マンガ家、藤子不二雄(A)先生の著書・小学館・刊『愛…しりそめし頃に…』刊行記念イベントが2013年7月27日(土)に東京・アニメイト池袋で行われた。池袋と言えば、先生が青春時代を過ごした「トキワ荘」がある町。先生の凱旋に、多くのファンが駆けつけた。
本作は「まんが道」の続編で、今回のコミックス12巻で完結となる。
小学館のコミック営業一課、西堀靖氏とのトークショーに臨んだ先生。ファンとの記念撮影に臨んだ後は、時間を忘れるくらいトークが弾んだ。
―『愛…しりそめし頃に…』が完結するにあたり、現在の心境をお聞かせください。
藤子不二雄(A)先生:最初は『少年チャンピオン』で「4ページ分の漫画の描き方を教えるページを担当してください」と言われ、そのうちの2Pを使って始まった『まんが道』でした。その後『キング』を経て、「青春編」を書き始め、それをきっかけに『愛…しりそめし頃に…』というタイトルにしましたが、結局あまりそういう要素がなかったです(苦笑)。
今回、ひとつの区切りをつける意味で、担当の方に完結するということを申し入れました。
―トキワ荘のエピソードについてお聞かせください。
藤子不二雄(A)先生:実は、トキワ荘の住人とは討論をしたことはほとんどないんです。藤本氏は「漫画のことを話すよりも映画など、別のジャンルの話をした方が勉強になる」と言っていましたね。
昔の売れっ子漫画家は、一ヶ月に数百ページを担当したりしていたのですが、彼らが原稿を落とすと、トキワ荘に担当編集者が来て「書ける人はいませんか?」と聞いて回るんです。ページの穴を埋めるために自由な内容の漫画を書けたんですね。ここから赤塚不二夫先生のヒット作が生まれました。
―今後について、どのような作品を書いていこうというのはありますか?
藤子不二雄(A)先生:まだ新しい作品に取り掛かる段階ではありませんが、老年層が不幸な時代になっていると感じますので、読んでいて彼らが元気になるようななれば、と思います。
ちなみにタイトルだけは決まっています!
<Text・Photo/ダンディ佐伯>
●書籍紹介ページ
http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091853387