震災から3年、岩男潤子の歌声が優しく響く 『岩男潤子復興支援ライブ2014“heal for people”vol.71』

By saeki, 2014年3月12日


今年、声優生活20周年を迎え、歌手としても2月には台湾での2DAYSライブを成功させたばかりの岩男潤子さんの『岩男潤子復興支援ライブ2014“heal for people”vol.71』が3月1日、東京・仙川アヴェニューホールで開催された。

自らの音楽と歌声と、収益金の一部を寄付することで被災地復興の手助けをできればという想いで始まったソロライブプロジェクト“heal for people”も今回で71回目。岩男さん自身のオリジナル曲からキャラソンまで様々な選曲と、岩男さんのサウンドプロデューサーを務める国際的ウッドベーシストの川村竜さんと共に2人での少人数編成からフルバンド、そしてライブハウスやホールなど多彩で自由な形態で、岩男さんの歌が楽しめるのが特長。

スペシャルゲストを迎えることも多く、今回は岩男さんのほか、斉藤由貴さん、工藤静香さんなど多くのアーティストの楽曲を手がけている作曲編曲家・キーボーディストの澤近泰輔さん。

開演時間になると真紅のロングドレスをまとった岩男さんが登場。客席に向かって軽く笑みを浮かべて一礼すると、ステージに置かれたグランドピアノのイスに静かに腰掛け、鍵盤をしなやかに弾き始めた。1曲目は岩男さん作曲、谷山浩子さん作詞の「ここにいるよ」。悲しみや絶望に覆われても“終わらない夜は決してない”と励まし、奮い立たせてくれるような曲を、優しさの中に強さをにじませながら神々しく歌い、確実にオーディエンスの心に歌声と想いを響かせていく。“heal for people”というコンセプトに

ふさわしいOPナンバー。歌い終わるとステージ中央に移動し、両手を胸の前に置き、頭を下げた。オーケストラのコンサートのよう。

2曲目の「パタパタ」は失恋の痛みを引きずったままの女性の気持ちを“今どこにいるの? 誰のそばにいるの?”と歌う。そこには神々しく歌っていたから、失恋から立ち直るために心の拠り所や着地点を懸命に探そうとしている女性の姿が。一人芝居を見ているような感覚に。

2曲歌い終わると、緩やかな表情になり、雨の中に訪れたお客さんを気遣いつつ、「皆さんの心と体が温まるようなコンサートにできたらいいなと思っています」とあいさつ。

ここで岩男さんのコンサートではおなじみの川村さんを呼び込むと、客席後方の花道からステージへ。「リハーサルではそんなことしてなかったのに!?」と驚きながらも爆笑。

3曲目は昨年7月に、岩男さんが『カードキャプターさくら』で演じた大道寺知世のキャラソンカバーアルバム『やさしさの種子』をリリースしたが、その収録曲から「夜の歌」。1コーラス目を知世の声で歌ったかと思うと、2コーラス目は岩男さんバージョンで大人っぽく。その二面性を見せられるのも声優シンガーならでは。また川村さんがウッドベースを弾くたびに、ベース音だけでなく、弦を弾く音までも聴こえる音響の素晴らしさにも感心。

「夜をこえて」も“叶わないとわかっていても”、“夢でもいいよ”、「月蝕」では“掛け違えた心はほどく術もなく”、“この恋は一生しかない”と苦しい恋の歌が続く。

落ち着いた歌声の中で、顔をのぞかせる情熱とせつなさ。そんな微妙な乙女心を表現できるのも岩男さんの魅力のひとつ。「夜の歌」と3曲続けて、「眠れぬ夜に歌う歌」とは。意外に失恋、片想いの曲が多いかも(笑)。

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ここまでしっとりとした雰囲気のコンサートだったが、「ここはとても素晴らしいホールで、珍しいグランドピアノもあって。イタリア製のピアノでタッチが優しくて、音色もキラキラしててきれいだなと」と言いかけると川村さんに向かって、「このピアノ、何って読むんですか?」。側面に“FAZIOLI”と書かれていて、川村さんからリハ中に教えてもらったが忘れたらしく、最後はお客さんに「何って読むんですか?」と尋ね、場内は爆笑し、和やかなムードになった。

ここでゲストの澤近さんがピアノに。情熱的なピアノのフレーズにのせて、“私がもしカナリアだったら~あなたのために歌い続ける”と歌った「CANARY」はご本人いわく「夏の歌詞」。後に「今日だけで1年の四季を感じてもらえる構成になっています」と説明した。「フェアリーガーデン」は“妖精達が踊る 不思議な旋律”の歌詞の通り、ワルツっぽく優雅で、幻想的な森の中で歌うお姫様のようで、癒される。澤近さんがデモに5歳のお子さんの声と鳥の声を収録していたことから「男の子の気持ちと重ねるように歌いました」とレコーディング当時のエピソードも語ってくれた。澤近さんも「子供と動物は強いですから。デモの合格率が高くなったかも」と笑った。

ここまで無言を通していた川村さんが「特に好きな曲なんです」としゃべり始めると、トークにも花が咲く。川村さんいわく「ちゃんとしたコンサートなので7曲我慢しました(笑)」。
「CANARY」から澤近さんが作曲またはアレンジで関わった曲が並ぶ。「曲を作られた方と一緒に演奏する機会はそうそうない」と恐縮する川村さんに、「僕の曲をこんなに並べてもらったこともないです」と澤近さん。岩男さんは澤近さんの大ファンでもあり、武道館でのコンサートに関係者で入場できなかったため、ローディとして入ったという逸話も。

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スイングジャズのような「おもちゃ」では“二人の隠れ家 何か落ちてる”のフレーズで床から拾う仕草を見せたり、右手で左肩を抱くポーズ、“男の人なんて弱いもの”などちょっとアダルトな女性の顔を見せる。「May Storm」でも“傷つけるより傷ついたほうがいい”から“罪と呼ばれる恋でも”と歌う。男性目線ではちょっと怖いが、「ずっと物語の主人公になれるのが楽しくて(笑)」と岩男さん。 
またトークパートで、川村さんが中学生の時に岩男さんのアルバムを買ったと聞かされて、更に3人が同じ戌年生まれと知り、驚きの連続の岩男さんだったが、「今日のタイトル、戌年トリオにすればよかった(笑)。(この3人でやるのは)今日だけで終わるのは嫌だから!」と戌年トリオの共演も熱望!

「May Storm」と共に季節はずれと言う「September Wind」はR&Bテイストのある曲で、岩男さんのサビの“your smile”のウイスパーボイスなどに酔いしれる。
アコースティック、ジャジー、R&Bなど、落ち着いたバラード系が続いたが、「おひさま」でおもむろに青いケースからリコーダーを取り出すと、イントロから吹き始める。会場から自然とクラップが。「みんなのうた」のような明るく陽気な曲調と歌詞、お客さんの手拍子に、川村さんも澤近さんも笑顔で楽しそう。気分良さげに歌っていた岩男さんだったが、終盤のリコーダーでちょっとあやしくなり、締めのソロではピーとはずした音がホールに響き渡った。川村さんのほうを見て「何かやったでしょ?」と責任転嫁しようとする岩男さんが子供みたいでかわいい。ポップな「I’m gonna make it」でもお客さんのクラップで会場一体に。

コンサートが終盤に差し掛かると、今年リリース予定のアルバムとフォトエッセイのタイトルが『voice』になったことを発表。「声優デビュー20周年なのでストレートに」。
そのアルバムから澤近さん作の「ガラスの月」を初披露。「いただいた時、泣いてしまいました。今日は泣かないようにおうちで泣いてきました(笑)」。ピアノの調べが美しいバラード曲で、“ああ何年経っても心をつないで”の歌詞は作品や歌を通して、多くの人とつながってきた岩男さんらしい。

本編ラストは岩男さんと澤近さんの出会いとなったアニメ『妖しのセレス』のOP曲「スカーレット」。岩男さんもセレス役で出演した今も大切にしている作品のひとつでもある。
アンコールの「翼になれ」も澤近さんと初めてレコーディングした曲。雄大な曲調と、翼のように手を広げる仕草、“私に力を与えて 飛び立つ今 あなたの元へ”の歌詞も、

今後も歌と声で届けたいという意思表明にも聴こえ、コンサートでも欠かせない曲になっている。間奏で一瞬浮かべる笑みもまた岩男さんの魅力だ。

4月2日に声優デビュー20周年を迎えることを祝して、記念ライブが4月26日、モーション・ブルー・ヨコハマにて行われる。「久しぶりのフルバンドで歌えるのが楽しみです。

ぜひお祝いに来てください!」。声優の活動を始めてからテーマ曲、キャラソンなど多くの曲を歌っている岩男さんがどんな選曲、どんな表情や歌声で歌うのか、そして彼女の20年に及ぶ声優の道のりと歌い手としての魅力を生で感じてほしい。

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<Text・Photo/永井和幸>

<セットリスト>
1.ここにいるよ
2.パタパタ
3.夜の歌
4.夜をこえて
5.月蝕
6.CANARY
7.フェアリーガーデン
8.おもちゃ
9.May Storm
10.September Wind
11.おひさま
12.I’m gonna make it
13.ガラスの月
14.スカーレット

<アンコール>
01.翼になれ

【ライブ概要】
「岩男潤子のSweet Tweet Time #73」
4月2日(水)【東京】御茶ノ水ケーズ
 

「岩男潤子のSweet Tweet Time」はツイッターと連動した視聴者参加型のインターネットテレビ。ニコニコ生放送にて、毎回豪華なゲストをお迎えしてお送りしております。
番組は公開生放送。 当日の開場は20:30、生放送開始は21時。
今回の放送は「岩男潤子声優デビュー20周年スペシャル!」
岩男のデビュー作「NHKアニメ モンタナ・ジョーンズ」の放送が開始された1994年4月2日から、20年のときを経て、お送りする今回のスペシャルゲストは、主人公モンタナ・ジョーンズ役の大塚明夫さんです。

【東京】御茶ノ水ケーズ 
http://www.kz-party.com/

住所:〒101-0063 千代田区神田淡路町2-23 1F/TEL:03-3253-3811

●番組放送URL
http://live.nicovideo.jp/watch/lv171827801

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岩男潤子 20th Anniversary Live ~heal for people~
4月26日(土)
【神奈川】Motion Blue YOKOHAMA

open16:00 start 17:30 & 19:30

岩男潤子(vo) 川村 竜(b) 熊谷ヤスマサ(p)
鈴木直人(g) 真部 裕(vln)
Christopher Hardy(per)

●岩男潤子 オフィシャルサイト
http://www.junkoiwao.jp/