人間の持つ「表裏」をコミカルに、感動的に描く「スーパーフルタフレーム Vol.1『嘘は、検索できません。』」木本武宏・安堂サオリ インタビュー

By, 2014年12月12日



お笑いコンビ「TKO」の木本武宏と女優の安堂サオリのふたりが、5つの「嘘」にまつわるエピソードを演じる『嘘は、検索できません。』が2014年12月25日(木)、27日(土)、28日(日)に東京・下北沢 小劇場B1にて上演される。クリエイティブプロデューサーの高柳景多(ドットフレーム)、「劇団フルタ丸」主宰のフルタジュン、プロジェクションマッピングクリエイターの土井昌徳(SUPEREYE)によるプロデュースユニット「スーパーフルタフレーム」が新たなチャレンジを試みる。
現在公式サイト(http://www.sff.tokyo/)では、物語の主人公である5人の「オモテ」の顔が描かれたエピソードが公開中。こちらをご覧になって観に行くとさらに楽しめること間違いなしだ。主演のおふたりに話をお聞きしてきました!

―今回、お話をいただいた経緯を教えていただけますか?

木本武宏さん(以下、木本):どうやら僕に「切なさ」を感じていただいたらしく、それが決め手となったみたいです(笑)。で、ご一緒する安堂さんと会うのは初めてだったのですが、見たら「切なそうやな」って(笑)。

安堂サオリさん(以下、安堂):演出の高柳さんと最初にお会いしたのが10年くらい前だったのですが、私、その頃から「ちょっと変わっているな」と思われていたらしく(笑)、今回はそこに「切なさ」の要素が乗って、木本さんとご一緒させていただくことになりました。

木本:ふたりにある「負の要素」を買っていただいたということみたいです(笑)。

―稽古も進んでらっしゃるということですが、安堂さんは最初、木本さんに対してちょっとやりづらい気持ちがあったそうですね。

安堂:実はそうなんです……。話しづらいな、と思っていたら、木本さんのほうから気さくに話しかけてくださって。

木本:僕、「とっつきづらい」ってよく言われるんですよね。どうしてなんでしょう?

安堂:なんというか、言葉にするのが難しいのですが、迫力があるというか圧力があるというか……。

木本:圧力って(笑)。でも本当に最初の現場などに行くとすごく警戒されることがあるんですよね。実際は10歳年下のマネージャーから仕事終わりに「今日はよく頑張ったから『フリスク』あげますよ」と言われるような立ち位置ですので(笑)。

―逆に、木本さんから見た安堂さんの第一印象は?

木本:とても清純なイメージがありました、お酒も飲めないということですし。でも、最初にしゃべった時に「これは、まともだと思わせるヨロイを着た変態やな」と思いました(笑)。

―稽古場ではいかがですか?

安堂:先日、私が先に稽古をして、その後、木本さんが来られるということがありました。

木本:安堂さん、自分の稽古が終わったら帰ってくれればいいのに、僕の稽古を見てるんですよね(苦笑)。まだ稽古が始まったばかりでセリフが全然頭に入っていない頃だったので、見られてると焦るんですわ……。

安堂:だって、こんなに近くで木本さんの演技を見られる機会なんて滅多にないですから。ひたすら気配を消しながら見てました(笑)。

―おふたりとも一人芝居は初めてだとお聴きしていますが、何か事前に準備をされていることはありますか?

木本:一番大きな関門として「セリフを覚える」というのがあって。俳優の谷原章介さんに覚え方を聞いたら「『ストーリーで順を追って覚えられる人がほとんどだと思いますが、僕の場合は一番難しいセリフを先に覚えてしまえば、頭がパカッと開いて他のセリフも覚えやすくなる」と教えてもらったんです。実践しているのですが、なにせ一番難しいところですので、中々覚えられずにずっとそこで止まっています(苦笑)。

安堂:私も周りの女優仲間や高柳さん、フルタさんにご教授願っていて、木本さんに教えていただいたのが「とにかく台本を早口で読んで、そこに感情を入れていくとうまく入るよ」という方法で。自宅で実践しています。

木本:それと、女優の杏ちゃんから早口言葉を伝授されたので、それも実践しながら頑張ってる最中でございます。

―では、今回上演される5編の簡単な紹介をお願いします。

木本:まず「熱血下心」ですが、実業団の弱小バレーボールチームを廃部に追い込む目的で就任したものの、逆に強豪チームへと育てあげてしまう、という話なのですが、自分は「男」としてとても共感できる話になっています。
 続いて、「相棒が死んだ」。原作と作画で分業する二人組の漫画家の話なんですが、その相棒(作画担当)が死んでしまうという話です。これ、コンビということで、どうしても相方の木下のことを想いながら演じてしまうと思うので、アイツには観て欲しくないです(笑)。
 そして「Re;婚」ですが「離婚」を通して妻の知られざる愛情などがボロボロっと出てくる様が描かれています。僕の芝居で泣いてもらう、というのが試される物語だと思いますし、僕が演じる3編の中では一番のチャレンジだと思っています。こちらは嫁のことを考えて演じることになると思うので、嫁には観て欲しくないですね(笑)。

安堂:「無リア充」ですが、最近は「SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)」が世を席巻していますが、SNSを通して有名になったカリスマ主婦の話です。彼女の化けの皮がだんだん剥がれていく様を、楽しんでいただければと思います。皆さんの中にも「ドキッ」とするような方がいるかも?
 「復讐いただきます」は、グルメリポーターがとある店に行って生放送で食リポートをする話なのですが、演じる上で心の動きを出していくのがとても難しいですね。過去に何があったかを、公式サイト上で読める短編小説をご覧になってきていただけると、より一層楽しめるのではないでしょうか?
今回語られている5つの物語は、今の時代を反映したものが多いので、皆さんに深く理解していただけるものばかりだと思いますね。

― この一年の締めくくりに、ぜひ観ていただきたい舞台ですね。

木本:世相を反映した作品ばかりですから。調子に乗った例えになってしまうかも知れませんが、まさに「歌舞伎」やね、と思っています。

安堂:すごくいい例えですね!

木本:舞台演出のほうも、プロジェクションマッピングなど強者のスタッフが揃っていますし、僕もどんな舞台が展開するのか今から楽しみです。今回の舞台の成否で年を越す時のテンションが変わりますから、そりゃあもう必死ですよ(笑)。

―では最後に、メッセージをお願いします。

木本:初めての一人芝居ということで、今から不安と期待が入り混じっています。来年第2弾が行われなかったら今回の興行は失敗だったと思っていただいて結構です。

安堂:まず、前小説がとても面白いので、そちらをご覧になった上でお越しください。舞台の面白さも保障します!

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

【公演概要】
「スーパーフルタフレームvol.1 嘘は、検索できません。」

日時:2014年12月25日(木) 14:30開場 15:00開演 / 19:00開場 19:30開演
12月27日(土) 12:30開場 13:00開演 / 16:30開場 17:00開演
12月28日(日) 12:30開場 13:00開演 / 16:30開場 17:00開演

【東京】下北沢 小劇場B1
料金:前売4000円 当日4500円
出演者:木本武宏(TKO) / 安堂サオリ
チケット:イープラス / CoRich
26日はウソスマス

日時:2014年12月26日(金)
18:30開場 19:00開演
【東京】下北沢 小劇場B1
料金:前売・当日1500円
出演者:オジンオズボーン
チケット:イープラス / CoRich

●公式サイト
http://www.sff.tokyo/