【7/16開催】Kalafina LIVE 2012 “to the beginning”ライブレポート

By, 2012年7月19日



Kalafina LIVE 2012 “to the beginning
2012年7月16日(月・祝)【東京】NHKホール

アルバムを中心に構築してゆくコンサートの場合、”アルバム”というがっちりとした軸があるだけに、その作品を聞き込むほどに、アルバムという大木から枝葉伸びてゆく他の楽曲たちも含んだ、構築された一つの舞台劇を如何に深く味わえるかへ楽しさを馳せてゆける。それが、アルバムという一つの色を持ったうえで形成されゆくステージの醍醐味だ。

でも、ファンにとって何よりも嬉しいのが、大きなテーマ性に縛られることなく、持ち歌を巧みに構築し、新たな一つの物語を描きあげてゆく、”枠に縛られない”ステージングだったりもする。今宵のKalafinaのステージがそうだったように…。

Kalafinaにとっては、二度目となるNHKホールを舞台にしたコンサート。確か1回目のときは、シングル「Magia」を携えてだったという記憶がある。そして今回は、『Fate/ZERO』の主題歌「to the beginning」を冠に据えたコンサートという形を成していた。

何が嬉しかったって、この日の僕らは、「The Best Of Kalafina!」と言いたくなるほど、持ち歌を巧みに物語仕立てにした、まさに幾つものドラマを重ね合わせた舞台劇に、終始興奮しっぱなしでいられたことだ。

シングル「to the beginning」のC/Wとして収録した「満天」から幕を開け、本編最後を「to the beginning」で締めくくるという、大きな枠を設けながらも、その間を彩った幾つかのブロックの中には、気持ち揺さぶらずにはいれないドラマチックな物語を、3人は彩色派手やかに描き出していた。

満天の星空のもと、美しくも幻想的な「満天」の調べに乗せて幕を開けた今宵のステージ。そのたおやかなドラマは、一転、ゴシックハードシンフォニア・ナンバー「Magia」によって、一気に荘厳な音絵巻の渦に巻き込まれていった。冒頭から”聡明/暗鬱”と異なる二面性を立て続けに描き出していったKalafina。じつはその両極な姿こそ、この日のステージを彩るうえでの大きなキーワードにもなっていた。

心地好い夏の陽差し与えゆく、穏やかな表情を持った『夏の林檎』から始まった次のブロックでは、「serenato」を通し感情を熱く着火させるや、「lirica」「闇の唄」と、一気に暗黒浪漫なゴシック世界へと観客たちを導いていった。とくに、低音声や荘厳なオペラ歌唱活かした声が場内中に吹き荒れたときの狂気な興奮には、武者震い止まらない感動と興奮が満ち満ちていた。

とても晴れやかな、まるで天に召されてゆくような穏やかさも見せた「屋根の向こうに」や、天使の聖歌のよう美しいハーモニーを描き出した『Eden』を通した聡明な感動。でも、情熱のドラマ綴り出した「storia~intermezzo」を合図に、青空へ嵐を巻き起こすよう、激烈な演奏と嘆きのハーモニーが錯綜した「Lacrimosa」や「magnolia」など、凛々しきダーク・シンフォニアな舞台劇へと、その空間の色を瞬く間に塗り替えていったKalafinaのメンバーたち。

大人の艶気滲み出た『胸の行方』を通した妖しくもロマネスクな風景。情熱的なラテンビート・ナンバー『in your eyes』でふたたび熱烈な狂騒劇へとその場を染め出したKalafinaは、凛々しくも力強い「destination unknown」。美しき嘆きなシンフォニア歌「Kyrie」。そして、Fiction Junktion feat.YUUKAのカバー・ナンバー「nowhere」を通し、会場中へ激興/熱狂の絵図を描写。感情を痛く掻きむしる旋律が縦横無尽にダンスし続けた『音楽』が流れ出した頃には、誰もが興奮のレベルゲージをMAXまで振り切っていたほどだった。

そんな興奮の宴をドラマチック/鮮やかに塗りあげた、恍惚シンフォニック作「to the beginning」を通し、Kalafinaは、めくるめく興奮/高揚と嘆きのスペクタルな物語を、ひとまず閉じていった。

心吸い込まれるよう、まるで天使のハーモニアを描きあげた「adore」。7月18日に発売となった最新シングル「moonfesta」では、美しい月夜のもと、アラビアンな旋律を合図に軽やかに踊りゆく風景を描写。ラストに「symphonia」が流れる頃には、誰もがKalafinaの歌に心で口づけや握手を交わし、今宵の恍惚の宴を永遠に心へ刻み続ける約束を交わしていた。

その音楽へ触れている瞬間、2時間半以上に渡り続いた”興奮の瞬間の連なり”は、忘れたくない興奮と感動を与えてくれた。この場にいれたことが本当に幸せだ。そう本気で思えたことが嬉しいじゃないか!!

<Text:長澤智典>

<セットリスト>
01:overture ~ 満天
02:Magia
【MC】
03:夏の林檎
04:serenato
05:lirica
06:闇の唄
【MC】
07:屋根の向こうに(新曲)
08:Eden
09:storia ~ intermezzo
10:Lacrimosa
11:magnolia
【MC】
12:胸の行方
13:in your eyes
14:destination unknown
15:K yrie
16:nowhere(Cover)
17:音楽
【MC】
18:to the beginning

<アンコール>
01:adore
【MC】
02:moonfesta~ムーンフェスタ~(新曲)
03:symphonia

●Kalafina オフィシャルサイト
http://www.kalafina.jp/