大ヒットを記録したTVアニメ『BLOOD-C』が劇場版になって登場! その公開初日である6月2日(土)に舞台挨拶が行われた。
新宿ピカデリーでは塩谷直義監督と小夜役の水樹奈々、七原文人役の野島健児、劇場版から登場の柊 真奈役の橋本愛、殯 蔵人役の神谷浩史が登壇。作品を観終えたファンの前で挨拶を行った。
―まずは水樹さんにお聞きします。小夜とは水樹さんにとってどんな子ですか?
水樹:劇場版では別人になってしまっていて、TVアニメ版で鼻歌を歌っていた頃が懐かしいです(苦笑)。共演者の皆さんには「新しいヒロイン像だね」と言っていただいて。かっこよくて凛としていて、誰かのために戦っている、というのがすごく魅力の女の子だと思います。
―TVアニメ版とのアプローチの違いは何ですか?
水樹:セリフ数が限られているので、淡々とした中にこぼれてしまった本当の心を少しずつ匂わせていければいいな、と思っていました。出しすぎてもだめだし、引っ込みすぎてもだめで…微妙な力加減がとても難しかったです。
―今度は野島さんにお聞きします。文人も同じくテレビシリーズからのキャラクターですが、どのように受け止めていらっしゃいますか?
野島:TVアニメ版ではあまりにもいい人だったので戸惑ってしまい、「何か隠しているんだろうな」と思っていましたが、正直ここまで多くのことを隠しているとは思いませんでした(笑)。
しかしある時「これは文人の愛なんだ」と分かって。僕としては、とてもピュアで真っすぐな奴だと思います。
―劇場版の演技でこだわった点は?
野島:TVアニメでは最後に本心の部分が現れてきたので、劇場版では深いところの闇を掘り下げていこうと思い、演じさせていただきました。ですから、演じているときの僕は少しおかしかったかも知れませんが……どうやら普段どおりだったみたいです(笑)。
―橋本さんにお聞きします。声優初挑戦、ということでしたが、いかがでしたか?
橋本:今回初めて声だけの演技に挑戦し、新しい表現の仕方に出会えましたし、改めて声優さんのすごさを感じて尊敬できました。
―真奈というキャラクターについてはいかがですか?
橋本:脚本を読んで、物語の前半の部分で受けた印象が「控えめでおとなしくて一見か弱そうな女の子」というもので、小夜とは相対的なキャラクターになるように、と思いましたが、後半は、彼女の強い部分を前面に押し出した演技ができたらいいな、と思いながら演じました。
―神谷さんにお聞きします。殯というキャラクターも今回初登場でしたが、演じた感想をお願いします。
神谷:非常に難しい役でした。「事前にテレビシリーズも見ておいた方がいい」と言われてましたので、昨年末に前半部分を観たのですが、今回続きが見られるということで、どんな話になるのかとても期待していました。
殯が最期に言っていたセリフを監督にお聞きしたら、どうやら「俺は文人と一緒に世界を牛耳りたかった」というようなことを言っていたらしいんですね。そういう意味で、彼もとてもゆがんだ愛の持ち主であったんだな、というのが分かりました。
―監督にお聞きします。劇場版アニメ初監督ということですが、ご苦労された点もあったのでは?
塩谷監督:当然作る上での苦労はありましたが、それ以上の苦悩はなかったです。
先ほどからキャストの皆さんが「ゆがんだ愛」とおっしゃっていますが、自分では「純愛」をテーマに作ったつもりです(笑)。
愛には色々な種類がありますが、人それぞれに伝え方がある中で、僕は「ちゃんと伝えなければならないんじゃないかな?」というのを意識しながら作業しました。
キャストさんの演技に関しましては全く言うことはなかったですね。
―水樹さんは主題歌「METRO BAROQUE」も歌われていますが、この曲に込められた想いを教えて下さい。
水樹:本編が終わって最後に流れる、ということで、物語を振り返った時に、皆さんに「なるほど」と思ってもらえる曲にしたくて、小夜の視点から作詞しました。
今作では小夜がなるべく人との接触を避けていて…。それは「これ以上傷つく人を増やしたくない」という優しさからだと思うのですが、本当は人との絆や愛、ぬくもりを求めている、という言葉にはできない小夜の本心と言える心の奥深くを感じて欲しいと思いながら歌いました。
―皆さんのお気に入りのシーンは?
水樹:巨大な<古きもの>に立ち向かっていくところです。まさかあそこまで大きな「古きもの」と戦うことになるとは思いませんでした(笑)。是非注目して欲しいシーンです。
野島:冒頭の文人のシーンです。2回目に観る際は、涙なくしては観られないようなシーンだと思います。開始10分で涙を流している方がいたら「あ、今回観に来たのは2回目以降の方なんだな」と思っていただいて結構だと思います。
橋本:戦闘シーンの大量の血が苦手だったので(苦笑)、真奈が小夜とお風呂で出くわすシーンなど、日常生活の場面が安心できて好きです。
神谷:学校内で文人と対峙するシーンです。アフレコ時に後ろで見ていたのですが、とてもカッコよくて。小夜の新しいヒロイン像を見せ付けてくれました。
塩谷監督:一度観ただけでは分からないような、彼らが抱えている事情をポイントポイントで細かい仕掛けとして入れましたので、2回目以降意識して観ていただくと面白いと思います。
―最後に、ファンの方に一言ずつお願いします。
塩谷監督:一人でも多くの方に作品の魅力が伝わればいいな、と思います。よろしくお願いします。
神谷谷:今回の舞台挨拶で自分自身も初めて知ったようなことがありましたので、僕もそれを念頭に、もう一度今作を楽しみたいと思います。
橋本:もしよろしければ、2度、3度観ていただければと思っております。よろしくお願いします。
野島:今度はお友達も連れてきて『BLOOD』のつながりを増やしていっていただきたいです。
水樹:「純愛」がたくさん詰まった作品ですので、ぜひ何度も劇場に足を運んで「愛」の力を感じてください。よろしくお願いします!
<Text・Photo/ダンディ佐伯>
【作品概要】
『劇場版 BLOOD-C The Last Dark』
新宿ピカデリーほか、全国公開中
●作品公式サイト
http://blood-c-movie.jp/