今年で活動5周年を迎えるオーガニックポップユニット・marble。
彼らの活動を語る上で欠かせないテレビアニメ『ひだまりスケッチ』のTVアニメ第4期『ひだまりスケッチ×ハニカム』 のイメージソングアルバム第3弾『ひだま~ぶる×ハニカム』を2012年12月26日(水)に発売する。
今作も、彼らの登場キャラクターに対する想いがたっぷりと詰まった1枚が完成。ギターの菊池達也、ヴォーカルのmiccoに話をうかがった。
―『ひだまりスケッチ』のイメージソングアルバムも第3弾ですね。これまでとアプローチの仕方はあまり変わらず?
菊池達也さん(以下、菊池):世界観はあまり変えてないですね。『ひだまりスケッチ』という作品自体のイメージがあまり変わらないので。
miccoさん(以下、micco):でも歌詞は視点をまったく変えました。これまでは自分が思うゆのさんみたいな感じで書いていたけど、今回は脚本を最初にいただいたので、キャラクターの中のここが濃い部分だなっていう話をチョイスして、そこを広げていったりしています。
だから、より作品に寄り添った作詞の書き方をしていて、そういうのは初めてだったから面白かったです。
―曲はどういう感じで、キャラクターに寄せていくんですか?
菊池:miccoの曲が2曲あるんですけど、俺の作った曲に関しては、これまで関わってきて、キャラクター自体のイメージが出来上がっているので、そのキャラクターに向けて作っていくという作り方でした。だから自分の中でもブレがなかったというか。これだろうって感じで作ってましたね。
―全体について聞くよりも1曲ずつ聞いてみたいのですが、1曲目はアニメのOP曲「おーぷん☆きゃんぱす」のカバーなんですよね。これは大変だったんじゃないですか?
micco:デモも録らずに本番だったんですけど、セリフの部分と歌の部分を分けて録ろうと思ったんです。でも、一気に歌えって(笑)。
菊池:一気に歌ったほうが面白いだろうと(笑)。
―オリジナルだと何人かで歌っているから、息継ぎも大変ですよね。
micco:きつかったですね(笑)。早口が苦手なので。
菊池:これでもmiccoが歌えるだろうなってところまで、テンポを落としたんですよ。
micco:テンポ落としたんだ!
菊池:さすがに自分もギターで弾けないっていうのもあって(笑)。
micco:これ以上速かったら私、歌えないと思う……。
―アレンジをしてみてどうでした?
菊池:アコースティックでやろうと決めてたんですけど、なるべく原曲にあるフレーズをギターで再現しようと思ってやったいました。デジタルで作っているフレーズを人力で弾くのに苦労しましたね。アコギでやる曲じゃないなと思いながら、まぁ、チャレンジですよね(笑)。
―2曲目「リミットスパイス」は、なずなのイメージソングですね。
micco:これは5話の『ナズナゴハン』からですね。なずなが初めて両親に料理を振る舞うのを、みんなで手助けしているシーンがあって。それをそのまま、感じたままに書いたらこうなりました。
―良い話でしたよね。ふんわりとした曲調も、なずなっぽいです。3曲目の「わたしリスト」は宮子のイメージソングです。
micco:この曲は「わたしリスト」というタイトルなので、この話からというのではないんですけど、あえて言えば6話の授業中にゆのちゃんとデッサンをしているシーンですね。宮子ちゃんって自由なイメージがあって、自分の好きなものリストを上げていく、みたいなところから始まった明るい曲です。
菊池:明るいからね、宮子は。
―Aメロのインパクトがありますよね。
micco:初め全部食べ物だったんですけど、やめたんだよね。
菊池:前のイメージソング「happy♪eating♪fight!! 」が食べ物だったからね。
micco:食べ物だけじゃないだろう(笑)! って。もっと広げたほうがいいかなってことで。
―「happy♪eating♪fight!! 」もそうですけど、ここもラップっぽい感じですしね。
micco:そういえば10話で宮ちゃん、ラップっぽいの歌ってたよね!
菊池:まぁ、この曲はラップと言っていいのかわからないけどね……。
micco:でも、宮ちゃんの曲は、marbleではやらない感じの曲になる。
菊池:型にはまらない部分があるので、すごく突拍子もないことをやってみせたりするときに、ドキッとさせるシリアスな部分を持ってたりするので、そういう意味では宮子には何でも詰まっている。パラダイス的なイメージがある。
micco:10話で、いつも宮ちゃんは明るいんだけど、進路のことで周りが沈んだとき、宮ちゃんの表情が映って、その後おちゃらけるってシーンがあったんですね。その一瞬の表情って私、見たことがなかったんですけど、実はすごく周りのことを考えている子で、陽気なだけの子ではないんだなって感じ取れて。
そういう部分で、宮ちゃんは『ひだまり』の中でも、すごく大切な存在なんだろうなってわかったりしました。詞を作るときも、このシーンを使おうっていうのはなかったんですよ。だけど、どのシーンでも必要な存在なんだなってすごく感じました。
―わかります。そして、この曲には激しいギターソロも入ってますね。
菊池:あれは最後力尽きて終わるっていうのがポイントなんですけど、それが宮子っぽい感じかなって(笑)。
―4曲目「☆フルフルフル」は、乃莉の曲です。
micco:これは5話で、乃莉が怖い夢を見て、沙英の部屋でおしゃべりをするという回ですね。でも達也から来た曲がファンタジックだったりしたので、そういう要素も取り入れたいなと思って、詞はファンタジー寄りにしてみました。
―キラキラした曲ですよね。
菊池:俺の中の乃莉のイメージがキラキラしたイメージなんですよ。
micco:その話の中で、電子辞書か本の辞書かで揉めるんですけど、乃莉はデジタルな部分があって、沙英はアナログな感じっていうのが曲にもありますよね。デジタルなキラキラした感じと、あったかみがある生なものっていう。
菊池:年上の人たちの温かさに触れて、心境が変化していくというのが今回の作品でもあるから、デジタルなんだけど冷たい感じではなくて、そこにぬくもりがあるっていう意味では、尖ったデジタルサウンドではないですね。
―この曲は間奏で、ギターがいろんなところで鳴ってますね。
菊池:乃莉がパソコンからあらゆる情報を集めているみたいなのをギターで表した感じです。
―5曲目は、ヒロの曲ですけど、これは6話の『ヒロさん』ですよね。
micco:そうです。ここまで心情に触れる話って、なかなかなかったんですよね。高校1年と、2〜3年ってぜんぜん違うじゃないですか。進路というか、初めて社会について考える時期って高校2~3年だったりすると思うんです。そこで心情が成長していくという過程が描かれていたので。歩きたくないけど歩かなきゃいけないっていう気持ちを書いてみたりしました。
―でも曲はそこまでしんみりしなかったですよね。
菊池:そこは『ひだまりスケッチ』なので。シリアスになってしまうと、ほのぼのとした部分がなくなっちゃうので、優しい感じにしたんです。あくまであったかい雰囲気が包んでいるのが『ひだまり』かなって。
―6話はちょっと泣きましたね。
菊池:泣きますよね! 『ひだまり』であれが来るかっていうのはありました。
micco:今までなかったよね。
菊池:キャラクターが増えたぶん、ひとりひとり追いかけていくとバラバラになっちゃう気がするんだけど、ちゃんと全部つながっているじゃないですか。だから深い作品だなって思いました。
―続く、沙英さんの曲「思い出探し」は、アンサーソングっぽいですよね。
micco:これはもうヒロさんと対で書いたので。6話はヒロさんに焦点があってたんですけど、沙英さんは何も言わないけど、きっと心の中でこう思ってるんじゃないかなってところで詞を書きました。
タイトルも、二人はいずれ卒業して、それぞれの道を歩いていくけど、ずっと友達で、高校のころを振り返ったりして、楽しかったねって思い出を話しているんだろうなって。
菊池:沙英はクールなイメージがあって、自分が目立とうとしない感じなので、こういう曲になっちゃうんですよね。
micco:シンプルなアコースティックな曲になっちゃうよね。
菊池:ヒロはドジなところがあったり、シリアスって言うよりみんなを温かい目で、わかりやすく見守っているので、かわいい要素も入れてるんですけど、沙英はやっぱり先輩としてみんなを陰ながら支えてる部分が強いと思っているので。
かわいいところもあるけど、みんなにはそういうところは見せたがらないという意味で、こういうサウンドになってます。
―7話のうめ先生の曲「infinite cloud」はどうですか?
菊池:原作者の蒼樹うめ先生が参加しているんですけど、唯一のゲストミュージシャン。コーラスで参加してもらいました。これはイメージソングと言っていますが、曲に関しては、うめ先生に単純に歌ってもらいたいという気持ちで作ったというか。
micco:イベントで、うめ先生にコーラスをやってもらう機会があったんですね。その時にリハもなしで、本番でやったら、それがすごく心地良くって。なかなかそんなことってないんですよ。
やっぱりコーラスとぶつかっちゃうこともあるので。それで参加してもらいたいって話を直談判して。そしたら「主旋律は無理だけど、コーラスなら」ってことになりました。
菊池:なかなか原作者が歌ってくれるってないので。うめ先生が歌をうまいことは知っていたので(笑)。やってもらいました。
micco:詞の部分で言うと「夢ぐも」と対になっていて、「infinite cloud」って無限の雲みたいなタイトルにしたのは、「夢ぐも」は下からどんな夢を描こうかなって視点だったのが、これはうめ先生目線で、屋根の上からどんな雲を作ろうかなっていう、神目線というか。いろんな夢があってもいいんだよって言うことで、こういうタイトルにしました。迷うことがあっても、それも君だけのものだよっていう。
―ちなみに“おはよう”って言ってるのは?
micco:うめ先生です。
菊池:言葉は指定してなくて、何かひと言ほしいですとお願いしたら、“おはよう”がいいと思いますって、言ってくれました。
―8曲目「ヒトリゴト〜I hope my feeling will reach you〜」は、前作に引き続き、吉野屋先生へのラブソングですね(笑)。
micco:発注は、失恋ロックです。
菊池:miccoが歌えと言うからこうなりました。
―イケメン声ですねぇ。
菊池:いやぁ、勘弁してほしいと思ってるんだけど(笑)。前回で最後にしてほしかったんですけど、オチがつかないということで。
そもそも失恋してるんですけど、4期始まって、忘れようとしてもやっぱり忘れられないじゃないかっていうね。想いつつけてれば何か始まるんじゃないかという希望? まだ吉野屋先生が好きだと言っていれば、5期も始まるんじゃないかっていう(笑)。
―じゃあ、また歌いますか!
菊池:いやぁ~もう無理っす(笑)。怖いっすね、歌は。
―実際、吉野屋先生のこと、好きなんですか?
菊池:好きですよ! やっぱり大人の女性がね。愛のあるキャラですよ。
micco:ひだまりの中でも、吉野屋先生が盛り上げてくれてる部分があるので、私も好きなんですけど。
―何だかんだ言って、みんな高校生ですからね。やっぱり吉野屋先生ですよね。
micco:コスプレはすごいけどね。
菊池:似合ってればいい!
―9曲目はゆのの曲「幸せ日記」です。
micco:7話で、文化祭のパンフレットにイラストが採用されたという話からですね。1年生ではただ描くことが楽しかったという感じだったんですけど、何でもない日常から幸せが広がっていくイメージがあって。
それはゆのちゃんが頑張ってるからできることであって、このタイトルも、〈今日の幸せ日記〉から〈変わり続けるよ 幸せ日記〉っていうところまで、どんどん変わり続けていく自分もいるんじゃないかなってことを表してたり。あとはアレンジが面白いよね。
―遊園地みたいな感じですよね。
菊池:そうなんです。ゆののかわいい部分を出そうと思って作ったんです。
アレンジは、3話で、部屋で宮子と話しているときに風でスケッチブックが飛んで、ゆのが上を向いたときの描写が青い空になってたり、文化祭のパンフレットの表紙になったら世界デビューだ!みたいなことが頭の中で広がったりするところがキッカケになってます。
自分の部屋にいながら想像力が広がるっていうのを音で表現しようかなってところで、基本的に歌とギターで始まってミニマルなところがあるんだけど、後ろだけがどんどんどん広がっていく。想像力は無限に広がっていくから、最後に向かってどんどん広がっていくんです。
―それは聴いていて、すごく伝わって来ました。
菊池:marbleとしてのアプローチじゃないものが出せるという面白みはありますよね。
あくまで作品とコラボしているという感覚で作れるので。今までよりも一歩踏み込んでいるからリンクできてる部分があるかな。
―だから10曲目は、ここまで物語を見てきた上で、エンディング曲みたいな感じになってますよね。
菊池:そう、そういう感じです! まさにそういうイメージですね。だから「シロツメクサの願い」はイメージソングではなくて、このアルバムのエンディング曲みたいな。一番marbleらしさを出さなきゃいけない曲でしたね。
micco:物語では1年しか過ぎてないけど、『ひだまりスケッチ』としては4期なので、4期やってると、作品への想いはどんどん深くなっていくので、そういう意味で私の想いというか、marbleの想いはすごく詰めこまれてるなと思います。
タイトルも“4期”からクローバーという意味で、シロツメクサにしているし、それだけ深い願いであり、思いだよっていう曲だったりします。この5年間があるからできた曲だと思います。
―すごく『ひだまりスケッチ』のファンからも愛されるアルバムになっていると思いました。それでは、先日の5周年感謝イベント「marble presents 5周年感謝祭 ~マブダチの輪~」の感想もいただけますか?
菊池:もう、感謝のしっぱなしで……、サプライズもあって。
micco:「さくらさくら咲く ~あの日君を待つ 空と同じで~」のとき、ピンクのサイリウムがね。
菊池:ファンの方がサイリウムを用意してくれたんですよ。本当にいろんな人に支えてもらってます。
micco:私たちがありがとうございますって感謝の気持ちを返そうと思ったのに、逆にもらっちゃった感じだよね。
菊池:本当に「ひだまりスケッチ」でデビューして、お客さんもほぼいない状態から、5年間で応援してくれる人が増えて、何て言っていいかわからないくらい、もう“ありがとう”しかないんですけど。
そういう人たちの顔を見て、それに応えて音楽を作っていくことができるようになってきたのが大きくて。相手がいないと作れない音楽になってきたことが大きな変化ですね。
―2013年についてはいかがですか。3月3日(日)には、『ひだまりスケッチ』では武道館での大きなイベント「超ひだまつり第4弾」もありますけど。
菊池:何をやるかわからないですけど、ライブはやるんじゃないですかね。どうしよう、武道館でトークイベントだったら(笑)。でも、楽しみです。
micco:今年は、今まで以上にライブを増やしたことで、まぶだち同士の交流も増えたので、来年もライブはやって行きたいなと思います。あと北海道出身なので、6年目にしてライブをしに行きたいと思います。
菊池:あと、このアルバムの曲を披露する機会がほしいですね!
<Text/塚越淳一>
【CD概要】
TVアニメ『ひだまりスケッチ×ハニカム』イメージソングアルバム
marble / ひだま~ぶる×ハニカム
2012年12月26日(水)発売
品番:LASA-5146
¥3,000 (税込)
発売元:株式会社ランティス / GloryHeaven
販売元:株式会社ソニー・ミュージックディストリビューション
TVアニメ『ひだまりスケッチ』に登場するキャラクターや作品の世界観をmarbleのサウンドにのせて描くイメージソングアルバムの第3弾がリリース!
アルバムテーマソング「シロツメクサの願い」をはじめ、OP主題歌「おーぷん☆きゃんばす」のmarbleカバーバージョンや、各キャラクターのイメージソングを収録。
何と!うめ先生イメージソング「infinite cloud」は蒼樹うめ先生がコーラスで参加!
これまで以上にひだまり愛の詰まった「ひだま~ぶる×ハニカム」にご注目ください。
【CD INDEX】
01. おーぷん☆きゃんばす ~Acoustic & ハニカム version~ (TVアニメ『ひだまりスケッチ×ハニカム』OPテーマ)
作詞・作曲:ZAQ 編曲:菊池達也
02. リミットスパイス -なずな イメージソング-
作詞・作曲:micco 編曲:菊池達也
03. わたしリスト -宮子 イメージソング-
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
04. ☆フルフルフル -乃莉 イメージソング-
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
05. きっと、ずっと -ヒロ イメージソング-
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
06. 思い出探し -沙英 イメージソング-
作詞・作曲:micco 編曲:菊池達也
07. infinite cloud -うめ先生 イメージソング-
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
08. ヒトリゴト ~ I hope my feeling will reach you ~ -LOVE SONG for 吉野屋先生-
作詞・作曲・編曲:菊池達也
09. 幸せ日記 -ゆの イメージソング-
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
10. シロツメクサの願い (「ひだま~ぶる×ハニカム」テーマソング)
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也
【アニメ概要】
☆アニメはいよいよクライマックス!
『ひだまりスケッチ×ハニカム』
TBSにて毎週木曜日 深夜1時25分~(※12月20日は27分繰り下げ)
MBSにて毎週月曜日 深夜2時50分~
CBCにて毎週木曜日 深夜2時~
BS-TBSにて毎週土曜日 深夜1時~
放送中!
●TBSアニメーション『ひだまりスケッチ×』公式HP
http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari
●marble公式HP
http://www.marblemarble.net/
(C)蒼樹うめ・芳文社/ひだまり荘管理組合
【プレゼント】
marbleのおふたりのサイン色紙を1名の方にプレゼント!
ご希望の方は、「ひだま~ぶる」(他のプレゼントも同様の募集方法をしているため、ご希望プレゼントを判別させていただきます)の後に1. お名前、2. 郵便番号・ご住所、3. お電話番号、4. 性別、5. 年齢、6. サイトを知った切っかけを『れポたま!』公式ツイッター@repotama(https://twitter.com/repotama/)をフォローしていただいた上でDM(ダイレクトメール。お互いにフォローしている場合に使用可能な機能)にてお送りください。
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