黒く光沢のある車体、力強い走行音、煙突から噴出される蒸気、雄々しい汽笛。みんな大好きSLとアニメのコラボイベントが2020年12月26,27日の二日間に渡って開催された。
コラボしたのは栃木県を走る真岡鐵道と、2020年10月~12月の期間放映されていたアニメ『レヱル・ロマネスク』。 劇中のメインキャラクター、「すずしろ」のモデルとなったのが真岡鐵道のSL車両「C11 66」だったことから、アニメ放映期間中の10月3日~12月13日、SLもおか号は「すずしろ」が描かれたコラボヘッドマークを掲出して走行した。
コラボ期間終了に伴ってヘッドマークを外す前に、SLを貸し切ってファンに乗車してもらい、「すずしろ」の車内放送やゲスト声優とのトークを楽しんでもらおうというのが今回のイベントの趣旨だ。
12月26日の朝10時45分。参加した約90名のファンが、スタッフの適切な指示と先導のもと、停車中SLすずしろ号に乗車すると、今回のイベントの司会役を務め、アニメではシリーズ構成・シナリオを担当した進行豹さんが登場! イベントの進行と諸注意が説明された。
なお、乗車してから発車するまでの間には、自作の衣装(完成度高し!)に身を包み、すずしろ姿のスタッフから「記念乗車証」が配布された。
厚みのあるA6判のアクリル板に、ヘッドマークと同図柄のすずしろがプリントされたこの乗車証は、高級感のあるデザインもあいまってクオリティが非常に高く、受け取った乗客は一様に感嘆の声を漏らしていた。
イベントは真岡駅~茂木駅の区間を往復する間「すずしろ」の車内放送を流し、その合間にトークが展開する……という流れ。1日目は車内放送の開始タイミングを測るのが難しく、トークが盛り上がってきたところで車内放送が被ることもあったが、そんな時も笑いが起きたり、アットホームな雰囲気に終始した。
1日目のゲストはレイルロオド「しろがね」役の上條千尋さん。往路では「しろがね」の印象について語ってくれた。
アニメ収録前に設定資料とデザイン画を渡されていたとのことだったが、第一印象は「かわいい」だったそう。そして繊細さ、物静かさ、儚さといった印象も持ったが、これは収録中にも覆されることはなかったとのこと。
アニメの収録はコロナの影響もあり個別で録音したため「難しさもあったけれど、最初は人見知りだったしろがねが、ランとの交流を皮切りに、他のレイルロオドたちとも打ち解けていく様子を見られたのがうれしかった」と、顔をほころばせながら語った。
茂木駅に着くと復路の列車が発車するまで約2時間の自由時間が。 この間は写真撮影タイムだ。 一番の見所は機関車がターンテーブルに乗って向きを変えるシーン。線路わき、ターンテーブルのすぐ目の前に撮影スポットが設けられた。皆がカメラを構える場所に向かってゆっくりと、けれど力強く、シュッシュッと音を立てながら近づいてくる姿は迫力満点で、歓声が上がった。
SLもおか号の車体には、普段は「真岡」と所属を示した区名札が取り付けられている。しかし、この日はSLすずしろ号として「万岡」とアニメの設定に合わせた区名札に換装されるという心憎い演出。さらには「万岡-持木」と行先表示の札も張り替える細やかさ。さすがに車体番号を示す「C11 66」という車体正面のプレートは張り替えるわけにはいかない……かと思いきや、この茂木駅停車中のみ「C12 67」と、こちらもアニメ版のプレートに差し替えられた。
復路も進行豹さんのSLおよび真岡線に関する蘊蓄を挟みながら、 現在DLsiteにて好評配信中のボイスコンテンツ「蓄音レヱル」についてのトークが展開。「蓄音レヱル」は、「しろがね」たち各レイルロオドが、自分のご当地の紹介をしつつ、視聴者(マスター)との甘いやり取りを行う様子を収録している音声作品だ。
収録した感想を問われた上條さんは、「海の音、温泉の音が本物の音で、本当にそこにいるみたいで旅している気分になる」と答え、さらに苦労した点を聞かれると「初めてバイノーラルマイクを使用して収録し、喋りながら動くという経験がなかったので新鮮だった」とのことだった。
ちなみに「蓄音レヱル」の各巻には放映されたアニメ1話分、最終巻にはこのイベントでも流れていた「すずしろ」の車内放送が収録されているので、要チェックだ。
復路も半分を過ぎた辺りで、プレゼント抽選会が行われた。 賞品は大判のラバーマット、パスケース、クリアケース、ポストカード、さらに上條賞として、上條さんのサイン入りポストカードのセット、サイン入りイベント台本。これをスマホの抽選アプリを使って当選者を決める。
上條さんの手により続々と当選者が決まり、賞品が「すずしろ」さんから手渡しされる。その際車内からは自然と拍手がわきおこった。抽選会が終わると、音声設備の都合上ずっと3号車にいた上條さん、進行豹さんが1号車、2号車をまわり質問を受け付けていた。
最後に、イベントの感想を問われた上條さん。 「SLに乗るのも、栃木県に来るのも初めてだったし、皆さんの前でイベントをするのも久しぶりで本当に楽しかったです。今までは吹き替えの仕事が多かったが、これからはアニメの仕事もどんどんやっていきたいですね」 と述べると、車内からは大きな拍手が起こった。
そして終点の真岡駅が近づき、車内アナウンスが流れ始める。アナウンスの最後に収録された「すずしろ」の『しゅっぱつ~』のコールに合わせて、 皆が親指と人差し指をL字型に立てた手を振りかぶり、一斉に前へ突き出して『しんこーう!』と叫び、イベントは終了した。
イベントを終えた上條さんと進行豹さんからコメントをいただいたので紹介しよう。
―本日のイベントの感想をお願いします。
上條千尋さん(以下、上條):栃木県に来るのもSLに乗るのも初めてでしたので、ワクワクドキドキしながらこの日を迎えたのですが、栃木は天気が良くて空気もおいしいかったです。SLのフォルムもすごくカッコよくて、間近で観ることができて感激でした!
―上條さんは元々鉄道に興味はありました?
上條:実は『レヱル・ロマネスク』に出演することが決まってから勉強をし始めたんです。そしたら思っていた以上にすごい世界が広がっていて……。鉄道を勉強すれば、しろがねちゃんのこともより深くわかるでしょうし、今後もさらに色々と知っていきたいと思いました。
いつか「鉄子(女性の鉄道ファン)」になれるように頑張ります!
―小さいころによく使っていた路線はありますか?
上條:大阪に住んでいたので、地下鉄の御堂筋線を使うことが多かったです。あとは阪急電車を使って友人とよく遊びに行ってましたね。
―上條さんはイベント自体もあまり経験されてこなかったとか?
上條:そうですね。配信という形ではありましたが、ファンのみなさんの前でトークをする機会が多くなかったので新鮮でした。
今回のイベントは、作品ファンはもちろん、鉄道が大好きな方もたくさん参加されていたので、また違った意味で特別なイベントになったと思います。
進行豹さん(以下、進行豹):今日は、ちょっとした移動で使ったタクシーの運転手さんが「この時期にしては暖かくて風がない」とおっしゃっていたので、素晴らしい条件のなかで行なえたと思います! 例年でしたら、もっと客車が揺れていて、トークにも影響が出ていたんじゃないかと思いますので。
―鉄道ファンの視点から見ると、悪天候だとどんな弊害があったのでしょうか?
進行豹:雨や雪だと、それはそれでロケーションはいいのですが、特に雪が降ったら帰りが大変ですし……。そう考えると、やっぱり青空はいいですね!
上條:茂木駅で日に照らされている機関車の映え方は特にきれいでした! ターンテーブルで進行方向が変わるところを見られたり、貴重な経験をたくさんさせてもらいました。
―進行豹さんは真岡鐵道に乗ったのは初めてですか?
進行豹:実は『レヱル・ロマネスク』が始まるだいぶ前に乗りにきたことがあり、そのとき「かわいらしい機関車だな」と感じまして。今回コンテンツに関わることになり「すずしろ」ちゃんとして起用させていただいたのですが、若いころに来ておいてよかったな、と。
―ちなみに上條さんは、乗ってみたい路線はあります?
上條:やっぱり、しろがねちゃんにゆかりのある関門海峡を渡ってみたいです。『蓄音レヱル』でも取り上げられた観光地に行きたいですね。ゆくゆくはイベントも……。みなさん、応援よろしくお願いします!
―上條さんが、もしコラボグッズを作るとしたら?
上條:やっぱり、鉄道模型がほしいですね。部屋に飾れるだけでもうれしいですけど、実際に線路を走らせられるようならもう大感激です!
進行豹:既存の路線以外にも何か作ってほしいコラボグッズなどあればどんどんアイデアをいただきたいですね。なんなら、新しいレイルロオドも作りますので(笑)。
☆永井真衣さんがゲストの2日目の模様をレポートした記事も近日公開予定。お楽しみに!
<Text/ダンディ佐伯・さんずい ・ Photo/ダンディ佐伯>
●アニメ公式サイト
https://railromanesque.jp/
●アニメ公式ツイッター
@rail_romanesque
●真岡鐵道 公式サイト
https://www.moka-railway.co.jp/
●真岡鐵道 公式ツイッター
@mokasl
【プレゼント】
上條千尋さんと永井真衣さんの寄せ書きサイン色紙を1名にプレゼント!
ご希望の方は、「レヱル・ロマネスク」(他のプレゼントも同様の募集方法をしているため、ご希望プレゼントを判別させていただきます)の後に1. お名前、2. 郵便番号・ご住所、3. お電話番号、4. 性別、5. 年齢、6. サイトを知った切っかけを『れポたま!』公式ツイッター@repotama(https://twitter.com/repotama/)をフォローしていただいた上でDM(ダイレクトメール。お互いにフォローしている場合に使用可能な機能)にてお送りください。
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