様」をテーマにするのは決めていたのですが、歌詞を書いているうちに「午前0時」というワードが浮かんできて。「日付が変わる、この時間が新たなスタートだよ」という意味を込めてタイトルにも持って来ました。
ファンから見たアーティスト、アーティストから見たファン、どちらも「神様」という言葉で表現できるというのが面白いな、というのもありますし、2番の歌詞をご覧いただくと分かりやすいと思うのですが『yuanfen』というアルバムの基礎となるフレーズがたくさん散りばめられています。
「前途多難」とか、一見ネガティブなワードも入っていますが、「苦労が多い人生だったけど、それが愛おしくも感じるし、醜くも感じるし。でも、私はいまを楽しんでいるんだ」というメッセージが伝わればいいな、と思っています。
―歌ってみていかがでした?
鹿乃:とてもパワーがあって、引っ張られていく感じがありました。田中さんにはこれまで3曲提供していただいているのですが、どの曲も歌っていてすごく楽しいんです。
―MusicVideoでは、おなじみの「ばんびちゃん」がキュートなダンスを披露しています。
鹿乃:10年間苦楽をともにしてきたばんびちゃんが、着ぐるみになって(18年)、バーチャルキャラクターになって、そして後ほどお話させていただきますが、等身大POPにまでなってしまった……驚きです(笑)。
担当していただいたスタッフさんに、事前に「彼女はこういう子です」というのをお伝えしたのですが、モーションキャプチャーやデザリングなど、MVを作る前の準備段階でかなりの時間と労力をかけていただいたので、制作陣のみなさんには感謝の気持ちしかないですね。
―今回の、ばんびちゃんの衣装のポイントは?
鹿乃:今回のイラストに関しては、私とイラストレーターの水玉子さん、そして衣装のデザインを担当してくださった、へちまさんの3人で決めたのですが、へちまさんがデザイン案を8種類くらい出してくださったんです。
デビューシングルの「Stella-rium」が星をテーマにしたものでしたので、星はどうしても入れたかったですし、「動いたときにふわふわしたらかわいいよね」とか色々と考えながらデザインを固めていきました。
衣装のところどころに星があったり、“縁”というテーマがあるので、ばんびちゃんのトレードマークの「赤いマフラー」を「赤いリボン」にしたり、中々に凝っています(笑)。
―MVの話に戻りますが、最後にばんびちゃんが踊っていた舞台は実はスノードームの中だった……という演出が素晴らしいです。
鹿乃:私自身、聞かされてなかったので「こうきたか!」と感動しました。「こんなちっちゃな世界で頑張って踊っていたんだ」って。
―こうして「バーチャルばんびちゃん」が誕生しましたし、今後の活躍の場も広がりそうですね。
鹿乃:はい、バーチャルの身体でしかできないようなこともたくさん挑戦していきたいです。早着替えもお手の物ですし(笑)。
―では2曲目の「光れ」に参りましょう。
鹿乃:私が「歌手活動を辞める、辞めない」と葛藤の中にあったときのことを思いながら作詞した曲です。私には歌う才能ははっきり言ってないと思うんです。それでも歌い続けたいと思っている私の「音楽にすがりつきたい気持ち」をタイトルにも込めました。「光」を使ったほかの案も色々と考えたのですが、「光れ」が切実な想いを表現できたので、一番しっくりきました。
メロディ自体はとてもおしゃれで、自分の強い想いを込めた歌詞で歌っていることもあり、すごく歌い甲斐がありました。
―「yours」は切なさを感じるナンバーです。
鹿乃:この曲は「腐れ縁」をテーマに詞を書こうと思って、臨みました。私にとっての腐れ縁は、音楽やファンのみなさんだな、と思いまして。「みんなは『私のことが、歌が好き!』と言ってるけど、ほかの子にも同じこと言ってるよね?」って(笑)。そんなメッセージが込められていることに気づく人ってどのくらいいるのかな? とワクワクしながら書きました(笑)。
―「KILIG」はフィリピン語で「めまいがするほどドキドキする」香水を指す言葉でしょうか?
鹿乃:私が純粋に「音楽に恋をしている」という気持ちを歌詞にしました。初めて私がお小遣いをためてCDを買ったのが9月だったので、詞に「September」って入れさせていただきました。
みなさんにとっての初恋が「KILIG」で表現できてれば、と思うくらいの歌詞の浮かれっぷりに自分でも「やかましいわ!」と思ってしまいます(笑)。
―「聴いて」サビでの訴えかけるような歌い方が印象的です。
鹿乃:感情を抑えながら歌いつつ、最後に感情が爆発するように歌おうと意識しました。歌詞自体に自分の感情を込めていますので、歌っているうちにアツくなりすぎてしまったところもあったりして……。
「この曲を聴いたら私の気持ちが分かるでしょ?」と思い、タイトルもストレートに「聴いて」にしました。
―「漫ろ雨」(そぞろあめ)は、しとしとと降り続く長雨の意味だそうですね。
鹿乃:何かが生まれるのって、誰かが動き出したときだと思うんです。逆に言うと「誰かがきっかけにならないと生まれない」ということで。それを歌詞にしました。映画のワンシーンを思い浮かべながら書いたのですが、傘は赤色をイメージして。
2度出てくる「だから、ねぇ。」というフレーズには「この後の言葉が出てこないんだろうな」という、敢えて聴く人に想像の余地を与えないように断言したり、こだわりました。逆に、最後に「君が好きです」と告白したあとのふたりがどうなったのかは分かりません。そこはみなさんが想像していただければ、と。
―「おかえり」は打って変わってハートフルなナンバーです。
鹿乃:私は昔、犬を飼っていたのですが、その子のことを思い出し、「家族愛」を意識しながら詞を書きました。犬のほうが人間よりも寿命が短いのはよく知られていますが、歌詞にある「16回目の冬」を迎えることができなかったんですね。
でも、動物は姿を変えて戻って来てくれるんじゃないかと思い「そのときはこっちが『おかえり』と言う番だな」と考えてつけたタイトルが「おかえり」です。
―「罰と罰」は鹿乃さんお得意の「言葉遊び」が全開の楽曲になっています。
鹿乃:「嫉妬」や「悪縁」をテーマにして歌詞を書いたのですが、書いたあと「『おかえり』の後にくる曲ではないな」と(笑)。レコーディングでもちょっと笑ってしまうような歌詞になりましたので、みなさんもぜひ詞とメロディ、どちらも楽しんでいただきたいです。
―「エンディングノート」は、メロディラインはタイトルとは逆に軽快で前向きです。
鹿乃:私、鹿乃が死ぬとき=音楽を辞めるときだと思っているんです。そのときがいつ来てもいいように、ここで「終活ノート」をつけておくのもいいかな、と思ったんです。
私が歌ったり作ってきたりした音楽は、私自身が死んでしまっても、ネット上などでずっと生き続けるものなので、「私はこういう想いで歌っていましたよ」というのが伝わるような詞にしようと思いました。
最後まで色々と伝えたいことを考えましたが「ありがとう」以上のことは結局なにもなかったんですよね……。
―20周年を迎えたときは、また違った心境や環境になっているかもしれないですよ?
鹿乃:「みんな、ここまできたら一生面倒を見ろ」みたいなことを言っているかも(笑)。
―ボーナストラックとして、アニメ『アズールレーン』のEDテーマ「光の道標」も収録されています。
鹿乃:実はいままであまり正統派のバラード曲を歌ってきたことがなくて。私のなかでも「こういう風に歌えるんだ」という再発見のようなものがありました。実は今回、オーディションを勝ち抜いてEDテーマアーティストとして選んでいただいたんです。自信にもつながった1曲になりました。
―テイチクオンライン限定受注生産盤についてくる「等身大CDパッケージ」も話題ですが、制作時のエピソードを教えて下さい。
鹿乃:「歌を歌う者としてひと回り大きくなりたい」と言った記憶はあるのですが、ひと回りでは済まないくらいのものがでてきて戸惑いと驚きとで頭の中がいっぱいになりました(笑)。
等身大POPには、アニメショップさんなどに置かせていただいて、そこにお伺いさせていただいたときにサインを書く……みたいなイメージがあったので「まさかパッケージになるなんて!」と混乱しました(笑)。
―聞くところによると、大人気で予約が殺到しているとか。
鹿乃:本当にありがたいことです。現在、受付は一旦終了しておりますが、今後また再受付があるかもしれませんので、最新情報をこまめにチェックしていただきたいです。
そして届いた際には、部屋の中、玄関に置いたりして思い思いに楽しんでいただきたいです。中には私の予想だにしないような楽しみ方をされる人もいるかもしれませんので、ぜひ私のラジオ番組に画像を送っていただいたり、SNSにアップしてもらいたいです(笑)。
―最後にメッセージをお願いします。
鹿乃:10年分の想いを込めて、みなさんとの「縁」を曲にして1枚のアルバムにまとめました。ぜひ聴いてください。
<Text/ダンディ佐伯>
【CD概要】
4th ALBUM「yuanfen」
発売中(2020年3月4日発売)
【初回盤】(CD+DVD)※LPジャケット仕様
品番:TECI-1675(DVD:TEBI-42601)
価格:¥3,818+税
【通常盤】(CD)
品番:TECI-1676
定価:¥3,000+税
【VRライブ概要】
『鹿乃 VR Live ReBirth』
2020年3月29日(日)19:00~(日本時間)/18:00~(北京時間)
■INSPIX LIVE
24コイン
■ニコニコ動画 ネットチケット販売価格(税込価格)
2,000ニコニコポイント(2,000円)
※視聴URL、ネットチケット販売URLは別途鹿乃公式HPにて公開いたします。
■bilibili動画 ネットチケット販売価格
100元
※視聴URL、ネットチケット販売URLは別途鹿乃公式HPにて公開いたします。
■ネットチケット販売期間
INSPIX:3月4日(水)21:00~
ニコニコ動画:3月6日(金) 17:00~
bilibili動画:3月6日(金) 16:00~(北京時間)
●鹿乃 オフィシャルサイト
https://kano-official.amebaownd.com/
●鹿乃 オフィシャルツイッター
@kano_2525
【プレゼント】
鹿乃さんのサイン色紙を1名にプレゼント!
ご希望の方は、「yuanfen」(他のプレゼントも同様の募集方法をしているため、ご希望プレゼントを判別させていただきます)の後に1. お名前、2. 郵便番号・ご住所、3. お電話番号、4. 性別、5. 年齢、6. サイトを知った切っかけを『れポたま!』公式ツイッター@repotama(https://twitter.com/repotama/)をフォローしていただいた上でDM(ダイレクトメール。お互いにフォローしている場合に使用可能な機能)にてお送りください。
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応募締め切り:2020年4月17日(金)23:59必着
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