新たな伝説の始まり。“μ’s First LoveLive!”をアツくレポート!

By, 2012年3月21日



サンライズ×ランティス×G’sマガジンが送り出すスクールアイドルプロジェクト「ラブライブ!」の記念すべき1stライブ“μ’s First LoveLive!”が、2012年2月19日(日)、横浜BLITZで開催された。

ライブには高坂穂乃果役の新田恵海、絢瀬絵里役の南條愛乃、南ことり役の内田彩、園田海未役の三森すずこ、星空凛役の飯田里穂、西木野真姫役のPile、東條希役の楠田亜衣奈、小泉花陽役の久保ユリカ、矢澤にこ役の徳井青空が参加。
超満員で盛り上がりを見せたライブ中には、待望の『ラブライブ!』シリーズアニメが2013年に製作されることが発表された。

それでは、新たな伝説の始まりを告げたライブの模様をお届けしていこう。


●9人編成PVを完・全・再・現!
 
ライブ開始前から、会場のテンションは振りきれる寸前。このライブを、そして『ラブライブ!』の新しい船出をファンがどれだけ待ちわびていたかが伝わってくる雰囲気だ。
ライブの幕を開けたのは、ディフォルメされたメンバーたちが掛け合いを繰り広げられるドラマムービー。「穂乃果たちはいつもみたいにやればいいんだよ。穂乃果たちの歌を聴きにきてくれたみんなのために、ありがとうって気持ちを込めて歌えばいいんだよ!(穂乃果)」の言葉が印象的だ。
そして全員揃っての「μ’s、ミュージック、スタート!!」の掛け声と共に、現実の「μ’s」メンバーたちのステージが始まった。


ピンク色のライトの逆光の中、メンバー全員のシルエットが浮かぶ。「叶え、私たちの夢!」の声と共に流れ始めた一曲目は、「僕らのLIVE 君とのLIFE」だ。そして歌い出しと共に客席が見たのは、スクリーンに映し出された同曲のPV、ぬるっぬるに動きまくる9人編成の振り付けを、ほぼそっくりそのまま完コピで踊りまくる姿だった! 
正確には、PVでは踊っていないパートも含めての再現なので、気になる人は一度PVを見て「これを声優さんたちが一度限りのライブでそのまま再現した」意味を少し考えてみてほしい。

 
そして圧巻のパフォーマンスの余韻の冷めやらぬ中、メンバーからの自己紹介へ。全員の「μ’s First LoveLive!へようこそ!」の声に始まり、徳井の「にっこにっこにー!」、南條の「皆さんの盛り上がり方、とってもハラショーよ」などキャラクターならではの一声を添えた物だ。そんなやりとりの中、「暑いね」と口々に語ったメンバーは、「暑いから脱いでいい?」と衣装…の袖をパージ! ノースリーブに変身すると、会場をより熱く燃やす「Mermaid festa vol.1」へ! アップテンポかつ情熱的な、腕を大きく使ったフリにはこちらの衣装がぴったりだ。
そしてMCを挟まずにノンストップのまま「夏色えがおで1,2,Jump!」へ! なるほど夏らしい繋ぎ…ってまたPV流してる! また完全再現! この曲の後半にはセンター・矢澤にこ(徳井)のソロがあるが、任された徳井の、楽しそうで伸びやかな様子が印象的だった。

●個性が際立つユニットパート
 
出演者が一度ステージを下りた後、ここでキャラクターたちによるドラマが始まり、「うん、ちょっとでも休んで!」と何かほっとしたのは筆者だけだろうか。
ドラマの内容は、横浜BLITZでのライブが決まったメンバーたちの打ち合わせ風景だ。キーワードは「いつものように笑顔で、自分たちらしく来てくれたお客さんたちを笑顔に」だろうか。
そしてキャラクターたちが口々にユニットで歌う新鮮さや楽しさを語り始めたとなれば、ここからはもちろんユニットライブコーナーだ。

  
先頭を切ったのは、絢瀬絵里役の南條愛乃、西木野真姫役のPile、矢澤にこ役の徳井青空によるBiBi! 衣装は黒地にゴールドをあしらった腰高なスカートが印象的で、定番の客席からの「回ってー」コールでは、三様にふわりと膨らまらせたスカートの金糸がキラキラと輝いていた。
そんなクールかつゴージャスな装いにふさわしい楽曲は、もちろん「ダイヤモンドプリンセスの憂鬱」! それぞれに特徴的な声を持つ3人だが、ライブだとそれぞれの輪郭がよりはっきりと感じられる。
そして徳井の「後ろも前もこの辺も、次は超盛り上がる煽りがあるのでぜひ全力で盛り上がってください!」との煽りから、「ラブノベルス」へ! どこか牧歌的な歌い出しは会場全体が一緒になって熱唱! 3人がぎゅっとひとかたまりになって、窮屈なぐらいの近さのままステージ狭しと動き回って客席を煽りまくるのが実に楽しかった。

  
そのままの流れで高坂穂乃果役の新田恵海、南ことり役の内田彩、小泉花陽役の久保ユリカのユニット・Printempsが登場!
衣装はパステル調のバレリーナ衣装風で、もこもこしたスカートがかわいい。そして、「Love marginal」歌い出しの内田のソロが横浜BLITZの空気をピーンと切り裂くと、一瞬で会場のカラーを塗り替えてしまうから、このボーカルは特別だ。ユニゾンになると新田の確かな歌唱と久保の存在感が加わってさらに厚みを増し、まるでひとつの楽器のよう。それぞれのソロパートでの新田の伸びやかさ、久保の引きこまれるほど真剣な眼差しも印象的だった。
「切ない「Love marginal」をお届けしましたが、甘々でかわいいうふふーな曲を聴いてもらいたいと思います!」と煽ると「sweet&sweet holiday」へ。説明不要のとびっきり楽しい楽曲だが、内田のキャラらしさを出した歌の崩し方と、久保の先ほどの真剣さとは別人に思えるほどキュートで、指先まで表情の通ったパフォーマンスが目を引いた。

 
Printempsの衣装はスカートが「もこもこマカロン」をイメージしたとのことで、内田の第一声も「みんながおやつに見えてきちゃった!」。そしてここで新田が舞台袖に行くと、持って来たのがチョコレートだ。少し遅れたバレンタインとして、久保と内田がチョコまきを担当。
久保が女の子にチョコを手渡したり、「うちのお母さんはソフトボールの選手だったから」という内田がソフト投げで遠投したりするたびに、会場からは大歓声が起こっていた。

●投票でシングルを勝ち取った3人のソロコーナーも

 
ここでステージは新田ソロの「もうひとりじゃないよ」へ。圧巻だったのは「星が落ちた」のフレーズのあと新田がゆったりと腕を振ると、会場いっぱいのオレンジのサイリウムが流れる星のように揺れている光景だ。敢えてダンスは最小限に、ひとつひとつの言葉を大切に大切に紡いていく新田の姿が印象的だった。


続いて登場したのは内田。「スピカテリブル」はロックアイドル調のかっこよさと、そこからあふれ出す隠しきれないかわいらしさがポイント。手にはスタンドマイク風のステッキマイクを持っており、マイクを振り回したり跳ねあげたりのマイクアクションも多彩だ。間奏の独白も含めて、演じる、表現するという言葉がぴったり来るステージだ。

 
そしてソロコーナーのラストが、三森すずこの「私たちは未来の花」。ストレートにクールなロックナンバーだが、それだけに三森の放つ輝きがストレートに伝わってくる。ビリビリとした音圧や表現力を含め、CD音源よりはるかに圧倒的に感じられるパフォーマンスに、会場もこの日一番の盛り上がりだったように感じた。

 
ソロコーナー終了後、ステージには「みもりんすっごくかっこよかった!」と星空凛役の飯田里穂、「みもりんに惚れちゃいました!」と東條希役の楠田亜衣奈が登場。ここに衣装を着替えた三森が戻ってくれば、もちろんlily whiteのステージだ。
衣装のコンセプトは80年代ワンピース風とのこと。「りんちゃんです」「のぞちゃんです」「みもちゃんです」「「違うでしょ!!」」なんて遊びを入れつつ、一曲目は「知らないLove*教えてLove」。3人が揃うとバランスがいいが、飯田のちょっとくせのある耳に残るソロ、楠田のストレートなファニーボイスが心地よい変化を与えてくる。
そんな声質のカクテルの妙がより楽しめたのが、続いての「あ・の・ね・が・ん・ば・れ!」。ラテン系の情熱的な曲調に合わせ、三森の低く情熱的な発声の歌唱が加わることで、よりそれぞれの魅力が際立って感じられる。ラテンのリズムに乗せた縦ノリの激しいダンスだと飯田のスタイルの良さも際立ち、2曲のイメージの落差が面白いlily whiteステージだった。

●ラストスパートは、ライブキービジュアルの新衣装で!

 
大暴走する穂乃果がキュートなキャラクターPVドラマを挟み、ここで全員が新衣装でステージへ。ライブメインビジュアルを基調にした衣装で、サスペンダーで吊ったチェックのスカートを左右非対称にアレンジ。揃いの黒ニータイツで「ザ・絶対領域!」という感じ。それぞれの胸元がキャラクターカラーのリボンやタイになっているのがポイントだ。やはり「回って」のシーンがあったのだが、ゆったり回る人もいれば、南條のようにはずかしそうにくるんと周る人、Pileのように鮮やかなターンを決める人もおり個性が出る。
そして9人が見守る中、スクリーンにライブ練習風景が映しだされた。スクリーンの中の9人は楽しくも真剣な様子だったが、側には常に4人のダンスの先生がつきっきり。こうした練習は、なんと昨年10月からスタートし、週二のペースでレッスンがあったというから、ライブ本番での練度の高さも頷けた。


そして、いよいよステージはラストスパートへ。もっぎゅもぎゅな客席が見守る中「もぎゅっと”love”で接近中!」! キュート系の曲で全員がかわいく歌っているのに、その中でも飛び道具のように抜けてくる内田の声はなんかもうずるい。
そのままの流れで「baby maybe 恋のボタン」へ。徳井の「押してぽちり」などソロの使い方がにくい。ユニゾンの美しく楽しいバランスと、その中の限られたソロパートにそれぞれが個性を出すために命をかけている感じが『ラブライブ!』の特色かもしれない。

 
口々に「踊りあかしたい!」「歌ってたい!」「今来たばっかりですわ」と語るメンバーだったが、ここで新田から「みんな聞きたくないと思うけど、次の曲で、最後ー!」の言葉が出ると、ステージも客席も「やだー!」の大合唱だ。「最後は私たちが大好きな曲を聴いてもらいたいと思います」の言葉からのラストナンバーは…「Snow halation」! 全員の声と想いがひとつになったような歌声に、客席の声が加わっていく。会場の天井から雪が舞う演出の頃には、関係者席の中にも号泣する姿があった。筆者だった。「μ’s」の9人は最後のこの曲もやはりPVを完全再現して歌い踊り、駆け抜けたのだった。

●ライブはまだまだ終わらない!


鳴り止まないアンコールの中、スクリーンには「アンコールの声を聞いている」キャラクターたちのPVが流れる演出が。「みんながにこを、呼んでる!」「これぐらいのアンコールじゃ真姫ちゃんが出ていくわけにはいかないわ!」なんて煽りも交えるリアルタイム感が楽しい。
そして「ここからが本当のクライマックス。μ’s、ミュージック、スタート!」の声と共に、ライブTシャツに着替えたメンバーがステージへ! 楽曲は「友情ノーチェンジ」! お互いにハイタッチをかわしながら、どの顔も本当に楽しそうだ。1stシングル収録曲だけあり、客席のコールやノリの完成度も完璧だ。そしてアンコールへの感謝を口々に伝えつつ、「愛してるばんざーい!」へ。まるで今この場で歌うためにしつらえたような染みる歌詞は、さすが畑亜貴氏といったところ。
ソロパートでは次の担当に歩み寄って手を合わせたり、視線を絡ませたりしながら歌いついで行く。中でもPileのソロで、ピンスポットの中で彼方を見つめる表情、伸びやかで艶がある歌声は神々しくさえあった。全員が手をつないでの「ララララララ」の声は、まさに大団円にふさわしい響きだ。


ここで、南條愛乃から代表して想いが語られたので紹介しよう。
「ライブをやることを見越して作ってもらったのかなと思うほど、ファンの皆さんのことを、メンバーのことを思い起こしながら歌える曲でした。最初の頃はお互いのことも全然知らなくて、どうなるんだろうってところから始まりました。でもイベントやドラマCDをやる中でこんなメンバーで作ってるんだということがわかってから1枚目を聴いてみると、ちゃんとみんなのことを歌えてたんだなって、不思議に感じました。このメンバーでこの日を迎えることが出来ました。これも皆さんの応援のおかげです。
このライブを作るにあたって、私たちは本当にたくさんの人に支えられてきました。早い人は10月から、週2回。そのたびにダンスレッスンの先生がついてくれて、ダンス未経験もいる私たちをここまで仕上げてくれました。ゆみ先生、まい先生、けいこ先生、あやか先生、本当にありがとうございました。衣装さん、ヘアメイクさん、照明さん、音響さん、ランティスの木皿さん、たくさんの人たちが力を添えてくれて、私たちはこの日を迎えられました。スタッフさんたちにも、皆さんの温かい拍手をお願いします(なりやまない拍手)。こんなに集まってくれるなんて思ってなくて、本当に嬉しかったです。私たちはこのメンバーで頑張っていこう…と思うので、今日はとっておきの情報を持って来ました!」果たしてそれは……。

●2013年にシリーズアニメ制作が決定!
 
ここでスクリーンには、PVで歴代のシングルの発売や、今日のライブの歴史が時系列順に表示され……そして。最後に現れたのは「2013年シリーズアニメ化決定」の文字!! 会場は爆発するような歓喜の声に包まれたのだった。

「最初ライブを聞いたときは、4人で振りを揃えるのも大変なのに、9人って! と思いました。私は練習に出られないことも多くて、この一週間は人生最大の危機でした! 
でもステージが開いて、皆さんと一体になれて、もっともっと『ラブライブ!』を盛り上げて続けていければと思いました!」(三森)

「私もライブやるよって聞いて実家に帰ろうと思ったんですけど、4人組の30倍ぐらい激しい動きで、メンバーにもすごく助けてもらいました。先生方にもよくなってきたよって言ってもらえて、自信を持って今日踊ることが出来ました。
二の腕がむっきむきになっちゃって、そらまる進化したなって感じです! これからも応援お願いします!」(徳井)

「みんないろんな葛藤がある中頑張ってきました。一人でやってきた私がみんなと一緒にやれて嬉しかったです。ライブがこれからあるのかわかんないですが(笑)、これからも末永くμ’sをよろしくお願いします」(Pile)

「色々考えてたのにうえーってなっちゃって、どうしようね。アニメ化知ってたのに、テロップ見て脱力しちゃいました。みんなで踊りも歌も頑張ったし、衣装もみんなで話し合ってやって……普段私友達もあまりいないし、外にも出ないから、練習でだけいろんな人に会って、家族みたいだねって……良かったです。
一生懸命やったのをたくさん見てくれて、支えてくれてほんとにほんとに嬉しいです。皆さんありがとうございます!」(久保)

「練習が始まってからつらいことばっかりで、大変だったんだよね。ただでさえ歌が苦手な私が、こんなに踊って歌えるのかなって不安でしたが、ここまでやってこれたのは皆さんの応援のおかげです。ありがとうございました! うち、しあわせ!!」(楠田)

「つらーい、かなしーい、うれしーんだけど! みんなの言葉を聞いてると、自分がやってきたことも思い出しちゃって……。私も、あんなに激しい踊りや歌って初めてですごくプレッシャーがあったんです。リリホワはすごい激しいんですが、みもちゃんもくっすんも踊りをやってきた人だから……直前まで教えてもらって、実はそれでも間違っちゃったんですが(笑)。
私は8人のお姉さんがたに巡り会えたと本当に思ってます。ファンの皆さんとお姉さんたちについていきたいと思うので、皆さんもついてきてください!」(飯田)

「ただ歌が好きなだけの私みたいなさえない人間が、穂乃果役に決まって。最初は私たちも、皆さんも誰もよくわからなかった『ラブライブ!』がこんなに愛してもらえて、本当に幸せです! 
穂乃果は私の半分以上を占める存在なんですが、これからも穂乃果と一緒に、μ’sと一緒に、ラブライバーの皆さんと一緒に作って行きたいと思います。ありがとうございました!」(新田)

「こういうの苦手だからぼろぼろになっちゃうかもしれないんですけど…始まって一年間本当にいろいろなことがあって。ライブや企画をみんなで作ってきて、頑張んなきゃ…と思ってたんですが、自分たちだけじゃなくて、みんなが支えてくれているのを感じました(途中言葉にならず)。
これからも。よろしくお願いします」(内田)

「ライブが決まった時から、本当にこれやれるのかな、踊れるのかなから始まりました。ライブが近づいて、できることとできないことがたくさん出てきて。それぞれに思うことや、不安さゆえの色々もありました。
でもステージに立つと……もう夢みたいだなと。私たちの頑張りはこのステージに立って報われたと…心から思いました」(南條)

●再び、そして全く違って聴こえた「僕らのLIVE 君とのLIFE」
 
それぞれの思いを伝え終わり、マイクを持ったのはやはり南條。「ステージに立って改めて思ったこと。このμ’sのみんなとラブライバーの皆さんが、大好きだー! 次の曲で最後ですが、まだ元気は残ってますか? まだまだ盛り上がれますか?『ラブライブ!』が大好きですか? では皆さん一緒にタイトルコールお願いします!『僕らのLIVE 君とのLIFE』!!」。

久保が南條を気取った仕草で階段状に引っ張りあげたり。客席に限界まで近づくメンバーがいたりと、今度はかなり自由な感じのステージング。
だがオープニングでの披露と何より違ったのは、ステージと客席の高まり。振り絞るような「大好き!」の声が全く別の曲のように響いたのことが、何よりもこれが『ラブライブ!』のステージなんだな、と感じさせてくれたのだった。
全員揃っての「本日はまことに……ありがとうございました!」の声で、「μ’s」初めてのライブは終了。終演後も鳴り止まない歓声と、興奮と満足で紅潮した表情。いつかこのライブが伝説と呼ばれる日が来るのだろうなと、感じさせられた一夜だった。

<Text/中里キリ>

●ラブライブ!公式サイト
http://gs.dengeki.com/lovelive/