【独占インタビュー】ご当地アニメの新たな形! 『超普通都市カシワ伝説 R』楠本慶彦P、鎌谷しの役・冷水優果 インタビュー

By, 2020年6月10日



2015年に設立され、千葉県柏市を中心に「やりたいこと」の実現を目的として活動を続ける市民団体「できる街プロジェクト」。

これまでフラッシュアニメで制作されてきたご当地アニメ企画の第3弾作品が、今夏千葉テレビ放送にて放送開始! 柏の街を舞台に、女子中学生と不思議な生き物たちが繰り広げる「普通の日常」を、シュールなギャグで彩ったショートアニメだ。
キャラクターデザインに柏市在住の漫画家中道裕大先生を起用し、数々のテレビドラマの脚本を手がけてきた村井真也氏が脚本・監督を務める。

作品の制作に向けて行なわれたクラウドファンディングでは、「アニメに参加できる権利」など市民制作ならではの返礼品で、225名の支援者から約200万円を集めることに成功した。
本プロジェクトの仕掛け人のひとりである楠本慶彦プロデューサーと、今作から登場する新キャラクター・鎌谷しの役の冷水優果さんにお話をうかがってきました!


☆楠本慶彦プロデューサー インタビュー

―楠本さんは元々「柏」に対する思い入れは強くお持ちだったのでしょうか?

楠本P:職場が柏にあったというくらいで、特に思い入れはありませんでした。気づけばいつの間にか、柏に住むようになったという感じです。

―そもそも「できる街プロジェクト」を立ち上げた理由は?

楠本P:サラリーマンを5年続けて、何かに挑戦したいという気持ちが出てきました。でも、自分の挑戦したいことが見つからず、いろんなことに挑戦しました。それでも見つからず、自分のやりたいことを見つけるために「他の人と協力して、自分のやりたいことを実現する団体」を作ることにしました。いろんな人と関われば、そのうち自分が本当にやりたいことが見つかると思ってですね。

―では、アニメの企画はどのような経緯で持ち上がったのでしょうか?

楠本P:上の話とつながるのですが、やりたいことが見つからなくて、脚本家の村井さんと話したときに、「ご当地アニメ」というアイデアをいただき、この団体のプロジェクト第1弾を「ご当地アニメ」に決めました。1話制作できたら「やりたいことの実現」になるはず。クラウドファンディングを使って、資金を集め、完成させる。とてもわかりやすい「やりたいことを実現」体験と思い、この形で開始しました。

―ゼロからクラウドファンディングを立ち上げるのは大変ですよね。

楠本P:当時の仕事は、「企画部門」ではなかったので、企画書の書き方から勉強しました。本やネットを参考にして、柏のお店の方に挨拶に行ったり、チラシを貼ってもらったり、企画書を渡したり、最初の頃は本当に地道でした。
結果的に地元の柏市民はもちろん、地方の方からのご協力もあって多くの方の支援をいただけたので、本当にありがたかったですね。

―アニメ業界は元々詳しかったのでしょうか?

楠本P:先ほどもお話しましたとおり、実は、そんなに詳しくありません。まだまだ知らないこともたくさんありますので、業界の方にお会いしたときは全力で学ばせていただこうと思っています。
ちなみにプロジェクトメンバーのなかにはアニメ関連に明るい方がいるので、「アドバイザー」としての立ち位置で、意見を出してもらったりしています。

―プロジェクトに関しては、柏市にも働きかけているそうですね。

楠本P:はい。柏市で困っていることなど聞き込みをして、私たちなら「こういうことで力になれる」と話しています。
昨年、一昨年前は、柏市のふるさと納税をPRするために、全国ふるさと甲子園という全国イベントのプロジェクトリーダーを担当させていただき、全国9位という結果を出すことができました。

―今回、千葉テレビ放送でのオンエアが決まった経緯は?

楠本P:5年前第1話を公開したときに千葉テレビ放送さんからお声掛けがあったんです。
そのときはまだ実績も乏しかったので「力をつけて、そのときが来たらぜひお願いします!」とお断りさせていただいたんです。得体の知れない作品(笑)を地上波で流していただけるというのは、とてもありがたいですね。
柏市としては、いまの状況をかんがみて、色々と考えてくださっているのも感じますし、そういう意味でも恵まれているな、と。

―ちなみに、楠本プロデューサーの柏に対するイメージは?

楠本P:思った以上に「クリエイターとか芸術関係の人が多い」ということです。
キャラクターデザインを担当いただいた中道裕大先生は、村井さんが経営しているバーで、たまたまアナログゲームの大会をするような仲だったということもあり、お声がけさせていただいたんです。偶然が重なってプロジェクトが進んでいきました。

―クラウドファンディングの話に戻りますが「賛同してくれた人は、実際にアニメに出演できる」というリターンは大きかったみたいですね。

楠本P:予想以上に応募が多くて驚きました。一般の方から声優志望の方やアイドルの方、お店を経営している方。本当にたくさんで、どれだけ期待に応えられるのか、不安もありました。結果的に期待に応える作品にはできたはずです。

テレビ放送のクラウドファンディングでは、やれることは全部やろうと、SNSでつながっている方のほとんどに頭を下げて、「リツイート」「シェア」でいいので、お願いをし続けました。とにかく少しでも多くの人に企画のことを知ってもらいたい、という一心で続け、ありがたいことに目標を達成することができました。

―その甲斐もあって、今回の地上波アニメ化に結びついたと。

楠本P:そうですね。プレスリリースにしても、出すタイミング、書き方、タイトルを考えに考えたり。かっこよく言えば「妥協しないコンテンツ作り」を目指しました。

―『超普通都市カシワ伝説』の、今後の展開をお聞かせ下さい。

楠本P:実は、今の目標は、第7期まで続けること。そして、全国放送・映画化です。映画の尺は1時間半くらいを考えていて、アニメもシリーズを重ねるごとに、柏から千葉、千葉から関東と、最終的には日本全土を舞台にしていこうと思っています!
他にも漫画連載やしばらくは難しいと思いますが、「2.5次元舞台」も画策しております。どんどん活動の場を広げていきたいですね。

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☆冷水優果さんインタビュー

―冷水さんが声優を目指したきっかけは?

冷水:実は、最初は漫画家になりたかったんです。でも諦めてしまって。種村有菜先生の『神風怪盗ジャンヌ』という漫画が好きだったのですが、主人公を演じられていた桑島法子さんが好きで「女子高生から戦うヒロインまでひとりで演じているんだ」と感銘を受けまして。そこから声優の仕事に興味を持ち始めました。
いま目指している、というか尊敬しているのは宮野真守さんですね。声優、歌、ダンス……。なんでもこなすことができて、「マルチ」に活躍されているのがすごいな、と。

―どのようなきっかけでオーディションを受けられたのでしょう?

冷水:本作に出演している(田野ながれ役の)高里桃子さんと知り合ってから、オーディションの話を知り「これは応募しなきゃ!」と思いました。ちなみに、オーディションは市内の、とある高校にあるスタジオで行ないました。

冷水:私は今回のシリーズからの参加だったので、すでに現場の雰囲気が出来上がっていたこともあり、ちょっと不安でしたが、キャストもスタッフのみなさんも温かく迎えてくださって、ありがたかったです。
アフレコでは、脚本を書いてらっしゃる村井さんからのディレクションを受けながら演じました。

―冷水さんが演じている「鎌谷しの」は、どんなキャラクターですか?

冷水:しのは鎌谷姉妹の妹で、いままでは隠れていた存在だったのが、『超普通都市カシワ伝説 R』でついにそのベールを脱いだ……というキャラクターです。寡黙に見えて、意外にしゃべります(笑)。
彼女のようなタイプの役は演じたことがなかったので、どれくら感情を込めていいのかわからなかったです。
「エヴァンゲリオン」の綾波レイのイメージだとお聞きしたので、作品を見返して参考にしました。

―ちなみに、冷水さんはこれまで柏に行かれたことはありますか?

冷水:私は柏にはゆかりがなかったのですが、オーディションの前に市内のスポットを回りました。前作を観ながら「あけぼの山農業公園、行ったな~」とか。
柏のイメージは「人がやさしい」です! また、知り合いが出演していた関係で、柏市の演劇祭に行ったことがあるのですが、「街を巻き込んで何かやる」、という熱いものも感じました。

―本作の見どころを教えて下さい。

冷水:これまでのシリーズをご覧になった方はわかるかもしれませんが、とにかくギリギリを攻めたパロディが多いです(笑)。ちょっと昔の世代の方は特に刺さるかもしれないです。

―冷水さんの、今後の目標を教えて下さい。

冷水:アニメや映画作品にたくさん出演したいというのはありますが、私の声優としての原点は桑島法子さんなので、朗読も頑張りたいです。いまは色々と大変な時期ですが、強い精神力で乗り越えていきたいですね。

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

●「できる街プロジェクト」公式サイト
https://dekimachi.com/

【アニメ概要】

『ご当地ゆるアニメ「超普通都市カシワ伝説R」』

◇放送局
千葉テレビ放送

◇放送時間
毎週月曜午後9時55分~10時
※初回:7月6日(月)
※毎月第3月曜はお休み

◇内容
柏に縁のある市民が制作したご当地アニメ
実在する柏の街を舞台に女子中学生と不思議ないきもの
たちによる普通な日常をシュールギャグテイストでお届け

◇スタッフ
脚本・監督:村井真也
キャラクターデザイン:中道裕大、藤咲、ラッコくみちょう、冷水優果、いちろ、みちよつ
音楽・音響:川嶋弘治、夏海ルイ、宇田川翔
アニメーション制作:ご当地アニメ工房「超普通スタジオ」 

◇キャスト
舎川あこ:ペチ子
田野ながれ:高里桃子
テガちゃん:秋山結可莉
橋舟一花:新田ほのか
安浦千代:本田しをん
鎌谷しの:冷水優果
マヌー:岡田めい

◇主題歌
「おかしーわ!」
作詞・作曲・編曲:三浦誠司
歌:成海ひいな

●公式サイト
https://kashiden.dekimachi.com/

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【プロジェクト概要】


【市民公益活動団体「できる街プロジェクト」】

2015年10月に活動を開始した市民公益活動団体。

一人では、実現できない「やりたいこと」も仲間と協力すれば、「実現」できるをテーマに「①誰かのやりたいことの実現」「②新しい仲間が増える」「③新しい誰かのやりたいことの実現」を繰り返し、活動の幅を広げ、地域活性化を目指して活動している。

「やりたいこと」を実現することを目的に活動を続け、地域活性化を担う団体として、2019年11月に柏市から公認の市民公益活動団体となった。

地域活性化を目的としたご当地アニメ制作以外には、「柏の街やイベントを紹介する記事や動画の制作」「コスプレやイベントをしながらの美化活動」を中心に、他団体との連携で「ひきこもり支援活動」「障害者支援活動」「謎解きイベント」などを行っている。

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【やりたいことの実現を目的に2015年に制作を開始】

ご当地ゆるアニメ「超普通都市カシワ伝説」は、その「やりたいことを実現する」活動の第1弾。
2015年10月に企画を開始し、クラウドファンディングで約30万円の支援金を獲得し、第1シリーズの制作を開始した。

制作の目的は、「クリエイターが各々のやりたいことを形にした作品作り」。
アニメは、「声優」「イラスト」「動画制作」「脚本」「音楽」などさまざまな要素が絡み合うことで形になる作品である。
多くの人の個性を形にする活動は、「やりたいことを実現すること」を形にした1番わかりやすいものだとして、最初に活動を開始した。

2015年から2019年で「第1期超普通都市カシワ伝説:全10話」「第2期超普通都市カシワ伝説Z:全10話」「柏のご当地ゆるアニメ:13話(継続中)」「柏駅前放送UDC2編:全11話」の計44話と番外編数本を制作。


【2017年、柏駅前でアニメシリーズ放送開始】

2017年4月から、柏市街地のデジタルサイネージにて、アニメの放送を開始した。
開始は、柏駅前のまちづくりを担う柏アーバンデザインセンター(UDC2)から支援を受け、柏駅周りを舞台にした内容を放送。

〇柏まつりや柏駅前で行われたハロウィンパーティといった「柏駅周りのイベント」
〇柏駅周りの子育て支援活動を行っているお母さんたちや学生たちが行っている「市民活動」

柏市の様々な活動とつながり、協力しながら、アニメが放送されている。

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【柏市のふるさと納税PR動画を制作】

柏市のふるさと納税は、2017年10月から開始した。
ふるさと納税の開始に当たって、そのPR活動に協力し、動画の制作を行った。
このアニメは、柏市内だけでなく、千葉市や木更津市になる千葉県のサイネージで放送されている。

なお、現在、柏市のふるさと納税の返礼品は、300件以上が登録されており、大きな反響を得ている。
また、「超普通都市カシワ伝説」もアニメグッズやオリジナルアニメ制作といった内容の返礼品も登録されている。

 

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【柏のお店と連携し、公開オーディションを実施】

柏駅周りのお店と連携し、地元のアニメイベントを独自に開始している。
主な内容は、柏のアニメショップによる特別ブースを設けたグッズ販売や柏駅周りのアニメショップを巡るスタンプラリー、ご当地アイドルのライブなどだ。
そして、メインイベントとなるのが、「超普通都市カシワ伝説」の公開オーディションである。

これまで、4回の公開オーディションが行われ、多くの人が柏を訪れ、地域を盛り上げた。
前回の声優オーディションでは、108名の応募があり、新キャラクター「鎌谷しの」の声優が決まるなど、大きな話題を呼んだ。

  

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【いきたい街No.1を決める全国大会で入賞】

「いきたい街No.1」を決めるイベント「全国ふるさと甲子園」に柏市の中心メンバーとして参加。
柏市役所職員や柏の飲食店、ご当地アイドルと協力し、柏の食と街のPRを行った。

結果は、2019年8月に行われた「第5回全国ふるさと甲子園」において、PR賞で2位、いきたい街9位入賞を果たした。

●「できる街プロジェクト」公式サイト
https://dekimachi.com/