新春注目の長編アニメーション作品が完成! 『あした世界が終わるとしても』櫻木優平監督 インタビュー

By saeki, 2019年1月25日


「スマート CG アニメーション」をはじめとした最新のデジタル技術を駆使した高品質なアニメーションが評価されているクラフタースタジオの初となる長編アニメーション映画『あした世界が終わるとしても』が1月25日より全国公開される。高校3年生の真と琴莉を中心に描かれる恋愛模様。そして真の前に現れた謎の男・ジンから語られる衝撃の事実とは……!? 今作では音響監督としても声優のキャスティングやアフレコ現場に立ち会ったという櫻木優平監督に見どころをお聞きしました。

―まずは、本作の制作の経緯を教えて下さい。

櫻木優平監督(以下、櫻木監督):昨年4月と5月に配信されたWEBアニメ『ソウタイセカイ』を制作した際に、この設定を生かして更に何かできそうだという手ごたえがありました。その後、映画化の話をいただきまして、ちょうどいい機会だったので新たに物語を構築しなおし、新規の映画として製作させていただくことになりました。

―原作の文庫が11月に発売されましたが、映画の公開とほぼ同時期とした意図は?

櫻木監督:実は映画の制作が先に走っていて、映画の脚本を書き終えたタイミングで小説の話をいただいたんです。出すなら映画公開より早いほうがいいということで、映画の制作と並行して書き上げました。作業量自体は多くて大変でしたが、ノベライズすることで気づいたキャラクターの心情などもあり、楽しく書かせていただきました。

―作品はどのような流れで作られたのでしょう?

櫻木監督:クラフタースタジオでオリジナルの映画を制作したいという話は前からあり、「ふたつの世界に同じ人物」という設定まではみんなで考え、それを軸にストーリーやキャラクターたちを作りました。主人公とヒロイン、それに相対する人物がどう展開すれば面白くなるか、何度も思考実験しながら作りこんでいきました。

―具体的に制作のうえで難しかったところは?

櫻木監督:「キャラクターの感情の流れ」と、「視聴者が観て共感できるような面白い話になっているのか?」という部分でしょうか。それと、SF設定として破綻がないようにすると、ちょっとした変更でも全体の構成が大きく変わってしまうことも多く、まるでパズルを組み直すように大変な作業でした。 

―着想した当初から、物語の流れに変化はありましたか?

櫻木監督:ストーリーの軸はズレていませんが、キャラクターがたどりつく末路は多少変わりました。あとは出来るだけ視聴者がストーリーに入り込みやすくなるよう、いろんな設定を出来るだけシンプルに修正しました。脇を固めるキャラクターたちも「導く役はこのキャラクターだけに絞ろう」みたいに、あまり煩雑にならないように心がけました。

―ふたりの人間が命を共有する、というアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

櫻木監督:物語を展開させるためにいくつか縛りを作ったほうがいいと思い、早い段階で思いつきました。でも結果それが一番の成立させるのが大変な縛りましたね。

―主な舞台を新宿にした理由は?

櫻木監督:東京の象徴的な場所にしたいと思い選びました。近年、新宿が若者が集まる場所になってきているような個人的な肌感がありました。あとは単純にスタジオが新宿にあるのでロケハンしやすいということも加味しました。
簡単に行ける場所が舞台になっているので、もし都内で観られた方はぜひ聖地巡礼していただきたいですね。

―本作で特に描きたかったところは?

櫻木監督:真と琴莉の関係性でしょうか。シナリオの構成上、物語の冒頭から二人の関係性を視聴者に理解していただく必要があったので、真や琴莉の性格や、真が内心どう思って琴莉についていくのか? など、セリフにない含みの部分を頑張って描いたつもりです。

―物語のカギを握るジンという人物に関してご紹介ください。

櫻木監督:あまり具体的にお話できないのですが、彼は自分で動いて、物事を変えないといけないという立場にいて、自分からアクションを起こしていきます。

―アフレコ現場にも立ち会われたそうですね。

櫻木監督:自分で声優さんとやりとりさせていただきながら進めたのですが、真役の梶裕貴さん、ジン役の中島ヨシキさんなど、以前にも仕事でご一緒したことがある方が多かったので。皆様にも気さくにご提案していただいたりして、いいムードでした。
梶さんは「自分ならこのときにこう言うかも?」みたいなセリフ案も出してくださったりもしました。。
実は今回スケジュールの都合で演者さん同士の掛け合いができなかったのですが、その結果、一人一人丁寧に向き合いながら役作りが出来たので、むしろやりやすかったように感じました。

―声優さんの演技によってキャラクターが変わった登場人物はいますか?

櫻木監督:変わった……ということはないのですが、深みが出ましたね。最初は自分でセリフを入れて、尺などを考えながら作っていたのですが、声優さんにはキャラクターを理解した上で演じていただいたので、すごく深まった感じがします。特に真と琴莉の掛け合いはニュアンスが難しいと思っていたのですが、とてもうまく演じていただけました。

―もし、表裏一体の世界があったら、もうひとつの世界にいる自分にどんなことをしてもらいたいですか?

櫻木監督:自分の仕事をもうひとりの自分にやってもらいたいですね。今やっている仕事を半分こしたいです(笑)。メールやチャットの返信がとても大変で……。

―監督の恋愛観を教えて下さい。

櫻木監督:琴莉は、自分のなかでは「男子が好きになりそうな女の子」を想定していて、逆に女子から見たときの琴莉はどうなのかな? と気になっているのはありますね。
真はひとりっ子ということもあり、琴莉のしたたかさには気づいていないのかもしれないです。
僕にとっての理想の恋愛は……相手次第、でしょうか?

―最後に、メッセージをお願いします。

櫻木監督:一番気を使ったのが「リアリティ」です。真は、どこにでもいそうな現代の若者の代表で「彼らに非日常的なことが起きたときにどんなリアクションをするんだろう?」というのを考えながら作りました。戦争や地震など、非日常はある日突然やってくるものだと思います。この作品をご覧いただいた皆様にとって何か考えるきっかけになれば幸いです。

<Text・Photo/ダンディ佐伯>

【劇場版概要】

『あした世界が終わるとしても』
2019年1月25日(金)公開

<キャスト>
狭間 真:梶 裕貴
ジン:中島ヨシキ 
泉 琴莉:内田真礼 
コトコ:千本木彩花
ミコ:悠木 碧
リコ:水瀬いのり
狭間源司:津田健次郎
泉 宗:森川智之
ユーリ:水樹奈々
ナレーション:古谷 徹

<スタッフ>
監督・脚本:櫻木優平
プロデューサー:石井朋彦
原作:クラフター
エグゼクティブプロデューサー:古田彰一
キャラクターデザイナー:河野紘一郎
CGディレクター:川崎 司
アニメーションディレクター:高江智之 松浦宏樹
モデリングディレクター:宮岡将志
美術監督:岡本有香
色彩設計:田中美穂
撮影監督:淺川真歩
編集:今井 剛
サウンドデザイナー:荒川きよし
リレコーディングミキサー:鈴木修二
音楽:カワイヒデヒロ

挿入歌/主題歌:あいみょん

【配 給】 松竹メディア事業部

●作品公式サイト
https://ashitasekaiga.jp/

(C)あした世界が終わるとしても