主にアニメーション作品に登場するロボットなどをデザインする「メカニカルデザイン」の第一人者で、いまなお第一線で活躍する大河原 邦男(おおかわら くにお)氏。
『科学忍者隊ガッチャマン』、『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』、『機動戦士ガンダム』など、いまでも愛され続けるアニメ作品のその人気を支えるメカデザインを手掛けている。
硬質でリアリティにあふれるものからユーモアにみちたものまで、様々な「大河原デザイン」を歴史的に検証しながら、その魅力の秘密へと迫る展覧会『超・大河原邦男展 -レジェンド・オブ・メカデザイン-』が来年2013年3月23日(土)より兵庫県神戸市の兵庫県立美術館にて開催が決定。
アニメ制作のための設定資料や宣伝ポスターなどの原画であるカラーイラストなど門外不出とされてきたものも多く含み、立体造形物なども加えると約400点もの資料が展示されるといった、これまでにない規模の大展覧会となる。記者会見の様子をお届けする。
会見には大河原氏と、兵庫県立美術館の館長、蓑 豊(みの ゆたか)氏、そして本展担当学芸員である兵庫県立美術館の小林 公(こばやし ただし)氏が登壇した。
最初の挨拶で蓑氏は「大河原先生の展覧会をおこなえて光栄です。約400点もの展示といった規模でやるのはなかなか出来ないと思うので夢のような展覧会になるのではないかと思います。
この展覧会を通してこの作品のメカデザインが大河原先生によるものなんだと知ってもらえたり、逆に海外にも多くいる先生のファンたちにも足を運んでもらえる、そんな展示会にしたいです」とその意気込みを語った。
大河原氏からはメカデザインを続けてきた経緯なども語られた。また神戸に一時期住んでいたことや、第6回アニメーション神戸賞で受賞した思い出などから神戸には縁を感じていたようで、この大規模な展覧会の開催には感慨深い様子だった。
続いて小林氏による展覧会の趣旨などの内容の説明が行われた。自身の学生時代からこの展示会の開催を思い描いていたそうで、大河原氏の芸術といえるメカデザインをぜひアニメファンのみでなく美術ファンにも知ってもらいたいといった熱い想いも語られた。また、展覧会は7つの章に分けられ、それぞれのテーマが定められているそうだ。
1章 「メカニカルデザイナー」誕生
2章 ロボットアニメの黄金時代 メカニカルデザイナーとしての成長と躍進
3章 兵器としてのロボット 大河原デザインのひとつの到達点
4章 カワイイ、メカ もう一人の大河原邦男
5章 リアリズムの拡張 大河原ブランドの洗練と深化
6章 ロボット・ヒーローの復活 もういちど子供たちのために
7章 大河原邦男の今
これらのテーマが、初公開となる設定資料などと合わせて深く掘り下げられていく。
最後にこの展覧会の見どころを大河原氏に聞いた。
「今までの個展と違うのは設定資料が展示されることです。通常資料室に保存され外に出ることはないんです。プロダクション会社の協力があって出来たこと。もう目に触れない資料だと思いますので、どうやってそのデザインが生まれていったのかを感じてほしいです。最終的に放送されたものが全てで、その過程は日の目を浴びることがないのが普通です。それが展示されることで、メカデザインというものを改めて示すことができ、大変有意義な展示会となるのではないでしょうか」
『ジ・アニメ』1981年2月号((株)近代映画社)表紙原画 1980-81
(C)創通・サンライズ
「機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編」B全判ポスター原画 1981
(C)創通・サンライズ
「機動戦士ガンダム」最初期設定:ザク 1978
(C)創通・サンライズ
「機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編」B全判ポスター原画 1981
(C)創通・サンライズ
「タイムボカンシリーズ ヤットデタマン」初期設定:タイムラクーダ 1980頃
(C)タツノコプロ
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【イベント概要】
超・大河原邦男展 -レジェンド・オブ・メカデザイン-
2013(平成25)年3月23日(土)~5月19日(日)
会場:兵庫県立美術館 3階 企画展示室
開館時間:午前10時~午後6時(金・土曜日は午後8時まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日(ただし4月29日および5月6日は開館、4月30日(火)および5月7日(火)は休館)
観覧料金:
一般1,300(1,100)円、大学生900(700)円、高校生・65歳以上650(550)円、中学生以下無料
※( )内は、前売料金及び20名以上の団体割引料金(高校生・65歳以上は前売なし)
※障害のある方とその介護の方(1名)は各当日料金の半額(65歳以上を除く)
※前売券販売場所:チケットぴあ、ローソンチケット等で販売予定
※前売券は、2013年3月22日(金)まで販売します。会期中は前売券を販売しません。
主催:兵庫県立美術館、産経新聞社、神戸新聞社
後援:兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会、サンケイスポーツ、夕刊フジ、サンケイリビング新聞社、関西テレビ放送、サンテレビジョン、ラジオ大阪、ラジオ関西、Kiss FM KOBE
協力:ホテルオークラ神戸
<Text/おぐりしん>
●兵庫県立美術館 公式サイト
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
(C)創通・サンライズ
(C)タツノコプロ