カメラの向こうのファンに、歌とピアノで最大限のおもてなし! 「小見川千明のお気楽音楽サロン-with ARUHI-」レポート

By, 2020年5月27日



声優の小見川千明が5月23日、昔から親交のあるピアニスト・ARUHIとともに、自身初のライブを都内某所から配信で行なった。曲の合間には、ライブ参加者からリアルタイムで流れてくるコメントに反応しながら楽しむという、配信ライブならではの魅力も見られた。

ステージ序盤は「みんなが知っている曲」というコンセプトの楽曲。第一部ではLiSAの「紅蓮華」とOfficial髭男dismの「Pretender」を披露。
幕間では「アリーナー!」「2階席~!」と客席に向けてマイクを向けつつ(笑)、中盤は小見川さんのおすすめのミュージカル曲を歌っていく。名作ミュージカル『アニー』の代表曲ともいえる「Tomorrow」そしてミュージカル『レ・ミゼラブル』より失恋の歌「On My Own」をしっとりと披露した。

続いて、小見川さんによるアカペラコーナー。参加者からのリクエストに1フレーズずつ応えていく。
「ムーンライト伝説」、そして「そうは云っても世界は終わらない」「モーブ色のSympathy」など、小見川さんに縁のある楽曲も歌唱した。

ARUHIさんからはフランスの作曲家・モーリス・ラヴェルの「水の戯れ」をプレゼント。人気アニメ『鬼滅の刃』の雰囲気を感じられるという同曲を聴きながら小見川さんのお着替えも終了! 
表参道の古着屋で購入したというドレスに着替えて「小見川千明のお遊戯会」でも披露しているオリジナルナンバーを披露した。
宮沢賢治の『シグナルとシグナレス』をイメージした「青い火」、吉屋信子の『わすれなぐさ』から「忘れな草」を伸びやかな声で歌い上げると、最後はARUHIさんが大学時代に研究していたという夏目漱石の『夢十夜』を元にしたナンバーで締めた。

【第一部 セットリスト】
01.紅蓮華(LiSA)
02.Pretender(Official髭男dism)
03.Tomorrow(ミュージカル『アニー』より)
04.On My Own(ミュージカル『レ・ミゼラブル』より)
05.青い火(宮沢賢治『シグナルとシグナレス』より)
06.忘れな草(吉屋信子『わすれなぐさ』より)
07.夢十夜(夏目漱石『夢十夜』より)

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【打ち上げ】(前半)

ふたりの歌声と演奏をたっぷり楽しんだあとは、打ち上げ会を開催。ライブとは違い、相手の顔を双方向でチャットをしながら楽しむスタイルで、参加者とさらに深いコミュニケーションを取っていた。

小見川さんからは「みんな、オンラインではどのくらい集中力が続く?」という、今後の企画に生かそうとした質問も。
なお、ARUHIさんからは「ライブの前にうなぎを食べました!」と、公演に向けてうなぎパワーを注入したことが明かされた。

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第二部も「紅蓮華」からスタート。今回は第一部を踏まえてアコースティックバージョンで披露。このバージョンでセッションしたのはリハーサルを含めて今回が初めてだそうで、ふたりの相性のよさを知ることができた。さらに、King GnuのThe holeではARUHIさんが、ライブの前に小見川さんが「聴きたい!」と言っていた、ベートーヴェンの「悲愴 第二楽章」のイントロ部分を披露するというサービスも。

続いてはミュージカル『マイ・フェア・レディ』から「だったらいいな」を弾むように、そしてモーツルトの人生を歌った「僕こそ音楽(ミュージック)」を躍動しながら歌い上げ、ARUHIさんも「ミュージカルの曲は小見川に合ってるよね」と絶賛していた。

アカペラコーナーでは「やさしさに包まれたなら」、「ヴィーナスとジーザス」、「負けないで」、「そばかす」など、ジャンルや年代問わず次々に飛び込むリクエストに対応していった。
また、第二部でARUHIさんが披露したピアノソロ曲は、ドビュッシーの「月の光」。ステージ上が優しい雰囲気に包まれた。

そして、早くも最後のブロック。adstlaxyさんが提供した宮沢賢治の作品をイメージした曲「春と修羅」を切なさ全開で歌い上げた。ちなみにこの曲、昨年12月に開催された「小見川千明のお遊戯会 ふぁいなる!?」ではマリンバと和太鼓をバックに披露したそうだ。
続いて、高村光太郎の『智恵子抄』から「人に」。小見川さんは、この曲について、自分で作詞をしていて色々と気づいたことがあったという。「みんなにも『智恵子抄』を読んでもらい、光太郎はこんなひとだったんだな。というのを分かってもらいたいです!」とプッシュしていた。

最後の曲は、第一部でも紹介された宮沢賢治の『シグナルとシグナレス』イメージ曲「眠れぬ夜」。ゆったりしたメロディにあわせた伸びやかな歌声が響き渡った。

【第二部 セットリスト】
01.紅蓮華(アコースティックバージョン)
02.The hole(King Gnu)
03.だったらいいな(ミュージカル『マイ・フェア・レディ』より)
04.僕こそ音楽(ミュージック)(ミュージカル『モーツァルト!』より)
05.春と修羅(宮沢賢治『春と修羅』より)
06.人に(高村光太郎『智恵子抄』より)
07.眠れぬ夜(宮沢賢治『シグナルとシグナレス』より)

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【打ち上げ】(後半)

後半の打ち上げでは、ファンから届いた祝い花を紹介しつつ進行。
第一部と第二部の間に腹ごしらえしたことを明かした小見川さんは「のどが開かないと歌えないというのがわかりました……」と苦笑い。

小見川さんも「初めて知ることがあった」というARUHIさんの自己紹介がありつつ、披露した楽曲についても楽しく掘り下げていた。
最後はふたりのちょっとした「秘密」も判明し(笑)、イベントはお開きとなった。

ここからは、第一部を終えたおふたりへのインタビューをお届けしよう!

―第一部の配信の感想をお願いします。

小見川千明さん(以下、小見川):これまでもZoomでイベントの配信をしたことはありますが、私が主催のイベントは初めてでしたので、機材の使い方など、色々と大変なことが改めてわかりました……。参加してくれたみんなのほうがむしろ詳しかったりして、とても助かりました(笑)!

ARUHIさん(以下、ARUHI):小見川主催のライブ配信ということで、小見川のファンが大半だったと思うので、私が何物なのかをもう少しお伝えできればよかったかな、と思います。今回はライブのことばかり考えていたので……。

小見川:ARUHIちゃん、真面目だね!
打ち上げ配信では、機材の調子が悪くて、試行錯誤した結果、最終的に絵面が「オンラインスナック配信」みたいになってしまったのは反省点です……。

ARUHI:今回は「音楽会」とうたっていたので、音楽を聴きにきてくださっているみなさんにどう伝えるのかもチャレンジでした。

―歌だけのイベントは、小見川さんにとって初めての経験だそうですね。

小見川:そうなんです。普段は朗読もプログラムに組み入れているのですが、今回なぜ音楽だけにしたかというと、「参加者の集中力が持たないんじゃないか?」と危惧したからです。朗読はどうしても画面越しの映像がほとんど変わらないので、そのぶん集中力も続かないのではないかと思いまして……。

ARUHI:朗読まではいかなくても、物語に入ってもらえるよう「MCを含めて1曲」みたいな演出ができると、朗読を聴きたいファンにも訴求できるのかな? と思いました。

―今回のライブで披露した曲は、どのようにセレクトされたのでしょう?

小見川:私が歌いたい曲のリストをARUHIちゃんに送って、彼女に添削してもらいました。

ARUHI:そうだったね。曲は全部小見川が選んで、私は「これはできる、これはちょっと難しい」みたいな形で、曲順も交えて考えました。
最初は確か17曲くらいあって、時間も1時間半くらいの長さになっていたのかな? せっかく第一部、第二部とやるのだから、それぞれの公演でセットリストガラッと変えよう、という話になりました。

―無観客ライブということで、気持ちの入れ方や、歌ったり演奏したりする姿勢には変化がありましたか?

ARUHI:私の場合は、精神状態もとくに変わらずに演奏することができました。でも、周りからは「お客さんの声援がないと、心配になる」という声も聞こえてきます。

小見川:私はやりづらかったです。
普段からお客さんの顔を意識しながら歌っているので、無機質なカメラを見ながらだと戸惑いがありましたし、空気感も違うので「これまで、いかにみんなに助けられてきたのか」というのを痛感しました。
それと、みんながコメントで「楽しいです!」と気持ちを伝えてくれているとはいえ、それが本心なのかも画面越しでは伝わってこないですし……。

―真顔で「最高!」とコメントを打っている……、みたいなことを想像してしまったり?

小見川:そうです(苦笑)! イベントやライブでは、みんなの顔を見ながら「子の人はちょっと退屈そうにしているかも」というのを把握して、あえてアプローチすることで場のテンションを保ったりすることもできるのですが、今日ライブ配信を見てくれたみんなが、心から楽しんでくれていたのかが気になります……。

―打ち上げでは、みなさんの顔を直接見ながらお話できたので、そのあたりが解消できたのでは?

小見川:そうですね。また、オンラインの強みで、遠方や海外からも参加してくれたファンの方がいたり、そういう意味では恩恵を受けた方もいるのかな? と思います。
もちろん、みんなと直接交流する場はほしいですけど、ご要望があれば配信という形でのイベントも続けていきたいですね。

―そう言えば、配信ではわからなかったかもしれませんが、小見川さん、ライブ中は“裸足”でしたよね?

小見川:実はそうなんです。MCや打ち上げでも言ってませんでしたが……(笑)。
理由は「靴を履いていると、画角的にARUHIちゃんの手元が映らなくなってしまうから」でした。
アナログな理由で申し訳ございません(笑)。

―改めて、今回はどんな気持ちでライブに臨まれましたか?

小見川:私は声優としてお仕事させていただいているので、オンラインで配信をするのなら、自分の持っている「芸」を見せたいと思ったら、こんな大掛かりなイベントになってしまって……。
おかげさまで用意したオンラインのチケットも完売しましたし、だからこそ「しっかりとしたパフォーマンスをみせないと」と気合いが入りました。

―衣装も4種類用意されたそうですね。

小見川:ARUHIちゃんと「どんな衣装を着ようか?」という話をしたら、結局選びきれなかったので、ライブの途中で衣装チェンジをすることにしまして、4着準備することになりました!

ARUHI:音楽会っぽさと、女優っぽさをコンセプトにしたんだよね。

小見川:うん! 衣装からも公演の世界観を伝えられるようにと思って、ご用意しました!

―おふたりが着替えるタイミングでは、それぞれ、リアルタイムで流れてくる曲リクエストに応えるコーナー(小見川さん)と、ピアノソロコーナー(ARUHIさん)もありました。

小見川:みんなが「傍観者」になってほしくなかったので、強制的に参加できるような(笑)コーナーがほしかったんです。
あとは純粋にARUHIちゃんのピアノが好きなので、ただの「伴奏者」にはなってほしくなかったんです。そしてピアニスト・ARUHIと一緒にライブをやりたかったので、ピアノソロは絶対に入れようと!

ARUHI:歌のなかにピアノを入れると、どうしてもBGMのようになってしまうことが多いので、前奏にピアノソロを多めに入れるなどのやり方も試せたのはよかったですね。今後にもつながっていくと思います。ナチュラルに取り入れるというのは、演出的にも面白いかな、と。

小見川:みんなの意見も取り入れながら、やっていきたいですね。

ARUHI:私が普段登壇しているコンサートと小見川の立っているステージに違いがあるのと同じで、今回の企画内容を私主導で考えたら、恐らくリクエストコーナーも思いつかなかったでしょうし「小見川色」がすごく出ていたのがよかったです。

―そんな仲のいいおふたりは、いつの間にか約8年の付き合いになったとか?

小見川:そうなんです! いつの間にかそんなに経ってしまいました……(笑)。

ARUHI:1年に1度しか会わないこともあるんですけど、なんだかんだで経っちゃいましたね(笑)。
小見川、いつ見てもほんと変わらないよね。

小見川:ほんと~!? でも、以前やっていたラジオ番組で、30分番組の半分以上を「朗読やらせてください!」とお願いさせていただいたり、信念はブレていない自信はありますね。我ながら(笑)! 
私は「ブーム」ではなく「カルチャー」になっていきます。よろしくお願いします!!

<Text・Photo/ダンディ佐伯>
☆ページ下部に写真一覧あり。

【公演概要】

『カプセル兵団オンライン』
《アクティブイマジネーション朗読劇》
『カプセル兵団の古事記~日本誕生、アマテラス、スサノオの話~』
の観覧チケットを(小見川千明扱いで)ご購入頂けます。

《開催日》2020年5月30日(土)
《開場》19:30
《開演》20:00

《上演時間》
約60分程度

《チケット代》
2,500円(終演後に15分程度のトークショーあり)

《観劇用アプリ》
Zoom使用

《客席数》
900席

◎チケットをご購入頂きますと、2週間の期間限定アーカイブを自由にご覧頂く事が出来ます。
◎本公演は会議アプリZoomによる、出演者が自宅から生出して演じられる朗読劇です。ご観劇にはZoomをインストールする必要があります。
◎終演後のトークショーはアーカイブには残りません。
◎役者や御客様のネット環境により、画像や音声が乱れる場合がありますので、予めご了承下さい。
◎御客様のネット環境で御視聴が上手く出来なかった場合でも返金は出来かねますので予めご了承下さい。

※JCB、マスターカードは5月27日(水)までにご利用可能になる予定です。
※お振込を希望の御客様は、カプセル兵団ホームページ( https://gmk-2zzznf-91vv2gw.wixsite.com/kapselheidan-gaiden )からご予約頂くか、お問い合わせから御連絡下さい。

●小見川千明 事務所による公式サイト
https://www.crocodile-ltd.com/talent/omigawa-chiakihttps://www.crocodile-ltd.com/talent/omigawa-chiaki
●小見川千明 公式ツイッター
@omigawa_chiaki

●ARUHI 公式サイト
https://www.aruhipianist.com/