「オリジナル作品ならではのディスカッションもありました」 『色づく世界の明日から』月白瞳美役・石原夏織 インタビュー

By, 2019年12月7日



2018年10月~12月まで放送され、根強い人気を誇るオリジナルテレビアニメーション『色づく世界の明日から』(以下『色づく』)のキャスト、スタッフが登壇したイベントが11月23日、作品の舞台である長崎・平和会館ホールで開催された。イベントでは作品に関するディープなトークや作品の名シーンを振り返るコーナー、ここでしか聴けない「長崎弁」での朗読コーナーなど、たくさんの企画で盛り上がった。
今回は月白瞳美役・石原夏織さんに、イベントの感想や作品への想いをお聞きしました!

 

―まずは、イベントの感想をお願いします。

石原夏織さん(以下、石原):月白琥珀役の本渡楓ちゃんをはじめ、篠原俊哉監督やP.A.WORKSの山本輝プロデューサー、インフィニットの永谷敬之プロデューサーと聖地・長崎でできたこと自体が本当に奇跡と言いますか。たくさんの方のご協力により実現したイベントだったので、感謝の言葉しかないですね。舞台上に立ちながら夢心地になっていましたし、ステージの上だけれども、気持ちはいちファンとしてそこにいた、みたいな不思議な感じでした。

―作中のシーンを長崎弁で披露するコーナーでは、NBC長崎放送の村山アナウンサーにもレクチャーを受けられたそうですね。

石原:事前に別のネイティブな方が吹き込んでくださった音素材をいただいていて、それを聴きながら練習をしていました。そして本番前に村山さんに聴いていただき、お墨付きをいただいたのでステージではいくぶんか緊張も薄れましたけど……でもやっぱり緊張しましたね(笑)。

でも、演じ終えたら温かい拍手もいただけて「本当にやってよかったな」と思いました。今回は瞳美と琥珀だけの掛け合いでしたが、もしキャストがみんな長崎弁でしゃべることになると、どんなことになるのか……考えただけでもワクワクします!

―イベント後は、「グラバー園」に行かれたとか?

石原:はい。長崎には昨年『TVアニメ「色づく世界の明日から」特別番組 石原夏織が行く、色づく長崎の旅』のロケで行かせていただき、今回が2回目だったのですが、そのときは時間がなく、残念ながら素通りしてしまったんです。篠原監督から「ここが(葵)唯翔君と(深澤)千草君がバイトをしていたカフェだよ」、「みんなで撮影していたスポットだよ」と教えていただいたのですが、作品そのままで感動しました。「ここでみんなが生活をしているんだな」と。ちょうどイベントから「グラバー園」に流れてきたと思われるファンもいまして、「ここがあのシーンだ」と話しているのを見ていると、心が温まりました。

それと、篠原監督がおっしゃっていたのですが、あまりアニメをご覧にならないような方が瞳美と琥珀のパネルを指さして「この作品、長崎が舞台なんだよ」と言っているのを見たそうです。その話を聞いて胸が熱くなりましたね。

―ちなみに「グラバースカイロード」は利用されました?

石原:実は時間がなくて行けなかったんです……。ただ、次に来たときへのモチベーションになるので、宿題として取っておこうかな、と。

―イベント中、お時間の関係もあってあまりお話できなかった「魔法写真美術部」の部員たちについてもお聞かせ下さい。

石原:(風野)あさぎちゃんは男性陣がメロメロになってましたが(笑)、女の私から見ても「あれはかわいいな」と思いました。だからこそ彼女の好意に気づかない(山吹)将君に対して「このやろう!」と思ったりもしていましたが(笑)。あさぎちゃんには本当に癒されました。

(川合)胡桃先輩は琥珀とはまた違ったムードメーカーですね。毎回東山奈央ちゃんの演技がどうくるのかが楽しみでした。(深澤)千草君と胡桃先輩は、実はアドリブが多かったんです。なので、村瀬(歩)さんとふたりがしゃべっているときは、笑い声が入らないようにマイクに近づき過ぎないようにしていました(笑)。

―普段は明るい胡桃先輩も、尊敬するお姉さんと自分との間の葛藤で悩む場面もありましたね。

石原:『第7話 ヴィーナスの重荷』では音響監督さんも含め、「千草のセリフに対して胡桃先輩はどうとらえているのか?」という議題で意見を言い合ったりしたのを覚えています。原作のないオリジナル作品なので、物語の次の展開も分からないですし、どういう結末になるのかも分からないからこそ「人それぞれ、色んな考え方があるんだな」と感じ、とても楽しかったです。

―ほかのシーンでもディスカッションはされたんですか?

石原:そうですね。アフレコ前に30分~40分ほど意見を交わしたりしてから収録が始まることもありましたので、録り終えてからキャスト、スタッフさんみんなで「面白かったね」と充実した気持ちになっていました。

―続いて、将君はいかがでしょう?

石原:将君は、なんと言ってもやっぱり「鈍感さ」ですよね。彼があさぎの気持ちを知らずに瞳美に告白したりする物語の中盤から終盤まで、ずっと彼の話題で持ちきりでしたから。将君を演じる前田誠二さんがスタジオ入りすると「今週の将君、あれなんなの?」と突っ込まれていて、かわいそうだと思いながらも面白かったです(笑)。メインキャストの年齢が近いからこそ、あのような和気あいあいとした雰囲気もできあがったと思いますし、すごくいい環境でアフレコできていたな、と思います。

そんな将君も、不器用なりに部長として部員を引っ張っていくところや優しさがあるので「将君が部長だったら楽しい部活動を送れてたんだろうな」と。

―千草は篠原監督も「彼に関するエピソードをもっと描きたかった」とおっしゃっていました。

石原:そうですよね。千草君は後輩だけれども、人間を見る洞察力は誰よりも上で、すごく大人びていたので、彼の背景には絶対なにかあるんだろうな、と思っていたので。「彼の当番回があったら」というのはすごく感じます。胡桃先輩との深いところでのやりとりとか。いち視聴者として、観てみたいです!

―最終話で、60年後に戻る瞳美に対して千草がかけた言葉は、ほかの部員とはちょっと違う角度からのものでしたが、それが逆にいいスパイスになっているのではないかと個人的に感じました。

石原:分かります。一見、とても軽い言葉に聴こえますけど、元の世界に戻った瞳美にとっては救いになったり、色々なことに気づいたりするきっかけになった一言じゃないかと思いますし。彼の存在は作品のなかでもすごく大きかったですよね。

―まだまだ話足りないですが、これからもファンの想いが作品の続きを作っていきそうですね。最後に、メッセージをお願いします。

石原:まずはイベントにお越しくださったみなさん、ありがとうございます。チケットを手に入れることができなかった方も大勢いらっしゃったと聞いておりますが、みなさんのおかげで聖地でイベントを開催することができたのがとてもうれしかったです。未来への展望や願いがたくさん出てきた、とても前向きなステージでしたし、みんなで同じ方向を向いていけるよろこびを身体中に感じています。

どんな形でもいいので、みなさんにまた『色づく』の世界を感じていただけることができる日を願っています。日々の生活で疲れを感じているときや勇気が欲しいとき、この作品が力になれればいいな、と思います。みなさん、『色づく世界の明日から』を末永く愛してください!

 

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

【アニメ概要】
『色づく世界の明日から』

<スタッフ>
原作:ヤシオ・ナツカ
監督:篠原俊哉
シリーズ構成:柿原優子
キャラクター原案:フライ
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希
プロップデザイン:宮岡真弓、石本剛啓
美術監督:鈴木くるみ
美術監修:東潤一
美術設定:宮岡真弓
色彩設計:中野尚美
撮影監督:並木智、富田喜允
3D監督:桐谷太力
編集:高橋歩
音響監督:山田陽
音楽:出羽良彰
音楽プロデューサー:西村潤
音楽制作:NBCユニバーサル・エンターテインメント
プロデューサー:小倉充俊、山崎史紀、川村仁、辻充仁、前田俊博、青井宏之、柏木豊、田中翔太、和泉勇一、相田剛
アニメーションプロデューサー:山本輝
プロデュース:永谷敬之

アニメーション制作: P.A.WORKS
製作:「色づく世界の明日から」製作委員会

<キャスト>
月白瞳美:石原夏織
月白琥珀:本渡楓/島本須美(60年後)
葵 唯翔:千葉翔也
風野あさぎ:市ノ瀬加那
川合胡桃:東山奈央
山吹 将:前田誠二
深澤千草:村瀬歩
ほか

●作品公式サイト
http://www.iroduku.jp/
●作品公式ツイッター
@iroduku_anime