アニメーション監督だけでなく、ビジョンクリエイターとしても幅広く活躍中の河森正治氏が新プロジェクトを発表!
多次元プロジェクト“The Fool”の記者会見が『東京国際アニメフェア2013』内で行われた。
会見には河森氏が登壇し、司会者との1問1答形式で今回のプロジェクトについて語られた。
―プロジェクト名にも使用されている「多次元」とは?
河森氏:30年ほど前から『マクロス』シリーズで、リン・ミンメイが歌手デビューしたり、最近では『AKB0048』で歌唱パートを際立たせたりと、単なるアニメではなく、色々なことをマルチに展開していく、というやり方が性に合っておりまして。
ある世界観を作り出し、その中で多次元的に展開していく、という意味を込めてこちらのプロジェクト名になりました。
―元々「ライブエンターテイメント」がお好きだったということですが?
河森氏:『マクロス』でアメリカに取材に行った際にブロードウェイのミュージカルを観たのですが、とても迫力があるし、何より小さなステージにおいても生身の迫力があるところに衝撃を受けました。
「となりの芝生は青い」という言葉がありますが、まさにそういうことだと思います。
『シルク・ドゥ・ソレイユ』などで展開されるアクロバティックな動きは『アクエリオン』シリーズでも反映されています。スタッフたちとも「生身の人間でもこれだけの動きができるんだから、アニメでも……」という話はしましたね。
現在の技術の進歩はとても顕著で、映像作品とライブイベントの境目がなくなってきていると実感しています。「まるで魔法のような」演出で皆さんを驚かせたいですね。
同時に、どのメディアに向けてもアレンジができるような作品にしていきたいと思っております。
ここで、第1回作品のタイトルが発表。その名も『ノブナガ・ザ・フール』。同時にフランススタッフのロマン・トマ氏が描いた作品の世界観などが公開された。
―主人公に織田信長を選んだ理由についてお聞かせください。
河森氏:これまでも色々な作品で「織田信長」が取り上げられてきましたが、今回は一味違うものを作っていきたいと思っております。
このプロジェクトは2年半ほど前から準備してきておりました。「戦国SFエンタテインメント」として確立させたいと思っております。
―本作には、その他歴史上の有名な人物が登場するそうですね。
河森氏:芸術家のレオナルド・ダ・ヴィンチが作中に登場するメカを設計した、という設定になっています。
自分の考えた作品を企画書を持ってプレゼンする、というエピソードもあり、現代社会に生きる我々に通じるものがあるな、思いまして。彼に親近感が沸きました。
そしてジャンヌ・ダルクがヒロインとして登場したり、信長暗殺の張本人と言われている明智光秀も登場します。
また、本作では『薄桜鬼』や『緋色の欠片』シリーズなどでおなじみ、人気キャラクターデザイナーのカズキヨネ氏、大河ドラマ 『江』や『篤姫』などのテーマ音楽を手掛けた吉俣 良氏も参加。お二人からのメッセージも送られた。
―出演陣はどうなっていますか?
河森氏:彼らを演じる声優さんもいれば、ライブアクターもいて、さらにアーティストも……と、既存の枠にとらわれず、様々なパフォーマーがぶつかり合っていけばいいと思っております。
―今後こちらのプロジェクトはどのように展開していきますか?
河森氏:色々な技術を試してみたいと思います。いきなり大きな場所ではなく、小さなところからでも良いので、どんどん新しいチャレンジをしていきたいと思っています。
なお、本プロジェクトの詳細は2013年中には発表できるとのこと。続報も続々と公開予定なので、公式サイトをチェックしよう!
<Text・Photo/ダンディ佐伯>
●『ノブナガ・ザ・フール』公式サイト
http://the-fool-project.jp/