新海 誠監督の中編映画『言の葉の庭』が2013年6月1日(土)より公開。
新海監督の作品は、これまで、主に若者向けに様々な表現を駆使した物語で多大な影響を与えてきた。
今回は、現代の東京を舞台に、初めて「恋の物語」を描く。
公開日初日には東京・新宿バルト9にて秋月孝雄(タカオ)役・入野自由さん、雪野百香里(ユキノ)役・花澤香菜さん、新海監督が登壇し、舞台挨拶を行った。
新海監督は今回、全国23館で舞台挨拶を行うとのこと。この日も2箇所で既に舞台挨拶を行ってきたという。
新海監督は「舞台挨拶が趣味だと冗談で言いましたが、この日がゴールと決めて製作者一同進んできています。
皆さんの目に届いて跳ね返ってきたものを感じないと意味がない、ということで、なるべく多くの舞台挨拶に行って、皆さんの声を聞きたいと思います」とコメントした。
続いて、本作の感想をキャストの二人が語った。
入野さんは「単純にきれいで、心をわしづかみにされた感覚があります。
言いたいことがこんなにもあふれてくるのに、ありすぎてしゃべられない、というか。そんな大切な感覚がありました。作品を語るのが難しいです。皆さんの前で自分の感想を話してしまうと……ジレンマを抱えています」、
花澤さんは「本当に素晴らしい作品です。45分という時間ですが、何時間も観たような集中力を注いで観られる、引き込まれる作品だと思いました。
細かい描写があり、1度だけでは伝わらない魅力がたくさんあると思います。
試写会で1度しか観ていないので、今度じっくり観たいです」とコメント。
また、新海監督は「今作では、作り手側でお客さんに対する裏テーマが二つあり、一つは『雨が好きになってくれること』、そして『靴や足を作りたいと思ってもらえること』です」と語った。
これに対し、入野さんは「足は元々好きでした(笑)。雨は元々苦手でしたが、最近は雨の日になるとこの作品がイメージとして出てきて、音楽や映像が頭の中で流れてきます」、
花澤さんは「足は私も元々好きです(笑)。雨の日は自分が落ち込んでいると、一日うまくいかない気分になりますが、今作を観て『色々な過ごし方があるな』、と思いました。憂鬱になるだけではないと思いました」
キャストの二人について新海監督は「オーディションにより、結果的にお二人が選ばれたわけですが、入野さんには『星を追う子ども』という作品で2役を演じていただいて、その時にほれ込んでしまいました。
花澤さんは、僕の中では劇場版のイメージが強いですね。傲慢な言い方をさせていただくと、今回はお二人とも、皆さんがどの作品でも聴いたことがないような声が出ていると思います」と語った。
続いて、キャスト陣が演じてみての感想を聞かれると、
入野さんは「新海監督の作品の空気感を、より意識して演じました。気持ちよくできたと思います」とコメント。
なお、入野さんはクライマックスシーンで、拡大コピーした台本を長い譜面台に並べてアフレコを行うという珍しい方法をとった、とのことだ。監督も「かっこいいな」と感心しきりだったようだ。
花澤さんは「私はいま24歳なのですが、27歳の役を演じるのは初めてで、人生を掘り下げていってもすぐ底についてしまうくらいでしたので、舞台である新宿を実際に歩きながら、ユキノのこと考えてみたり、自分のできる限りのことをしてからアフレコに臨みました」と語った。
新海監督は「彼女のアフレコを聞いて、ようやくユキノのキャラクターがつかめました。花澤さんご自身の経験などをひねり出しているのが分かりました」と絶賛した。
最後に登壇者からメッセージが送られ、舞台挨拶は終了した。
花澤さん「登場人物たちに、何かしら共感してもらえると思います。じっくりと観てください!」
入野さん「不安や不満、痛みなど、マイナスなものを抱えてなお進んでいく彼らの強さや希望、夢をいっぱい感じ取って観てください。皆さんの感じるその気持ちが正解だと思います。何度も観てください!」
新海監督は「一切言い訳をせずにお出ししたい作品にしたい、という気持ちで作りました。アニメーションであるからだとか、小さなスタジオだとか、期間がどうとかと言い訳をしなくても『皆さんに楽しいものを届けられる作品にしよう』ということでスタッフ一同作ってきましたので、是非楽しんでください!」
<Text・Photo/ダンディ佐伯>
●作品オフィシャルサイト
http://www.kotonohanoniwa.jp/