昨年11月11日、横浜BLITZで開催された、喜多村英梨の1stライブツアー「喜多村英梨 FIRST TOUR 2012 RE;STORY」。ファイナルから約2ヶ月後の2013年1月13日(日)に追加公演が行われた。会場もさらに大きくなって、今回は新木場スタジオコーストだ。
ライブは「re;story」からスタート。ピアノのイントロが流れた瞬間に湧き上がる歓声。そして歌い出しの声を聴いた瞬間、ライブの成功を確信した。ファイナル公演から考えると、いろんな意味で余裕と自信を感じる、そんな歌声だった。
そこからは「Veronica」「LOVE&HATE」「brand-new blood」と、怒涛の展開。ギターが掛け合いで魅せたかと思えば、リズム隊がとてつもなくヘヴィなグルーヴを叩きつける、その破壊力に圧倒されっぱなしだ。
実際、ツインギターになったことは大きかった。テクニカルなプレーはもちろん、音の厚みもぜんぜん違う。そして、そんな重厚なサウンドの中を、突き抜けて聴こえてくるキタエリのボーカルも素晴らしい。時に激しく、時に妖艶に歌い上げる。黒い衣装も雰囲気に合いまくりだ。
「去年のライブの追加公演。キャパも広くなって、たくさんの方とお会いできて嬉しいです。歴史に残るような素敵な足跡を残したいと思います!」と言って歌った「足跡」では、ステージを左右に大きく使って、観客に手を振りながら歌う。
ここまではファイナルと同じセットリストだったが、「追加公演なので変則的なセトリもやってみたいと思います!」と「Destiny」。ファイナルではアンコールで歌った曲だが、CDの音源とは違う、ライブ仕様のアプローチで熱唱。続く「SHINE」は、鍵盤で美しく始まりつつ、一気にヘヴィなロックになっていく緩急のある曲だが、カッコ良く、そして気持ち良さそうに歌っていた。哀愁漂うギターソロもたまらない!
ハードロック全開でたたみ掛けた前半だが、少しムードを変えてジャジーな「Baby Butterfly」を披露。ライブハウスをどこかのバーみたいなオトナな雰囲気に変えてステージ裏へ。その後、ステージに残ったバンドメンバーによる演奏もクールだった。
白い衣装を纏い“シロエリ”になってからの中盤は、アニメのタイアップ曲を中心に歌っていく。デビューシングル「Be Starters!」で、ここぞとばかりに盛り上がる観客。「完璧すぎて、私歌わなくていいかなって思いました(笑)」と言わせるほどの大合唱だった。
「紋」、「雪華」では、曲に合わせて色が変わる光の海が綺麗な演出を見せる。
クラップに包まれた「My Singing」、そこからは「Happy Girl」「ココロノリズム」「alive」「→↑」と、最後まで一気に駆け抜ける。ここでは、ファンと歌のキャッチボールをしながら楽しんでいて、一方通行じゃなく、みんなが参加して楽しめる、そういうライブを目指しているんだなと感じた。
にしても、同じライブの中で、ここまで雰囲気の違うライブが見られるのは、声優アーティストならではかもしれない。だが、どちらも妥協せず、とにかくライブとして楽しませようとするキタエリのパフォーマンスに感動してしまった。
アンコールでは、いきなりアニメ『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』の高梨奈緒のキャラソン「Taste of Paradise」をロックバージョンで披露。まさかのサプライズに驚きながらもノリノリな会場。
リリースしたばかりの新曲「Miracle Gliders」のコールもばっちり決まると、心に染みるバラード「Over~夜空の約束~」をしっとりと歌う。実はバラード曲が少なかった今回のライブだが、ライブの幅を広げる1曲になりそうだ。
最後は「キタエリ国歌と言っても過言ではない」「Be A Diamond」。会場のみんなで愛言葉を叫びながら、盛大にライブは終了した。
昨年のファイナルから2ヶ月。あらゆる面で一段上のステージを見せてくれた追加公演。でもきっと、彼女が目指しているところはまだまだもっと上だろう。早くも次のライブが楽しみになってしまった。
<Text/塚越淳一>
<セットリスト>
01.re;story
02.Veronica
03.Love&Hate
04.bland‐new blood
05.足跡
06.Destiny
07.SHINE
08.Baby Butterfly
09.Be Starters!
10.紋
11.雪華
12.My Singing
13.Happy Girl
14.ココロノリズム
15.alive
16.→↑
<アンコール>
01.Taste of Paradice
02.Miracle Gliders
03.Over~夜空の約束
04.Be A Diamond
●「すたちゃまにあ」内 喜多村英梨 公式サイト
http://www.starchild.co.jp/artist/kitaeri/