魅惑の朗読に、アフレコ裏話も!「マウスの部屋~3世代声優今昔物語~」【1回目】レポート

By, 2011年11月30日



マウスプロモーションに所属する声優たちが朗読、トークを繰り広げるイベントが2011年11月20日(月)、東京・松濤アクターズギムナジウム 荻窪本校にて開催。
出演者は納谷六朗さん、てらそままさきさん、浜田賢二さん。そして司会は市来光弘さんというメンバーで行われた。


最初は浜田さんによる童話『ラプンツェル』の朗読からスタート。少女ラプンツェル、王子、魔女の見事な演じ分けぶりに、客席は瞬く間に引き込まれた。


朗読が終わると出演者全員でのトークショー。今回のメンバーの年齢は79歳(納谷)、49歳(てらそま)、39歳(浜田)、29歳(市来)と、見事に10歳刻みの世代に分かれており、世代間の話に花が咲いた。

―初めて声の仕事をした時の感想をお聞かせください。

浜田:養成所に入所した年に、CS放送が始まるにあたり吹き替え作品を沢山収録しまして。そこで連続モノのレギュラーをいただいたのが初めてでした。多くの先輩方の前でとても緊張しながら収録に臨んだのを覚えています。

てらそま:26、7歳の時に初めて『仮面ライダーBLACK』という特撮作品でシャドー・ムーンという役を演じたのですが、やっぱり最初の役、ということでとても印象に残っています。


ここで本作の大ファンであるという市来が食いつき、BLACKの変身シーンを披露。思わぬサービス(?)にギャラリーは沸きあがったが、一方のステージ上は失笑気味(笑)。

納谷:兄の納谷悟朗は昔から声優として活躍しておりました。ある時『ウィリアム・テル』という作品で偽物のテルが登場したのですが、兄がディレクターから「声が似ている人知らない?」と聞かれたらしく、電話で「出演してくれないか?」という打診をされました。その電話口の声をディレクターも聞いていたらしく、どうやら「似てないな」という結論が出てしまったようで……。知らない間にオーディションが行われていました(笑)。
ただ、その時「せっかくだから」ということで、名前のないような登場人物、いわゆる端役を演じさせていただいたのが最初です。

―思い出に残っている作品は?

てらそま:やはり『仮面ライダー』ですね。アフレコ現場ですが、今のようにきれいなスタジオではなく、地面が土になっているような場所で、防音素材も手作り感が満載でした。

納谷:最近ヒットした映画の元にもなっている『オーシャンと11人の仲間』という作品で、何と11役を演じました。当時は、特に若手が兼役をすることが多かったのですが、「一人でそんなにたくさんの声は出ないですよ!」と思いながらやっていました(苦笑)。

浜田:養成所時代に関わった作品は、自分の仕事の第一歩を踏み出せた、ということでは全て大切な作品です。


続いてはてらそまさんが秋元松代作『村岡伊平治伝』の台本を朗読。臨場感溢れる語り口もさることながら、唐に売られてゆく美女たち「からゆきさん」の熱演も光った。

―今と昔で声優界の事情は変わりましたか?

納谷:アフレコブースがとても明るくなりましたね。昔は映画館のように暗い中でやっていましたから。プライベートで映画を観に行った時、鑑賞中に居眠りをしてしまったことがあったのですが、起きた際にアフレコをしている途中だと思って暗い中、レシーバーを探したりして(笑)。

てらそま:ドラマやアニメ番組で、生で声をあてていたこともあり、物語が完結せずに番組が終わってしまったこともあったそうです。今では考えられませんが(笑)。

―今の声優に物申すとしたら?

納谷:現代には現代のやり方があるから・・・。一つ言いたいのは、最近の声優さんは好奇心をあまり持っていないように感じます。何をやりたいのか、それをもっと表に出していけばいいんじゃないかと思いますね。


最後は納谷さんの朗読コーナー。芥川龍之介の『鼻』を絶妙な「間」で読み上げ、集まったファンも拍手喝采。

最後は出演者と一緒に写真を撮れる権利をかけてのジャンケン大会も行われ、大盛況のうちにイベントは終了した。


終演後には入口で、東日本大震災のチャリティー用募金箱を前に、出演者全員でお見送り。
多くのファンが募金に参加した。