“Kiramune”の朗読劇が今年も開催!リーディングライブ『5コントローラーズ + 1』レポート

By, 2014年11月6日



男性声優によるレーベル“Kiramune”主催の朗読イベント「Kiramune Presents リーディングライブ『5コントローラーズ + 1』」が、10月25日(土)、26日(日)の2日間、千葉・舞浜アンフィシアターにて開催された。

各日2公演、計12名のキャストが登場し展開されたリーディングライブは、三度目の開催となる今年も、舞浜アンフィシアターで開催。
キャストはKiramuneメンバーが昼と夜の公演に分かれ、そこに2名のゲストを招く形式。昼公演には江口拓也、神谷浩史、岡本信彦、吉野裕行が、そして夜公演には柿原徹也、浪川大輔、木村良平、代永翼が登壇。ゲストは25日に日野聡と前野智昭が、そして26日の公演には石川界人と野島健児が参加。
今回の演目『5コントローラーズ + 1』は、原案に『シャーマンキング』や『機動戦士ガンダム00』の監督である水島精二が参加し、三度目の開催で初の完全オリジナルストーリーとなっており、話の中に実在のゲームが登場したり、ステージ上でリアルなゲームバトルが繰り広げられるなど、進化を見せたステージとなっていた。
本記事では柿原、浪川、木村、代永、石川と野島が登壇した26日夜の部の模様をお届けする。

今回のステージにはゲームのコントローラーを彷彿とさせる十字キーに○や△などのボタンが配置されており、どの客席からも見えるように3枚用意されたスクリーンには、開演前には「Now loading…」の文字が映し出されており、データの読み込みを示すその文字に、これから始まるステージへの期待が高まる。

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登場するのは柿原演じる高校生のヒロ、木村演じる新卒の社会人のアオイ、浪川演じるリーダー的ポジションのハシー、そして石川演じるカムイはネット上とリアルでは口調が変わるオタクというゲーマーたち4人と、バーテンダースタイルの野島が演じるバーのマスター、そしてもこもこのパーカーを羽織った代永演じるコマと、それぞれが個性的なキャラクターを演じる。中でもデフォルメした「オタク」の演技を見せる石川に、会場は黄色い声援に包まれた。

物語は4人がオンラインでゲームをプレイしているシーンから始まる。ゲームのBGMが流れる中、ステージ床には『ゴッドイーター2』の「荒神(アラガミ)」のエンブレムが映し出され、ゲームをプレイ中のヒロ、アオイ、ハシー、カムイの4人の姿が。『ゴッドイーター』は巨大な怪物「荒神」を相手に、敵を喰らう武器「神機」を手にしたプレイヤーが戦うPlayStation Portableのアクションゲームで、『ゴッドイーター2』はPlayStation Vitaで発売された続編だ。ハシーを演じる浪川がジュリウス役で登場していることもあり、気になった人も多かったのではないだろうか。

普段はオンラインプレイを楽しんでいる4人だが、オフ会をしようという話が持ち上がり、4人は初めてリアルで顔を合わせることになり、オフ会当日、会場となったレトロゲームカフェに集まった。初顔合わせながらも、オンラインでは気心の知れた仲でもある4人。さっそくゲームに興じてみれば楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、いつの間にかお店がカフェタイムからバータイムへとシフトする時間に。これまで同様のオンラインのプレイのほか、月に2回ほどリアルで集まってゲームをしようと約束をして分かれる4人。

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そうしてオンオフ共に楽しいゲームライフを過ごしていた時、4人の絆を揺るがす事件が起きる。いつもより強い敵に挑もうとオンラインでプレイをしていた時、軽口を叩いて戦いに出たヒロが敵に倒されてしまったのだ。ほかの3人から「床ペロヒロ」と呼ばれているほど、実はゲームがあまりうまくはなかったヒロに、ゲームはそんなに甘くないと辛口なコメントをするカムイ。その瞬間、ヒロの通信が途切れ、以降オフ会にもオンラインにも、ヒロは顔を出さなくなってしまう。

きついことを言われて逃げたのかと呆れる3人。それぞれに思いを抱える中、リーダーのハシーはヒロが顔を出さないのは、カムイと喧嘩してしまったことが原因だろうと思い、2人を仲直りさせようと、いつものレトロゲームカフェにみんなを集める。しかし、お互いがいることを知らずにカフェを訪れたカムイは、ひき合せたハシーに激昂し、今度はハシーと言い合いになり、店を出て行ってしまう。
みんなのことを分かっていると自己満足に浸っていただけだと言い当てられて、考え込むハシー。
その夜、チャットで改めてカムイと話をして、勝手なことをしてしまったことを謝るハシーに、カムイも、ハシーに甘えていたからあんなことが言えたのだと心情を明かし、仲直りをした二人。
そして、ヒロの失踪の真相が、親にゲーム機と携帯を取り上げられてしまったことが原因だったと判明し、バツが悪くて顔出し出来なかったというヒロを3人が笑顔で迎え入れ、元の4人へと戻った。

そんな4人に、カフェで行われる取材の話を切り出すマスター。自分は参加しないと告げるマスターだが、ゲームカフェを営むマスターが、何故自分はゲームに参加しないのか、その真相も明かされることに。実は有名なゲームクリエイターだったというマスターは、仕事に没頭しすぎて奥さんの病気に気付けず、悲しい別れを過去に体験していた。今のレトロゲームカフェを開いたは懺悔のためだという。そうしてゲームに対して心を閉ざしていたマスターだったが、それぞれに問題を解決して絆を深めていった4人の姿を見て、再びゲームを手にし、大会の最後には4人と一緒にゲームに興じていた。

ストーリの進む中、チャットでの会話はスクリーンにチャット画面を映し出して行われ、さらにストーリー内で行われるゲーム大会が、実際に『パックマンバトルロイヤル』を使って行われる一幕には会場も大興奮。ゲーム大会で司会となってゲームの説明を行ったコマが、キャストを応援してと煽ると、会場からはそれぞれのキャラクターを呼ぶ声が響いた。

仲間の絆を伝える真摯さの中に笑いも織り込んだストーリーで展開されたこのリーディングライブ『5コントローラーズ + 1』、最後の最後に壮大なオチが待っていた。

ゲームに対して、前向きな気持ちを持つことが出来るようになったマスターが、カフェの中で何かを探し始める。「コマくん、コマくん?」と呼ぶ声に、返ってきた声は「ワン!」というコマの一声。ソファの蔭から、犬耳をつけた代永が登場し、ゲームで遊ぶ4人のもとへ駆け寄るコマ。実は店員ではなく、コマはマスターの飼い犬であり、タイトルの『5コントローラーズ + 1』の「1」が犬の鳴き声である「ワン」に掛けたものだったのだと気付いた会場からは、大きな拍手が起きたのだった。

最後にキャストからコメントがおくられ、千秋楽となったこの回では円形のステージの上をキャスト6人が会場のファンにあいさつして回り、3度目のリーディングライブは幕を閉じた。

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代永「楽屋でも楽しい雰囲気で、それが朗読に反映されていた舞台でした。毎回ゲストの方がきて下さり、メンバーが変わるだけでこんなもにお芝居変わるんだと感じていただけたのではないでしょうか。また機会あったときは人間を演じたいです(笑)」

木村「新卒です!(笑)昼夜とキャストが違い、登場人物二人が変わるとお芝居がぜんぜん変わりますね。普段音楽をやっている仲間と舞台の上で一緒に芝居できるのが本当に嬉しいです。芝居でも表現が出来るのはみなさんが応援してくれるからです。ありがとうございました」

柿原「高校生役を現役で役者として演じられるのは、役者ならではのことで、こんなに楽しいことはないです。素晴らしいメンバーと、大きなステージでお芝居出来るのは光栄です。音楽活動もリーディングも、活動できるのはこうして生で応援してくれているみなさんのおかげです。またやりましょう!」

石川「尊敬する先輩のいるレーベルのイベントに参加出来て本当に楽しかったです。生身で演じるのは初めてだったんですが、支えてくれるみなさんがいるからこそ、この場にたたせてもらえたんだなと感謝の気持ちでいっぱいです。またこのステージに立てることを願っています。」

野島「毎年呼んでいただいて。今年はバーテンの格好までさせていただいて(笑)。コマの名前は実は僕がつけさせてもらったんですが、バーを守ってくれる存在として、狛犬からコマさんとつけさせていただきました。これからもレギュラーのように参加させていただけたらと思います(笑)」

浪川「3年目を迎え、初めてのオリジナル作品と言うことで大変な部分もあったんですが、みなさんに喜んでもらえたらとスタッフとキャストで作り上げてきました。リーディングライブはまだまだ色んな可能性があると思っているので、また来年も再来年も新しいものを見せていけるように努力していきます。よろしくお願いします」

<Text/内田 希>

●Kiramune 公式サイト
http://kiramune.jp/