アキバの女王、桃井はるこが『IVY~アイビー~』から約1年ぶりとなるニューアルバム『しょうわ』を8月24日(水)にリリースする。そのタイトル通り昭和の時代、特に80年代の日本にスポットを当て、彼女の解釈で楽曲を詰め込んだ、懐かしさと新しさがブレンドされた1枚に仕上がっている。
どのような心情で今回のアルバム作りを行ったのか? それぞれの楽曲についても掘り下げて語ってもらった。
―今回のアルバム製作に向けて何か心境の変化がありました?
桃井はるこさん(以下、桃井):前作『IVY~アイビー~』は、「私はこうやって生きていく」という指針を表明し、また、聴いて下さる皆さんの「見えない手錠を外す係」になったつもりで制作してきました。
ニコニコ生放送で『独占!モコモコ60分』という番組をやらせていただいているのですが、視聴者の方から「前向きな曲が聴きたい」という意見をいただいたのが始まりです。
『しょうわ』のコンセプトは「懐古主義の肯定」です。このアルバムを作るにあたり、他のアーティストさんがどんな曲を歌っているのかを知っておきたかったので、色々と聴いてみると、「振り返らずに前を向いて歩こう」と歌っている方がいらっしゃいました。ですが私はひねくれ者なので(笑)、そうではなく、「私ならどういう表現をするだろう?」と考えました。すると、「ファミコンの接触が悪い時、カセットをフーフーしたよね」というような話をしているととても楽しいな、と気づきまして。昔の話をすると「おっさんホイホイ」と揶揄されたりすこともあるのですが、別に悪い事じゃないんじゃないかと。
「昭和」と言うと、団塊の世代の方が考える、東京タワーが完成した当時など、30年代を思い起こす方が多いんじゃないかと思うのですが、私にとっての「昭和」は80年代にあたるんです。1977年生まれということもありまして。『まんがライフ』(竹書房刊)という雑誌で「桃井はるこのももいでライフ」というコラムを連載させていただいているのですが、「あー!こんなのあった!!」と思う瞬間、脳の中から何かが出るような感覚に襲われるんです(笑)。そういう感覚になる曲を作りたいな、という気持ちで今回のアルバムを作りました。
―私も81年生まれですので、今回のアルバムには共感できる部分がたくさんあります。
桃井:いいな~、80年代生まれ(笑)。私のファンの中には平成生まれの方もたくさんいらっしゃいますので、彼、彼女たちに「こういう昭和もあるんだよ」というのを伝えられればいいな、と思います。
私も小さい頃に、森田公一とトップギャランや、山本正之さんの曲を聴いたりしていたので、同じ感覚で楽しんでいただけるんじゃないかと思います。
―楽曲にも出てきますが、桃井さんの考える「昭和あるある」と言えば?
桃井:芸能でいうと、アイドルやトップアーティストのポスターが盗まれたり、目の部分に画鋲を刺すいたずらなんかが流行りましたね。今でもあるんでしょうか(笑)? 落書きで相合傘が書かれたり「○○命」という表現もありましたね。
―桃井さんの、昭和時代の学生生活はどんな感じだったのでしょうか?
桃井:とにかくスカートが長かったですね。「スケ番」ブームがあったりして、長い方がカッコいい、という風潮があったみたいです。一説によると『セーラームーン』が流行りだしてから、短いスカートがブレイクした、ということみたいですが。
小学校の頃にブカブカの制服を買ってもらいました「すぐに大きくなるから」と親を説得して(笑)。
―背伸びしたい年頃だったんですね。
桃井:とにかく早く大人になりたかったんです。最近は「大人になんかなりたくない」というような曲も結構歌われていますが、私は逆でした(笑)。
―今回のアルバムは、ご自身で凝った聴き方をされているとか。
桃井:カセットに曲を入れてウォークマンで聴くのがマイブームなんです。でも、部品がなかなか手に入らなくて……。
―ジャケットですが、こちらのアルバムタイトル文字は桃井さんが書かれたのですか?
桃井:そうなんです、いくつか書いたものからデザイナーさんに選んでいただきました。バックは原稿用紙がいいな、と思いまして。
ジャケットの中で着ている服は、金子功さんというデザイナーさんが手がけているのですが、『ピンクハウス』というブランドを立ち上げた方なんです。私の憧れだったお姉さんが、このブランドの服をよく着てらっしゃったので、今回私も着てみようかな、と思いまして。
―曲の話に戻りますが、最近は先行配信やサンプル試聴など、CD発売前に楽曲が聴けるのが当たり前になりつつありますね。
桃井:そうですね。ですが今回は敢えて、買ってからのお楽しみ、という形で、発売までに曲を試聴できないようにしよう、ということにしたんです。ともすれば「ジャケ買い」をしていたような、あの時代のドキドキ感を味わって欲しくて。
―今回のアルバムは女性の方にも是非聴いて欲しいと。
桃井:女の子に共感してもらえる曲がたくさん入った1枚になっていると思うんですよね。「男の子はこういうことを言われたら嬉しいんだろう」と思って詞を書いたことは、実は一度もないんです。自分が言いたいと思ったことしか書かないんですよね。男性と女性が考えることが重なる部分って必ずあると思いますので、そういう曲ができればいいな、と常々思っております。
―「昭和」の話に戻りますが、昔は音楽番組も、今とは違うスタンスのものがたくさんありましたね。
桃井:最近『キラリ・熱熱CLUB』という、昔放送されていた音楽番組をCSで観ているのですが、KENZI&THE TRIPSなど、テレビに出ないようなイメージのアーティストさんが出演していたり。あの頃のバンドは本当に技術が卓越していて。今も放送していたら是非出演したかったですね。この話、どれくらいの人に伝わるか分からないですけど(笑)。
―今後の活動予定を教えて下さい。
桃井:『しょうわ』発売記念イベントを関東・関西で行います。特に京都ではライブハウス(ライブハウス都雅都雅)でのイベントとなりますので、是非来て下さい!
―最後に、桃井さんのライブで盛り上がる秘訣をお願いします!
桃井:ツイッターなどで「桃井さんのライブは『オタ芸』ができないと参加できないんですか?」というような質問をいただくのですが、来て下さる皆さんは、それぞれ自由にライブを楽しんでいますので、初心者の方も軽い気持ちで臨んでいただければ良いと思います!
01.夜明けのサンバ
『独占!モコモコ60分』の企画から生まれたシングル曲です。コンビニの店長さんから「紫のサイリウムが売れない」という意見をいただいて、曲のテーマカラーを紫にしてみたり。とても思い入れのある曲ですね。
02.しょうわ
いわゆる「昭和あるある」ネタが詰まっています。1985年に開かれた「つくば万博」は、当時の大人たちが21世紀に向けて「日本頑張れ!」というメッセージを込めたイベントだったと思うんです。そのメッセージを受け取った私は21世紀を迎えたわけですが、日本と自分の成長が、秋葉原の成長と重なって見える瞬間がありまして。
昭和を生きてきた人たちは、今思うととても可愛げがあったな、とふと思ったりもしますね。
03.夏より熱い冬
アイドルを応援しているファンの視点に立った曲です。私は青春時代、アイドルがとても好きだったんです。
ちょうど「アイドル冬の時代」と言われていたのですが、それでも都市部ではアイドルのイベントが頻繁に行われていて、私自身も参加して、とても楽しかったです。ある時、街でたまたまアイドルに出会ったことがあるのですが、好き過ぎて何も話せなかったんですね。そういう微妙なオタク心を歌った、切ない曲です。
04.ですぱれーしょん☆です!
本当は「デスぺレーション」と発音するみたいですが、言いにくいので(笑)。
意味としては「やけっぱち」みたいなニュアンスですね。二次元を愛する人に恋をしてしまったら、一生片思いじゃないですか。「三次元は二次元に勝てない」と面と向かって言われたらショックですよね。そういう部分を歌にしてみました。
05.Night Park☆
妄想の中のロマンチックな曲です。自分自身はこういう経験はないのですが(笑)。好きな人にあてはめて聴いてもらいたいです。
06.ヒ・ミ・ツ
女の子同士で「好きな人って誰?」みたいな話をしているシチュエーションを思い描いていただきたいです。こういう秘密を口にすると、ウソに聞こえてしまうことがあるじゃないですか。そこを歌ってみました。
ちなみに、歌詞にある「アキネーター」とは、頭に有名人(2次元キャラ含む)を思い描き、出てくる質問に答えていくと、それをズバリ当ててしまうというネット上の無料サービスです。女の子どうしの「頭文字は?」「メガネかけてる?」というやりとりが、まさに「リアルアキネーター」だな、と思って(笑)。
07.祭だ!BOY MEETS GIRL
マカオで行われる『コミックフェスティバル』というイベントのイメージソングになる予定です。日本の漫画やアニメが好きな人は、日本の祭りも多分好きだと思いますので、盛り上がれる
曲にしようと思ってストレートに作りました。物語の中ではよくあるイベントなのですが、私は実際こういうシチュエーションを経験したことがないので、歌の中で補完しました(笑)。
08.スカート丈の長いメイドさんには絶対にかなわない
女の子に共感していただける曲になったと思います。曲タイトルを見て「その通り!」と納得していただければ嬉しいです(笑)。
09.ライブのあとはさみしいな
この曲は、ライブでもどのタイミングで歌ったらいいか難しい曲ですね(笑)。『独占!モコモコ60分』でいただいた意見をもとに作った曲ですが、自分ではとても思いつかなかった案ですので、これからも皆さんの意見を心よりお待ちしています!
10.がんばれ…それは、I Love You
『独占!モコモコ60分』の企画から生まれた曲です。やっぱり最後は元気が出る曲にしたいな、と思って10トラック目に持ってきました。最初は「ライブのあとは~」をラストに持ってこようと思っていたのですが、この曲から「夜明けのサンバ」にリピートしてもらった方がしっくりくるかな、と思いまして。
<Text/ダンディ佐伯>
2011年8月24日(水)発売
DGAA-10004
税込¥3,000
発売元:ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント
【収録曲】
1.夜明けのサンバ
2.しょうわ
3.夏より熱い冬
4.ですぱれーしょん☆です!
5.Night Park☆
6.ヒ・ミ・ツ
7.祭だ!BOY MEETS GIRL
8.スカート丈の長いメイドさんには絶対にかなわない
9.ライブのあとはさみしいな
10.がんばれ…それは、I Love You
全詞曲:桃井はるこ
☆発売記念イベント開催!!
8月25日(木)【神奈川】アニメイト横浜
開場 16:30 開演 17:00
【内容】トーク&ミニライブ
8月27日(土)【東京】秋葉原ソフマップ
開演 12:00
【内容】トーク&ミニライブ
9月2日(金)【東京】タワーレコード新宿店7Fイベントスペース
開演 17:00
【内容】トーク&ミニライブ+お渡し会
9月3日(土)【京都】とらのあな京都(ライブハウス都雅都雅)
開場 13:00 開演 13:30
【内容】トーク&ミニライブ
9月3日(土)【大阪】タワーレコードNU茶屋町店 6Fイベントスペース
開場 17:30 開演 18:00
【内容】トーク&ミニライブ
9月4日(日)【兵庫】ミドリ電化JR尼崎店
開場 13:45 開演 14:00
【内容】トーク&ミニライブ
※詳しくはこちらのサイトをチェック!!
AKIHABALOVE RECORDS 『しょうわ』 商品情報
http://d-me.jp/agc/label/akihabaloverecords/dgaa10004.html
桃井はるこ 『しょうわ』 アルバム特設サイト
http://d-me.jp/agc/showa