話題作の見どころをじっくりと解説! 2018年4月新アニメ『LOST SONG』森田と純平監督 インタビュー

By, 2018年4月6日



鈴木このみ・田村ゆかりW主演の注目作、TVアニメ『LOST SONG』が今週末4月7日からTOKYO MX他で地上波オンエアとなる。それに先駆けて今回「れポたま!」では監督の森田と純平氏にインタビューを実施。作品の見どころから、監督のパーソナルな部分にも迫りました!

――『LOST SONG』の企画がスタートしたのはいつ頃なのでしょう? 2016年11月の鈴木このみさんのバースデーライブでは既に情報が出ていたとお見受けします。

森田と純平(以下森田と):2016年の5月くらいだった気がしますね。

――今回の企画は監督の方から「こういう作品を創りたい」と提案されたのか、それとも「こういうのを作ってくれない?」という打診があったのでしょうか?

森田と:『LOST SONG』に関しては、「MAGES.でアニメーションを作りたいので、何か考えてくれませんか?」みたいな、けっこうざっくりとした感じでした。「広い方向に拡散できるような作品」と、「歌を是非入れて欲しい」というふたつの大きなお題をいただき、それに沿って企画を作りました。結果「面白そうですね。じゃあこれでやりましょう」っていうのが最初ですね。

――『LOST SONG』には鈴木このみさんと田村ゆかりさんの二人が主演ですが、これはどのような経緯で決定したんですか。

森田と:「この二人はどうですか?」ってプレゼンを受けまして(笑)。歌も本人たちのキャラクターも全然違う二人なので、「面白そうだな」と思いました。だから企画を考えるにあたって、当て書きとかしなくてですね、作っていった時にリンの元気な感じとか、フィーニスのちょっと影はあるけど姫様っぽい雰囲気とか、そういうキャラクター性が偶然バチッとハマった感じですね。
決して鈴木このみっぽいキャラ作ってくれとか、田村ゆかりっぽいキャラ作ってくれって言われたわけじゃなくて。必然的に、出来上がっていったキャラクターにハマった感じです。

――本作は監督が原案から全て手がけていらっしゃいますが、アイディアの元になったものなどはありますか?

森田と:意識はしてないんですけど、僕が多分王道ものが好きっていうのがきっとひとつあって。80年~90年ぐらいのハリウッド映画とか。例えば『グーニーズ』とか、『スター・ウォーズ』とかいわゆる「大作」と呼ばれる作品が好きでですね。ちっちゃい時からずっと見てたので、そういうのはもしかして入っちゃってるかもしれないんですけど。

基本的には「歌」と「壮大なもの」というお題の中で、歌そのものを物語のキーにして作ってこうかなと思ったんですね。劇中歌という独立したものではなくて、歌がシナリオの一部でもあるし、そのままストーリーになっていたりとか、そういう風に作っていきました。

――ちなみに音楽に関しては畑亜貴さんと白戸佑輔さんにお任せという感じですか?

森田と:白戸さんは劇伴も全曲お願いしていて。アニメの劇伴は初めてだということで、かなり密にやらせてもらいました。「このシーンはこうで」とか、映像を仮で作ったりとかして。歌もさきほど言ったとおりストーリーの一部になっているので、単純に曲単体での依頼はできないと思い、シーンの前後とか、キャラクター性と含めて、一緒に密に作りました。音響の打ち合わせに来てもらったこともあります。

逆に畑さんは「畑さんのものをもらえたらいいな~」みたいな(笑)。畑さんって脚本もそうですし、設定とか資料とか含めて聞いてくださる方なんですね。なのでバーッと説明して、お願いしますって感じで。だから曲と詞で 、アプローチの仕方がちょっと違うかもしれないですね。

――鈴木このみさんは今作でTVアニメの声優に初挑戦ですね。

森田と:初めてなので、いきなり始めさせるわけにはいかなくて。一緒に演技レッスンをやってたんですね。僕がもともと実写で監督や、舞台をやっていた経歴もあったので、お芝居を教えられるので。最初の方はやっぱり戸惑いが彼女のほうにあって。「歌とお芝居は全然違う……」みたいな(笑)。最初は時間も限られてるし、テクニック的なことを教えてたんですけど、これは違うなって思って。気持ちをさらけ出すとか、こういうときにはこういう気持ちになるからこういう表情になるんじゃない? とか、気持ちの話を深くするようになったら、なんとなくわかるようになってきました。

彼女はずっと歌を歌ってて、表現することはずっとやっているので、その方法が違うっていうだけで。それをなんとなく理解し始めてからは「楽しいです」と直接言ってくれたりしました。あと「歌い方も変わりました。こんな気持ちで歌えたことはなかったです!」って言ってくれて、ちょっと泣きそうになりました(笑)。
当然他のキャストとはお芝居の味とか種類はぜんぜん違うんですけど、それがまたよくってですね、リンっていうキャラクターに合っていて。最初の方は何回か演って録り直したりとかしていくことになるのかなあとか不安はあったんですけど、最近ではそんなことはなくなりました。

――「歌」がテーマの作品ですが、監督ご自身が好きな歌手や、よく聴く音楽のジャンルなどはありますか?

森田と:僕はあんまり節操がなくてですね。好きなジャンルも……J-POPも洋楽も、インストとかも聴くし。映画のサウンドとかもなんでも聴きますし。……ちっちゃい時に家族旅行でスキーに行って初めて一人でリフトに乗った時に掛かってた曲がドリカム(DREAMS COME TRUE)の「決戦は金曜日」だったんですけど(笑)。

――あんまり雪と関係ないですね。

森田と:そうなんです(笑)。で、その時の気持ちが「俺ちょっと大人になったぞ」みたいな。だから曲単体というよりは、自分のシチュエーションで好きになったりとか多いかもしれないですね。

――じゃあ学生時代に特定のアーティストの曲を聴き込んだとかも。

森田と:ないですね。友達から「これいいぜ~」みたいなアルバム借りて「いいね」とか。いろんなものを聴いてました。

――音楽との繋がりが、『LOST SONG』含めて今の仕事に繋がっている、とかではなさそうですね(笑)。

森田と:マニアックというか、細かい話をすると、環境音が好きなんですね。例えばカフェの音とか、波の音とか、森の音とか。……なんかすごいヤバイやつみたいになってきましたけど(笑)。「癒やされるわ~」ではなく、そういう音が好きで、だから普段歩いててもイヤホンとか絶対しなくて、町の音を聴きたいんですよ。ドラマの撮影でカフェのシーンとかあったらカフェの音を録らせてもらったりするんですけど、音源を貰って聴くぐらい好きですね。

――ではそれを仕事の合間に聴いたり。

森田と:はい、聴きます。脚本書くときはけっこうカフェの音源を聴いたりしますね。

――カフェに行って書く方とかもいらっしゃいますけど、自分の部屋で町のカフェが出来上がる感じなんですね。

森田と:ちょうどいいんですよね。無音もいやだし。意味のある歌詞がガンガン入ってくると引っ張られますし、(コーヒーカップの)カチャカチャとか聞き取れないような声とかが心地よくて。

――監督の音楽の好みが作品に反映されて、みたいな流れになればいいなと思ったんですが。

森田と:すみません……(笑)。歌に関しては白戸さんが、(AKB48、SKE48、欅坂46などの)アイドルグループに提供してらっしゃる方なので、今回は全然そうじゃない一面を出したくて。あとは、白戸さんが今まで手掛けてらした鈴木このみのサウンドとはまったく関係ない、この作品の音楽にするということで。(白戸さんから)とにかく引き出そうと思って、そういうやりとりをしましたね。

――5月27日にスペシャルイベント「LOST SONG ~間奏曲~」が丸の内ピカデリー1であります。このイベントには監督も登壇される予定です。

森田と:配信も放送も進んでますので、内容に深く踏み込んだ上映ものをやったりとかトークもあります。オリジナル作品で、ネタバレできないこととかもあったりして、そういうのをここではドーンと。キャストのみなさんも、とにかく早くネタバレOK状態で語りたいって言ってて。このイベントで出来るんじゃないかって思います。

――最後にこの作品の見所と、読者へのメッセージをお願いします。

森田と:「リンとフィーニス、ふたりの少女の歌」がキーになって、世界そのものや、そこに生きてる人々と関わっていきます。作品に登場する歌は、独立した劇中歌ではなくて、物語そのものを担っている。本当に凄まじいものができたので、期待していただきたいなと思います。

一話でもかなり大掛かりな楽曲「癒やしの歌」を使ったんですけど、今後の話数でも、その衝撃がきっとずっと続くぐらいの、インパクトのある展開と楽曲が待っているので、じっくりと見ていただきたいです。あとは背景美術が凄まじいので、そこを含めて世界観にどっぷり入ってほしいですね。

<Text/佐藤京一・Photo/ダンディ佐伯>

【アニメ概要】

オリジナルTVアニメーション『LOST SONG』
【放送情報】

2018年4月7日(土)25:30より TOKYO MX・サンテレビほかにて 放送開始
2018年3月31日よりNetflixにて先行配信

【キャスト】
リン:鈴木このみ
フィーニス:田村ゆかり
アル:久野美咲
ポニー・グッドライト:たかはし智秋
ヘンリー・レオボルト:山下誠一郎
アリュー・ルックス:瀬戸麻沙美
モニカ・ルックス:芹澤優
コルテ/メル:茅野愛衣
バズラ・ベアモルス:小山剛志
ルード・ベルンシュタイン4世:鈴木裕斗
ドクター・ヴァイゼン:小形満
タルジア・ホークレイ:糸博

【OP情報】
オープニング主題歌『歌えばそこに君がいるから』
作詞:鈴木このみ・畑 亜貴
作曲・編曲:白戸佑輔
歌唱:鈴木このみ

【ED情報】
エンディング主題歌『TEARS ECHO』
作詞 :畑 亜貴
作曲・編曲 :白戸佑輔
歌:フィーニス(cv. 田村ゆかり)

【スタッフ】
原作・監督・脚本:森田と純平(MAGES.)
キャラクター原案:福田知則(MAGES.)
アニメーションファシリテーター:櫻井親良
メインキャラクターデザイン:金子志津枝
サブキャラクターデザイン:原修一・藤澤俊幸
デザインワークス:バーンストーム・デザインラボ
美術監督:大久保錦一
背景美術:でほぎゃらりー
色彩設計:大西峰代
撮影監督:山本弥芳
作詞:畑 亜貴
音楽:白戸佑輔
音楽制作:5pb.Records
制作:LIDENFILMS×ドワンゴ(共同制作)

●公式サイト
http://lost-song.com/
●公式ツイッター
https://twitter.com/lostsonganime