『Fate/Zero』、『まどかマギカ』などの名曲を梶浦由記さんと歌姫達が生パフォーマンス! Yuki Kajiura LIVE vol.♯8“Spring 2012”レポート

By, 2012年4月5日



サウンドメーカー&プロデューサーとして活躍中の梶浦由記さんのソロプロジェクトライブ、Yuki Kajiura LIVE vol.♯8“Spring 2012”が3月16~17日に東京・渋谷公会堂、4月8日(日)に大阪・なんばHatchにて開催。今回は初日の3月16日(金)の公演の模様をレポート!

2008年からスタートしたYuki Kajiura LIVEも今回で8回目。
メンバーはピアノ&キーボードの梶浦さんと、Kalafinaとしても活動するWAKANA、KEIKO、Sound Horizonにも参加するKAORI、ソロプロジェクト・KAiiDAでも活動するYURIKO KAIDAの4人の歌姫と、梶浦さんがフロントバンドメンバーズと信頼する、一流ミュージシャン達。
そして梶浦さんと一緒に名曲を紡いできたゲストボーカルの戸丸華江さんと伊東えりさん、フルートの赤木りえさんを迎えた豪華な布陣。


客電が落ちると神殿の門のようなアーチが映し出され、不穏なムードをかもし出す音が鳴り響く。薄暗い照明の下、伊藤えりさんの独唱。神秘的なソプラノボイスが徐々に不安をかき消していく。厳かな雰囲気が漂う中、梶浦さん、 4人の歌姫、バンドメンバーが登場。赤木さんとフルートとバンドの演奏が希望のメロディを奏でる。


「the beginning of the end」というタイトルにピッタリのオープニング。そしてアーチの映像が炎に包まれると梶浦さんが鍵盤を弾く腕が一層激しく、ドラムが刻むビートと歌姫4人の歌声が力強くなり、「the battle is to the strong」でステージは戦火のイメージに。『Fate/Zero』からの2曲で作品世界を描くような演出に息をのんだ。

3曲目の「fenetic」でギターのリフとドラムのバスドラでバンドサウンド風になり、打ち込みサウンドと歌姫達のコーラスで更に場内の温度が上がった。序盤からスケール感で観客を圧倒する。3曲演奏後に「こんなにどん暗い曲でライブを始めてよかったのか?」と笑う梶浦さん。「最後までごゆるりとお楽しみください」と話すが、早くも梶浦ワールドに引き込まれてしまった。
ライブに初出演の戸丸さんのソプラノボイスをフィーチャーした「satoyama main theme」は梶浦さんのピアノ伴奏と赤木さんのフルートの美しい旋律と共に心を癒される。


続いて『.hack//SIGN』から“twilight”つながりの2曲は一転してポップなサウンドに。オレンジ色のライトを浴びながら踊る 4人の歌姫は華やか。梶浦さんも流れるように鍵盤を弾く。
ステージに展開される様々なサウンドに、どこまでも果てが見えない宇宙のような梶浦ワールドにため息。

MCになるとガラっと空気が変わるのも梶浦さんのライブの魅力。出演者へ出したお題をテーマにトーク。この日の会場、渋谷公会堂にちなんで「最近、どう?」のテーマで近況を話す。梶浦さんと同じ野菜が苦手な KEIKOさんは青汁を飲み始めたが梶浦さんから「野菜も摂らないとダメだって言われた」と指摘され、ガックリ(笑)。
ゲストの伊東さんは車の運転中に梶浦さんの曲を聴くことだったが、車中で歌っている音が外に漏れて怪しまれることもあったそう。話を聴いている時の梶浦さんも楽しそうだ。

後半に入ると伊東さんにちなんで『ツバサ・クロニクル』のメドレー。梶浦さんいわく「どこからどこまでがどの曲だったか、わかるかな?」というつなぎ目がわからない天衣無縫のメドレー。
伊東さんが披露した「voices silently sing」はギターやフルートなどソロが続くセッション風の演奏、伊東さんと歌姫達の神々しいまでの美しい歌声が心地いい。

すると「ship of fools」では『梶浦語』と呼ばれる民族風の攻撃的なコーラス、スクリーンの雷鳴の映像で、会場に風雲急を告げる。「once upon a time there was and me」のフルートの音色と優しいコーラスで安らいだかと思えば、「a song of storm and fire」で再び燃え上がる。このアップダウンの激しさ! ここまで梶浦ワールドに浸っていた観客もストリングスとシンバルが刻む「どっしりしたビート」に突き動かされた一斉に立ち上がった。梶浦さんの動き、歌姫達の歌声、バンドの演奏、そして観客と会場にスイッチが入ったのを感じた瞬間だった。

点火した勢いは『舞-HiME』メドレーでも止まらない。しっとりした入りから歌い上げる歌姫達の声も大きく速く、バンドもゆがんだギターフレーズ、ドラムビートで勢いを増し、梶浦さんのプレーもよりエモーショナルに。そのまま、『セイクリッドセブン』OP曲であり、この日唯一の日本語詞の曲「stone cold」に突入すると、歌姫達もステージ前ギリギリまで近づき、動き回る。観客もダンス&拳を突き上げる。最高のグルーヴ感を迎えた。

本編ラストは『魔法少女まどか☆マギカ』のサウンドトラック「Credens justitiam」。クラシック風のコーラスとフルートの音色とバンドサウンドがクロスオーバー。

アンコールでは民族楽器のイントロの中、梶浦さんを筆頭に、次々メンバーが再登場。梶浦さんのライブではおなじみの2曲を演奏。静から動そして動への組曲のような壮大な曲「the image theme of Xenosaga Ⅱ」で演奏しながらも盛り上がる客席を見つめ、微笑む梶浦さん。
「zodiacal sign」ではイントロから観客のクラップが大きく鳴り始めると梶浦さんの「1、2、3、4」のカウントと共に歌姫と梶浦さんの造語コーラス5重唱。そこで会場の左右の壁に造語コーラスの字幕が映し出される演出に意表を付かれた。更に左右上下に腕を動かす振り付けを5人一緒にやると会場も振りコピで、見事な一体感。

最後の曲前に「今日、ここにあなたが来てくださらなかったら、違うライブになっていたかもしれません。例えば私の前のあなたが笑顔だったら私が次に弾く一音は確実に違ってきます。ライブに参加してくださった皆さん、ありがとうございました」と感謝の気持ちを述べた。ラストの「maybe tomorrow」ではアーチ型のセットがなくなるとスクリーンに日本語詞の字幕が。「きっと明日。越えて行く」のフレーズにエールを込めて。

4月から『Fate/Zero』の二期がスタート! これからも梶浦サウンドに触れる機会は増えそう。今後の梶浦さんの音楽とライブでの再会に期待したい。

<Text/永井和幸 Photo/ダンディ佐伯>

<セットリスト>
01.over ture~the beginning of the end(『Fate/Zero』)
02.the battle is to the strong(『Fate/Zero』)
03.frenetic(『歴史秘話ヒストリア』)
04.satoyama main theme(TV番組『世界里山紀行』)
05.key of the twilight(『.hack//SIGN』)
06.in the land of twilight,under the moon(『.hack//SIGN』)
07.forest(『エル・カサド』)
08.lotus(YUKI KAJIURA 2ndソロアルバム『FICTIONⅡ』)
09.godsibb(『Xenosaga Ⅲ』)
10.voices silently sing(『ツバサ・クロニクル』メドレー)~
11.ship of fools(『ツバサ・クロニクル』メドレー)~
12.once upon a time there was you and me(『ツバサ・クロニクル』メドレー)
13. a song of storm and fire(『ツバサ・クロニクル』メドレー)
14.媛星(『舞-HiME』メドレー)~
15.デュラン召喚(『舞-HiME』メドレー)~
16.目覚め(『舞-HiME』メドレー)
17.stone cold(『セイクリッドセブン』)
18.Credens justitiam(『魔法少女まどか☆マギカ』)

<アンコール>
01.the image theme of Xenosaga Ⅱ(『Xenosaga Ⅱ』)
02.zodiacal sign(『aquarian age』)
03.maybe tomorrow (YUKI KAJIURA 2ndソロアルバム『FICTIONⅡ』)

●梶浦由記公式サイト
www.FictionJunction.com/

●公式ブログ
fictionjunction.cocolog-nifty.com/