今年EARTHSHAKERは、デビュー30周年を迎える。
彼らは、30年前のデビュー日に当たる2013年6月21日(水)に、新作アルバム『THEEARTHSHAKER』をリリースすることが決まっている。その新作に先駆け、バンドのメインコンポーザーであるSHARAが、5月22日(水)にソロ・アルバム『SHARA』を発売。同じく5月22日(水)に、この記事の主役であるヴォーカルのMARCYが、15年ぶりとなるソロ・アルバム『MARCY』を世に打ち放つ。
先に振れた15年ぶりの新作というのもポイントだが、それ以上に注目すべきなのが、EARTHSHAKER/HIPS(MARCY&寺田恵子(SHOW-YA)のユニット)として手がけた、アニメ『超音戦士ボーグマン』の前期/後期オープニングテーマを、この中に収録していること。
昨年暮れには、アニソン界の紅白歌合戦と呼ばれている「アニソンキング」へ出演。そこでの反響が、今回のソロ・アルバム制作へ大きな影響を及ぼしていった。
MARCYが、どんな想いを胸にソロ・アルバムを制作したのか?!その心の背景を、彼の言葉を通してお伝えしよう。
●あの、お客さんらの熱狂はすごいよね。音楽を、アニソンを本気でみんな楽しんでる。なんか、ロックマニアたちよりも、ぜんぜん純粋に音楽を楽しんでる感じがしたよ。
――昨年末、年をまたぐ形で行われたアニソン・イベント「アニソンキング」へMARCYさんが参加しました。その理由が、とても気になっています。
MARCY:あの企画をやっているのが知り合いだったの。その彼からね、「EARTHSHAKERやHIPSで歌った「超音戦士ボーグマン」の歌を生で聞きたい声がいろいろ聞こえてくるんだけど、出ない?!」と声をかけられてね。そこから、「面白そうかな?!」と思って出演をOKしたんだけど。それがねぇ、ホント面白かったんですよ。
あの、お客さんらの熱狂はすごいよね。音楽を、アニソンを本気でみんな楽しんでる。なんか、ロックマニアたちよりも、ぜんぜん純粋に音楽を楽しんでる感じがしたよ。
――お客さんたちは、本当にアニソンが好きな人たちばかりですからね。
MARCY:そうだよね。イベントによっては、「そのアーティストが好き」という気持ちばかりが特定のアーティストへ向かってしまうあまり、いくらいい音楽を演ってても、「他は興味ないよ」という人たちが産み出す雰囲気によって、イベント自体が盛り下がってしまうこともあるんだけど。
あのイベントに参加してた人たちは、「アニソンが大好きだからこそ、すべてのアニソン盛り上げ、一緒に楽しもう」という人たちばかりじゃない。それは、ステージの上の人たちも含めてね。ホントにアニソンを、音楽を愛してる人たちばかりの空間を楽しめたことや、そこの空気を一緒に味わえたことがすっごく楽しくって。僕が歌った曲のときだって、そう。あんなに喜んでもらえるんだったら、これからも喜んで協力しますよって気持ちになったからね。
――EARTHSHAKERも、昔はアニソンを歌っていたんですね。
MARCY:そうなんですよ。その当時は「アニソンを唄う」って意識はまったくなく、「僕らの楽曲を使っていただけるなら、喜んで」ってくらいの気持ちだったけどね。実際『DON’T LOOK BACK』も『夜をぶっ飛ばせ』も、何の制約もなく、自分らの好きなように作った楽曲だったし。
――ソロ・アルバム『MARCY』へ、「超音戦士ボーグマン」の前期/後期主題歌をリメイク収録したのも、「アニソンキング」へ出場したときの影響が大きかったのでしょうか?
MARCY:大きかったと思うよ。今年は、EARTHSHAKERがデビュー30周年を迎えることから、「2013年はEARTHSHAKERの活動に力を入れよう」「30年前のデビュー日に新作アルバムを出そう」「それを盛り上げるためにも、俺とSHARAはそれぞれソロ・アルバムも作ろう」という話を、そこへ向かうに当たってしていたんだけど。
「アニソンキング」のイベントに出る頃はまだ、具体的な内容を決めかねていたんですよ。そんな時期にあのイベントへ出て「超音戦士ボーグマン」の曲を歌ったら、20年以上前の曲をみんなが凄まじい熱狂で受け入れてくれたわけですよ。もうあれを観たら、「アニソンを入れるしかない」と思ったからね。しかも、今の自分なりに表現したい音楽スタイルとしてね。
実際に、収録した『夜をぶっ飛ばせ』と『DON’T LOOK BACK』を聴いてもらえればわかることだけど、メロディーは当時のまま、アレンジは、完全に今のテイストで。しかも、野外イベントのステージで歌ったら似合いそうなくらい、カラッと疾走感を持った表情になっているからね。
『DON’T LOOK BACK』も『夜をぶっ飛ばせ』も、今の時代にもぜんぜん通用する、ものすごくいいメロディーを持ってるからね。しかも、今の時代のアレンジを入れることで、曲がまた新鮮さを持っていくでしょ。
――最新ソロ・アルバム『MARCY』のサウンド面からは、今のエモ/ヘヴィロック・シーンの動きと連動したスタイルが響いてきます。でも、メロディーラインにはMARCYさんらしさを感じる。まさに「”らしさ”と”新しさ”の融合した作品」という印象を受けました。
MARCY:1曲目の『授かりし命と共に』とか、完全に今のエモメタルでしょ。僕は、その時代の音楽が大好きだし、その時代ごとの音楽に対してミーハーなんですよ。だから、その時期に影響を受けたものは、上手く自分のスタイルの中へ消化し続けていく。
そんな、「あの頃の音楽が良かった」とか言ってるんだったら、「そこで音楽は辞めとけ」って感じでしょ。俺は、まったくそういう意識にはならない。今の音楽が大好きですからね。すごく格好いいですよ。いいものはいいなんでね。
――『夜をぶっ飛ばせ』や『DON’T LOOK BACK』だって、今の時代の中、何の違和感もなく流れてきましたからね。
MARCY:『DON’T LOOK BACK』も『夜をぶっ飛ばせ』も、今の時代にもぜんぜん通用する、ものすごくいいメロディーを持ってるからね。しかも、今の時代のアレンジを入れることで、曲がまた新鮮さを持っていく。
中には、「昔のほうがいい」という人もいるんだろうけど。それはそれで構わない。だったら、「その当時のを聴いてればいい」ってだけのことだから。
――HIPSの相方であるSHOW-YAの寺田恵子さんとは、今でも一緒に”西寺実(西田昌史(EARTHSHAKER)/寺田恵子(SHOW-YA)/二井原実(LOUDNESS)”として活動したりなど、深い交流を持っています。とはいえ、久しぶりにHIPSを演るのは、互いに新鮮なことだったのかな? とも想像します。
MARCY:寺田とは、SHOW-YAのデビュー前からだから、もう30年以上の付き合い。『夜をぶっ飛ばせ』だって、もう20年以上前に一緒に歌った曲だけど、2人とも、あれから20年以上経ったとは思えない歌声でしょ。
原曲も、あの当時のど真ん中のサウンド・スタイルで作ってたんだけど。それを、今のど真ん中のスタイルにアレンジしても、メロディーが強いからぜんぜん新鮮に唄えてた。しかも寺田とは、「夏フェスで歌ってくような曲にしたいね」なんて言ってたよう、『夜をぶっ飛ばせ』も『DON’T LOOK BACK』も、そういう面を意識させるアレンジに仕上げていったからね。
――ソロ・アルバム『MARCY』の特徴の一つとしてあるのが、収録した半分以上の楽曲(『夜をぶっ飛ばせ』や『DON’T LOOK BACK』も含む)を、15歳のドラマーKenTくんが叩いている点。
MARCY:今回はね、全世代のメンバーが参加してるんですよ。ドラムは15歳(現在は16歳)のKenT、エンジニアは、今の音を作りたかったんで20代の人をピックアップ。新曲をメインで作ってるギターの峰正典が30代で、ベースのFIREが40代。そして僕が50代。
とくにKenTは、まさしく今の時代のドラマーなんですよ。同じ楽曲を40代のドラマーに叩かせたら、絶対に収録したような音にはならず、それこそドロドロのメタル・サウンドになってしまってた。でも、15歳の彼が叩くからこそ、今の音楽になる。そこが大切なんですよ。
――2曲目には、EARTHSHAKERのデビュー・アルバム『EARTHSHAKER』に入っていた『DARK ANGEL』を収録しています。これって30年前の楽曲ですけど。1曲目を飾った最新ナンバー『授かりし命と共に』に続いて流れてきても、まったく違和感なく、むしろ2曲とも「今のスタイル」として響いてきました。そこをMARCYさんは求めたかったわけですよね。
MARCY:そう。あの当時をまったく知らない子が聴いたら、『DARK ANGEL』が83年に生まれた曲なんてまったく思わないでしょ。「すっげー、今じゃん!!」と思うはず。それだけ歴史の差がある曲を同じように聴かせられるっていうのが面白いじゃない。
●「超音戦士ボーグマン」でEARTHSHAKERを知って以降、今でもズッとEARTHSHAKERのファンでいてくれてる人たちは多いね。
――これからもMARCYさんは、アニソン界とは積極的に関わっていきたい。その意識を強く持ってるんですよね。
MARCY:もう機会があればどころか、メチャクチャ参加させてもらいたいっすよ。メッチャ楽しかったもん。アーティストの人たちも、みんなメッチャいい人ばっかでさ、みんなでいっぱい写真撮ったもん(笑)。だからぜひ、アニソンのイベントへ声かけてください。規模の大小に関係なく積極的に参加したいです!!
――MARCYさん自身、普段からアニソンを聴くこともあるのでしょうか?
MARCY:今って、アニソンもいろんなところから流れてくるじゃない。だから、普通に耳にしてる。「NARUTO-ナルト-」のテーマ曲を歌ってた、いきものがかりとかONE OK ROCKとか最高やったね。
――MARCYさんも、じつは何曲かアニソンを書いてるんですよね。
MARCY:「キン肉マンII世」とか「ガイスターズ」。他にも、いくつか書いてる。
――作家として参加する場合は、やはりアニメの持つ世界観を意識して作っていたのでしょうか?
MARCY:作家として参加するときは、もちろん意識はしたよ。でも、「超音戦士ボーグマン」に関してはまったく意識してないのよ。あのときは「自由にどうぞ」って言われて、出来た曲を渡したら「OKです」みたいな感じやったし。
『DON’T LOOK BACK』は作詞も担当したけど、心がけたのは、「とにかく前向きにいこうぜ」っていうことくらい。向こうの人たちも、上がった曲を聴いて、「これ、勢いがあっていいですね、OKです」みたいな(笑)。
――当時、「超音戦士ボーグマン」のテーマ曲を歌ったことは、EARTHSHAKERにどんな影響を与えてました?
MARCY:「超音戦士ボーグマン」を通してEARTHSHAKERの曲を知って、そっからEARTHSHAKERのライブに足を運ぶ人たちが増えたのは実感してた。中には、「僕はズッとアニメ好きだったんですけど、「超音戦士ボーグマン」をきっかけにEARTHSHAKERを知り、そっからEARTHSHAKERマニアになってしまいました。相変わらずヲタク人生なのは変わりませんけど」という人もいたり。実際、「超音戦士ボーグマン」でEARTHSHAKERを知って以降、今でもズッとEARTHSHAKERのファンでいてくれてる人たちは多いね。
関係者のみなさん、MARCYはアニソンをガンガンに唄いたいと思います。良ければ、何の遠慮もせず、イベントの規模の大小関係なく、ぜひ参加の声をかけてください。
――完成したソロ・アルバム『MARCY』、今のMARCYさんにとってどんな1枚になりました?
MARCY:僕が今まで演ってきたことも含め、今、僕が一番演りたい音楽を詰め込んだアルバムになったね。これを同世代だけで作りあげたら、これだけの新鮮な音にはならなかった。それくらい、いろんな世代の人たちの感覚を集結させた、「今を生きるすべての世代の人たちが、今の感性で作りあげた音楽」ですよ、これは。
――ソロ・アルバムのリリース後には、EARTHSHAKERとしての新作アルバムも控えています。こちらは、どんな感じになりそうですか?
MARCY:「今までの歩みと、これからを生きていく強さ」を詰め込んだ、もうEARTHSHAKERそのままな1枚ですね。
僕たちが今演るべきことは、「今まで応援してきた人たちへの感謝の想い」もそうだけど、何よりも「前へ進み続ける」こと。ここで「30周年だから、歴史を集大成にしたリメイク盤でも作ろう」とかなったら、僕らは駄目になってたと思ったんですよ。「あの時代っぽいねー」というのに安心を覚えてしまうことも、そう。じゃなくて、僕らはこれからも前へ進み続けるんだから、「今のEARTHSHAKERの音をレコーディングしよう」ということで作りあげていった。
きっと、僕のも、SHARAのアルバムも、それぞれを聴くぶんにはEARTHSHAKERとは違う匂いを感じるんだけど。この2枚をミックスしていくと、やっぱりEARTHSHAKERらしい音になるんだよ。ぜひ、「EARTHSHAKERらしいアルバム」も、楽しみに待ってて欲しいね。夏からは何ヶ月も続く全国ライブハウス・ツアーも演るからさ。
――EARTHSHAKERとしてのアルバムも楽しみにしています。そして何よりも、またアニソン・イベントに出て唄うMARCYさんの姿も、メッチャ楽しみにしていますので。
MARCY:これ、ガンガン書いといて。ホントにアニソンの世界で唄うことが楽しいんで、機会があったらどころか、機会を作ってでも、僕はそういう場に行ってガンガンに唄いたいんですよ。
関係者のみなさん、MARCYはアニソンをガンガンに唄いたいと思っています。良ければ、何の遠慮もせず、イベントの規模の大小関係なく、ぜひ参加の声をかけてください。何でも唄うし、オケでだって対応するし、アニソンだってバッチシ書きますよ。ぜひ、気軽に声をかけてください。
――たとえばの話、萌えソングを書いたり、女の子とデュエットなんかしちゃうことも可能なんですか?
MARCY:やるよ。むしろ、萌え系の子と唄うって楽しそうじゃない。僕も、意外に女性とデュエットする機会は多いんだけど、相手が寺田恵子やアン・ルイス、gi-naとか濃い女性ばかり(笑)。ぜひ、萌え系の子と歌ってみたい。
けど、それを自信を持っていえるのも、どんな曲を歌っても、絶対にMARCYの色になる自信があるからなんですよ。それが、今の自分を支えてる大きな自信にもなっていること。
とにかく、余計な遠慮はいらないから、本当に気軽に声をかけて欲しい。喜んで参加してくから。
<Text/長澤智典>
【CD概要】
MARCY/MARCY
2013年5月22日(水)発売
品番:KICS-1907
¥3,150(税込)
1. 授かりし命と共に/2. DARK ANGEL(ANIMALS)<※EARTHSHAKER曲セルフカヴァー>/3. ONE-WAY DRIVER /4. WATER /5. PEOPLE LIFE/6. 傾いた夜に二つの月を見た/7. GERMINATION/8. 夜をぶっ飛ばせ(feat寺田恵子)(超音戦士ボーグマン 後期オープニングテーマ)<※HIPS曲セルフカヴァー>/9. DON’T LOOK BACK(超音戦士ボーグマン 前期オープニングテーマ)<※EARTHSHAKER曲セルフカヴァー>/10. LOVE LOVE LOVE(feat白石とおる)/11. TREACHERY<※SMC曲セルフカヴァー>
初回仕様:スペシャルパッケージ(3タイトル連動デザイン)
<参加メンバー>Vocal:寺田恵子、gi-na/Guitar:峰 正典/Bass:FIRE/Drum:MAD大内、KenT
Sound produced and arranged by 峰 正典(except 11 arranged by SHARA)
●ジャパメタシーン最高峰EARTHSHAKERを30年間牽引し続けたヴォーカリストMARCY(西田昌史)の、ソロ名義アルバム「RE-SET」からメジャー15年振りとなる、Wアニヴァーサリー作品!!
●MARCY×寺田恵子ユニット“HIPS”が甦る!!2012年末アニソン・ファンからの熱烈なオファーを受けアニソン紅白歌合戦「アニソンキング」にMARCY出演の際、アニメ「超音戦士ボーグマン」のテーマ曲を熱唱。EARTHSHAKERによる前期OPテーマ「DON’T LOOK BACK」、HIPSによる後期OPテーマ「夜をぶっとばせ!」も今作品でセルフカヴァー収録!!
●MARCYが、現在考え得る、超ド級テクニックを兼ね備えたベストメンバーを集結させ、歌はもちろんアレンジ、サウンドにもとことん拘り抜いて作り上げた渾身の傑作!!!
☆30周年記念 全国ツアースケジュール、続々決定中!!
詳細はアースシェイカー オフィシャルHPで随時発表!!!
http://earthshaker.jp/